2017-10

「女だらけの戦艦大和」・YMY1<再会> - 2012.10.02 Tue

「女だらけの大和」「女だらけの武蔵」の二隻がトレーラーにそろった――

 

『武蔵』の猪田艦長はその日、「大和」の梨賀艦長あてに<明日、水島の料亭で久しぶりに会いましょう、野村副長、森上参謀長もぜひご一緒に>と連絡をした。

さあ、梨賀艦長の喜ぶことったら。

すっかり舞い上がり、副長や参謀長に「ちょっとは落ち着け!ケガするぞ」としかられる始末。だが艦長は久しぶりすぎる猪田との再会に喜びを隠せない。「そうだ!トメキチとハシビロも連れてゆこう!」と思いつき、防空指揮所に上がって言ってトップに止まっているマツコに、両手をメガホンにして、

「ハシビロクン、明日トメキチと一緒に上陸して猪田艦長と料亭に行こう~」

と叫んだ。マツコは少しうとうとしていたがハッとして目を覚まし、両方の羽をバサバサと羽ばたき、

「行くわよ、行くに決まってんでしょ!トメキチあんたも一緒よ!」

とわめいてくちばしをガタガタ言わせる。指揮所の床に寝ていたトメキチも「猪田さんと!?そしたらナナも来るかもしれない!やった、やった!」と起き上がってその場をくるくる回りだしちょっとした大騒ぎになる。

そこへ麻生分隊士と見張兵曹、そして松岡分隊長が上がってきた。

松岡分隊長はラケットをひと振りして「皆あ!熱くなってますねえ~。いいことですよ、熱くなれば飯もうまい!そうだ、みんなコメを食え!」と叫び出し、マツコは大好きな松岡分隊長の横に降りてきてトメキチと一緒になってその場で足踏みをしたりぐるぐる回りだし一時、収拾がつかない状況になった。

それを収めたのは麻生分隊士の「ええ加減にしてください分隊長!」の一喝だった。分隊長は振り上げたラケットを下ろし、しかつめらしい顔になって「・・・だそうだ、鳥くん。犬くんも」というとさすがにバツが悪くなったと見えて、そそくさと下へ降りて行ってしまう。そのあとを、マツコが「待ってえ~、マツオカ」と追ってゆく。

トメキチは見張兵曹のそばに座る。兵曹がトメキチを抱き上げた。

梨賀艦長はほほを緩ませて、しかし麻生分隊士の厳しい顔を見てあわてて顔をきりっと引きしめた。そして、

「というわけだから留守中よろしく。留守中何かあったら片山航海長と黒田砲術長に任せてあるから彼女らの指示に従うように」

と分隊士に言った。分隊士は厳しい顔つきのままで「はっ、わかりました」と言って敬礼した。分隊士に礼を返し、艦長はトメキチを抱いて礼をするオトメチャンの肩をそっと撫でてそこを出ていった。

分隊士はそれを見て、「また!いったい艦長はどういうつもりでオトメチャンに触るんじゃ!あれじゃあただのスケベ親父と一緒じゃないね」と怒りだす。オトメチャンはトメキチを抱いたまま分隊士の前にそっと立つと、

「分隊士・・・」

とそっと言って微笑む。分隊士にはオトメチャンの言いたいことは分かっていた、オトメチャンは「大丈夫、うちは何をされても分隊士のものですけえね」と言いたいのだ。

(ほいでも)と分隊士は思う、(オトメチャンはシャイじゃけえ、よう口には出せんのじゃ。そこがかわゆいのう。グフフ)。

分隊士もいい感じに<スケベ親父>の様相を呈しているのだが本人は決してそう思わない、というよりそんな意識は全くない。

トメキチだけがそれを感じて(グゲゲゲ・・・)と顎をがくがくさせている。

 

そして。

翌日の昼になり、「大和」の内火艇が梨賀艦長・野村副長・森上参謀長そしてトメキチとマツコを乗せて水島の上陸場へ。それより少し前、『武蔵』からも内火艇が水島上陸場へ向かい、そしてもう一艦からも・・・。

水島に降り立った「大和」からの一行、その中でもトメキチとマツコの浮かれようはすさまじい。二人はじゃれあいながら、時に副長の足にからまったり、参謀長の背中に体当たりしながら歩いてゆく。

約束の料亭「大松」(通称・ビッグパイン)への道々、それをされる副長と参謀長はたまったものではなく、ついに立ち止まると副長はマツコにつかみかかった。

「ギャッ!」とマツコは叫んでその金色の目を白黒させた。副長はマツコの首のあたりをむんずとつかんで

「いい加減にしないと海にたたき込むぞ、鬱陶しい鳥野郎め!この羽もぎ取ってやろうか、ええ!?

とマツコの顔に自分の顔をぎりぎりまで近付けて怒鳴る。副長のつばが、マツコの顔にかかる。マツコは羽を広げて「もう!きったないわねえ、このくそ女!あたしの首締めないでよう」と抵抗。

周りにいた水兵嬢や下士官嬢、また現地の人たちがその様子をびっくりして見つめている。梨賀艦長は、あわてて二人を速足で行く手に押し出して

「副長、今日のところは許してやりなさい。何がそんなに不満なんだね副長は」

と言って今度は副長の前に両手を腰に当てて立ちふさがった。副長は少しあわててマツコから手を離した。そして、

「不満も不服も・・・ただ私はこのでかい鳥が私の足に絡まってきて歩きにくいこと夥しいんで注意をしただけです!」

と弁解。マツコが、梨賀艦長のそばに行って「嘘よう、艦長。こいつはアタシを殺そうとしたのよう、首絞めて」とくちばしをガタガタ言わして訴えた。梨賀艦長はマツコの首のあたりの羽毛を整えてやりながら「ま、ハシビロも今日のところは許してやってね。いい子だから」と言ってマツコは「・・・艦長がそういうならまあいいわ。でも次はないわよ!」と唸る。トメキチは副長の足に体をすりよせて「副長さんごめんなさい、僕ちょっと浮かれすぎちゃった」と謝る。そのトメキチを副長は抱き上げて、

「おお、最初っからこうすればよかったね。ね~トメキチ」

と頬ずりした。トメキチは以前、シュール缶の汁をかぶった際副長に体を洗ってもらってからすっかり野村副長のファンである。

森上参謀長がマツコのあほ毛をそっと撫でて、

「まあ久しぶりのトレーラーだからね。浮かれても仕方がないよ、なあハシビロ」

と言ってやった。それを聞いたマツコは、まるで飼い猫のように参謀長にすり寄って、

「そーなのよう、さすがサンボーチョー!わかってるじゃないの。だからアタシあんたが好きなのよう~」

と言ってその頭をすりつける。参謀長は愛しげにその灰色の羽を撫でる。

やがて一行の目に、「料亭・大松」が見えて来た。

 

その頃「大松」の一室では『武蔵』の猪田艦長、加東副長そしてマスコット犬のナナが皆の到着を待っている。

不意にナナが頭をあげて玄関の方向を見、そして猪田艦長を見る。猪田艦長は優しくナナを撫でると、

「おお、誰か来たようだね。梨賀くんかなそれとも・・・」

という。

そしてしばらくして『大和』御一行様が案内されてきた。皆であいさつを交わし合う、その横でナナとトメキチ、そしてナナとは初対面のマツコもナナと意気投合して大騒ぎを始めている。

ふと猪田艦長は腕時計を見て、「遅いなあ」とつぶやく。梨賀艦長が「他に誰か?」と言った時、<遅れて来た人>が入ってきた――

   (次回に続きます)

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・

久しぶりの『大和』艦長たちと『武蔵』艦長たちの再会です。しかも「料亭・大松』なんて素敵なところで!(料亭「大松」は実際に横須賀にあった「料亭・小松(通称パイン)」のもじりです。)

そして<遅れて来た人>とは誰だ!?

次回をご期待下さい。
料亭小松の今の姿(WIKIより)。料亭小松 海軍御用達の料亭としてつとに有名です。



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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!

おお!金子由香里さんの「再会」もあった!
女々しくてもいいじゃないか!熱くなれよ~と松岡が言っておりますw。女々しさも、うっとうしくなければいいんですね。なんというかたおやかさをも感じられる女々しさってあるような気がしませんか?

さあ、遅れてきた人はだれ!?
波乱はありでしょうか、ご期待を(と言っておいて大したことなかったらどうしよう(-_-;))!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
「再会」っていうとなんだか本当に懐メロっぽい語感がありますね。最近あまりこういう言葉は使わないような気がしてるんですが・・・そうでもないかなあ???

さあ、あなたのマツコが出てきました!マツコはどうなるのでしょうか!?
動物は可愛いですよね、罪がないし、人を裏切らない。その一途な瞳がいじらしくって・・・♡

今日は夕方から雨が降って、いったんやんだんですがまた土砂降り・・・夏の間ほとんど降らなくってこれですよ、やんなっちゃいますね(-_-;)

オスカーさんも御身大切になさってね。いつもありがとう!

再会、僕は金子由香利の歌を思い出します。
少々。女々しいですが良い歌ですよ。

送れてきた人は……、誰でしょう。楽しみにしております。
きっと登場の仕方もドラマチックでしょうねぇ、見張り員さん!!

こんばんは。再会のタイトルに松尾和子さんでしたっけ?懐メロがよみがえりました(笑)
見張り員さまの文章は動物たちに対する優しさや思いやりがにじみ出ていてとってもいいなぁ~と思います。マツコも活躍させて頂きありがとうございます。しかし、誰と再会するのか…マツコのクチバシはカタカタするのかガタガタしちゃうのか!!(笑)続きを楽しみにしていますね。また天気が悪くなりました。お身体大切にして下さいね。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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