2017-10

「女だらけの戦艦大和」・衝撃ノーズアート1 - 2014.04.29 Tue

さて。常夏のトレーラー諸島の小姑島には帝国海軍航空隊の基地がある――

 

今日も訓練を終えて零戦の三機が降りて来た。

小隊長の竹中大尉が零戦から降りて僚機を見返った。僚機からは小曽根(こそね)上飛曹、根古瀬(ねこせ)兵曹長が相次いで降りて来た。三人はそろって指揮所へ歩いてゆき、待っていた基地司令の鶴川大佐に

「竹中大尉以下三名、訓練飛行を終えただ今帰着いたしました!」

とあいさつすると基地司令は満足げにうなずいた。そして「御苦労でした、ゆっくり休みなさい」というと三人は兵舎の方へと歩き出す。竹中大尉は飛行帽を取って「ああ、頭がかゆいよ」といいながらその短髪の頭のてっぺんを掻いた。

小曽根上飛曹が

「熱いですもんねえここは。なんだか内地の冬や秋をすっかり忘れちゃいましたよ」

と言って笑い、根古瀬兵曹長が

「本当に。竹中大尉、又そろそろ髪を切りましょうかね?また私にさせて下さいよ」

という。根古瀬兵曹長は実家が理髪店なので彼女も見よう見まねで兵隊嬢や上官の髪を切ることがあるのだ。竹中大尉は「おお、そうだねえ。じゃあ明日にでも頼もうかなあ」と言って三人は兵舎の中に消える。

 

それから二時間ほど後に、今度は別の零戦隊六機が帰って来た。

その一機からあわてて降りて来たのは雉山大尉で、そのあとを零戦搭乗員たちが追って降りて来た。血相変えて走ってくる雉山大尉に、鶴川基地司令は

「どうしました、そんなにあわてて?」

と尋ねた。この鶴川司令は誰にもえらぶることなく穏やかに接することで有名で、兵隊から士官まで人望篤い人である。その鶴川司令の問いに雉山大尉は飛行服のりりしい姿もまぶしく司令の前に立ち、ほかの零戦搭乗員たちもならぶとハッシと敬礼した。

そして「雉山大尉以下六名ただ今帰着いたしましたっ!」と叫んだ後雉山大尉は「司令。実は」と話を始めたのだが・・・

 

雉山大尉他の零戦の小隊は今日は〇七〇〇(まるななまるまる、午前七時)から編隊を組んでトレーラー環礁の北、三マイルで訓練飛行をしていた。いつものように模擬空中戦だとかごく小さな名もないような島を敵艦に見立てて急降下爆撃などの訓練を行った。

雉山大尉は皆の出来の良さに感服しながらその日の訓練を一〇三〇(ひとまるさんまる、午前十時三〇分)に終了し基地へと帰ることに。

燃料はまだ予備タンクにいっぱいあるから心配はない。気分良く基地へと向かうその途中。

真っ白いサンゴ礁に彩られた小さな島、真ん中には緑が生い茂っている小さな島が見えた。そのサンゴ礁の上に何かがある。自然のものではない人工の造形物。飛行機のようにもみえるがよくわかりかねる。

雉山大尉は手信号で僚機の風間中尉に<下に妙なものがある。写真を撮れるか?>と尋ねた。風間中尉は了解の意思を手信号で伝えると足元に置いてあったカメラを取り上げて片手で構えた。そして器用にシャッターを切る。

このカメラは風間中尉の手製のもので小型に作られており片手で簡単に操作できるのである。

ともあれ零戦隊は(なんだ、あれは?)の思いを強くしながら基地へと帰投したのだった・・・

 

その話を聞いた鶴川司令は腕を組んで考え込んだ。

そして顔をあげると

「最近このトレーラー周辺で敵機が撃墜されたという話は聞いて居らんね。さらにその先の空域でも大きな戦闘があったとは聞いていない・・とすると我が方の飛行機が不時着した?いやそんな話も聞いてはいないなあ。妙だ、これは調べなければなるまいね」

と言った。雉山大尉はうなずくと

「では捜索隊を組織しましょうか。私が隊長になります!」

とやる気満々で立候補。鶴川司令は

「じゃあ隊長はあなただ。他の隊員は私が指名するがそれでいいね?では捜索隊を今夜一八〇〇(ひとはちまるまる、午後六時)までに編成して明朝〇八〇〇に出発できるようにしよう」

と言って皆はそれぞれの方向に散らばって行ったのだった。

 

兵舎に帰った雉山大尉は竹中大尉に先ほど見てきたことを話した。竹中大尉は飛行服を脱いで防暑服姿である。

その竹中大尉もとても興味を示して「ほう、それは見捨てておけないね。一体なんだろうねえ?飛行機のようでもあったならもしかしたら本当に飛行機かもしれないよ?でもだったらどこの所属なんだろうねえ、ちょっと気味悪くない?」と言った。

雉山大尉もうなずきながら

「でしょう?だから竹さんも一緒に行けたらいいなあと思うんだよね。司令が捜索隊に加えて下さることを願いたいね」

と言った。

他の搭乗員嬢たちも「なんだろうねえ」「なんだろ?」と思案顔である。

やがて二時間ほどして風間中尉が現像した写真を持ってやってきた。先に鶴川司令に見せてきたようだ。写真は五枚ほどで近寄って、真上で、そして通り過ぎる瞬間が撮影されている。

机の上に広げられた写真を見つめて雉山大尉の僚機の仲野一飛曹が

「うーん、それにしても風間中尉の写真の技術は素晴らしい・・・」

と唸り、その隣の竹中大尉の部下の根古瀬兵曹長は

「まさに。しかしこれは一体何だろうか気になるねえ。こらあどう見ても飛行機じゃないか?敵さんの飛行機かもしれないよ、この形状。グラマン?それともワイルドキャット?ちょっとこれじゃあ判断付かんね、めり込んだ感じでさ。いずれにしてもこんなもの側がトレーラー諸島周辺にあるってことはゆゆしき事態だよ、警戒しないといけない」

と重々しい口調で言い、竹中大尉は

「さすが私の部下だけある!通信科に敵信に何か変化はないか知らせるように言ってちょうだい。夕方には誰が捜索隊になるかわかるから捜索隊員になったものは今夜は早めの就寝をせよ、いいね」

と皆に言って、下士官兵嬢たちは「はいっ」と返事をして散会。雉山大尉は風間中尉を見て

「風間中尉ありがとう、あなたがここに着任してから偵察面でも助かっているよ・・・でも操縦しながらの撮影は無理がないのかね?」

と尋ねた。風間中尉はここトレーラー基地にほかの四名の下士官兵嬢と着任してまだ間もない。がい勘案くその能力を発揮して基地司令の気に入りでもある。

ただ、口が重くなかなかしゃべってくれないのが皆には寂しい。心を開いていないのではないが「どうしてかな?」と雉山大尉などあれこれ考えている。

 

そして、一八〇〇.

基地司令から捜索隊のメンバーが発表された。隊長は立候補なので雉山大尉。副隊長に竹中大尉。他に根古瀬兵曹長、小曽根上飛曹、大橋一飛曹、加納一飛曹、加山兵曹長そして風間中尉である。

彼女たちは明日の朝、二等輸送艦に乗って例の小さな島へ行きそこから内火艇に乗り替えて島に上陸する手はずである。

いかんせん、島が小さく飛行機が着陸できる場所がないのと周囲の水深が浅いのでこうするしか手がない。

しかしそうと決まれば彼女たちは意気軒昂、捜索隊に選ばれなかった下士官嬢や兵隊嬢も

「明日は私の分までよろしく願います」「くれぐれも気をつけて」

と言って皆で夕食のテーブルを囲んだ。

そして捜索隊員はその夜はいつもより早めの就寝をした。

明日、あの島で想像もつかないことが待ちうけていようとは、神ならぬ身の彼女たちには思いも及ばぬことであった――

 

         (次回に続きます)

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回は航空隊のお話ですが一体どんなことが起こるのでしょうか。

謎の物体――飛行機?――の正体は!?どうぞ次回をお楽しみに!!

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● COMMENT ●

matsuyamaさんへ

matsuyamaさんこんばんは!
暑苦しい松岡のあとなので、ちょっと目先を変えようとw。

謎のもの、子供のころは必死になって皆で追い掛けたものでしたね。あの頃はみるものすべて新鮮で驚きの連zくだったような気がします。
大人になるとそういうときめきみたいなものも無くなって寂しいですよね。


さあ次回から緊迫の!!
お楽しみに^^。

久し振りに航空隊が注目されてますね。
謎の物体の捜索隊、いわば探検隊ですよね。
自分も子供の頃から探検が好きで、新たな発見にわくわくしていました。
今でこそわくわくの緊張感がなくなり、ふてぶてしくなっってしまいました。
いつまでも冒険心は持ち続けたいものですね。

さてさて謎の物体の正体とは? 次回が楽しみですね。

柴犬ケイさんへ

柴犬ケイさんこんばんは。
さあ、航空隊搭乗員はあの小さな島でなにを発見するのでしょうか??
あまりよい予感はしませんが(-_-;)・・・・次回をお楽しみに!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
マツオカ話はどうも熱くなって鬱陶しくっていけません(-_-;)、が、航空隊の搭乗員はさわやかですのでどうかこれにてお口直しを願いますw。
さてまた何が起きますでしょうか?ご期待下さいね^^。

雨の一日、全く仕事が暇で困りました。忙しいのもたいへんですが暇というのはとても嫌なものですね(-_-;)。
オスカーさんお風邪など召しません様ご自愛くださいね^^。

見張り員さん   こんばんは♪
いつもありがとうございます♪
今日から海軍航空隊のトレーラー諸島の小姑島には
帝国海軍航空隊の基地があり訓練をして帰りに小さい
島に飛行機らしいのがあり明日は確認に行くために
二等輸送艦に乗って例の島に行き行き内火艇に乗り
替えて島に上陸するんですね。
謎の物体は何なんでしょうね。

おはようございます。松岡さまでアツくなってしまったので、航空隊の方々の雰囲気が爽やか(´∇`) しかし、何があるのかな~ワクワクドキドキです♪
今日は雨の1日になりそうですね。気温も低いし…お気をつけ下さいませ。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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