2017-10

「青の中から」あとがき - 2013.11.19 Tue

今は亡き人々――特に戦没した人たちを思う時、今現在の時の流れがとても不思議に感じてしまう時が、ままある。

彼らは、確かに存在したのだ。この日本の国に。

たった、六十数年前まで確かに存在したのだ。

そして彼らは日本の国と日本人の為にその心のうちの多くを黙して語らずに逝った。その心の内を知るよすがはわずかに残された「遺書」でしかない。その遺書ですら、現在の人間に読ませれば「本当の心を語っていない」となる。それにも一理あるかもしれないが、乱れた心内を吐露するようなあけすけなことをあの当時の日本人、特に軍人と呼ばれた人たちは好まなかったのだと思う。

故に彼らの遺書にはサッパリとした潔い心情がつづられている。

そのような中でもひときわ異彩を放つのが、今回「青の中から<問>」のモデルにした<回天金剛隊>で昭和二十年一月一二日にウルシーにて戦死した都所静世少佐(没後階級)の遺書である。

彼は敬愛する兄嫁さんに宛てて書いた手紙の中でその偽らざる心情――幼い姪っ子たちのためなら死ねるが自分のことしか考えない三〇過ぎの男女なんか糞食らえ、などといった当時の世相に対する憤りをそのまま兄嫁への手紙にぶつけている。

しかし、彼はそれらのことにこだわるなど小さなことでどうでもいいんだ、といい切り話しは潜水艦内での過ごし方に移る。青年らしい熱し方で、興奮して筆が走っているようであるがその実冷静にわが身を見つめているようだ。

そして、その冷静になった筆で兄嫁への優しい心遣いを見せる。

そのあまりに無垢で清純な魂に私はうたれるのである。

青年たちは清純で清浄なままで散華して行ったのだ・・・その必死の心を思う時、何とかして彼らの思いを残したいと思うにいたった。そして降りて来たのがこの「ものがたり」である。

この「ものがたり」は都所少佐をモチーフにしたかったため最初を『問』として南海に散華した回天特攻隊員・シーチャンのつぶやきを描いた。彼の魂は青い海を漂いながら、愛しい兄嫁や日本という国がその後どうなったのかを『問う』という形で。

これはほとんど一日、三時間ほどで書きあげた。その最後の方ではなぜだか妙に気分が悪くなるというハプニングもあったがなんとか書きあげた。そして一段落した後で兄嫁から彼の思いに応えるという『応』を書いた。実際のところ都所少佐と兄嫁がどのようなきょうだいであったかを示す資料はないので全くの創作である。

もしかしたら、こんなことがあったら?という思いで書いたものである。こんなふうであってほしい、という期待のようなものも込めてある。

 

そろそろ戦後も七〇年を迎えようとしている。日本は高度成長を成し遂げ、戦後復興を見事なまでになしえた。が、その半面人心は荒廃したように見えるのはなぜだろうか。物質的豊かさに馴らされて感性がすたれてしまったのではないか。

都所少佐始め多くの英霊たちはこの日本の状況をどう見つめて居られるのだろうか、気になって仕方がない。

彼らがその身をなげうって守った大和島根、日本という国を未来永劫、人も国土も美しく継承してゆかねば彼らに申し訳のないことである。

そして彼らを慰霊顕彰する心を繋いで行くことも忘れてはなるまい。

彼らは常に我々とともにある。

姿かたちが見えないだけで、彼らの国を想い国民を思う心や魂は我々の隣にある・・・そう、思いたい。

              ・・・・・・・・・

「青の中から」のあとがきとして私の思いを書きつけておきました。

なお、「青の中から<応>」の文末の歌は、見張り員の拙作であります。

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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
お疲れのところ、コメントをありがとうございます^^。

あまり知られることのない「回天特攻隊」で散って行った彼らがわたしにはどうにも最近気の毒に思えて仕方がなかったのです。
彼らの一途な思い、清浄無垢な思いは彼らの夢見た未来――つまり現在――において無残に踏みにじられているとしか思えないのです。
年齢的にはみな10代後半から20代前半の若者ですがその顔つきから考えから何から全く今の若者にはないものばかりです、当たり前と言えばそうですがやはりそこが時代の違いなのでしょうか?
私はそうは思いたくはないのです・・・

彼らがその生を全うしていたらどんな世の中になっていたでしょう。そして彼らはどのような人生を歩んだでしょう、時折考えます。せんなきことかもしれませんが・・・

検定合格しているといいのですが^^、力強い励ましをありがとうございます!!

すっとこさんへ

すっとこさんこんばんは!
お読みいただきましてありがとうございます。

おそらく、都所さんの義理のお姉さまは戦死の公報を聞いた時大変なショックだったと思います。その思いを自分なりに「なり切って」かいたのが今回の「青の中から」です。

本当にすがすがしいまでの青年たちだったと思います。その青年たちの熱情が造り出した「回天」ではありますが上層部はなぜゴーサインを出してしまったのか。結局この回天作戦は作戦を出す側の不手際で無駄に若い命を失ったということもありました。
何のために彼らは苦しく激しい訓練に耐えて、憂国の思いに燃えて出て行ったのか?無駄に死ぬためではなかったはずなのに。
とても悔しい思いです。

そして今の日本の体たらくさにはきっと彼らの魂は憤激していることでしょう。彼らが夢見た未来に我々は今生きているということ、もっと一人ひとりが自覚せねば!
戦後の日本の教育も全くもってよくないのです、知ろうとさせないそこに大きな問題があると思っています。

彼らの思いを未来永劫伝えてゆかねば・・・!

三部にわたった作品、とても感動的で素晴らしい余韻にも浸らせてもらえました。
純粋さの奥には黙して語ることのなかった炎(ほむら)のような信念も見え隠れしているということ。昨今の若者のような軽々な言動とはまったく異なる崇高さが滲んでいること。
潔さや清らかさ、男らしさを感じ、そしてその健気さに……、もっと生きていてもらいたかったと、まるで身内への思慕のような思いがしています。こんな素晴らしい話をありがとう!! 

検定、合格を祈っています!!

見張り員さん
“青の中から”応” のお姉さんの歌は
ご本人がのり移ったかのような絶唱を
思わせました。

たかだか六十数年前にはこのような清き
魂の前途有望なる若者達が数え切れない
ほど散って行ったのかと思うとやり切れない
思いです。

回天の訓練場所を訪れましたが そこでは
「あまりに愚かな・・・」という気持ちになって
しまいました。このやり方が本当に効果が
あると考えたのでしょうか、軍の上層部は。
回天、というネーミングにも悲しさを覚えました。

そして 
もっとやりきれないのは今の日本の現状かも
知れません。彼らが命を賭して守ろうとした国
の六十年後のありさまとは。

見張り員さんのような方が警鐘を鳴らし続けて
くださらないといけませんね!


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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