「女だらけの戦艦大和」・トレーラーの奇人変人1|女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

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「女だらけの戦艦大和」・トレーラーの奇人変人1

2012.12.16(11:43) 603

『海軍きゃんきゃん』取材班の取材も佳境を迎えていた――

 

筑紫少尉と写野兵曹は、「今度は素晴らしい雑誌ができるぞ。グラビア写真満載、読み物も満載。そうだ、新年特大号として発行できるんじゃないかな」と胸をときめかせている。

殘間中尉や袴田兵曹たちも、『大和』艦内をつぶさに見て回り乗組員たちにインタビューをしたり許される範囲内での写真撮影を行ってきた。その結果原稿の量は膨大なものになっている。

三谷兵曹と小林兵曹は、『大和』の烹炊所を取材して烹炊所長の森脇兵曹に「やってみますか?」と言われて恐る恐る牛肉を切ってみたし、武田水兵長は烹炊班員に交じってカレーを作ったり野菜を刻んで班員たちに「おお、武田水兵長は玄人はだしじゃ!ぜひわが『大和』の主計科に来ませんか!?」と誘われ、「そうですか・・・じゃあ、ちょっと考えてみようかしら?」とまんざらでもなさそうである。

武田水兵長はそれから烹炊所が居心地良くなったと見え、ずっとそこで仕事を手伝っている。もちろん取材もしているが烹炊員たちから「あがいに手際のええ人も珍しいわ、ほいじゃけえ、気難しい森脇兵曹もなあも言わんと黙ってさせとるんじゃね」とすっかり納得されている。

武田水兵長は烹炊員の格好――事業服に白前掛け、裸足――で奮闘している。

いたずら心を起こした一人の兵曹がそっと「武田水兵長、本当は下は褌一丁でせんといけんのですよ。本来はその姿が烹炊員の伝統の姿です」と囁くと武田水兵長は「なんと!それでは私は早速その伝統の姿になってみましょう。・・・三谷兵曹、写真をお願いしますー!」と叫びながら、皆が呆気にとられるなかパッパと軍袴を脱いで上衣の下は褌の裸足となり、「こんな感じでしょうか?」と言って片手に包丁・片手に大根を持ってポーズをつけ、それを三谷兵曹が笑いをこらえつつ撮影した。

それを見ていた森脇兵曹は苦笑しつつも「あがいな嘘言うて気の毒に。・・・でもあの恰好も悪くはねえな。おい、明日っから皆あの恰好でやるぞ。伝統を継承するのが海軍魂じゃ!」と皆に宣言し、一同(しまった・・・)と思う場面もあった。

 

そして。

ある日、梨賀艦長が『海きゃん』一行に

「たまにはトレーラーのそれぞれの島へも行ってみたらいかがですか?結構いい場所がたくさんありますよ?まあ、注意すべきところもありますが・・・。そうだ、ここ水島なら私が宿を手配しますからそこで何泊かして取材をしたらきっといい記事ができますよ」

と提案した。そばにいた副長も「そうですね、この雄大でありながら繊細なトレーラーの自然をぜひ他の海軍将兵たちにも紹介してやってください」と言って、殘間中尉は

「では早速行ってみたいと思います。その前にいろいろ注意点があれば教えてください。そして宿もご紹介いただけたら嬉しいです・・・なんといっても機材が多いものですからそれを持って行ったり来たりが大変ですからね」

と言って梨賀艦長と野村副長にトレーラー各島での注意点を教わった。

と言っても大した注意もないのだが、梨賀艦長はそんなことを言って『海きゃん』取材班にこけおどししたかったのかもしれない。

 

『海きゃん』取材班は翌日、上陸員と一緒にランチに乗ってトレーラー水島に上がることになった。

一艇のランチに一緒に乗っていた高角砲の野田兵曹が殘間中尉に「お戻りになったらぜひ私を取材してください」とせっついている。困ったような顔の殘間中尉を見かねて副砲の安部晋子分隊士が後ろから、

「野田!無理ばかり言うでない。殘間中尉はお困りだ。大体貴様の何を取材したらええんじゃ?貴様のあのくそ汚いチェストを取材せえ言うんか!?」

と怒鳴って野田兵曹の腰のあたりを蹴る。

野田兵曹はその大きな顔を真っ赤にして、

「安部少尉はそうおっしゃるが、これは大変いい機会です。私という人間を海軍内に知ってもらうため大変いい機会なんです」

と反論。安部少尉はケッと横を向いて

「僭越もええところじゃ。貴様のようなもんのことなんぞ誰も知りとうないわ。それより野田、また最近貴様のチェストから妙なにおいがしてくるで。またおかしなことになってもええんか?十六日までには片付けえや!」

と言った。

野田兵曹は「近いうち。近いうちにはきっと片付けますよ」と前と同じことを言う。安部少尉は野田兵曹のでかい顔と正面から向き合うと、

「いいか野田。十六日はわが『大和』の竣工記念日であるぞ、それをよもや忘れたわけではあるまい?その記念すべき日までに貴様はあのチェストを片付けえや!絶対十六日までじゃぞ、ええな十六日じゃ」

と大声で怒鳴る。

野田兵曹もいよいよ顔を真っ赤にして

「いいですとも十六日までに綺麗にしようじゃありませんか、ええ、しますとも!」

といい、安部少尉は「聞いたからな、しっかりこの耳で。ここにいる皆も証人じゃ。野田、これで言い逃れはできんけえ覚悟せえ」と言い放つと、フンと野田兵曹を一瞥して前方を見つめた。

その騒ぎを見ていた殘間中尉は(これは面白い。トレーラーの取材と並行してこっちもどうなるか見たい。・・・そうだ誰か二人は『大和』に残そう。あとで相談して・・・)と思っている。

筑紫少尉も(ああ、今回はなんてツイてるんだ。大戦艦の内部ってこんなふうにスッタモンダがあるんだねえ。知られざる大戦艦の秘密~なんちゃって記事ががけるじゃないか!トレーラーの取材もいいが私はこっちを取材したいなあ)と思う。

この二人の内紛は『海きゃん』取材班の好奇心に火をつけまくったようだ。

皆を乗せたランチが、一艇また一艇と上陸場に接舷する――

 

島に上がって皆はそれぞれ思い思いの方向に散ってゆく。

殘間中尉以下はそれを見送った。写野兵曹がその後ろ姿を撮影。野田兵曹が、振り返ってその大きな顔に笑顔を作って見せる。

その姿が遠くなったころ、殘間中尉が先ほどランチの中で思いついたことを提案した。筑紫少尉が「では私は『大和』班になります。ここの取材の後、『大和』に戻って例の二人の件を取材します」と立候補し、武田水兵長も「では私も筑紫少尉に随伴いたしたいです」といい簡単に決着。

この二人はランチの時間までにここに戻ることにし、「じゃ、とりあえず行こうか」となりぞろぞろ歩きだしたのであった。

トレーラーには、内地やほかの地域にはないものがあり取材班は興奮した。治安は良く現地民と帝国陸海軍軍人との仲も良い。そちこちで談笑する現地民と日本軍人の姿が散見できる。

小林兵曹が「ふーむ、ここは落ち着いていていいですねえ。安心して歩けるというのはいいことですよね」と感心している。そうだね、と殘間中尉がうなずいた時後方からものすごい大声が轟いて一行は身を固くした。

「なっ、なんだ!?」

袴田兵曹が恐怖の混ざった声をあげ後ろを見返ると、彼女たちの後ろから土ぼこりをあげて必死の形相で走ってくるトレーラー水島分遣隊の憲兵嬢数名。

それが、「どけっ、退いてくれ!頼むから道を開けてくれ!」と叫びながら走ってくる。殘間中尉達があわてて道を開けると「すまん!」という声とともに走り去る憲兵嬢たち。

そしてそのあとを「待て―!待てというのがわからんか!ひどい目にあわすぞ!」と怒鳴りながら追いかける『大和』機関長の浜口大尉。

憲兵嬢たちが「もうひどい目に逢ってますー!」といいつつ逃げるのへ機関長は「なんだと!もう一遍言ってみろ!」と怒鳴ってさらに加速してゆく。

珍奇な追いかけっこはやがて見えなくなった。

「いったい何なんだ、あれは」

筑紫少尉が言うと殘間中尉が「あれ、写真撮っとけばよかった」とつぶやく。それへ写野兵曹が「ちゃーんと収めましたよ。逃すものですか、あんないいネタを」といいカメラを胸のあたりに掲げて見せた。

「さすが写野兵曹、逆境にあってもカメラマン精神を失わない」と、三谷兵曹が賞賛した。殘間中尉は「素晴らしいですよ、写野兵曹。では筑紫少尉、あとであの大尉に取材していったい何があったのか細大漏らさず聞いてくださいね」と指示。

筑紫少尉は「もちろん!」と胸を張った。

 

一行は歩を進める。途中で「おなかが減ったね」と早くも殘間中尉が言いはじめ、皆は現地民の経営のレストランで腹ごなし。

美味いうまいとあれこれ注文しすべて平らげる。その旺盛な食欲に現地民ウエートレスは驚いて「ニホンの海軍サン、よくタベルね!一番はナガツマさん。でもコノヒトタチも負けてナイネ!スッゴイ!」とあきれたり笑ったり。

膨らんだおなかを撫でながら殘間中尉は

「ああ~もう幸せ!しばらく何も食べなくっていいかもね。・・・ねえちょっとどこかで昼寝したいね」

と呑気な事を言い出し、袴田兵曹が「殘間中尉、我々も遊びにトレーラーくんだりまで来ているわけではないんですよ!我々は速やかに取材を敢行し内地に戻って雑誌の編集にかからねばならんのですぞ。呑気な発言は慎んでいただきたい」と厳しくいさめた。

肩をすくめ、「ごめんなさい」と謝る殘間中尉。筑紫少尉が「おわかりならいいです。ではそろそろ腰をあげましょうか、先を急ぎましょう。私と武田は『大和』のもどる時間もありますから」といい一行は席を立ち、会計を済ますとまた歩きだす。

 

海岸線をあちこち見ながら歩く『海きゃん』取材班。

海風に椰子の葉がざーっと鳴ってそれがいやがうえにも南方旅情をかき立てた。三谷兵曹が椰子の木を見上げ「ああ。いいなあ~」と唸った。

と。

「あれ!あれ何かしら、ねえみてよ!」

行く手を指差して、小林兵曹が声をあげた。「あれはいい記事になるかもですよ、行ってみましょう!」

「おうっ、善は急げだ!」

筑紫少尉が言って皆はそちらへと走り出す。写野兵曹はカメラを掲げて一番先頭を行く。

「特ダネ、特ダネ!いただきだ―い」

と歌うように言いながら――

 (次回に続きます)

 

       ・・・・・・・・・・・・・・・

 

またも炸裂した浜口大尉の悪癖?。でも結構これを憲兵嬢も喜んでるとか??それはともかくこれが記事になるとしたらいったいどういう記事になるんでしょうか?

そして小林兵曹が見つけたものは。写野兵曹が言うように特ダネになるんでしょうか?

次回をお楽しみに^^。

烹炊班員の姿、こんな感じだったみたいですね(『海軍めしたき物語』表紙から)海軍めしたき物語



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コメント
オスカーさんおはようございます。

この表紙…見かたによっては萌えの対象ですw。
裸にエプロン、が男性にとっての萌絵というかそそられる対象なら、このふんどしに前掛けは女性にとってのそそられの対象だ!(って私だけか^^)。そんな姿の人が大勢いる空間…う~んたまらない!!

スーパージョッキー!!
懐かしいなあ!!あの頃のTV番組って今思うとわくわくするようなものがたくさんありましたね、今のTVよりずっと面白かったですね。もう一度見たいなあと思う中のひとつですね^^。
白いギターって憧れでしたね。持ってるだけでヒーロー・ヒロイン、みたいな❤

16日のあったかさが一転、昨日は寒かったですね==オスカーさんもお風邪など召しませんように!
いつもありがとう♪

【2012/12/18 08:02】 | 見張り員 #- | [edit]
まろゆーろさんおはようございます。
なんだか小学校時代の給食室を思い出しております。給食室からのにおいに「早くお昼にならないかねえ」といいつつ鼻をひくつかせていたのが懐かしい~。

しかし上着は着て下はふんどし・・・っていうのもすごい世界ですよね~、それを知った時「男たちの大和」でも<それ>を忠実に再現してほしかったなあ~~と思ってしまいましたw。
「女だらけの大和」では再現しようと思いますよ~~お楽しみに^^。

さあ、年末に向けてトレーラーでの特ダネ集を次々と繰り出したいと思いますのでお楽しみに~~♪
【2012/12/18 07:56】 | 見張り員 #- | [edit]
matsuyama さんおはようございます。

本当に小さいいざこざってどこでもありますね(-_-;)私自身もかつて会社勤めの際よく経験しました。それもいつの間にか消えて無くなったのですが・・・その辺も不思議。

事務屋だったころは机上の整頓を心がけていましたが仕事に熱中するといつのまにか・・・「できるやつのデスクは雑多だ。でもいつしか片付いている」そんな自作の格言?さえできるほど周囲はきちんとしていました。それが何とか出来るようになったころ退社しました。
懐かしい・・・


野田兵曹のチェストは言語道断ww。
これは小学生レベル(って最近の子供にはそんなことないのかしら??)ww。
【2012/12/18 07:52】 | 見張り員 #- | [edit]
こんばんは。本の表紙、なんと言ったらいいのか~あやしい家政婦みたいな雰囲気がたまりません!!もしや「裸にエプロン」ならぬ「フンドシに割烹着」!?←バカですみません(泣)
「奇人・変人」というとスーパージョッキーを思い出します。白いギターが欲しかったあの頃…懐かしい!!
また続きを楽しみにしています。寒い1日になりましたね。あたたかくしてぐっすりおやすみなさいまし!!
【2012/12/17 21:56】 | オスカー #- | [edit]
烹炊所から煮炊きするいい匂いが漂ってきそうな風景が広がっていますね。そこで褌ひとつの姿というのもそそられますね。よくぞそんなことを閃いてくれました。腰巻ひとつの上半身裸でふざけ合う大奥の世界を思いましたよ。一度で良いから是非とも覗くだけでも(笑)

トレーラーでまた何やらのひと騒動が起こるのでしょうか。
年末も押し迫って来ましたゆえ、はやいところ浜辺の特ダネ結果をお教え下さいまし。
【2012/12/17 20:58】 | まろゆーろ #- | [edit]
天下泰平のように見える職場でも、良く見ていると小さなイザコザがあるもんですよね。
机上の整理整頓は良く言われてました。山積みとなった机の片隅で仕事をしていた事もあります。机の上の書類は抽斗に押し込み、1日かけて整理整頓しても翌日からはまたまた書類が山積みとなって行きました。
結局整理の仕方が下手くそなんでしょうね。

とはいえ、野田兵曹のように異臭のするものはチェストに押し込みませんぞ(笑)。
【2012/12/17 15:25】 | matsuyama #- | [edit]
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