女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

女だらけの「帝国海軍」、大和や武蔵、飛龍や赤城そのほかの艦艇や飛行隊・潜水艦で生きる女の子たちの日常生活を描いています。どんな毎日があるのか、ちょっと覗いてみませんか?

「女だらけの戦艦大和」・南方の大茶会2

『武蔵』では明日に迫った茶会に準備に忙しい――

 

猪田艦長自ら茶会の手配をして、加東副長もうれしそうにそのお手伝い。さらに艦長付のマスコット犬・ナナもあれこれと運んではお手伝い。

その様子を見ていた機銃の水兵長が、三連装機銃を手入れしつつ「ええなあ、えらいさんはああしてたのしいことがあって。俺達だってお茶会してみたいよな」と文句を垂れた。その兵隊嬢の班長の一等兵曹嬢がなだめるように

「まあそう言いなさんな。えらいさんがたはえらいさんがたで息抜きがしたいんだろう。いいか、皆それぞれ「分」というものがあるんだよ。よく言うだろう「分相応」って。わたしたちにはわたしたちの「分」がある。えらいさんにはえらいさんの。羨んだって仕方ないよ。もしかしたらえらいさんだって時には私たちをうらやましいと思うことがあるかもしれないよ?」

と言ってやった。水兵長嬢はそれでも少し口をとがらせて

「そうですかねえ?兵学校出の人たちにわたしたちの気持ちなんかがわかるもんですか。いつもいいもの食べて、威張ってばっかりだし」

と言った。一等兵曹嬢は(こりゃあ相当うっ屈してるなあ。仕方ない、今度の上陸の時いいところに連れてって発散させるか)と思う。

その二人のやり取りを、機銃座のそばを茶器の入った箱を抱えて通りかかった加東副長が耳に入れた。そっとその身をラッタルの陰に隠して聞いていたが(そうか・・・確かに彼女たちには普段大きな楽しみはないなあ)と思い至った。(戦闘も普段の生活も、彼女たちなしには我々では何もできない。彼女たちがいてこその『武蔵』いや、海軍ではないか。・・・ここはひとつ)と決心すると箱を抱え直して艦長の作業している天幕の下に走っていった。

「艦長、猪田艦長!」

加東副長は箱を置くと艦長のそばに立った。艦長は優しい瞳で「どうしました副長?」といい副長を見つめた。見つめられて少し、面映ゆげな表情になった加東副長であるが、一瞬のためらいのあと意を決して切りだした。

「今度のお茶会、兵たちにも広く催したらいかがでしょうか」

副長の思いがけない申し出に、猪田艦長は小首をかしげて「どういうことかな?」と尋ねた。そこで副長は先ほど耳にはさんだ兵たちの言葉を伝えた。そして「艦内の調和を取るためにも、今回の茶会、どうか兵たちにも」と申し添えた。副長は(駄目かもしれない。でも彼女たちの思いは伝えたい)と必死な瞳で艦長を見つめた。

艦長は、両手を後ろにやって副長の前を二、三歩歩いた後おもむろに副長に向き直った。副長は少し緊張の表情を見せて艦長に向く。と、次の瞬間艦長の顔がほころび、

「いいことを言ってくれたね。確かにそうだ、こんないいことを我々だけでしかも、甲板上でこれ見よがしにしては兵員のやっかみを買うし士気にもかかわろう。よし、加東さん。総員に茶会への参加を認めよう。そうだ・・・『大和』の梨賀さんに『大和』の乗組員とこちら、相互訪問も可としたらどうだろうと尋ねてはもらえないかね。『矢矧』ももちろんのことだ」

といい、副長の肩を優しくたたいた。加東副長の顔がはればれとした色を帯びそして「わかりました、ありがとうございます!」というと『大和』への連絡の為に走り出していた。

 

その嬉しい知らせを伝え聞いた『武蔵』の乗組員――特に下士官やその下の兵たち――の喜びは大きなものがあった。「うちの艦長は、えらい。兵の気持ちを分かって下さる」と絶賛する。一人が「なんでも加東副長が進言して下さったそうだ。艦長もえらいが副長の進言なしにはなかったことだよ」と言って皆は感動、「これから副長のことを<パッキン加東>なんて言えないね、口が腐るわ」といい一同うなずく。

『大和』でもその知らせを受け取り梨賀艦長は「ではこちらでも茶会をしよう。責任者として石多主計長を残そう。・・・石多主計長と福島大尉を呼んでくれないか」と野村副長に命じた。

すぐに主計長と福島大尉は艦長を訪ね、明日に迫った「お茶会」の準備に追われることになった。

『大和』の皆は「お茶会だと!ええねえ、ほいでもうちは茶道の心得がないけえ心配じゃわ」とうれしさと困惑がないまぜになっている。しかし「作法は問題としない。しかし常識的にふるまいかつ楽しく、艦内総員の調和に励むべし」という副長からの達しがあってほっとする皆であった。

梨賀艦長は「そうだ、『矢矧』の乗組員たちも茶会に出たいんじゃないかな。古村に言って『矢矧』の乗組員は『大和』で引き受けようじゃないか」と思いたちこれを副長が『矢矧』に報告、古村司令や原艦長も喜んで乗組員に伝達、乗員は「やった、『大和』に乗れるよ」とこれも大喜び。

 

さて。

ハッシー・デ・ラ・マツコとトメキチは茶会の前日から『武蔵』に飛んで行った。ナナは喜んで二人を迎え三人は狂喜して『武蔵』甲板上を走り回る。それを見ていた『武蔵』の兵嬢が

「あれはいったい何?ナナのほかにもう一匹犬がいてしかもあのへんな鳥!どこから来たのかねえ」

と首をかしげ、それが耳に入ったマツコはその兵のそばにつかつかと寄っていって「アンタ何も知らないのねえ。変な鳥、じゃないわよあたしはハッシー・デ・ラ・マツコ。これはトメキチ。海軍でも有名なのよ、知っときなさい?」と説教した。その大きなくちばしをガタガタさせて何やら言っているマツコにその兵隊嬢は大喜びで「みてみて!この鳥面白いよ」と叫んでマツコ達は大勢の『武蔵』乗組員に取り囲まれる羽目に。

ワイワイと皆楽しげな様子に、最終的な確認に出て来た猪田艦長は眼を細める。

「若い人はいいね、何事にも溌剌としている」

そう言って、工作科が運んできた畳を「おお、私も手伝おう」と天幕の下に敷き詰める艦長である。

敷き詰められた畳の真ん中ほどに烹炊所から借りて来た窯を据えそこで湯を沸かすことになる。そのわきに、烹炊所員が茶器を並べ始める。抹茶と菓子もちょうど入港中の『間宮』から買うことができ、冷蔵庫に保管される。

マツコがさっそく嗅ぎつけ主計科嬢のあとをついて「ねえ、それなーに?頂戴よ、一つでいいから」とその服をくちばしで引っ張る。主計嬢は笑いながら

「ダメだよ、これは明日の大事なもの。明日になったらやるからそれまで待ってなさい」

と言って冷蔵庫に入ってゆく。それを見送ったマツコは「明日ね、絶対よアンタ!」と叫んで羽をばたつかせた。そして甲板に戻ったマツコはトメキチとナナに

「明日おいしいものがもらえるようよ。おとなしくしてたらの話だけどね。あんたたちうるさくしたら逆に煮えたぎたった釜で茹で殺されるわよ」

といいトメキチとナナを軽い恐怖に陥れる。二匹の犬たちは「わかったわよ、マツコサン。おとなしくしてるから」と言って主砲塔の陰に座りこむ。

 

その晩、『大和』防空指揮所で夜間当直の見張兵曹と石川水兵長は小声で私語を交わす。しかし目はしっかり双眼鏡の接眼部に押しつけて。

「なあ石川水兵長。明日お茶会だ言うの聞いたかね」

「はい、聞きました。最初うちは茶道の心得ないけえ困ったなあと思うとりましたが、お作法は構わん言うんでちいとほっとしました」

「ほうじゃね、うちも茶道いうんはよう知らんけえ。ほいでも常識的にかつ楽しゅう過ごしたらええ言うから気が楽じゃわ」

といい合う。石川水兵長が「そういえば、ハシビロとトメキチの姿が見えませんが」というと見張兵曹は

「『武蔵』に行ったんじゃないかねえ?向こうにはナナがおるけえね」

と言ってちょっと『武蔵』の方に双眼鏡を向ける。その前甲板に白く天幕が見え、今の時間も何人かが忙しく働くのが見える。そして双眼鏡からちょと目を離して我が『大和』の前甲板を見ればここにも天幕が張られ主計科員が忙しく立ち働いている。

「楽しみじゃねえ」

二人は同時にそういうと思わず声を立てて笑った。そこに麻生分隊士と松岡分隊長が入ってきて、

「おお。二人とも熱くなってますねえ。さあ明日はお茶会です。わたしもお茶をたくさん飲んで熱くなりますから皆さんも熱くなって下さいよ、そしてしっかり尻の穴を締めろ!明日はみんな富士山だ」

と叫び、麻生分隊士は

「熱くなるんはわかりましたが分隊長、あまりみっともないことをせんでつかあさい。明日は『矢矧』の乗員も来るんですけえね」

とくぎを刺した。分隊長はラケットをブン、と振ると

「麻生さーん、あなた本当に心配症ですねえ。わたしがそんな、『矢矧』の皆さんの前で恥ずかしい行いをすると思ってんのか!?――そーんなわけないよねえ、麻生さん。てわけで心配ご無用です。それよりあなたはご自分の心配をなさい。『矢矧』の皆さんに笑われないようにね」

といい分隊士は真っ赤になって「一体どうしてうちが『矢矧』の皆に笑われんといけんのですか!」と怒りだしたが分隊長は笑って

「じゃあまたあとでね、麻生さんそんなに怒ったら美人が台無しだよ~、バンブー!」

というと走り去ってしまった。ぽかんとした表情の見張兵曹と石川水兵長に麻生分隊士は「ああいうお人じゃけ、うちは気が抜けんよ」と言って笑った。

 

『武蔵』主催の大茶会、いよいよ明日に――!

   (次回に続きます)

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いよいよお茶会の日が明日に!

どんなお茶会になることでしょう。そしてマツコ・トメキチ・ナナはおとなしく出来るのでしょうか。ご期待下さい。

 

今日は台風18号で各地に大変な被害が出ました。心よりお見舞い申し上げます。

写真は台風が大方過ぎ去った午後二時過ぎのもの。面白い形の雲が連なっていましたので思わず一枚。北の方角です。
DSCN1064.jpg

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コメント

オスカーさんこんばんは!
まさに日本晴れでしたね。雲ひとつない青空って気分最高ですね^^。

お茶会。
どんなことになりますか・・・あの連中のことですから一筋縄ではいかないお茶会になるかもしれません^^。

朝早くに洗濯物を干しに出ると寒い!と思うようになりましたね。季節はしっかり移ろっています・・
オスカーさんも御身大切になさってくださいね~♪
2013-09-18 Wed 23:03 | URL | 見張り員 [ 編集 ]
まろゆーろさんこんばんは!
いかにして部下たちの心をつかむか・・・その一つがこれなのです!
自分ばっかり楽しんでいては下の人間は付いてきてなんかくれませんよね・・・トメキチもマツコも喜んでいて何やら楽しげな・・そして大茶会、どういう展開になりますか!
ご期待ください!

変な雲でしょう。
ほとんど雨がやんだ後、見えたんですが気味のよくない雲でした。
多分・・・台風のお尻のあたりの渦巻きだったのでしょう。

今年はいったいあといくつこんなものがくるのでしょうね(-_-;)
大ごとはもういやですね。
2013-09-18 Wed 23:00 | URL | 見張り員 [ 編集 ]
Re:
こんばんは。オタ息子が日本晴れだ~と喜んでおりました。やはり天気が良いのはうれしいですね。
大人数のお茶会も楽しみです。巨大茶碗で回し飲みとかあるのかなぁ(笑)
朝晩はヒンヤリですね。お身体に気をつけて下さいませ。
2013-09-18 Wed 20:23 | URL | オスカー [ 編集 ]
粋な計らいですね。やっぱり上に立つ人はこうでなければ。
こうやって結束が高まり絆も強くなっていくということでしょうか。
マツコもトメキチモも浮足立ってて可愛いですね。
海がひとつになって仲間が寄っている感じがほのぼのしくて嬉しくなりました。
さて明日の大茶会、どうなりますことやら。
見張り員さんのこと。何かサプライズを秘めていたりして。

こんな雲、見たことないです。禍々しいというか不気味でしたね。
台風の渦巻き雲でしょうか。
2013-09-18 Wed 09:14 | URL | まろゆーろ [ 編集 ]
れい姉さんこんばんは!
ご訪問感謝いたします~~♡

そうなんです・・・『大和』『武蔵』だけでなく日本海軍艦艇、潜水艦から陸戦隊に至るまで女だらけです^^。
男性の軍人は現役ではいないことになっています^^。妙な世界です・・・(-_-;)
2013-09-17 Tue 20:16 | URL | 見張り員 [ 編集 ]
今回も、更新おつかれさまですw。
武蔵も女だらけw。
まだ過去の分も全て読めてないのですが、もしや、日本海軍全て女性でしょうかw。

2013-09-17 Tue 10:04 | URL | れい姉 [ 編集 ]

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