2017-09

日々雑感・坊ノ岬沖海戦六十八周年に寄せて - 2013.04.07 Sun

――上空を覆う敵の艦載機。

激しい機銃掃射と爆弾投下、至近弾のあげる大きな水しぶき。機銃弾にうちぬかれその場に倒れ動かない将兵、それを助けたくても出来ずただ大きな声で励ますだけの戦友。機銃弾を糾弾するため走り回る兵、指揮棒を振りまわして「撃て、撃て!」と絶叫する指揮官。傷ついた兵の流す血が、床に数センチもたまり滑る中懸命に手当てを施す軍医と看護兵。手当てむなしく息を引き取る兵士。

応戦する高角砲、打ち上げる高射砲弾も艦の転舵によって大きく外れてしまう。

やがて一艦また一艦と駆逐艦が傷つき、巡洋艦も沈む。わが大和はその身の傾斜を徐々に大きくしてゆく。艦の傾斜を復原するための注水ももう、間に合わない・・・

 

昭和二十年四月七日。一四時二三分、帝国海軍がほこった超弩級艦『大和』は駆逐艦雪風や涼月、冬月、初霜などに見守られてその身を海底に沈めた。大和の沈んだ海底にはすでに矢矧、浜風などがその身を沈め、遠く鹿児島に近い海底には機関故障で隊列から早々に落伍した朝霜がとともに全乗員とともにその身を沈めていた。朝霜は、この作戦より前に台湾で爆撃を受けてから機関の調子が悪くしかも、それを修理する間もなくの出撃であった。

参加艦艇、実に十隻。参加兵力四千三百二十九名。平均年齢二十七歳。

妻も子もある兵士もいれば、まだ十代の年若い兵もいた。艦の沈没から浮き上がり、海面を漂流する日本の兵に上空からたたきこまれる、アメリカの艦載機からたたきこまれる無情の機銃弾。海面を血に染めて無念のうちに沈んでゆく兵士。

辛くも生き残った兵士も長時間の漂流で体力が奪われる。救助の駆逐艦が来てもそのロープをつかんでいられず落ちてゆく兵士。けがをしてやっと、駆逐艦で手当てを受けることのできた兵士。どれをとっても地獄絵図でしかない。

 

彼らは、日本を、家族を守るため全てをなげうって生還を期し難い作戦に粛々と出て行きそして、散華した。無謀な、勝算の全くない作戦ではあったが彼らは決然として出撃して行ったそれは大事なものへの愛着とそれを未来につなげたいという思いからだろう。

ここに自分中心の考えなどなかった。きっと皆心の中では泣きたい思いもあったかもしれないがそれを押し殺して行った。その崇高な精神に私はうたれる。

出撃前夜の無礼講も乱れることなく行われ、午後九時副長の「今日は皆愉快にやって大いによろし。これでやめよ」の言葉ですっかり止み、それぞれ眠りにつくもの配置につくもの。

この潔さ、整然たるこの行いこそ我々今の時代に生きるものが手本にすべき行為である。どれほど未練があっても号令かかかればすぐにやめる、次にすべきことに取りかかるという、当り前ではあるが実は難しいこと。

それがまして死に就く直前の夜だとしたら・・・

彼らをそうしつけたのはなんだったのだろう。教育だろうか、家庭のしつけだろうか。理由はあれこれあるだろうがそれにしてもこの潔さ、死にゆく前の人の行為とは到底思えないのである。

そんな彼らは今、東シナ海の海底深くに永遠の眠りを紡いでいる。多くの日本人にはとうに忘れ去られた彼らの御霊は、今の日本をどう見ているのだろうか。自分たちがその命をかけて守ろうとした日本、しかし日本は彼らを一顧だにしない。彼らの心のよりどころであった靖国神社は心ない人からは白眼視されている。

その上彼ら日本軍将兵は「性犯罪者」の汚名まで着せられているという情けない事実。彼ら英霊のすすり泣きは、やがて大きな厄災となって我々に降ってはこないか。彼らを「怨霊」にしてはいけない。彼ら戦没将兵を国家が、国民が等しく慰霊顕彰出来る日が来て初めて、彼ら英霊は安堵して休めるのではないか・・・そう思う昨今である。

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・

 

私の勝手な思いを書きました。

今日は菊水特攻隊のお命日ですので・・・呉の地酒「千福」をお供えしました。茶碗は靖国神社で買った桜の湯呑を使用しました。そして私もちょっとお相伴しました。あの日亡くなった将兵の皆さんの冥福を祈りつつ・・・。
DSCN0798.jpg


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● COMMENT ●

すっとこさんへ

すっとこさんこんばんは!
このお酒は『大和ミュージアム』で販売中のお酒です、呉の銘酒「千福」です。呉に籍を置く艦はこれと賀茂鶴を積んでいたと聞いております!

海面を漂流する日本兵に対する機銃掃射、いくら戦争中でもこれって国際法違反だと思いますね。白人社会はこうしたあからさまな有色人種への攻撃、差別を平気でするところがいまだにあってそれが本当に嫌だと思っています。すっとこさんのように実際に白人社会で暮らしていらっしゃるとそれは肌身で感じられることだと思います。

アメリカ兵の、日本兵へのひどい仕打ちを読んだことがありますがそれはほかの機会に・・・。
NYからの祈り、必ずや東シナ海に眠る御霊に届いていることでしょう。

大和

“大和”というなのお酒があるのですか。
桜のぐい呑みのあまりに似合い過ぎること・・・。
感慨深いものがあります。

私は現在NYというアメリカ合衆国に
住んでいるわけですが 時に感じる
白人のアジア人、(に限らず)外国人へ
向けるどうしようもない驕り。

その驕りが海上へ浮き上った日本兵への
機銃弾だったのでしょう。戦争の礼儀も何も
あったものではない卑劣な行為ですね。

悲しい過去ですが今は静かに合掌を。

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!

手記を読むということでしか知り得ない『大和』他の沈没までの話、艦上の戦闘だけでも嫌になるような光景なのにやっと海上に浮き上がった兵士めがけて撃ち込まれるアメリカ艦載機の機銃弾。
あれがなければもっと生還者が多かったのではないかとも思うのです。まるで狩りでもするような感覚だったのでは・・・アメリカ機は本土の空襲でも同じようなことしてるらしいですからね。
自分の身に置き換えると本当に戦慄します。
私は『大和』他の艦隊の遺族とか関係者ではないですがもう何年、いや何十年も『大和』とお付き合いしてきたので自分のことのようにさえ感じるときがあります。
辛いと思う時があります。

その東シナ海を蹂躙しようとする中国にはもう本当に怒り心頭です。あの連中が安らかな眠りについている特攻艦隊の頭を踏みつけてゆくような気がして腹が立ちます。
きっとそのうち大きな罰が下ると思いますよ、それにあのどうしようもない北の若造も。

そして一番大事なのはまろにいさまおっしゃる通り日本人が彼ら戦没者の御霊に感謝をし、折に触れて思いを寄せることですね。忘れないことが何より大事ですね^^!

酔漢さんへ

酔漢さんこんばんは!

酔漢さんはご遺族ですから私みたいな興味だけのものとはやはりそこで一線を画すのだと思います。
でもこの話を後の世に伝えないといけないという思いは一緒だと思っています。
ともすれば「坊ノ岬沖海戦」は『大和』が単独で行ったように思われる向きもありますが『大和』とともに出撃しそして人知れず沈んでいった艦もあることは伝えるべきだと痛感します。
小滝司令のご遺族はじめ「朝霜」乗組員ご遺族のご無念はいかばかりかと思います、生還者の全くない慰霊祭。

古村さんや原さんたちが流された涙を実際にご覧になった酔漢さんはそこで「語り継ぐ」ことを決意なさったのですね。
私はこんな変な話でしか『大和』やそのほかの海軍艦艇等の存在を伝えるしかありませんがそれでもなんとか…と思っています。
細く長く、続けてゆきます。
ありがとうございます。

kazu さんへ

kazu さんこんばんは!

そうですね、どうにかしてこうした事実があったことを正確に知ってほしいです。
大事なことですものね!!

No title

私たちの知らない大和の最期。
そして命からがらを尚も容赦なくアメリカ機が。
そんなことまであったのかと今日は改めて体じゅうに戦慄が走っています。
つらい思いで見張り員さんは4月7日を書かれたことと思います。ありがとうございました。

東シナ海は日本を護ってくれたあまたの艦の墓場なのですね。あだや疎かには出来ない聖地のはず。そこをあの中国が大手を振って進むなんて……。いつかきっと御霊たちの思いがあの中国に痛い思いさせてくれることでしょう。
しかしその前に日本人がその犠牲になった貴い命に対して思いを寄せること、感謝することをもう一度心によみがえらせないと深い眠りにいる御霊たちには届かないかもしれませんね。

御礼

あの海戦を語り継ぐことは、自身のライフワーク。
祖父家族があって今の自分が存在する事実を、重く受け止めております。
大和そして第二水雷戦隊の駆逐艦。
一艦一艦、それぞれにドラマがあってその一つ一つを紐解いていく。この簡単そうでそうではない作業を続けていく。
見張り員さんの視点と私の視点は違うけれど、後世に伝えていくという意味では同じだと思っております。
朝霜のお話しは特に。
小滝国男さんとお話ししたとき、「遺族しかおらないのだから」と、その最後のお言葉の重さを感じました。
慰霊祭では、原さんも古村さんも、山名さんも・・・皆泣いておりました。その涙をみた自分として、やはり何かをしなくてはならない。40年近い歳月の中で常に自分の中にあるものなのでした。
見張り員さん。大いに「大和」を語って下さい。
乗員が全員女性でも構いません。
また、新たな展開を期待いたしております。
御健筆を切にお祈りいたしております。

No title

おはようございます!
見張り員さんの想い
今の日本の人々に伝わると
良いですね。


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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