2017-09

女だらけの戦艦大和・がっぺムカつく大海戦1 - 2013.04.11 Thu

敵国アメリカは、中部太平洋を西進しそしていずれは北上し日本の領土、そして日本本土へ進攻しようと模索していた――

 

トレーラー環礁より五百キロほど東にある島。そこが今回戦場になろうとしていた。

在トレーラー艦隊司令部は、その島の周辺で敵潜水艦の動きが激しくなっているのを察知していた。そうした敵潜は、帝国海軍の開発した磁性塗料(敵の電探などにかからない塗料。隠密行動に大変優位に働き、艦体に塗装すれば特に夜間など無敵)を塗った魚雷で撃沈されていた。が、艦隊司令の花園中将は敵の大規模襲来を予想しその島周辺を防衛する構想を立て始める。

 

その翌日になってトレーラー艦隊司令部の通信室は敵の無電を傍受した、それによると戦艦二隻に空母四隻の敵艦隊が接近中であるという。しかもあの(・・)()を目指していると・・・。敵はあの(・・)()を足掛かりにして、トレーラーを攻撃しそれから日本の占領地を次々に取ってゆく作戦らしい。

トレーラー在泊の艦艇は色めきたった。トレーラに在泊の戦艦は『大和』『武蔵』「金剛」「霧島」「青島」。空母は「瑞鶴」「翔鶴」「隼鷹」「凡鷹」「鶴光」「鶴瓶」、そして巡洋艦、駆逐艦多数に潜水艦隊多数。

艦隊司令は各艦艇の艦長を集め、

「敵にあの島を渡してはならない、あの島を守ることはトレーラーを、ひいては本土を守ることだ」

といい、『大和』『武蔵』『金剛』そして「瑞鶴」「翔鶴」「隼鷹」「凡鷹」と巡洋艦四隻、駆逐艦八隻と伊号八〇〇潜水艦三隻に翌朝の出撃を命じたのだった。

各艦長は急ぎ艦に戻ってまずは副長、各参謀そして各科長に命令事項を伝達した。

梨賀艦長は『大和』の一室に副長以下を集め、

「敵がいよいよあの島を狙ってきている。何があろうと敵にあの島を渡すわけにはいかない。敵も死ぬ気で来るだろうから我々もそれ以上の気持ちでかかろう。出撃は明日〇四〇〇(午前四時)」

と命令を下した。副長以下は頬を紅潮させ、緊張の面持ちで「はい!」と返事をするとそれぞれの部署に散ってゆく。各科長は、各科分隊長・分隊士を集め艦長からの命令や伝達事項を伝え、分隊長は分隊士を伴って各分隊員を集めた。

各乗組員はもう前からあの島周辺がざわついている話を聞いていたしそのための訓練も重ねているので落ち着いた表情で分隊長の話を聞いた。機銃分隊の長妻兵曹はちょっと首をひねって、

「分隊長、ほいでもあの島は日本もアメちゃんも海図から抹消した言うて聞いとりますが・・どういうことです?」

と尋ねた。機銃の分隊長の平沼中尉はうんとうなずいてから

「そう聞いてはいたんだが我が海軍がよく研究したところあの島は地理的に大変重要だということが分かって海図に復活させていたんだよ。防諜の意味もあっておおぴらにはなってなかったがね。そして敵さんもあの島の重要性に気が付いてきたっていうわけらしい。それほど大きな島ではないがあれを取られて補給基地にでもされたら帝国の危機だからね。・・・皆明日はしまって行こうぜ!」

といい、長妻兵曹ほかはさっと緊張の色を顔に表して「はいっ!」と大きな声で応えたのだった。そして皆それぞれの受け持ちの機銃座に走ってゆく。

通信室では山口通信長のもと、敵信傍受班の岡沢中尉・中矢少尉・三山兵曹長がレシーバーに神経を集中している。他の通信員たちもそれぞれ無線や無電が入電するなか忙しく動き回る。

運用科も、機関科も、主計科も・・・艦内のいずれの配置も明日からの戦いに備えて最終確認に向かっている。

航海科も操舵員から見張り、艦長伝令まで緊張の面持ちでそれぞれの準備に余念がない。麻生分隊士は防空指揮所で各見張り員や伝令員に細かい伝達事項を伝えた。

「今回敵は潜水艦を数隻擁してきているとみられる。そして空母も四隻というから対潜・対空見張りを厳にせよ。こちらは磁性塗料を艦体に施してあるとはいえ、油断はするな。油断が身を滅ぼす。いいか決して何があってもあわてず的確に報告せよ。以上」

見張兵曹も小泉兵曹も・・・皆「はいっ!」と大声で返事をし、分隊士に敬礼。分隊士は一人一人の顔を見て敬礼し、やがてその手を下した。皆の手が降りある者は自分の受け持ちの双眼鏡につき、ある者は艦橋へと降りてゆく。分隊士は、見張兵曹を見返った。すると兵曹も分隊士を見返り、二人の視線が絡み合った。

(大丈夫、この戦いも勝って見せます)

(頑張ろうな)

無言のうちにお互いの思いは通じている。そして二人はふっと微笑むと視線を絶ってそれぞれの仕事にかかった。

そこに松岡分隊長がやってきて、「皆、作戦の要旨は分隊士から聞いたことと思う。どうか熱くなってあの島を守ろうではないか!いいかみんな、あきらめんなよ!尻の穴を締めてかかれ!今日から君たちは富士山だ!」とラケットを振り上げて叫び最後に「バンブー!」と怒鳴る。

それに指揮所の皆が「バンブー!」と片手をあげて唱和し、松岡分隊長は満足げな顔で指揮所の中を歩きだす。そこにトメキチとマツコがやってきて松岡分隊長の後を着き歩く。ふと後ろを振り向いた分隊長は「そうだ、作戦行動中は君たちをここに置くわけにはいかないね。今度の戦いはとても熱い戦いだからねえ・・・君たちは何処にいたらいいか」

と腕を組んで考え込んだ。そこに森上参謀長が上がってきて、

「おーい、トメキチにハシビロ。いるかね?」

と声をかけた。それに「ここに居ります!」と分隊長が答え、参謀長はおお、そこにいたかといいながら三人のもとへ来た。そして、

「ハシビロもトメキチもただ今から作戦行動中は艦長室にいること。戦闘終了まで外に出てはいけないよ。さあ一緒に艦長室に行こう」

と厳しい顔で言った。普段はあまりそんな顔を見せたことがない森上参謀長の表情にマツコもトメキチも何が違うものを感じ取り、殊勝に「ハイ、ワカリマシタ」と言って参謀長の後について歩きだす。途中、見張兵曹の後ろを通った時「トメキチ、いい子でおってね」と兵曹に抱きしめられたトメキチは思い切り、一度だけではあったが兵曹のほほをなめた。

「うん、僕いい子でいるよ。トメさんも頑張って、ケガしないように」

との思いを込めて。

そして参謀長とトメキチ、マツコの姿はその場から去っていき小泉兵曹が「いよいよじゃな・・・今夜は寝られんで」とつぶやくのが聞こえた。明日からはどんな戦いが待っているのだろうか、どんな戦いであろうと絶対あの島は守って見せる。皆の気合いが全艦に広がっている。

 

空母「瑞鶴」ほかでも搭乗員たちが各隊での打ち合わせをしている。整備兵たちは零戦や艦爆、艦攻の整備に余念がない。ねじひとつ緩めやしない、ボルトやナットの緩みさえ見逃さない。エンジンの回転の調子も良い、最高だ。機銃弾や爆弾の装填もよし!

瑞鶴飛行隊の歴戦の勇者、水谷豊子少佐は整備兵に寄っていき、

「ありがとう、あなたたちのおかげで明日は思い切り戦えますよ」

と言ってその労をねぎらった。整備兵はハッと敬礼して「ご武運をお祈りしております、整備はしっかりしております。心おきなく戦ってください」と言った。水谷少佐はその兵の肩をそっと叩いて、愛機の零戦・二一型を見上げた。

(あなたとは真珠湾から一緒でしたね。生きるも死ぬも一緒、まるで恋人みたいですねえ)

水谷少佐は愛機の翼をそっと撫でると居住区へ歩きだした。その背中に大いなる決意がみなぎっているのを、整備兵たちも感じ取ってその背中へ向けて力いっぱい敬礼をしたのだった。

 

巡洋艦・駆逐艦でも同様。皆「明日はアメちゃん蹴散らすぜ!」と息まき、腕を突き上げる。艦長の号令とともにそれぞれが配置につき、明日早朝の出撃に備える。

潜水艦部隊では一足先に戦闘海域となる場所へ向けて出撃して行った。完全なる隠密行動で、仲間内でさえその出撃を知らないものもある。伊号八〇〇潜水艦三隻はひそかに海中深く潜行して行った。

 

その日が暮れる頃、指揮所では見張兵曹が伝令の石場兵曹と一緒にいて、

「そういえば・・・あの島、言うてどこのことじゃろうねえ?」

と考え込んでいる。石場兵曹は「うん、うちにもようわからんわ。そげえに重要な島があったかいね?この周辺だと・・・」と言ってしばし考え込む。

そして突然、顔をあげて見張兵曹の両肩をひっつかむと言った。

「ラシガエ島じゃ!!それしか考えられんで」

 

ラシガエ島。

ここには『大和』『武蔵』などトレーラー在泊艦艇をさんざ騒がせたあの男、自称・エガチャンが住んでいる。ここは彼の持ち物らしい・・・が、今回は帝国の存亡にかかわること、水上部隊の進撃に先立つこと一週間前に『海軍陸戦隊トレーラー分遣隊』と陸軍のトレーラー方面派遣軍がひそかに夜陰に乗じて島に上陸し、ユンボやブルドーザ、ダンプなどを大型輸送船で運び、敵との戦いに備え急ピッチで指揮所やトーチカ、塹壕などを構築している。そのあとから別の輸送船に乗ったクロスレイや中戦車が続々と運び込まれ、いやがおうにも緊張感がみなぎる。

海軍陣地構築作業班の陸戦隊嬢の一人が「ここには誰だかが住んでるって聞きましたが、何処にいるんですかねえ」とあたりを見回しながら言った。話しかけられた陸戦隊の兵曹はダンプカーに乗り込みながら「ああ、そういやあ見かけんね。でもこの島はきっと絶対必ず戦場になるよ。民間人はいない方がいいよ、犠牲を出したくないからね」と言ってエンジンをかけた。

すると、見張所の兵曹が

「右四〇度方向、不審船向かってくる!!」

と叫び、陸戦隊嬢たちはほぼ出来上がったトーチカや自然壕のようなところに開けた銃眼から機銃をを構える。早くも敵の触接か!?

海軍嬢たちの間に緊張が走った――

          ・・・・・・・・・・・・・

久しぶりの海戦が始まりそうです・・・敵はけっこうな兵力で来ています。まあもちろん我が「女だらけの海軍」は負けたりはしない!と思うのですが。

そしてラシガエ島のあの住人はどうなってしまうのでしょうか??ご期待下さい。

戦車の残骸と、トーチカのある動画を見つけました。これはサイパンだそうですが、この戦車に乗っていた兵隊さんも散華されたのでしょうね・・・合掌。



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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
また出ました・・あの人の出現この先どうなるのかならないのか・・・!


おかげさまで体調も少しづつ落ち着いています。もう完全に私の中では見限っていますので相手にしません。私は私の道を行きます。
少しずつ今まで以上に元気になれたらと思います。そのためにも時折休養しながら頑張って生きますね。先は長い…ホントですよね^^。

暖かきお言葉をありがとうございます!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
こんな真面目な物語の中にあの人が出てきていいのか!?という感じですがいいんです・・・w。

「人はなぜ書くのか」、そう理屈じゃないですよね。書きたいから書くだけです。というわけでこれからも泣き続けてゆきます私。

この物語を書くようになってからものの見方というか・・・視点が変わってきたような気がしています。つまり、あれこれどうしたら「ネタ」になるかと・・・。

いろいろご心配をありがとうございます、お互い気温の変化には注意いたしましょうね!

No title

何だか俄かに慌ただしくなりましたね。
それもピントが外れなきゃいいのですが。

体調は如何ですか。気持ちは落ち着きましたか。
せめてヤマトに没入して、そして健全な見張り員さんに蘇って下さいね。
文体がちょっと元気になったようで安心しました。ボチボチで良いですからね。無理は禁物!! まだまだ先は長い……、そう覚悟して下さいね(笑)

おはようございます。緊張感溢れる中にもエガちゃんが…と思うと違う種類の緊張感からか笑いが出てしまいます!!
子どもが昔使っていた教科書に「人はなぜ書くのか」みたいな話がありましたが、イヤイヤ理屈じゃないのよ、書きたいのよ、書かずにはいられなのよ~!!と思う私でした。
たくさん悩んでたくさん書いてたくさん感想をいただいて…見張り員さまの人生が毎日豊かに熟成されていきますように!!
お身体には本当に気をつけて下さいね。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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