2017-10

「女だらけの戦艦大和」・お待ちかね、「海きゃん」!1 - 2013.03.26 Tue

みなさんは覚えておいでだろうか、『海軍きゃんきゃん』を――

 

以前大宮島(グアム)や、トレーラーに来て取材をしていった『海軍きゃんきゃん』取材班は今、内地の『海軍広報部』にあって『海きゃん』の編集に大わらわである。記事を原稿用紙に起こしてそれをゲラ刷りに、それを校正し・・・それを何度か繰り返す。そのほかにも写真の現像、紙面への割り付けやなんやかんやで徹夜の日々が続いている。

編集長は岩部二等兵曹であるが彼女は並々ならぬ才能とバイタリティーの持ち主で、部下の兵・下士官・士官を指示してゆく。その優れた采配に影の編集長の山本いそ聯合艦隊司令長官も満足げである。

今日も『海軍広報部』内には、「おーい、坂田<校正>兵曹を呼んでくれー。ここ何度もまちがっとる。チャンと言ってくれよな?」とか、「松田<製本>少尉、これはこんなでいいのか?」とか「本山<営業>中尉、印刷所へ行ってくれ~」などという声が満ち満ちている。

そんな中、筑紫少尉は『大和』の麻生少尉との約束をこっそり果たすため内地へ帰ってからこちら、深夜まで一人で作業して、やっと製本までこぎつけた。本来の『海きゃん』の編集作業と合わせてであるからもうへとへとであった。麻生少尉からは、

「オトメチャンの一番ええ写真ばかりを集めたものを写真集にしてほしいんじゃ。それからうちとの絡みの写真も。樽との絡みも・・・ちいとばかり癪じゃが入れといてほしいのう」

等々注文つけられていてそれを満足させるために筑紫少尉は神経すり減らして作業に従事した。内緒の作業ゆえレイアウトも何もかも自分でしなければならず時にもう

「ああ~~~もういやだあ、なんでこんなこと引き受けたんだか!!」

と、深夜一人の部屋で頭をかきむしって叫んだこともあった。が、その苦労も今日報われる。すっかり出来上がってきた写真集をそっと開くと、素晴らしい出来栄えの内容に心が躍った。そして、

(これなら麻生少尉も満足されることだろう)

とホッとした。が、まだ肝心の『海きゃん』本誌が出来ていないので心からほっとは出来ない筑紫少尉であった。ともあれ、(この写真集だけでも先に麻生少尉に送らないと)と思いこれもこっそり荷造りしてトレーラー碇泊中の『大和』航海科・麻生少尉あてに写真集を送った。

 

さて本来の『海きやん』は見本刷りが上がってきて、編集部の面々はそれを点検。

写野<撮影>兵曹は「ほう、いい色に出ましたね。あの海の色がちゃんと出るかどうかとても心配だったんですがよかったよかった!」とうれしげである。武田<割り付け>水兵長も、

「ああ、きちんと指定通りに出来てきましたね。この辺のトリミングが心配だったんですがきれいに出来てますし人物の切り抜きもいい感じです。それから文章もOK、言うことなしですね」

と満足感を現した。殘間<庶務>中尉が覗き込んで、

「思い出すねえ、大宮島の陸戦訓練!厳しかったねえ、えらい目に遭ったがまあいい思い出。それからトレーラーはきれいだったし変な人もいっぱいいたねえ。あの美しさがこれだけ出ればほんと、言うことなしだね」

とうなずいた。袴田<文章>兵曹も

「その上に持ってきて素晴らしい記事があるんだからあの時の様子は手に取るように分かるはずだよ?なんてったってこういう本の類は文章で持つんだからね」

と少しばかり威張った感じで胸を張る。三谷<営業>兵曹、小林<営業>兵曹は

「全部で一千部は作りますが、今回はとりあえず各艦の酒保に三百部ずつ配本します。そのあと注文という形で兵員からの希望冊数をまとめて配本します。さらにそのあとは適宜刷りまして注文に応じるという形で」

という。袴田兵曹が、

「へえ。ずいぶん小出しにするじゃん?

というと三谷兵曹は「当然です。今回のは絶対当たりますからそうそう簡単に手に入らんようにするんですよ。これこそ戦術、戦略の類ですね。結局出版も戦争と同じような頭の使い方をしないとね」と笑った。

殘間中尉がそれを聞いて

「ふーん、戦争って大変なんだねえ」

と間の抜けた感想を漏らし皆一斉に失笑。

 

さて。

先に筑紫少尉が送った「オトメチャン写真集」であるがこれが輸送船に揺られて約十日ほどでトレーラーの麻生少尉のもとに届いた。例によってたくさんの内地からの手紙や慰問品に混ざって。

その日の昼下がり、二次士官室にいた麻生少尉はに自室の従兵から「麻生少尉への郵便物であります」とその大きな包みを渡された。

「おう、ありがとう。・・・っていったい何だこりゃ」

と言った少尉の声が急に止まり、あたりをさっと見回すと他の少尉や中尉達に感づかれないようにそっとその包みを胸に抱えると二次室を出た。さりげなくしかし、あわてて自室に走りドアを編めて身を入れるとドアをばたんと閉めた。

包みの裏には「海軍広報部 筑紫哲子」と少尉の名前が書かれていて麻生少尉は(やった、約束の写真集じゃ!オトメチャンの・・・グフフ!)とうれしくてたまらなくなり、中身の本を傷つけないよう包み紙をそっと丁寧に取った。

「おお!これはすごいぞ」

麻生少尉は息を飲んで写真集を眼の前に掲げた。表紙には防暑服姿で可愛く微笑むオトメチャンがいる。(いつの間にこんなええ写真を撮ったんじゃろう)と感心した少尉は早速表紙をめくってページに眼を通す。

と、「おお、なんてすごいんじゃあ」と思わず声が高くなりあわてて口をふさぐ。何気に開いたページにはオトメチャンがトップレスで白い砂浜に寝転んでいる。オトメチャンの太ももに白い砂がついている。その表情はどこか切なげで麻生少尉は思いっきりそそられる。左のページには、オトメチャンが波打ち際にあおむけになってピンクの褌が海水にぬれている。しかもその右の乳首には小さな貝殻が乗っている、反対の乳首はそのままもろ出し。

「ウウウ・・・これはすごいとしか言いようがないで。これは絶対誰にも見せたらん。一生俺のものじゃ」

麻生少尉はうなりながらページを繰ってゆく。遂に、オトメチャンが樽美酒少尉と絡んだ指揮所での写真が出て来た。樽美酒少尉の手が、オトメチャンの胸をつかんでいてオトメチャンの表情は恥らいでいっぱい。(おお、樽のやつ結構本気でやっとらんか?あいつも隅に置けんのう・・・)

樽美酒少尉との絡みの写真を堪能するほど見た後は、自分との絡みの写真。おもに、あの砂浜での写真で麻生少尉がオトメチャンにまたがってその胸をつかんでいたり、オトメチャンの前垂の短いピンクの褌の中――つまりあの部分――に指を入れている場面、オトメチャンの胸を後ろから抱いている麻生少尉、それに砂浜に横たわったオトメチャンの上に重なって口づけをしている麻生少尉・・・

「おおう、ええわあ~」

と麻生少尉は思わずうめいた。あの日のことが鮮明に脳裏に浮かんできた。そしてさらに麻生少尉はページをめくり、自分だけの世界に没頭して行ったのだった・・・。

 

その三日後、内地からの輸送船がトレーラー碇泊の各艦艇と航空基地、陸戦部隊に警備隊のそれぞれの酒保販売分の『海軍きゃんきゃん』最新号を積んでやってきた。それらは各艦艇等に配られる。

『大和』でもさっそく、部数の限られた『海きゃん』の争奪戦が始まり、酒保長は声をからして「まず各分隊に五冊づつじゃ、その上で自分用に欲しい思うものはこの注文用紙に名前と所属分隊を書いて出せ。まとめて注文を出すから安心せえ!」と怒鳴る。するとあっという間に注文用紙が酒保長の目の前から次々と消えて、それから一分もたたないうちに「酒保長、願います!」「願います」・・・と名前と所属分隊の書かれた注文用紙が差し出された。

酒保長は「貴様ら中身も読まんうちから注文せんでもええじゃないか」と言ったが皆は「ええんです!今回の『海きゃん』は特別ですけえ。酒保長、絶対に間違いないよう願いますよ!」と言って酒保長はたじたじとなる場面もあった。

 

航海科でもさっそく小泉兵曹が『海きゃん』特別号を手に入れて指揮所へ持ってきた。その頃にはもうあちこちの配置で『海きゃん』特別号が皆の手によって開かれている。ここにいる皆ももうすでに『海きゃん』特別号の注文用紙を出してきた。

「ほう、今回は表紙からしてええねえ。青い海に艦艇が浮かんで、しかも水着の兵隊が何人かで笑うとる。いかにも南方ふうでええよねえ~」

「表紙もええが問題は中身じゃ。どがいね?」

石場兵曹が小泉兵曹から『海きゃん』を奪ってページを繰る。『海きゃん』取材班の潜水艦初体験の様子から巡洋艦での初船酔い、そして大宮島(グアム)での陸戦隊初体験と初体験のオンパレードである。

「ほうほう、なんじゃと・・・。>我々『海きゃん』取材班は海軍に入って以来初めての航海に出た。初めての潜水艦は不安いっぱいだったが乗組員嬢たちのテキパキとした働き、そして艦長・航海長・砲術長たちの素晴らしい連携に不安も消し飛んだのでありました、か。

ほうほう、>そして小笠原で乗り替えた巡洋艦。初めて乗った大きな艦に『海きゃん』取材班一同は大感激!・・・と思う間もなく取材班のほとんどがありえないくらいの船酔い!しかも取材長のZ中尉(殘間中尉のこと・筆者注)が一番具合が悪くなっちゃったんです、テヘ!・・・じゃと。なんじゃねこれは??」

石場兵曹は声に出して読んで遂に大声で笑い始めた。そして「みてみいこれ!」と言ってページの一部分を指差した。小泉兵曹や石川水兵長、見張兵曹などが覗き込むとそこには船酔いにやられて死んだように伸びている「Z中尉」の写真がある。見張兵曹が、

「これはあの殘間中尉ですのう、こげえに真っ青な顔になって気の毒じゃねえ」

と言ってそれでも笑いが漏れる。石川水兵長は、「海軍に入って初めての艦、いうてあの人たちは本当にそれまで艦に乗ったことがないんですねえ。そがいな人が海軍に居ったなんてうちははあ、信じられん」と言って感心している。

小泉兵曹が「聞いた話じゃけどな」と前置きして

「なんでも大宮島の陸戦隊の人に『お前らくずじゃ』言われたそうじゃ。帝国海軍にくずじゃと言われるようなもんが居ったなんてうちも信じられんよ」

と言って笑う。石場兵曹が「おお、大宮島の陸戦部隊ルポ言う記事もあってじゃ。面白そうじゃけえゆっくり読もうで」と言って皆輪になって『海きゃん』を覗き込む。

 

上でそんなことをしている時、麻生少尉は私室で・・・鼻血を出してベッドに横たわっていた・・・

    (次回に続きます)

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

遂に発刊、『海軍きゃんきゃん』特別号とそして、麻生少尉にだけ特別編集の「オトメチャン写真集」!実際に見てみたいものです、オトメチャンの水着姿や麻生少尉との絡み!

次回、『海きゃん』特別号の中身に迫ります。


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● COMMENT ●

荒野鷹虎さんへ

荒野さんこんばんは!
東京の桜はいよいよ散り始めました・・・さみしい限りですがそちらはこれからということで大変うらやましいです!!
御身大切になさってくださいね、いつもありがとうございます。

見張り員さんへ!!
東北は梅がチラホラ咲いたそうですが、北海道は、未だ、蕾も見られません。やはり5月までは・・汗)
暖たかくなったとは言え未だ、+5度程度ですからねー。室温は27度もありますが・・汗)

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
こういう快楽は本当に素晴らしいものですよね~、特に男性の場合はまさにめくるめく快楽、悶絶の門が開くのでありまするな!!
麻生少尉、生身のオトメチャンがありながら…ですがきっとそれとこれはまた別じゃ、とか言い出すのでしょうw。

さあ、「海キャン」騒動もうちょっと続きます。そのあと・・・!?

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
そうだ、保存用に普段用、そして予備と三冊買わせるべきだった…(^_^;)

私も(エロい本ではないけど)好きなタレントとかの本を2,3冊買っていたこともありましたね~~懐かしい。
あの頃を思い出しつつ、次回へGO!なのだ~~ww。

ふふふ。ひとりで楽しむなんて言いようのない快楽。独り占めの快楽。めくるめく悶絶でありますね。
麻生さん、しばらくは自分だけの世界に没入かもですね。でも生身のオトメチャンがいるのに。
生身と写真とではこれまた感じ方が違うんですようね。妙に艶めかしくてリアルで。

海きゃんに萌えてる皆さんですが、こんなこともすぐに終わってしまいそうな騒動でも起きそうな予感がするのですが……。

こんにちは。麻生さん、保存用に予備、そしてオカズ…いえいえ普段楽しむために一冊…と最低三冊は頼むべきでしたね(笑)自分も体験したようなあのアツい日々が懐かしいです~続きも楽しみ!!


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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