2017-09

「女だらけの戦艦大和」・『武蔵』あれこれ7<解決編> - 2012.09.18 Tue

「誰か、誰か来てください!」――主計科員の叫びが艦内に響いた――

 

その声を聞きつけた数名が烹炊所に走って行った。すると一人の主計科嬢が真っ青になって震えている。

その指先が床を指してこれも細かく震えている。

皆がそこを見やれば、・・・何とも珍奇な「男」が倒れて泡を吹いているではないか。しかも見も知らない男性。

その男性は上半身は裸で下半身にはぴったりした股引のようなものを穿いている。頭は気の毒なような禿げ具合。

「こ、このひとがもしかして」

皆は気持ち悪くなって黙ってその男性を見守る。ふと一人の兵曹が「お。この人の股引へんだぞ」と倒れたままの人の股引の股間のあたりを指して言った。皆がよく見ればその股間のあたりがありえないくらい大きく膨らんでいる。

「うっわ…いやだなあ」

皆が顔をしかめた。そこへ艦長と副長がまだ青い顔ではあったがやってきた。そしてその場に倒れている男を見た。猪田艦長は、その男をしげしげと見つめて

「この男が例の酒保の酒を奪ったり幽霊騒動の渦中の男なのだろうか?」

と独り言のように言った。副長が艦長を見て、

「起してみましょうか。それにこの者の股引のこのあたり・・・妙に膨らんで怪しいですな」

と言って男の股間のあたりを指差した。猪田艦長はうなずいて、「ああ、でもよく気をつけて。見たところ武器は装備してないようだがその部分は怪しい。気をつけよ」と言った。副長は大きくうなずくと男の横に膝をついた、そしてその男の裸の肩に手をかけると

「おいっ。起きろ!貴様ここを帝国海軍『武蔵』と知っての狼藉か!?」

と大声で怒鳴ってゆすぶった。何度も激しくゆすぶった。

すると、突然男がカッと目を見開いて()()使わず(・・・)()丸でばね仕掛けの人形のように飛び起きると、副長に襲いかかり副長を床に押し倒した。副長に下半身をぐいぐい押しつけている。

「ぎゃあああ!」

副長が叫んだ、それを合図に猪田艦長が「やめんか、この破廉恥野郎!」と怒鳴るとこぶしを握るなり男をぶん殴った。派手に、まるで演技のように吹っ飛ぶ男。

猪田艦長は息一つ乱さないでこぶしを収める。皆の間から拍手が起きた。

猪田艦長はすっ飛んで倒れた男を引き起こした。猪田艦長はゆっくりと、

「貴様が酒保の酒を盗んでいたのか。わが『武蔵』だけでなく『金剛』や『摩耶』でも同じことをしたのか?それに幽霊のごとく艦内をうろつきまわったのか」

とたずねた。すると男はとても気味悪い笑いを浮かべたと思うと、いきなり黒い股引の中に手を突っ込んだ。

皆がはっと息をのんだ・・・すると男は股間のあたりから、一本の酒瓶を引っ張り出したではないか!

「ああ!げ、月経冠の一升瓶っ!なんてところに入れてるんだあ!」

副長が大声を出した。月経冠は副長のお気に入りの酒。男はにやりと笑うとその蓋を取って飲み始める。副長が「やめろ、貴様あ!」というと瓶を奪い取った。そして、

「いいかこの酒はな、いや、ここにあるすべてのものは恐れ多くも天皇陛下からいただいた品物であるぞ、貴様のような破廉恥野郎に手を、いや指一本触れさせるわけにはいかんのだ!この野郎・・・。猪田艦長こいつを警備隊に引き渡しましょう!」

とまくし立てた。

瞳に怒りの炎を燃やして詰め寄る副長を見ていた男だったが・・・次の瞬間ぐったりとその場にくずおれた。

「なんだ・・・どうしたんだ?」

と兵たちが言い、猪田艦長の男をつかむ手が一瞬緩んだ。と、男がまたばね仕掛けのように跳ねて立ち上がると、

「がっぺむかつく!!」

と叫ぶなりまた副長に躍りかかった。「やめええー!」と叫ぶ副長。猪田艦長は冷静に男の肩にもう一度手をかけ、そして優しくたたいた。

男はいやらしい、狂気さえ含んだような笑いを浮かべて振りむいた・・・と。

さっきより数倍の鉄拳が、男のほほに繰り出され男は今度こそその場に昏倒した。

 

男の身柄は『武蔵』から警備隊に移された。怒り心頭の副長が「事情聴取に参加したい」と言ってきかないので聴取に参加させる。

そして聴取の結果、男はここからかなり離れた<ラシガエ島>のたった一人の住人だという。たまたま自作の小舟で漁に出たのだが潮の流れを読み損ねてここまで流されてきた。見れば大きな艦がいくつも碇泊している、ここなら食料もあるだろうからと夜を待って『武蔵』『金剛』『摩耶』を順繰りに回って酒保に忍び込んで酒を頂戴した。

その時に薄暗い艦内を歩いた時、下半身の黒い股引部分は見えず幽霊に見間違われたと言った。艦内ではあちこち隠れるところがあったから見つかる心配はなかった。だが、あの時たまたま烹炊所付近にいてものすごい臭気に襲われ気を失っていたのだと言った。

「で?」と副長は言った、「それはともかく、食いものはどうしてたんだ?どこの艦も食料は減っていなかったが」。すると男はスカッパーから捨てられた残飯を夜陰に乗じてあさっていたと言った。

それにはその場の警備隊員嬢も、加東副長も「うっ・・・」と吐き気を催した。しかし、その男は平気な顔でいる。

ハアハアと気分悪そうに荒い息をつきながら警備隊長は、

「では貴様が乗ってきたという小船とやらはあれのことか?」

と言って外に係留してある木のフネを示した。するとその男は喜悦満面になり体を極端に左右に振りながら飛び跳ねて喜びを表す。どたんばたんと床が鳴って一人の警備隊員嬢が「やかましいわい、静かにせんか!」と怒鳴って男を小突く。

小突かれた男はその警備隊員嬢を怖い目つきでにらんでから、加東副長にいやらしい目つきをして笑って見せる。副長はあわてて目をそらした。

すっかり閉口した警備隊長は「よくわかった、では明日にも貴様をその<ラシガエ島>に船ごと送り届けてやる。が、その島は海図から抹消された島だろう?米軍の海図にも載っていないと来てるらしいじゃないか。誰か古い隊員に聞かないとわからんかもしれんなあ。まあともかく貴様は今夜はここの留置所で過ごせ」と言って、ふと小舟を見やり「ところであの船には櫂もなければ焼玉エンジンのようなものすらないが・・・どうやってここまで来たのだ?」とたずねた。不思議なことばかりでいろいろ尋ねたいことが多い人物である。

すると男はニヤッと笑うとその場に腹ばいになって両手を伸ばし、バタ足の様なことを始めた。そして皆の方を見て「ぐッ!」と言って右手の親指を立てて見せる。薄い髪の毛が乱れた。

「ま、まさか、あれをバタ足で押してきたっていうのかね!?」

加東副長が驚いて素頓狂な声を立てた。その副長に男はうなずくと、ばねのように飛び起きてまた抱きついた。

「やめええ!」

副長の必死な叫びが轟いた――。

 

翌日。

『武蔵』の猪田艦長・加東副長が見守る中男は海軍警備隊の小型警備艇に乗り、自作の木のフネは小型艇の後ろに曳航されていった。

男は小型艇の上で副長に向かって手を振ったり体を左右に振りながら飛び跳ねて別れを惜しんでいるようだった。時折黒い股引の股間に手を突っ込んでは「ドーン!」と言ってその中でこぶしを突き上げて、これには猪田艦長は「品がない」と眉根を寄せた。

遠ざかる警備艇、それを情けなさそうな顔つきで見送る副長に猪田艦長は

「副長。副長はああいう人にもモテるんだねえ。私は副長の新しい魅力を発見した気分だよ」

と言い、副長は少し怒ったような顔を作ると、

「猪田艦長!艦長は私の気持ちを知ってらっしゃるでしょう?・・・なのにそんなこと・・・」

と言って最後は少し悲しげにうつ向いた。猪田艦長はそっとその背中に手をやると、

「私はね、好きな人にはちょっとだけ意地悪してみたくなるんですよ。副長の気持ちは私はよく知ってますよ。ごめんね副長」

と言ってそっとその防暑服の肩を抱いた。

副長はなんだかとっても幸せな気分になったのだった。

 

そして件の男――自称・エガチャン――は、一日半の航海の後<ラシガエ島>が至近に見えてくると自分から小船を繋ぎとめていたロープを解き、全裸(・・)()なって(・・・)海に妙な格好で飛びこむと自作の小舟の後ろを・・・バタ足で押して<ラシガエ島>へと帰って行ったのだった。

その一部始終を目撃した(せねばならなかった)海軍警備隊長とその配下の隊員嬢たちは、「もう絶対会いたくない。あの海域には絶対行きたくない」と言っているとか。

ともあれ、『武蔵』をはじめとする艦艇の酒保の酒の問題も幽霊騒動も、こうして騒々しく幕を閉じたのだった――

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・

 

いい加減なお話でした(-_-;)

また出ました<ラシガエ島>の住人、エガチャン。どうも下品でいけません・・・というか一人で島に住んでいればこうなるのも必定というものでしょうか?

う~む・・・。
江頭さん

こんな人に抱きつかれたら・・・加東副長ご難でしたね(-_-;) 画像お借りしました。

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● COMMENT ●

matsuyama さんへ

matsuyama さんこんばんは!
エガチャンでした!!
あの人ほどこういう話のキャラクターにしやすい人もいないですね。動作に特徴がありすぎるからでしょうか。昨日はエガチャン動画を見ましたが…チョー下品でした(-_-;)
でも、おっしゃる通りひょうきんでなかなかいい笑顔ですよね。憎めません。
しかし、そんな彼に「セクハラ」?された副長の心中は・・・www。

そちらはもう寒いくらいですか!
東京は、昨晩からいよいよクーラーがいらなくなったと思っていたんですが今日また、蒸し暑くなってきたようです泣。
本当の涼しさはもうちょっと先のようです。
matsuyama さんも音に大切になさってね^^。

NoTitle

犯人はラシガエ島のエガちゃんでしたか。久し振りに見るエガちゃん、元気だったんですね。
急に飛び起きたり、ばね仕掛けのように跳ね起きたり、副長に下半身を押し付けたり、エガちゃんの特徴をよくとらえてますね。あのひょうきんな笑顔はなぜか憎めないところがあります。
被害にあった副長は迷惑だったでしょうけど、幽霊騒動、酒泥棒で緊張していた艦内に、ちょっとしたユーモアが見られてよかったんじゃないですか。

お彼岸を前に今日は涼しさを通り越して寒い位でした。気候の急激な変化に体調崩さないようお気をつけください。

酔漢さんへ

酔漢さんこんばんは!
「鬼の山城地獄の金剛、いっそ長門で首つろか」
とかいうざれ歌があったと聞いています。軍艦の規律って本当に厳しかったんだなあと思いますね。
『武蔵』・・・やはり一番艦の『大和』に負けるな、みたいな感じで厳しかったのでしょうか?
でも艦内写真『武蔵』多いですよね。もちつきの写真とかみたことありますね~。


そう、こんな落ちでしたww。
時々こういう形を取って読んでくださる皆さんを翻弄する悪い私です…(-_-;)

「規律の長門」

「地獄の金剛」「鬼の武蔵」武蔵艦内は大変厳しいかった・・と言っているのは、いつもの通り古村さん。
しかし、武蔵の艦内写真は多いですよね。案外大和よりのびのび?していたのかも。
そうか!こういう落ちだったんだ!
前に遡ってシュール缶詰の話を拝読してからのコメントになりました。
搭乗(じゃなくて)登場が遅れました。

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
そう・・・エガチャンでした・・・w。
悪い人ではないんですが見た感じが気持ち悪いのですぐには好感をもたれない人のようですね。やることも結構、えげつないので(^_^;)・・・。

今回連休もあったせいかなんかとても気分が乗っていました。一日に二本くらい書いて予約投稿した時もありましたから。
こういう時反動が怖いですが自分で制御しながらまた頑張りましょう~という感じです。22日は残念ながら仕事なので、仕事しながら話のネタを探します(ってまじめにやれ)。

まだ少し暑い東京ですが、秋を心待ちにしながら・・・・

NoTitle

幽霊の正体は蜘蛛男のようなエガちゃんでしたか。
確かに誰が見てもあまり好感のもてる人ではないですね。

今回の内容はテンポが良かったですね。少しご気分も晴れているのかな。
良い季節になろうとしています。きっと素敵なことが見つかりますように祈っています。
南の島に行ってみたくなりました。東京にいた時になぜ小笠原とか行かなかったのかと悔やまれてなりません。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
今回はサクサク書けました。なんか調子良かったです、そして落ちはあなたも私の大好きなエガチャンでしたあ!
確かにエガチャンって気持ちよくはないですがなんか魅かれるところがありますよね。結構あの人いい人なんですよね❤

実際のエガチャンを思い起こして読むと効果倍増。そして抱きつかれた副長に感情移入したら・・・!!

いなばさんへ

いなばさんこんばんは!
「大和」他でのシュール騒動、あれの時間差で書いてみました。

エガチャン意外と好きです❤

日教組や教育委員会、PTAはもう解散して法がいいんじゃないかと思いますね。無責任の上責任転嫁に終始しどうしようもない子供たちを量産した罪は重いですね。


エガチャンの出たCM。見たいですね~~!

こんばんは。おお、テンポよく話がすすんで、オチは私の好きな(笑)あやし~エガちゃんではありませんか!!(爆) もうエガちゃんの仕草や表情が想像出来るので、たまりませんわ!! キモいのだけれど、どこか男気を感じるのですよね。またゆっくりエガちゃんの魅力を感じながら読み返したいです( ̄ー ̄)

こんばんは。
エガちゃんとシュール缶のお話だったんですねぇ。(笑) ゆとり教育で日本をダメにした、教育委員会・日教祖・PTA・マスゴミはそれ以上の責任があります。彼らのオツムの悪さは、C国とK国並です。なんでも一番悪い人物を「A級戦犯」Aがトップなら、中学・高校のクラスは、成績順か?!。
そう言えば、数年前にこちらの中古買取店のCMにエガちゃんが出演していました。


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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