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日々雑感・つらいです。でもがんばります。

こんばんは。
相変わらず続きをかけない私です。今日は自分のあほさ加減とか思いやりのなさとかを実感しました。詳細は書きませんが私がこういう状態に陥ったのは因果応報だと思っています。
だからこの苦しみの中にどっぷりつかりたいと思います。

そのうち、それでも何とか気を取り直して続きを書きます。それまで待っていてくださいませ。

「誰もいない海」(トワエモア)

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日々雑感・俳句を読んでみました

みなさまこんばんは!

なかなか「ゴシップ」の続きが書けなくて気ばかり焦る昨今です。夏の疲れに加え、もう二十年以上たまりにたまったストレスが爆発寸前のところまで来ているようでして医師の診察を受けています。ゆっくり休みたいなあとは思っても絶対無理な相談ですのでそれは考えないようにしていますが時折感情が沸騰してきて抑えるのが大変な時があります。

でもきっといつかこの状況から解放される時が来ると信じて頑張ります。

 

というわけで今日は、最近作った俳句??を皆さまに恥ずかしながらご披露したいと思います。実は私、俳句とか短歌を作るのが好きでたまに仕事の最中に浮かんだ句などをメモに書き留めております(まじめにやれという声がどこからか聞こえますなww)。

全然上手ではないのが恥ずかしいですが、物語の続きを書くまでのつなぎとして読み流してくださいませ。

 

 

彼岸花 亡き人空にさがしをり

(うちの庭に、彼岸花が数輪咲いていました。ふっと、空を見上げると私の今はもう亡き父親や祖母の顔が浮かんできました。何とも言えない無常感が私を支配しました)

 

 

哀しさも苦しさも秘め 我深海魚

(深海魚をTVで見ました。真っ暗な陽も射さないような深海でそれでも生きる深海魚を私はえらいとさえ思いました。魚だから感情はないかもしれないけどもしかしたら悲しみとか苦しさとか感じることがあるかもしれない。でも言わない、言えないだけ。だとしたら私と一緒だね)

 

 

幼子の 小さき指先 あきあかね

(幼子は目の前を飛んでゆくアキアカネに興味を持って、母親にその存在を教えようと一所懸命指さしていました。アキアカネがこの指に留まればいいのに。)

 

 

猫じゃらし 降りくる雨の 激しくて

(今年は道のわきにどうしてか、たくさんの猫じゃらしが生えています。暑さのせいなのか、なんなのか?そんな猫じゃらしが、振り出した激しい雨に打たれています。がそこは雑草のたくましさで折れることがない。私もそうありたい)

 

 

稲妻を 抱きて雲の 勇ましき

(これは今夜の風景です。夜7時過ぎたころ散歩に出ましたら北の空に激しい稲光といくつかの稲妻が見えました。どこかで大雨なのでしょうか…雷光に浮き出る雲の峰々の雄々しさに驚き、詠んだ句です)

 

 

駄作でお眼汚しをしてしまいましたね(;´Д`)…もっと言葉を磨いていい句や歌を作りたいです。次回こそ「ゴシップ」の続きを書きますね、お楽しみに!

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ゴシップ 2

内地東京の<帝国新報>本社・政治部ではその写真を前に総員が「まさか…しかし」と半信半疑の顔つきでいるーー

 

そもそもは、トレーラー諸島に帝国海軍の活躍を取材に行った小林・五戸両記者が「帝国海軍軍人の結婚式」の様子だと言って送ってきた数葉の写真が発端であった。

写真とともに同封されてきた小林記者の手紙には<この花嫁は海軍の上等兵曹で相手は海軍御用達の商社の一つ<南洋新興>の社員である。何気なく見た花嫁の顔であったが、与党・推進党の幹部によく似ているとは思わないか、彼には以前から隠し子のうわさがあって何度もあちこち取材したがなかなか確証が得られない。彼の妻は、女学生のうちから彼の思想に同調し、やがて深い仲になり家庭持ちだった彼を奪って駆け落ち、結婚したと聞いている。そしてその駆け落ち前に彼女は一人子供を産んでいるという。その子供の行方は長いこと不明であったが彼の妻になった女性の親族が育てているという話を聞いてはいるがどこで育ったかがわからなかった。が、今回この花嫁を見るにどうも推進党幹部の彼によく似ている。この女性こそ彼の隠し子ではないかと私は確信したので取材を続けたい…>ということが書かれていて、デスクの続木釟郎は写真を目の前に持ってきて食い入るように見つめた後

「似てるな…、だが他人の空似ということもある。相手は与党の大物幹部、将来の総理大臣の話もある人物だ。慎重にしないと危険だ…、小林には決して早まるなと言っておこう。だがこちらもじっとしてはおれん。静かに彼の周辺、特にかつての仲間を訪ねよう。これがしかし、本当だったら大変なことだぞ」

と皆を見回した。そしてもう一度小林の手紙を見ると

<それともう一つ、ちょっと興味のある件がありますのでそちらも取材しておきます>

と結ばれていた。どんなことだか知らないが、記事になるなら追ってこいと返事を書こう、とデスクは言って皆は笑った。

そして皆はそれぞれの場所へと散らばってゆく…

 

最初に「妙な感じ」を覚えたのは上陸桟橋前の衛兵所の衛兵嬢である。見知らぬ男性がうろうろして、上陸の将兵嬢たちにカメラを構えているのをみて、

「あなたなにしています?ここは許可なく撮影はできませんよ?艦隊司令部か衛兵所長の許可証を見せなさい」

と言って近寄ると彼は慌てて

「あ!ごめんなさい、そんなつもりじゃないんです。そんなつもりじゃないんです~」

とあまり意味の分からないことを言うと慌てて走り去ってしまった。衛兵嬢がむっとして「じゃあどんなつもりなんだよ、あの野郎」とつぶやいたとき衛兵所の中から所長が出てきて

「あいつ…こないだ、ニ三日前も来ていたな」

と言い、衛兵嬢の兵曹は「こないだも、ですか?どういう人間なんでしょうね」と首をひねった。衛兵所長は

「なにか探ってるのと違うだろうか、私の勘だからあてにはならないけどもしかしたら、内地の新聞社か雑誌社の記者かもしれないよ。記事にしたいことがあるなら基地司令に言って許可を貰えばいいのだが?」

とこれも首をひねった。

その妙な男性はついに、水島の繁華街を歩く将兵嬢に接触を試みた。そろそろ内地に帰還する機動部隊の将兵嬢たちに、高田兵曹の結婚式の写真を見せて「この女性将兵を知らないか。どこの艦の所属か、知っていたら教えてほしい」と言った。

話しかけられた空母「蒼龍」の兵曹嬢の一人は高田兵曹の同期でむろん、顔を知ってはいたが首をかしげると

「さあ知りませんな。あなたここトレーラだけで何人の海軍将兵がいるとお思いです?トレーラーは小さな島が多いから合わせりゃ数万の将兵がいるんですよ?いちいち知るわけないでしょう。探し出すには大変なご苦労なさいますよ」

とかわした。一緒にいた下士官嬢もうなずいた。

そうですか、失礼しましたと言ってその場を去る男性――五戸記者だったが――を見ていた「蒼龍」の士官嬢が下士官嬢たちに近づくと

「あれは内地の新聞記者だろう。いったい何を聞きに来た?」

と言い下士官嬢がこれこれこうだと教えると士官嬢は

「何かあるな。よくない匂いがする…、その写真とやらの花嫁を知ってるの?」

と高田兵曹の同期の下士官嬢・須田に尋ねると須田は「海兵団同期であります。<大和>の乗艦の野田…言え、結婚後は佐野佳子上等兵曹です」と答え、士官嬢は「<大和>の!そうかわかった、ありがとう」というなり駆けだしていった。

どうしたんだろう、と不安げな下士官嬢たちはしばらくその場に立ち尽くしていた。

 

「蒼龍」の士官嬢、川原中尉は自艦から無電をうつと『大和』の同期を急いで訪ねた。その同期は生方中尉で彼女は舷梯を駆け上がる兵学校のクラスメートを笑顔で迎えた。

「川原中尉、久しぶりだねえ」

とうれしがる生方中尉に川原中尉は急いで挨拶をするとその両肩を掴んで

「貴様、<佐野佳子>という下士官を知っとるか?」

と言い生方中尉はまた嬉しそうに

「知ってるも知っとるも何も、私が介添えしたんだよ。私の部下だからね」

と言った。川原中尉は彼女を砲塔の隅に連れていくと「じつは、」と話し始めた。

「実は、内地の新聞記者らしい男が彼女を嗅ぎまわっているらしい」

えっ、と生方中尉は驚いた。いったい何を嗅ぎまわるんだろう、と言った生方中尉に川原は

「それが皆目わからんが気を付けたほうがいい。佐野兵曹は休暇中か?ならだれかを知らせにやらせろ。絶対かかわるなと言っておくんだ。何か…いやな気がしてならん」

と言って生方中尉は絶句した。

 

生方中尉はその日のうちに緊急に上陸許可をもらうとランチに乗り込み、佐野夫妻を訪ねた。夫妻は佳子の養母・瑞枝と家にいてのんびりしていたが生方中尉の話に

「心当たりがありませんね、私も佐野さんも。もちろんお母さんも」

と首をひねる。佐野も瑞枝も「全く心当たりがありません」という。

生方中尉は「思い過ごしかもしれないが万が一、そのような男に付きまとわれたら巡邏かあるいは憲兵に助けを求めなさい、私からも言っておくから。場合によっては艦隊司令に申しあげトレーラーから退去させることもできるからね」と言い含めて「ではごきげんよう」と三人の家を後にした。

道々生方中尉は(なぜ高田、いや佐野兵曹を追うような真似をするのだろうか?単に結婚式に対する興味だけではなさそうだ)と考え込んだが、ふと顔を上げると

「まさか…彼女の…」

と言ってしばらくその場に立ち尽くしていた。が、やがて我に返ると巡邏の分駐所そして陸軍の憲兵の水島分駐所にそれぞれいって事情を話し「こういうことがあったらすぐに男の身柄を確保しておいてほしい、そのうえでトレーラー艦隊司令部に連絡されたし」と言いおいた。

憲兵隊は普段から<大和>の浜口機関長の怖さを知っているのでかしこまって話を聞き、

「わかりました。ではそうした輩を発見次第確保しその上で中尉にもお知らせいたします」

と言ってくれた。

 

また同じころ。

小林記者は別のターゲットを射程に入れつつあった。そのターゲットとは――。

  (次回に続きます)

 

              ・・・・・・・・・・・・・・

 

「そんなつもりじゃないんです~」ってどこかで聞いたセリフですがならどんなつもりなんだこのオトコ!というわけで生方中尉佐野兵曹に注意喚起に行きました。

そして小林記者のもう一つにターゲットとは?さらに緊迫の次回をお楽しみに! 
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ゴシップ 1

それは、高田兵曹の結婚式の時に紛れ込んできたものだった――

 

式が終わって、皆の祝福を受けている佐野夫妻を内地から来た新聞社<帝国新報>の二人の記者が見つけ「おお、日本人がここで結婚式を挙げたようだよ、取材しよう」と言って大勢のほうへと駆けだしていった。そしてその中の一人の記者・五戸は手近の海軍将兵嬢に

「失礼ですが…私はこういうものです」

と名刺を渡したうえで「どういった方の結婚式でしょう?」と尋ねた。尋ねられた海軍嬢は桜本兵曹だったが

「うちらの艦の仲間の式ですわい。え…何という艦かって?そがいなんやたらといえませんけえ。軍機にかかわります。<帝国新報>いうたらここでも読めますよ、上陸時に読むことがよくありますが、内地より二、三週間くらい遅れとってですがね。まあ仕方がありませんがのう」

と言って艦名は伏せた。五戸記者は「ご愛読感謝します」といったが内地から初めて来た記者だからトレーラー泊地にどういった艦艇がいるかそれほど詳しくない。やや困った顔をしたが、(さすがだ。やたらとしゃべらないところは帝国軍人だ)と感心している。そのうちもう一人の記者・小林がそっと寄ってくると祝福を受ける高田兵曹をじっと見つめて

「なあ、あの花嫁。どこかで見たような気がしないか?」

とささやいた。五戸記者は

「あの花嫁さんか?――うーん、そんな気はしないが?内地で似たような人でも見たんだろう?世の中には7人、似た人間がいるっていうだろうが」

というと新夫婦のほうへとカメラを抱えて駆け寄り、名刺を差し出して写真撮影をさせてもらったのだった。

小林記者は、ほほ笑みあいながらカメラに収まる高田兵曹をなおも見つめて

(誰かににている…誰かに)

と記憶を手繰るが、その場では思い出すことはできなかった。

 

写真を撮り終えた小林記者は、フィルムを急ぎ現像した。出来上がった写真を見つめた小林記者は「これは…やはりそうかもしれない」と一人唸るとその写真を内地の<帝国新報>のとある部署の同期の記者宛てに送った。五戸記者はそんな同僚をみて

「いったい何があったんだ?あの花嫁に何か問題でもあるのか?そんなに急いで内地に写真を送るなんて…。あ、そうか。外地で帝国海軍の将兵嬢が珍しい形で結婚式を挙げたからか?」

と言ったが小林記者は激しく首を横に振ると

「違う違う!そんなことでいちいち急ぎで内地に送るもんか。小林、お前知らないかあの噂を」

といい小林記者は「あの噂って…」と今ひとつピンと来ていない様子。しょうがないな、新聞記者のくせにと小林は肩をすくめると「いいか、」と言って話を始めたーー

 

高田改め佐野佳子兵曹は結婚休暇を十日ほど貰ってあの<>で新婚生活を楽しんでいる。

日差しのはじける防空指揮所の右舷三番双眼鏡の手入れをしながら小泉兵曹は

「高田さん、じゃのうて佐野さんじゃな、佐野さんはええねえ。ええ人と結婚して。うちもまだまだじゃ思うとったがやっぱしあの姿を見ると結婚してみたい思うねえ」

と言って左舷二番双眼鏡を覗き込んでいる石川兵曹に声をかけた。石川兵曹は目を双眼鏡から離さずに

「ほうですねえ、あの素敵な姿を見たらだれだって結婚しとうなりますよね」

と同意した。

すると、指揮所内を見回っていた桜本兵曹が苦笑しながら

「そうは言うが、あん姿はほんの数時間じゃわ。結婚は式で終わるもんじゃないで、その先が長いんなけえ、生半可な気持ちじゃ続かんで。ほいでも佐野兵曹、ええ人がおってえかったねえ。あの佐野さん言うお人は誠実そうなお人でえかったわい」

と言ってふっと遠く、水平線を見つめた。その横顔はどことなく寂しげである。吹き付ける風が彼女の事業服の襟を裏返す。

(オトメチャン、やっぱりあん人を忘れとらん)

と小泉兵曹はその姿をみて胸を締め付けられるような気分になった。そして

(ほういやあ、紅林さんと浮気相手のおなごは内地に送り返された言うて聞いとるがどうなったんじゃろう)

と思った。まだこの時点で、彼女たちは紅林と香椎英恵が船の遭難で行方不明になっていることを知らない。紅林は<小泉商店>の社員で、トレーラー支社長は小泉兵曹の弟である。弟の進次郎は紅林たちの乗った船の遭難と彼らの行方不明を事故直後には知らされていたが、それを姉に伝えるのを躊躇していた。姉の純子に伝えれば許婚であった桜本兵曹に確実に伝わる。その桜本兵曹の衝撃を考えたとき、進次郎はあまりに気の毒で伝えることができなかったのだ。

内地の新聞にもまだ詳しく報道されていない事故であった。日本から遠く離れた海域での事故ということでもあり、取材もなかなかできなかったという事情もあった。

「ほういやあ、小泉兵曹。内地の新聞記者が居ったねえ」

と桜本兵曹がいい、小泉兵曹はうなずき「やたら写真撮って居りんさったね。佐野兵曹の美しさにすっかり骨抜きにされとったで」と笑い、石川兵曹も

「ほうほう、ぽかーんとでかい口を開けとってですよ」

と言ってその様子をまねしてみせて、三人は大きな声を立てて笑った。

そこに、麻生分隊士がハッシー・デ・ラ・マツコとトメキチ、そしてニャマトを引き連れてやってきた。にぎやかなねえ、と言いながら指揮所に来た分隊士を三人は敬礼して迎え麻生分隊士も返礼。そしてマツコの肩に掛けてあった袋の中から

「来たばっかしの内地の新聞じゃ。まだだれも、うちも読んどらんのよ。さっき航海長からいただいた…懐かしい内地の新聞をみんなで読まんか?」

<帝国新報>を取り出した。ほう、<帝国新報>ですかと石川兵曹がいい、麻生分隊士は熱い指揮所の床に新聞を広げた。四人はその場にしゃがみ込んで一面から読んでゆく。

「ほう。今内地じゃこげえなことがあるなんじゃね」

と皆は感心しつつ読み進める。いわゆる三面記事を見ていた桜本兵曹が、はっと息をのんだ。麻生分隊士は「どうしたんじゃねオトメチャン」と言うとオトメチャンは、「ここを」と右手の人指す指を伸ばすと、紙面の一部を指し示した。

麻生・小泉・石川がそこを見ると

『大型輸送船、マリアナ沖で沈没。死者・行方不明者多数か』

と見出しがあってその記事中の行方不明者の中に「<小泉商店社員・紅林次郎氏>」「<南洋新興社員>香椎英恵氏」と名前がはっきり書かれていた。

小泉兵曹は真っ青になって「まさか、そんとなこと…うちはなあもきいとらんで」と言って震えた。石川兵曹も「何かの間違いじゃないですか…こげえな事故があったなん、聞いとりません」と言った。麻生分隊士がオトメチャンの肩を抱き寄せると

「しっかりせえ。行方不明言うてどこかで生きとりんさるかも知らんで?どこかの島に流れ着いて生きとりんさるかも知らんけえしっかりせんといけんで!」

と励ました。

が。

桜本兵曹の次の言葉に皆は衝撃を受けた。桜本兵曹は言ったのだ。

「うちはもう、紅林さんとはなあも関係ありませんけえ。生きていようが死んでおろうがうちにはもう関係のないことです」

麻生分隊士たちは言葉を失って、ただ桜本兵曹の感情のない、しかし美しい顔を見つめるだけだった。

 

その晩、巡検後一人で甲板に出たオトメチャンは手にした<帝国新報>の三面記事をもう一度、月明かりのもとで読んだ。何度読んでも「紅林次郎」の名前は変わることがない。そして「香椎英恵」の文字も。

オトメチャンの脳裏に、初めて紅林と会った日のことや、抱きしめられた時の事、やさしい接吻のことや広島駅でオトメチャンの乗った汽車を追ってホームを走る紅林の姿がぼんやり浮かんだ。

(すべて…消えた。終わったんじゃ。ほんまに終わってしもうた)

オトメチャンは口の端をゆがめて無理に笑いを作った。あれほど「あなたが好きだ」『結婚しよう』と言ってうちの生まれさえ愛してくれたはずのあん人は、別の女性にあっさり心変わりしてしもうた。

「じゃけえこれは、天罰じゃわ」

オトメチャンの顔が月明かりの中で壮絶なまでに美しく、皮肉な表情で微笑を浮かべた。確かにうちもあん人を心から愛した。じゃけどもうそれは過ぎ去った話。そしてあん人ももう過ぎ去った人。どれだけ愛していたかとしてもそれはそれ。

ふっ、とため息をついたオトメチャンは次の瞬間新聞を下に落とすと両手で顔を覆いひきつるような声で号泣したーー

 

それから三週間ほどして内地の<帝国新報>東京本社の一室では届いたばかりの郵便物を政治部の三ツ矢記者が仕分けしていた。その中にトレーラー水島に出張している小林記者からの大きな封筒が。

「なんだこれは、ずいぶんでかいな」

と笑いながら開封した三ツ矢記者はその中の写真数葉と小林記者からの手紙を読むと「まさか、あの噂」と言ってそれらをひっつかむとデスクの続木を探しに部屋を走り出ていた。

「スクープだ、きっとこれは大スクープだ」

と叫びながらーー。

  (次回に続きます)

 

               ・・・・・・・・・・・・・・・・

幸せの余韻が残るトレーラーですがなんだか妙な具合になってきました。新聞記者はいったいどういう噂を聞いたのでしょうか。そしてオトメチャン、かつての許嫁の事故を知ってしまいました。でも彼女はもう割り切っているのか??

緊迫の次回をお楽しみに。

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南の島の花嫁さん 3 解決編

教会の扉が大きく開かれ、声にならない声はやがてーー

 

介添えの、二種軍装に身を包んだ生方中尉に片腕を預けた高田兵曹を見た参列者たちからどよめきが起きた。うわあ、きれいなねえ~と女将兵たちは感激してその姿を食い入るように見つめた。<南洋新興>の男性社員たちも目を奪われる。

高田兵曹は純白のウエディングドレスに身を包み、ヴェールでその顔を隠している。ヴェールの向こうに透けて見える彼女の顔は緊張と感激と喜びで紅潮しているのがわかる。

肌の露出のほとんどないドレスはあくまで清純そのもの、袖はフックリ膨らませてひじのあたりまであり、袖口にはフリル。そして後ろには長くトレーンを引いている。花束を持った手には白手袋。そして何より、彼女の頭に輝くティアラは「桜に錨」がモチーフになっている。

高田兵曹と生方中尉は入場曲に合わせて一足づつ、バージンロードを歩む。その行く手には佐野基樹が兵曹の美しい姿にすっかり目を奪われて立っている。

高田兵曹が、かすかな衣擦れの音を立てて桜本兵曹たちの横をゆっくり通ってゆく。感激した長妻兵曹が瞳を潤ませながら

「おめでとう、高田兵曹」

というと高田兵曹はそっと顔をこちらに向けてベールの向こうでほほ笑んでそっと頭を下げた。小泉兵曹、桜本兵曹も小さな声で「おめでとう高田兵曹」と言って高田兵曹は小さく「ありがとう」と言ったようだ。男性士官たちもすっかり感激して毛塚少尉は静々と祭壇に向かう二人の姿を見ながら長妻兵曹の片手をしっかり握った。その手は(次は私たちですよ)と言っているのが、長妻兵曹にはわかり、(はい、続きましょう)と答えるように彼の大きな手を握り返した。

そして祭壇の前で、生方中尉から佐野へと花嫁は託された。オルガンの音がやみ、滝本神父の祝福で式は始まった。

しんと鎮まった会堂内に滝本神父の声が凛と響き、佐野と高田はその前でこうべを垂れている。その様子を一番前の席の瑞枝が感激の涙にくれながら見つめる。

指輪の交換のあと花嫁のヴェールが佐野の手で挙げられ、総員注目の中…<誓いの接吻>が行われ、女将兵だけではなく男性技術士官のあいだからも羨望のため息が漏れた。

益川中佐は(はあ…いいなあ。あんなにきれいな人と結婚できるなんて。私の天女はここに本当にいるんだろうか)と幸せ絶頂の二人から目を離せない。そして(いいなあ、いいなあうらやましい)としきりにため息を吐く。

その隣の桜本兵曹は(なんねこのおっさん。さっきからため息ばっかしついとってじゃ…はは~ん、こん人か、みんなが言うとった『もしかしたら独身のおっさんかも』しれんいうんは。そんとにうらやましいかねえ、ほんならここで嫁さん見つけたらええが)と益川の顔も見ないで思っている。

友人の幸せはうれしいし祝福しているが、紅林との思い出が甘く苦く邪魔しているのも正直なオトメチャンである……

 

式が終わり、参列者は教会の外に立って新夫婦を待つ。

やがて二人が中から出てくると皆は「おめでとう!」「この幸せ者~」「素敵~」などと声をかけ、花やコメを夫婦に投げる。これが皆には珍しく楽しいらしく、勢いつけて投げつける将兵嬢もいて佐野基樹はうれしいながらもコメが当たって痛いとみえ

「ありがとう…痛いっ!やあありがとう、いてっ!」

と忙しい。その佐野を見上げてほほ笑む高田兵曹は美しい。その皆のあいだを、カメラを持った<大和>飛行科の林屋へゑ兵曹が次々撮影して回る。

「ええねえ、高田兵曹綺麗なねえ」

増添兵曹が言って、そのそばの下士官嬢が同意してうなずく。新夫婦は入り口前の階段を下り切ると、その下にいた瑞枝のもとによると、

「おかあさん」

と言って瑞枝を見つめ、瑞枝も嬉しそうに笑みながら「おめでとう、佐野さん、よっちゃん」と祝福した。兵曹はティアラをトレーラーの日差しに光らせて

「ありがとうございますおかあさん。これからもよろしくお願いします」

と頭を下げ、佐野基樹も

「おかあさん、佳子さんもお母さんも私が幸せにしますからね!よろしくお願いいたします」

と頭を下げた。瑞枝は感激のあまり「佐野さん…よっちゃん」と言って泣き出す。滝本神父がその姿を微笑みながら見つめ「…神のご加護を」と言って十字を切った。

 

そのあと、高田兵曹が懇意にしている現地の人のレストランで祝宴が開かれ、無礼講で大いに盛り上がった。男性技術士官たちも出席し、酒を注がれたり話しかけられたりして大喜び。益川中佐も何人もの将兵嬢たちに話しかけられ、ほほを紅潮させて対応している。

(彼女だろうかそれともあの人だろうか、私の天女)

そう思いながら一所懸命将兵嬢たちの気を引く益川中佐はけなげですらある。しかし肝心の将兵嬢たちは彼よりももっと若い技術士官に夢中である。

そしてその中の一人がすでに相手がいると知ると

「あん人は長妻兵曹の許嫁なんじゃと…、ああ、狭き門じゃわ」

と嘆息をつく。益川中佐は(私、私は相手がいないからどうか!)と思うがやはり「あのおじさん士官はもう結婚しとりんさるんじゃろ?」と言われてがっくり来る彼である。

そんな彼を一顧だにしないで、桜本兵曹や小泉兵曹たちは新夫婦や長妻兵曹とその許婚の毛塚少尉たちと楽しく歓談している…

 

宴が終わり、皆はそれぞれ艦に戻ったり水島の見世にしけこんだりと思い思いの方向へ歩いて行った。

佐野夫婦は、瑞枝を宿に送ったあと「ではおかあさん、あしたここで」と約束し、兵曹の<>へと行った。家に着くと誰かが家の中のそこここに花などを飾ってくれていた。

「綺麗ですね」

と二人は微笑みあいながら兵曹の部屋に。部屋の真ん中のテーブルにはきれいな花束が置かれ<ご結婚おめでとうございます、末永いお幸せをお祝いします。軍艦大和乗組員一同>とカードが置かれていた。

佳子は、その花束を胸に抱えて「…皆さんありがとう」とつぶやき、佐野は「幸せになりましょうね」というと彼女を後ろから抱きしめた。佳子は花束をテーブルに置くと

「基樹さん、幸せになりましょう!」

と言って、二人は固く抱き合ったのだった――

 

その同じころ<大和>では。

防空指揮所に桜本兵曹・小泉兵曹を囲んで今日の高田兵曹の式の話を皆して聴き入っている。

「なんと言うても教会の荘厳なこと!日本の神様の前での式や仏様の前での式もええが、あれもええなあとうちは思うたわい」

小泉兵曹が言うと桜本兵曹もうなずいて「ほうじゃねえ、ハイカラでモダンな結婚式じゃわ。あれもええかも」とほほ笑み、亀井上水は

「ええですねえ…早う写真ができるとええですねえ。うちらも高田兵曹の晴れ姿を見たいです」

と言って石川兵曹が「写真は飛行科の林屋へゑ兵曹が撮ったいうて聞いてますけえ、明日明後日にも見られるでしょうね」とこれも楽しみにしている。

 

そして男性士官用にあてがわれた部屋の中では益川中佐が一人、(ああ、うらやましい。私の天女、いったいどこにいるんだろう)と舷窓をそっと開けてトレーラー水島の夜景に見入っているのだった――

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

素晴らしい結婚式だったようで何よりです。高田兵曹、いやこの日から佐野兵曹になりますが、幸せになってほしいものです。

 

高田兵曹のドレスは、故・ダイアナ元妃の結婚の時のドレスを思い浮かべながら書きました。きれいでしたねダイアナさん。憧れでした。あんな亡くなり方をして本当に残念ですし、夫であったチャールズさん…あんな若くてきれいな人を娶ってきながら不倫を続けてたなんて!本当にがっかりですね。

 

綺麗なダイアナさんの写真を張っておきます(画像お借りしました)。

ダイアナさん結婚式写真
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見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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