2017-10

「女だらけの戦艦大和」・契りし人はあなただけ2<解決編> - 2015.01.23 Fri

 シズは「本当に、いいの?」と思わず声をあげてしまっていた――

 

次子中佐は、自分の腰まできれいに伸ばした黒髪を

「司令。いえ姉さま、切っていただきたいのです」

と言ったのだった。さすがに夫の山中大佐も、兄の一矢もびっくりして「なぜ?切らなくてもいいのに?」と言って彼女を見つめている。次子中佐は、一つにまとめて長く垂らした黒髪を胸の前に持ってくるとそっと撫でながら

「いえ、切ってください姉さま。私はこの髪をいつの日にか挙げる結婚式の日のためにと伸ばしつづけてきました。そして私の願いは叶いました。素晴らしい人と結婚式を挙げて、そしてにい様姉さまと家族になれました。ですからもう、この髪をこのまま伸ばしておく必要はないのです。

――私はもうほかのだれにも嫁ぎません、ですからもう二度と高島田を結えないように、その長さにこの髪を切っていただきたいのです」

と言って皆を等分に見つめた。

男たちは中佐のその決意に神妙な顔で聴き入り、シズはしばらく黙って中佐の顔を見つめていたがやがて「わかったわ、次ちゃん。切ってあげましょう、ただ今夜はもう遅いから明日ね。それでいいですか?それからあまり短くしてしまうのもなんですからそうね…背中の真ん中あたりでいいかしら。なら、明日ね」

と納得し、次ちゃんをも納得させた。そして今度は山中大佐を見ると

「新也さん。あなたいい人をもらったわね。なかなか言える言葉じゃないわよ、今の次ちゃんの言葉。ここまで大事に伸ばしてきた髪を、次ちゃんはあなたのために切っていいと言ってるのだから、新也さんあなた彼女を大事にしないと大きな罰が当たりますよ」

と言って微笑んだ。

大佐も次ちゃんのその言葉に感激していたので瞳を潤ませながら

「はい…本当に私にはもったいない人です。――次ちゃん、ありがとう。それにしても」

と言って絶句した。中佐も、一矢もシズもそっと大佐を見つめる。と大佐はその瞳から大きな涙の粒を頬に流して

「女の命の――その髪を私の為に切ってくれるなんて」

と言ってかすかに嗚咽した。喜びの嗚咽である。シズがほほ笑みながら「よかったわね」と言って一矢と顔を見合わせて微笑みあった。

 

その夜も更けて、一矢とシズは一階の客間で眠り、大佐と次ちゃんは二階の部屋へ上がった。

大佐は寝台の上で、寝間着に着換えた次ちゃんを抱きしめた。そしてその長い髪を裾まで撫でた。愛おしくてたまらなかった。大佐は「次ちゃん…私はあなたを妻にして本当に良かった、幸せですよ」

とその耳にささやいた。次ちゃんは大佐の胸にすがるようにして

「私もです…大佐と結婚出来て本当に幸せです」

と言った。大佐は次ちゃんを布団の上に寝かせると接吻しながら彼女の寝巻のひもをそっと解いた。寝巻の前が軽く開くと大佐はそこに片手を入れ、次ちゃんの胸のふくらみをそっとつかんだ。その先の部分をそっと摘まんだ。次ちゃんが軽い吐息をもらす。

大佐は彼女の寝巻をそっと脱がせながら「間もなく…次ちゃんは『大和』へ帰ってしまうんですね」と言った。それを聞いた瞬間、次ちゃんの胸の内にたとえようもない寂しさのようなものが荒波のごとくわきあがってきた。「大佐、」と彼女は呼びかけた。

大佐は次ちゃんをすっかり裸にするとその両足を優しく開かせた。そしてその間に自分の腰をあてがいながら「むかしのように呼んで下さい…『しん兄さん』と」と言った。次ちゃんはうなずくと「しん兄さん」と呼びかけた。すると大佐は次ちゃんを固く抱きしめた。

そして

「寂しい。次ちゃんが毎日この家にいなくなると思うと私は寂しい…そしてまた『大和』が外地に行ってしまうと私はもっと寂しい」

とまるで駄々っ子のように言って次ちゃんの体を軽くゆすった。次ちゃんも大佐の背中に両手を回しその胸に額をつけるようにして

「私だって寂しいです。あなたと、しん兄さんと離れて過ごすのは――嫌」

と言って声を詰まらせた。しかしだからと言って次子中佐が簡単に海軍をやめることなどできないのはふたりともよくわかっている。離れたくない、しかし軍人である以上任務を放棄などできない。

ふたりはそのジレンマに悩んでいた。

不意に、大佐が身体をちょっと離すと

「次ちゃん。こんなことを言ったらそれこそ私は海軍軍人の風上にも置けないと言われるかもしれない、でも私はそれでも言います――次ちゃん、私の子供を産んでください」

といい、次ちゃんは少し驚いたような顔をした。大佐は

「次ちゃんに子供ができれば当分次ちゃんは内地に、ここにいる事が出来ます。あなたは佐官だから、佐官ならそのへんは融通がきくと聞いています。次ちゃんは優秀な軍人だから艦の皆さんはあなたを離したくないかもしれない。でもあなたはもう、私のものだ!子供を産んで、――私のそばにいて下さい!」

そう言うなりいきなり次ちゃんの中に入ってきた。不意をつかれた次ちゃんは「あっ」と小さく声をあげてしまった。その次ちゃんを押さえつけ大佐は荒っぽく彼女の奥へとぐんぐん進む。その激しさに次ちゃんは「大佐、しん兄さん、痛い…」と喘ぐが大佐は夢中になって聞こえないようだ。

大佐は夢中で次ちゃん、次ちゃんと呼びかけつつ次ちゃんを突きまくり次ちゃんもそれに夢中で応えた。ふたり無我夢中の時が過ぎ、やがて――大佐は次ちゃんの奥に熱い子種を放って終わった。

ふたりは終わったあとしばらく、ハアハアと荒い息をついて重なり合っていた。その息がやっと整った頃次ちゃんは小さな声でなにかを言った。

大佐が「なに?どうしたの」と尋ねると彼女は頬を赤く染めて囁いた――「赤ちゃん、出来るといいな」。

大佐はもう一度、次ちゃんを抱きしめた。

 

翌日。朝食を済ませた後、次ちゃんは春の日差しもうららかな縁側で、シズに髪を切ってもらった。シズはかすかに、緊張で震える手にハサミを持って次ちゃんの長い髪を切った。そばでは山中大佐と新也が見守っている。

腰まであった黒髪は背中の真ん中あたりまでになった。シズはそれ以上切ってしまうことにためらいがあった。そこで

「次ちゃん、また伸びたら切りますから今日はこのくらいにしておきましょう」

と言ってハサミを収めた。息をつめて見守っていた男たちはふうっと息を吐いて緊張を解いた。

次ちゃんは「姉さま、ありがとうございます。御面倒をおかけしてすみません」と礼を言った。次ちゃんはその髪を一つに縛ると

「これで――私は新也さん一人のものです」

と独り言のように言った。シズはその決意のようなものに心打たれた。次ちゃんは今度ははっきりと

「私が契った人はたった一人。山中大佐――あなただけです」

と言って夫の顔を見つめた後すがすがしい顔つきになって春の空を見上げた。山中大佐は感激に瞳を潤ませ、兄夫婦はほほ笑みを以て若い夫婦を見つめる。

 

『山中次子中佐』の休暇は残りあと少し――

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

な~んだそんなことか!とは言わないでやってくださいね、女にとって髪はやはり大事なものですから。次ちゃんは高島田を結うために腰まで伸ばした髪を、切りました。これこそが彼女の決意でありました。もう誰のためにも高島田は結わない。

健気な中佐、いよいよ帰艦の日がそこまで来ています…

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● COMMENT ●

はづちさんへ

はづちさんこんばんは!

次子中佐のこの言葉は男性なら聞きたい言葉かも知れませんね。
それにしてもそんなことをさらりと言える次ちゃんはすごい女性です。そんな女性を妻にした山中大佐も男をあげることでしょう。

そう、赤ちゃんを産ませてあげたいしでも副長としてもっと活躍させたいし…私としてもいろいろ考え込んでしまいます(-_-;)。
だけど親となった山中夫婦も書きたいです。

う~~~む(-_-;)…

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
男にとっても女にとっても髪は大事ですよね^^。
そんなに大事に伸ばしてきた髪を切ることができる、これを愛の力と言わずしてほかになんと言うのだろう!私の理想といっていいのでしょう、それが彼女です。
次ちゃん、願い通りご懐妊になるといいのですが…しかし副長としての仕事もあるし??さあどうなるでしょうか、今後を御期待下さいませ!

なんといよいよインフルが目前に!敵の侵略を許してはなりませんね!うがい手洗いを励行願います!そして私も気をつけます、ありがとうございます!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
子供が生まれた後の家庭の様子が見えるようですねw。どんなことになりますやら…その日が楽しみですね^^。

次ちゃんは本当に大佐を愛しています。そして大佐も次ちゃんを心底愛しています…うらやましい、これこそ相思相愛というものだと思いますね~❤

両陛下のパラオご訪問。かの地にしずもるご英霊もさぞお喜びだと思います。そしてご遺族にとっても嬉しいことでしょうね。御高齢にもかかわらずお出かけになられる両陛下、国民にとっては素晴らしき存在ですね。

インフルに気をつけて過ごしたいものですね、どうぞオスカーさんも御身大切に^^。

おじゃまします

こんにちは

もう誰のためにも高島田は結わないから、
髪を切って欲しいだなんて、
そうそう言えることではないですよねえ。
すごいな、次子中佐というお人は・・・。
望み通り懐妊して仲睦まじく暮らして欲しいとも思いますが、
大和の副長としての活躍も見たいですし、
ちょっと複雑な気分ですね。

No title

そういうことでしたか。
髪は女性の命。新也さんにすべてを捧げた決断に拍手です。今の女の人にない健気さと一途さ。そして愛のカタチですね。
髪は男にとっても……、大切なのですが(笑)
懐妊も辞さない女心にも感動しています。愛している人の子供が欲しい。身ふたつにする喜びは女性ならではでしょうか。

いやはやそれにしても子づくり描写の新鮮なこと。
テンヤワンヤ、ドタバタ、哀愁、同志に家族。そして愛の行い。
見張り員さんの大和はきれいな満艦飾に彩られていますね。

我が家の前のお宅にまでインフルエンザがやって来ました!! 水際作戦開始です!! 
見張り員さんもお体を大切に。

おはようございます。
懐妊したらもうスゴい嫁バカ、親バカになりそうですね~そんな重い物を持ってはいけません!!って買い物にも行かせてもらえなくなりそう(笑)
キッパリと宣言出来る次ちゃんはやはり大和撫子ですね。
話はかわりますが、両陛下のパラオ訪問が4月に決まりましたね。その日を待つ人たちがたくさんいることでしょう。
見張り員さまもお身体に気をつけて下さいね!


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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