2017-10

近頃チマタに流行るもの。 - 2015.06.04 Thu

「女だらけの戦艦大和」艦上で、下士官兵嬢たちがなにか楽しげに姦しくお話の最中のようですよ――

 

長妻兵曹がうふふとうれしげに笑いながら巾着袋を大事そうに抱えている。小泉兵曹が

「長妻さん、何をそんとに笑うとるんじゃね?」

と尋ねた。桜本兵曹・増添兵曹・石場兵曹長それに下士官に任官したばかりの石川二等兵曹が一斉に長妻兵曹をみた。

長妻兵曹はウフフーっと笑いながら

「知りたいか?」

という。桜本兵曹が興味津々と言った表情で「知りたいわ、ええことなら隠さんでええじゃろうに」と言って石川兵曹も同意して頷く。長妻兵曹はそれでもまだ勿体つけて「どうしようかのう~、教えてやろうかのう、どうしようかのう~」と言っている。

すると石場兵曹長が<暗黒の一重まぶた>も重々しく長妻兵曹を見つめて

「長妻兵曹アンタ焦らすんがうまいですねえ。ほいでもね、長妻さん。焦らしてええんは男だけ。男とアレするときは焦らしに焦らさんといけんですよ?おなごは自分を安売りしてはいけんけえね、ほいで焦らせば焦らしただけ、男は燃えますけんね。じゃが今、我々を焦らしたところであなたにとってええことは一つもありません、ありゃせんで。じゃけえはように言いんさい。はいどうぞ」

と言ったので皆笑った。

桜本兵曹だけが石場兵曹長を見つめて「なんで男の人は焦らしたら燃えるんです?うちにはどういうことか今一つどうもようわからんです」と言った。石場兵曹長はそんなオトメチャンにやさしく

「ほうね…ほいじゃあ後で准士官室へきんさい。うちがその辺を懇切丁寧に教えてあげますけえね」

と言い、桜本兵曹は「ほいじゃあ、願います!」と嬉しそうに言う。

小泉兵曹が大笑いして

「オトメチャンよせよせ、よした方がええで。石場兵曹長、変なこと教えたら後で麻生分隊士にどつかれますよ」

と言った。

石場兵曹長は麻生分隊士と聞いて軽く動揺したが暗黒の一重まぶたを重く垂らして

「変なことなんか教えませんよ?あなたも変なことを言いますねえ小泉さん。――で?長妻さんは何をそんとにうれしげなんですね?」

と話を元に戻した。

長妻兵曹はまだウフフーっと笑いながら巾着袋を抱えている、そして

「買っちゃった」

と東京弁みたいな言い方でいう。何を買うたんじゃね?と皆が尋ねると長妻兵曹は巾着袋の口をそっと開けて

「これじゃ。うちは念願のこれを買うたんじゃ」

と言って袋の口にそっと手を入れ中から何かを引き出した。布のようである。皆一斉に「なんじゃーそれ!」と長妻兵曹の前に殺到した。

「まあみなさん、落ち着いてくれんさい」

と長妻兵曹は言って、その布らしきものをそっと広げた、と「おう、褌じゃないね。しかしまあ、綺麗な色じゃねえ!」と歓声を上げたのは小泉兵曹。

そう、長妻兵曹が両手に持って広げた布は「ふんどし」、これは彼女たち女だけの帝国海軍軍人の必需品である。

通常は白色を用いているが、最近きれいな色のふんどしが売り出され海軍嬢たちの注目の的である。兵から士官までひそかにこれを買って、上陸の際などに身に着けているらしい。流行し始めていると言っていい代物である。

ともあれ。

彼女たちの目の前に広がった褌は、綺麗な水色である。

「はあ~。綺麗なねえ」

と桜本兵曹と石川兵曹が一緒にため息をついた。増添兵曹がそっとその端っこを手に取って

「ええねえこの色!水色いうんが素敵じゃわ…ほいでこれならちいとの汚れは目立たんけえ、ええね。しかも肌ざわりもええし」

と言い皆くすっと笑った。

長妻兵曹は皆を満足そうに見まわして

「ほかにもいろんな色があるんじゃ、今度上陸したら行ってみたらええよ。えらいたくさんあってはあ、うちは目移りしてしもうたわ。ハハハ!」

と笑った。

石川兵曹が

「見えんところのおしゃれ、ええですねえ~。ほういやあうちは聞いた話ですが、砲術長だの航海長だの副長だの言うえらいさんたちは普段からきれいな色のふんどしを締めとるって聞きましたがのう…本当でしょうかねえ?」

と言って腕を組み考えるしぐさをする。

小泉兵曹がはっと顔を上げて

「うちも聞いたような気ぃがするで。砲術長たちはどうかしらんがあの新婚の副長と航海長はな、ほりゃあ綺麗な薄桃色のふんどしを締めとりんさるんじゃそうな。なんででも新婚にしか許されんふんどしがあるそうじゃ。ええねえ、うちもそんなふんどし一度見てみたいもんじゃわあ」

と言って皆一斉にため息をついた。

そこに「みんな楽しそうですね」と山中副長に繁木航海長、そして藤村少尉が歩いてきた。誰かが「あ、薄桃色のふんどし」とつぶやいて皆一斉に吹き出した。が、すぐに敬礼し三人も返礼。

副長たちは皆のそばに来ると「楽しそうね、何のお話?」と言って皆を見て微笑む、その微笑みが皆には(ええねえ、綺麗じゃわあ。嫁さんになった人の笑い顔はええねえ)とうらやましい。

繁木航海長が、長妻兵曹の手にしたふんどしを見て

「あ、これ今人気のふんどしでしょう?長妻兵曹買ったんだね!さすが流行に目ざとい長妻兵曹だけあるわね!副長見てください、これ綺麗な色ですよね」

と副長に言うと副長も

「まあ綺麗!いい水色ですね。なんだか使うのがもったいないわね」

と言って笑う。藤村少尉が「そうですねえ。こんなきれいなもの使っちゃいけないような気がして…でも使わなきゃ余計勿体ないですかね」と言って皆大笑いした。

笑いが収まりかけたころ増添兵曹が

「お伺いしたいことがあります!」

と副長に向かって言った。副長が「なんですか?私にわかることなら答えますよ」というと増添兵曹は

「副長と繁木航海長は、綺麗な薄桃色のふんどしを締めてらっしゃるとうかがいました!…その…あの…できたらその…後学のために…その、ぜひここで拝見したいのであります!」

と大音声を発して山中副長と繁木航海長は大変驚いた。藤村少尉がびっくりして下士官嬢たちを見つめる。

副長はおどおどと周囲を見回して

「こ、ここでってそんな、あなた…こんな真昼間に褌を見せろなんてそんな恥ずかしいこと…」

としどろもどろになって、繁木航海長さえも

「なんで私たちがあなた方に褌を見せなきゃいけないのよ…そんな恥ずかしい!」

とほほを赤く染めそっぽを向いた。藤村少尉が

「あんたたち、いい加減にしなさい。副長と航海長がお困りではないか!そんなに人のふんどしが見たきゃ私のを見なさい!見せてやる」

と軍袴のバンドに手をかけた。

すると小泉兵曹や長妻兵曹増添兵曹そのうえ石場兵曹長までが一斉に「藤村少尉の汚い褌なんぞみとうない!」と叫びだし、藤村少尉は「なんでだ!同じじゃないかそんなの、しかも汚いとはどういうことだ!」と怒り出す。

 

と!

「あら~。減るもんじゃなし、見せて差し上げなさいよう、山中副長に繁木航海長?」

と背後から声がかけられた。副長と航海長がはっとして振り返るとそこには三種軍装の軍袴のバンドにまるで刀のようにそろばんを差し込んだ…棗主計大尉がいた。

下士官嬢たちはわが意を得たりとばかりに棗大尉を見て「ほうほう、減るもんじゃなし!願います副長、航海長!薄桃色のふんどしを見せてつかあさい」とせっついた。

二人はいよいよ困ってしまった、すると棗大尉は

「あら!残念ねえ、薄桃色のふんどしは上陸しておうちに帰ってから締めるのよ?普段は皆さんとおんなじ白いふんどし!薄桃色のふんどしはね、夫婦の営みの際の<勝負ふんどし>なのよ!ウフフーっ!」

と大声で言い放ち、副長と航海長はそれこそ頬を真っ赤に染め、顔を両手で覆うと

「イヤーッ!やめてえ」

と叫んで走り去ってしまった。それを慌てて「待ってください―」と追う藤村少尉。

「うふふ。かーわいい」と、棗大尉は笑ってその後ろ姿を見つめている。

下士官嬢たちも呆然として立ち尽くしていたが、次の瞬間慌ててその場を立ち去ることになる。なぜなら…

 

棗主計大尉は

「残念だったわね、副長と航海長の新婚の下半身を見損なっちゃって…。ではその代わりにアタシのふんどしをご披露いたしましょう~」

というと軍袴のバンドを外し始めた。

とたんに長妻兵曹は

「いや、いやいやいや!!もう結構ですけえ見せんでええです、どうか仕舞うてつかあさい!」

と叫び、小泉兵曹も

「おうほうじゃ、みんな分隊士に頼まれとった仕事があってじゃ、はようせんと、な!」

といい逃げる態勢を取った。

すると棗大尉は腰からそろばん――それも普通のより長い特注品――を抜くと

「待てえ、貴様ら!私のふんどしが見られんというんか!?そこになおれ、このそろばんが血を求めて泣いとってじゃ!」

と叫んで構えて、桜本兵曹など

「ギャッ!殺人そろばんじゃ」

と叫んだものだからみな恐慌に陥ってあっという間にその場から逃げ去ってしまったのであった。

 

その場に残った棗大尉、そろばんを元の通り腰に差すと

「いやあねえあのおぼこちゃん。殺人そろばんだって。アタシのかわいい相棒に何てこというのよ、ねえ~。ああでも。若い子をからかうのって面白いわ。あー楽しい~」

とひとしきり笑って主計科事務室へ歩いて行ったのだった。

 

その様子を終始、砲塔の上に載ってみていたマツコトメキチニャマトたち。

マツコはその大きなくちばしをガタガタ言わせて

「ねえ、人間って変な生き物よねえ~。あの人たちアタシを変な鳥変な鳥っていうけどあの人たちのほうがよっぽどへんよねえ」

と訴えた。トメキチが笑って

「そうね。人間ってそれだけいろいろ大変なのよ。わかってあげましょ」

と言い、ニャマトがトメキチに同意するように「ニャニャニャ、ニャーマト」と鳴いて笑った。

 

そして今日も、上陸員たちはきれいなふんどしを求めて街を目指すのだった――

 

              ・・・・・・・・・・・・

 

楽しい?番外編でした。どうもふんどしに話が行ってしまう傾向があって、まあこれはひとえに私の敷こうと思ってくださって結構でございますw。ちかごろ、女性用のふんどしというものが注目されているらしいですね。通気性も良く、健康にいいらしいですよ。私も今年は試してみようかしら、ウフフーッ!

 

巾着袋(画像お借りしました。出典元・制服のフジ)巾着1
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● COMMENT ●

河内山宗俊さんへ

河内山宗俊さんこんばんは!
宮沢りえちゃんのあれは私も衝撃でしたね。じっくりみたかったですがw。

そうそう、手術のときなんかにするT字帯。私はお産の直後一晩ほどこれをしてました。でもほとんど動けない状態だったからどんなだったかとか覚えてないのが悔しい(-_-;)。

旧日本軍、ほとんどこのふんどしだったそうですが動きの面でどうだったのか??そういう資料を見たことがないんですよね~(;'∀')。探したいものです!

赤ふんどし、流行りましたね。桃色なんてそれこそ新婚にいいかもw。棗大尉のふんどしの色、『黒』!彼女らしいかもしれませんね。これいただき~~!

褌といえば

写真集「santaFe」の宮沢りえさん。あれは衝撃でしたね。

褌はつけたことないのですが、足の手術をした際に親類筋?のT字帯ってのをつけたことがあります。開放感は良いのですがトイレの時にちょっと処理が面倒です。長いもので。

和装は比較的股のところが自由なので、何もつけないのも含めていろんなパターンができそうですが、洋装で褌は股ずれが心配です。

少し前に赤褌が流行ったと記憶しておりますが、桃色もなかなか良いかもしれません。棗さんあたりは黒い褌を持っていそうな気もしますが、それでは興ざめかしら?

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
ぜひまろ兄様もふんどしデビューなさったら如何でしょう?マッチョなあの方とご一緒に!しかしふんどし姿のマッチョさん、想像すると…ハアハア…。こりゃ絶対萌えますなw。

女のふんどし、結構いいものかもしれませんね。そしてウフフ、にいさまご想像のシーンはそのうち展開されるかもしれませんぞ!なーんていうと今夜眠れなくなっちゃうといけませんね。

雨。降りしきる雨を見ながら考え事なんてのもいいかもしれませんね、どうぞ御身大切にお過ごしくださいませね^^。

ふんどし。一度締めてみたいものですが中年の体にはもはや不釣り合いかと。
そうだ!! 僕よりも10数歳も年下のあの人に。ふふふ。マッチョな体にさぞかし。
あかん。妄想が始まって頭のなかが桃色に変色しはじめました。

女性がふんどしをとなるとカラフルでしょうね。でも男と同じ形状の下着ということはユニセックスでお互いに……。閨で二枚のふんどしも絡み合う。なんとも淫靡な。
あかん。あかん。妄想も何もかもが過激に膨らみはじめました。

明日からまた雨のようですね。梅雨には梅雨の楽しみなど見つけながら過ごしたいですね。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
ヒモパン、そうですねきっと!ふんどしの進化系?がひもパンなんだと今思い当りました。
勝負ふんどしってなんか生々しい感じがしますがかっこいいですよねw。
おお、褌に撃沈マークっていいかも!
よく飛行機の期待に撃墜マークを描くってのありましたね。ふんどしのマークはなかなかいいですね^^。

棗大尉、「ナツメ色」のふんどしなんでしょうかw。いつか分かるかも!(-_-;)…

こんにちは。
フンドシ……今だとヒモパンに相当するかしら?と思ったり……!! 勝負フンドシ、いいですね~特に同性同士だと大変意味ありげでよろしいです~夜戦のあとお互いの健闘(?)を称えあい、交換したりして……もしくはフンドシに錨マークが増えていくとか(轟沈させた数)……(≧∇≦)
相変わらずの棗さん、フンドシもナツメ色だったら汚れが目立たない……かも!?


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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