日々雑感・回天金剛隊

今日一月十二日も間もなく終わるがこれだけは記しておきたい。

今日という日が「回天特攻隊・金剛隊」の命日であるということ。
回天・金剛隊は伊号36潜・47潜・53潜・58潜に搭載されていずれも昭和十九年十二月二十五日前後に山口県大津島基地を出港。
伊号36潜はウルシー、47潜はホーランデイア、53潜はパラオ・コッソル、58潜はグアム・アプラ湾目指して行った。
半月もの長い航海…その間に昭和は十九年から二十年、終戦を迎える年になっている。
外洋で新年を迎える搭乗員たちの心はいかばかりだったか。

伊号58潜搭載の回天搭乗員の森 稔少尉(死後階級・北海道出身・道立滝川中・甲飛予科練13期)はその遺書に書いている。


・・・昭和二十年の春を征途の途上にむかえ、故国の空を拝し、大君の万歳と、大日本帝国の必勝を祈り候えば、髣髴として湧き起こる故国の山河、人々の顔。唯唯目頭熱くなり候て、撃滅せずんば止まざるの念を、更に固め申し候

・・・花は散りてこそ花よと惜しまれ候と御座候。咲くは栄華に候いて、精華に候わず。散りてこそ真の花と存じ候。

・・・今更散るの咲くのと言い候も意気地無きことと存じ候えども、若輩の身の浅間しさとお許し下され度候。命より名こそ惜しけれと言い候内は、まだまだのことと存じ候。君国の御為には名すら惜しみ候わずとまで行きたき所にて候。


以上が、グアム・アプラ港にて回天特攻で戦死した森 稔少尉の遺書である。これを書いた時、森少尉若干十八歳であった。

十八歳がこの文章をしたためたのである。驚くべき教養の持ち主だったことが分かる。彼の遺影を見ると、いかにも聡明そうな男子であり、好感が持てる。

また彼と同じ58潜で出撃、戦死した三枝 直(まこと)少尉(死後階級・山梨県出身・県立甲府中・甲飛予科練13期)も十八歳であった。

この二人は仲良しで逢ったようで、58潜がグアムに接近し、出撃直前に橋本(以行)艦長に、「艦長、南十字星はどこでしょうか?」と尋ねている。艦長が「もう少ししたら、南の空に美しく出るよ」というと二人はその場に座ってしばらく夜空を見上げていたがやがて、
「行きます」
といいたちあがった。
橋本艦長はそれぞれと握手を交わし「しっかりやってください」と決別の言葉を述べたという。
この時の情景は戦後も長く生きた艦長の生涯にわたってその心を苦しめることになったという。


ともあれ。
金剛隊の十五人は、場所こそ違え昭和二十年一月十二日、ウルシー、ホーランデイア、パラオ・コッソル、グアム・アプラ湾で散華した。

加賀谷 武中佐 二十四歳 樺太
都所 静世中佐 二十歳 群馬県
本井 文弥大尉 十九歳 新潟県
福本 百合満少尉 二十四歳 山口県(以上ウルシー。伊号36潜。階級はいずれも死後のもの)

原 敦郎少佐 二十五歳 長崎県
川久保 輝夫少佐 二十一歳 鹿児島県
村松 実少尉 二十三歳 静岡県
佐藤 勝美少尉 二十三歳 福島県(以上ホーランデイア。伊号47潜。階級はいずれも死後のもの)

久住 宏少佐 二十二歳 埼玉県 
伊東 修大尉 二十歳 鹿児島県
有森 文吉少尉 二十六歳 佐賀県(以上パラオ・コッソル。伊号53潜。階級はいずれの死後のもの)

工藤 義彦少佐 二十一歳 大分県
石川 誠三少佐 二十一歳 茨城県
森 稔少尉 十八歳 北海道
三枝 直少尉 十八歳 山梨県(以上グアム・アプラ湾。伊号58潜.階級はいずれの死後のもの)
 
この日だけで十五人の若い命が消えた。

回天の戦果は決して大きくない。否、殆ど戦果はなかったと言われている。それは回天の運用に大きな問題があったからだとも言われている。

夜間の視認も聞かないような攻撃に出してあたら若い命を無駄にしたとの指摘もある。
それが本当ならなんということだろう、決して許されない。

だが、彼ら回天特攻隊員の純粋な、国や家族を思う心は決して無駄ではないし、未来永劫語り継がれてしかるべき物語である。

彼らの死は決して無駄死にではない。
もし…無駄死にだとしたらそれは今を生きる我々の生き方を問われることではないだろうか。


いつかグアムやパラオに行く機会があったら、ちょっとでもいいからこの海に眠る若い命を思ってあげてください。
人生の「楽しみ」など殆ど知らないで散華した若い人たちへ、永遠の命を上げることになるのですからーー。

回天搭乗員の在りし日のお姿です(画像お借りしました)。
回天搭乗員



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鍵コメさんへ

鍵コメさんこんばんは!
書籍情報ありがとうございます、できる限り探してみますね!

大日本絵画の「上海陸戦隊」の写真集は買いましたよ^^!あれいいですね、参考になりますね。

大津島の回天記念館、いつの日か絶対行きたいです!!

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ずん太ママさんへ

ずん太ママさんこんばんは!
全くびっくりの大雪でしたね、今(午後10時20分)空は晴れて、オリオン座がくっきり見えていますよ^^。
モミジは雪の中を走り回って娘たちを困らせていました!でも屋根から落ちる雪の音が怖いようでちょっと落ち着きませんでした。
ずん太くんは雪は嫌いかなあ?

ご一家みなさんお風邪など召しませんように。今年もよろしくお願いします!

こんばんは!

すごい雪ですね。
モミジちゃんは、喜んで走り回ってますか?
ずん太は、銀世界のお散歩に行きたくないようでした(汗)

本年もよろしくお願いします。

ローガン渡久地さんへ

ローガン渡久地さん、こんにちは。
こちらこそ新しい年もよろしくお願いいたします。同年代の子を持つ親として、そして同世代の人間としてこれからも交流よろしくお願いいたします!!


なんと、わが拙記事をお子さま方に。
お子さま方が、在りし日の回天搭乗員のお写真を見て、また森少尉のご遺書を読まれて何か、何でもいい、心のどこかに何かを感じてくださればそれこそこの記事を書いた私にとって嬉しいことですしなにより、戦没なさった全・回天御英霊のお心を慰めるものと確信いたします。

特に男の子をお持ちのお母さんには、この回天搭乗員の笑顔はたまらないものがありましょう、否、女の子を持っても同じです。
彼らの満面の笑みの裏には、出撃の日が決まって刻々と命を削られている人もいたわけですからそれを思うと親の立場としては「代わってやりたい」とも思うのです。

「戦争をするため」の憲法改正なら反対せねばなりません。
今度…もし徴兵制がしかれるならもしかしたら女性もかもしれません。男女雇用機会均等、ですから。
戦争をしなくていい世の中を作りたいです。
そのためにも彼ら戦没者の心を学ばねば、と思う昨今です。

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんにちは!
本当にみんな若すぎるほど若いですね、この「金剛隊」最年長は25歳ですが他の隊では27歳、また最年少は17歳の方がいらっしゃいました。
「少佐」「少尉」という階級が身に勝ちすぎるような若さで単身回天に乗り込み手機関に体当たりして行ったその心の内を思う時今の若い人の幸せを思わずにはいられません。
集団殺人、いじめ、行き過ぎた体罰、ひき逃げ、詐欺、…連日悲惨で目を覆うばかりの事件がTV新聞をにぎわす日本は本当に狂っています。
こんな日本にしたくて彼らはたった一つの命を投げ出したはずではないのに。
こんな日本では彼らの死は本当に「無駄死に」になってしまいます。それではいけない!!
もっと日本人全体が過去を真摯に振り返り、自国の先人の心を学ぶべき時がきていますね。

「回天」で戦没した大分県の方はこの方お一人です。ご遺影を拝見しますときりっとした好男児です、大分高商から予備学生3期です。

見張り員さん、大変遅くなりましたが2013年のご挨拶をさせていただきます。

新年あけましておめでとうございます
見張り員さんとご家族様のご健康とご多幸をお祈りしております

本年も見張り員さんの小説とこのような記事で喜怒哀楽を感じたり、同世代として交流させていただければ幸いです。

------------------------------

この記事に感銘を受けたので、子供たちに回天搭乗員の在りし日のお写真を見せ、森稔少尉の遺書を音読して聞かせました。
(何度も引っかかってしまったアホな私>_<)
そして現在の安倍政権が憲法改正しようとしていることの恐ろしさをヒシヒシと感じました。

回天搭乗員の皆さんの笑顔を見その後の悲しい結末を思うと母親の立場の私は堪りません。
日本が戦争に参加するようになれば当然男の子は徴兵されるわけで・・・

話がそれてしまい申し訳ございませんでした。

みんな若い!!
25歳の方がもっとも年長で18歳の方までも。
今のバカ丸出しの日本のガキたち、この現実をどう受け止めるか。六本木での人殺しのグループ、日常茶飯事になったひき逃げ、イジメ、渋谷の交差点で大騒ぎ、教師は暴力ふるって。

ここに連ねている命(みこと)たちの崇高な命の犠牲が無駄であったなんて思いたくないですよ。あまりに悲しい。大分の方もいたのですね。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
吉村昭さんのですか、私も読んでみましょう。
吉村さんと言えば「戦艦武蔵」を高校生だったか…一所懸命読みました。『大和』より地味な扱いの『武蔵』ではありますがその乗員たちの苦闘などには感銘を受けました。

このお爺さん、私TVで拝見したあの方かしら?
大変高齢でありながら、それこそ「憂国の情」に駆られて出馬なさった方ですね。
落選してしまわれましたが、この世間に一石をとうじたことと信じたいです。戦争を体験なさった方の言葉、思いは深いものがありますから。

新成人には「自分が生まれ生きている意味」「自分ひとりで大きくなったり生まれてきたのではない」ということを考えてほしい。
自分の後ろにはたくさんの先人が並んでいるのですから・・・

もちろん我々大人世代も若い人に教えてあげられないといけませんね、日々勉強です。

いつもお心遣いをありがとうございます。オスカーさんもくれぐれも御身大切になさってくださいね^^。

こんにちは。まだ読んでいないのですが、吉村昭さんの『深海の使者』を買いました。日本潜水艦の物語です。話はかわりますが、声優の小山力也
さんのブログにこんな話が書いてありました。

ある雑誌、今回の立候補者の内で、最高齢だった方の記事を読みました。
大平洋戦争で、七年間も中国で従軍なさったその方は、今の政治の危機的状況を見て、「このままでは、時代が逆戻りしてしまう」と、自らのお葬式代として貯めておられた、大事な大事なお金を供託金にして、出馬なさったそうです。
結果は落選。お金は没収されてしまいました。
大事な決意、大事なお金…。(略)どうか、安全で平和な日本でありますように。本当の復興がなされますように。未来が笑顔いっぱい、包まれていますように。

今日、成人式がおこなわれている自治体も多いでしょうが「二十年」何を見て何を感じてきたのか…自分の二十歳の時も無知でありましたが、無知さに早く気がついてたくさんいろんなことを知ろう!と関心を持って欲しいですね。見張り員さまや他の方々にもいろんなことをやさしい言葉で長く語り続けて欲しいです。
明日は寒くなりそうです。お身体、ゆっくりやすめて下さいね。
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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