戦艦「武蔵」を想う。

米国資産家によってフィリッピン・シブヤン海に眠る「戦艦武蔵」が発見され大きな話題となりました。戦後七十年というこの年に発見されたということに私はなにかとても因縁めいたものを感じてしまいます。『大和型』二番艦として長崎造船所で生を受けた「武蔵」ですが、僚艦の『大和』ともども、決して恵まれた一生ではありませんでした。

しかし、その中で生き、懸命に戦った多くの将兵の皆さんのことを忘れてはいけませんね。

 

『大和』に比して地味な扱いの「武蔵」。

映画にすらなっていませんね、私が知る限りでは「軍艦武蔵」というドキュメンタリー映画が一つあります。これはもと「武蔵」乗組員の方たちへのインタビューを中心にしたドキュメントです。

しかし物語としての映画はなかったと思います。

あの「男たちの大和・YAMATO」でもレイテ海戦のシーンはありますが「武蔵」は名前だけの登場です。

 

前にご紹介した本ですが「軍艦武蔵 上下巻 手塚正巳著・新潮文庫」という本には「武蔵」の誕生からその沈没、そして生存の将兵が厳しい地上戦の中に送り込まれてなめた辛酸等が描き出されています。

途中には将兵たちの生活も書かれて、時には楽しい気分にもなります。

 

私はこの本をベースにして「武蔵」の映画が作れないものかなあと思いますね。あまり知られていないからこそ作ってほしい。

そして絶対入れてほしいエピソードは沈没に際し猪口艦長が、加藤憲吉副長に「記念に副長にやる」と愛用のシャープペンシルを渡すシーン。(このシャープペンシルは現存しており靖国神社・遊就館に展示されております。)

それからレイテ戦前に『大和』を訪問した猪口艦長が塗装をきれいに塗り替えた「武蔵」を見ながら、『大和』能村副長に「『大和』も塗り替えたらどうかね?」と勧めるも能村副長に「いえ。戦闘になったらどうせ剥げだらけになりますから終わってからゆっくりやりますよ」と言われるシーン。

そして何より、仮屋航海長がまだ青いバナナの房を天井につるして「突入前に食べられないかなあ~」と見上げているシーンを作ってほしいですね。

 

仮屋航海長(海兵五十二期)は結局、あの海戦で命を落とします。

「武蔵」第一艦橋に命中した爆弾はそこに居合わせた多くの人の命を奪い猪口艦長の肩に重傷を負わせ、あれほどバナナの熟れるのを楽しみにしていた仮屋航海長をも戦死させます。

航海長は、羅針盤の上に覆いかぶさるようにして息絶えていたそうです。

 

凄惨だったレイテ海戦における「武蔵」の戦いを何とか再現し、後世に伝えてほしいと思います。ただでさえあの戦争は忘れられかけています。

「忘れてほしくない!」

今度の武蔵発見は、彼ら英霊の叫びが導いたことのように思えてなりません。

 

 

今なおシブヤン海のそこに眠る「武蔵」。

その中では猪口艦長以下多くの皆さんが永の眠りを紡いでいられるのでしょう。

安らかに、と祈るばかりでございます。

そしてまた『大和』の命日四月七日も間もなくやってまいります。

二つの艦のことを合わせて考えたい、戦後七〇年目の節目の年です――

 

猪口艦長
猪口艦長

戦艦武蔵
武蔵



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オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
なんとなんと携帯でも読んでいただけるようになったと!!うれしいことです、今までどうしてしまったのでしょうね、きっとこちらのブログのサーバーとかの問題だったのかもしれませんね(-_-;)。ともあれよかった^^!

本当に「武蔵」だけの本ってなかなかないんですよね。そういえば以前書店でジュニア向けの本に「戦艦武蔵のさいご」というのを見かけました。

今現在の確かな風潮としてあの戦争に「命かけて反対した」「反抗した」人は素晴らしいというものがありますがでも、その任務に真正面から向かい合い突っ込んでいった人たちが大勢いたわけです、彼らは今の物差しでは「犬死」だったり『バカ』だったりするのでしょうが果たしてそう言い切っていいのか?
自分たちがせねば誰がやるのだとの思いで行った人のこと、忘れたくないですね。彼らはフィクションではなく実在したのですから、その彼らのこと未来に語り継いでゆきたいものだと痛感します。

突然の寒の戻りに花粉症なのか風邪なのか??まったくよくわかりませんw。
オスカーさんもくれぐれも御身大切になさってくださいね、いつもあたたかきお心遣いをありがとうございます!

こんばんは。
タブレットで記事が読めてやったー!と思っていたら、またケータイでも読むことが出来ました。なんでかわかりませんが、嬉しいことです。
昨日本屋さんでハードカバーの歴史関係のコーナーを見ましたが、大和はかなりの数ありましたが、武蔵単独で…というのは見つかりませんでした。
今日読んだ本の中に、回天記念館に絡めた話がありました。まじめな人ほど嫌な任務だけれどそれを全うしようとする、今は反抗的な人やその場から逃げ出した人がエライような風潮があるけれど、まじめな人たちのこともちゃんと理解してほしい、というようなことが締め括りに書いてありました。反戦に命をかけた人たちもいれば与えられた任務を全うしようとした人たちもいる……いろんな側面から歴史を学ぶべきですよね。
この記事を読んでからかぐや姫の『あの人の手紙』を思い出して脳内でリフレインしています。どんな形でもいいので、あの時代に生きた人たちが確かにいたのだということをわかってほしいなぁと思いました。
また冷えてきましたね。お身体に気をつけて下さい。

鍵コメさんへ

鍵コメさんこんばんは!
お久しぶりです、コメントありがとうございます!

「武蔵」発見はみんなにとってうれしくありましたね。
猪口さんは鳥取のご出身でしたね。この大発見で彼の墓所もにぎやかなことでしょう。
ご子息ともどもびっくりされているかもしれませんねw。

「武蔵」に関する本、私も吉村さんの本は読みました。光人社から出ている「戦艦武蔵」もおすすめです^^。

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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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