2017-10

女だらけの戦艦大和」・見合い写真1 - 2012.08.11 Sat

「蒼龍」航空隊の一員・飯田房子中佐は故郷からの手紙を手にしていた――

 

「蒼龍」は「飛龍」とともにインド洋に出撃していた。セイロン島に残るイギリス軍を航空部隊で撃破し、帰国の途に就く。

「蒼龍」柳本柳子艦長は戦いを振り返って、「いやあ、なかなか壮絶だったよ?今回は。だって敵さんも必死で来るだろ?<噴進砲>つかっちゃった!」と笑った。

「蒼龍」は試験的に搭載した<噴進砲>を飛行甲板に装備していてかつてミッドウエー作戦で使ったことがあったがそののちのハワイ守備作戦(米軍側呼称・「ハワイ奪還作戦」)では使うことなく終わったが今回・・・

 

イギリス軍の航空部隊が「蒼龍」「飛龍」をはじめとする機動部隊に襲いかかってきた。スピットファイヤの編隊である。それが「蒼龍」の直上、逆落としに突っ込んできた。「蒼龍」艦橋見張り員が

「敵機直上!急降下あ!!」

と叫ぶ。航海長が面舵一杯を叫び、だが、間に合いそうにない。

と艦長が「噴進砲発射せよ」と叫び、飛行甲板の一角が開くなりあっという間にそこから噴進砲が吹き出して・・・上空の敵機の中に飛び込んでゆき爆発した。

「蒼龍」は面舵で退避し事なきを得たのだった。

それを見ていた「飛龍」の山口たも司令官は戦闘の後、

「やっぱり<噴進砲>はいいなあ。うちも付けたいがもう無理かね?加来さん」

と言って加来艦長を振り返った。加来艦長は、艦内帽の下の瞳をクルリ、とめぐらして「無理、ではないと思いますがそのためには大規模な改修工事をせんとなりませんから、そしたらしばらく戦闘に参加できませんよ」と言う。

司令官は「それじゃあ困るね、じゃあ我慢するか」と言い二人は笑いあったのだった。

 

とそんなことがあったインド洋作戦であったが無事作戦を成功裏に終了できることができた。日本艦隊は「磁性塗料」などのおかげで敵の魚雷も食らうことなく済んだ。人的被害もなく航空機もむろん、損害ひとつない。

艦隊はまずスマトラ島方面へ進む。その途上で飯田中佐は

「飯田中佐、作戦前にとどいていた手紙がありました」

と従兵から受け取ったのが故郷からの手紙である。

飯田中佐は士官室に入った。そしてそこの椅子に座ると封筒の裏を確かめた。

(母さんか・・・いったいどうしたというんだろうか)

差出人は母親である。中佐はかすかに首をかしげながら封筒を開けた。そして中から便せんを引き出す。便せんには几帳面な母の文字がきちんと並んでいる。

飯田中佐は懐かしい母の文字を追う、母とはずいぶん会ってはいないがどうやら元気のようだ。故郷の町の事やら、家族親戚のことが書かれていて(大したこともなくやってくれてるようだね、よかった)とホッとした。

が、三枚目を読みだした飯田中佐の顔が少しだけ、曇った。

そこには

・・・房さんももういい年になりました。ですからそろそろ結婚を考えてはくれませんか?母は気が気でなりません。

そこでと言ってはなんですが、房さんの最近の写真をこちらに送ってはくれませんか?それをお見合い写真にして配りたいのです。

少し気になる方がいますのでその方にと思っています。出来るだけいい笑顔の房さんの写真を望んでいます。

なるべく早めにお願いします・・・

と書かれていたのだ。

飯田中佐は手紙をきちんと畳んで封筒に収めた。そして、ふうっと大きなため息をひとつついた。テーブルの上に両手を置いてそれを見つめながら、

(結婚かあ。母さんは私をいい年になってと言うが私はまだまだ若いし、軍務もこれもまだまだ忙しい。そんなときに結婚なぞ出来るわけもないししたくもない。そう急がなくてもいいとは思うのだが・・・)

と考える。

彼女たち航空将校の中で結婚をしているものは少ない。年若いというのもあるが「明日をも知れない命、旦那なんか持っていられないよね!」と言う搭乗員らしい気持が多い。飯田中佐もその一人だ。

飯田中佐は(うむ。どうしたものか、写真を送るのはたやすいことではあるがだが話をやたらと進めてもらっても困るしなあ)と悩みながら士官室を出た。

どうしたものか、どうしようと考えながら飛行甲板へ出た。

勝利を得た戦闘の後の満足感が飛行甲板に満ちている。甲板上を走り回る整備員や搭乗員、「蒼龍」兵員たちの足取りがそれを物語る。

 

ふと、飯田中佐が見やれば艦橋のふもとに数名の搭乗員――下士官のようだ――が群れている。ワイワイと何やら楽しげに見え、飯田中佐はさりげなく近寄って行った――

  (次回に続きます)

 

            ・・・・・・・・・・・・

 

久しぶりの飯田中佐です。

「結婚」!飯田中佐にもそんな話が来るようになりましたが本人はまだまだ気がなさそう。で、下士官搭乗員たちは何をワイワイしてるのでしょう?

次回をお楽しみに!

 飯田房太さん (画像お借りしました!)

モデルにさせていただいた「飯田房太」さんです。大正2年生まれ、海兵62期。いくつかの部隊や「蒼龍」戦闘機隊へ。とてもおとなしい方で「お嬢さん」と呼ばれていたとか。

真珠湾攻撃の際被弾し、ご自分は一人反転敵航空機格納庫に突っ込み自爆なさいました。その後遺体をアメリカ軍は丁重に葬ったと言います。



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● COMMENT ●

鍵コメさんへ

鍵コメさんこんばんは!

やっぱりぃ!!
そうだと思ったあ!…と言ったらいい気になるなあ!と言われちゃうかな?w
でも嬉しかったですよ~~ありがとう!!

私もこの映画また見たいです。
青春時代をもう一度!!


いつもありがとうございます、暑いですからくれぐれも御身大切にね^^!

柴犬ケイさんへ

柴犬ケイさんこんばんは!

本当に飯田さんは優しいお顔立ちが素敵な方です。このような方が自爆という壮絶ななくなり方をしなくてはならなかったというのが哀しいです・・・
二度と繰り返してはいけないことです。

東京はまた蒸し暑くなりました(-_-;)
土曜日は雨の予報でしたが降らず盆休み直前の店には「恵みの晴れ」でした!
雷が4時間半も!!
すさまじいですね・・・ケイチャン雷に慣れましたか。あまり暴れられても困りますからよかったかな!
冷房なしがうらやましいです~。もう秋が待たれる私です。
柴犬ケイさんも御身大切になさってね!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
娘を持つ親は、とくに女親は自分の経験も踏まえて娘には最良の結婚してもらいたいと思うのはいつの時代も同じですね^^。

私はいわゆる見合い結婚です。写真は父親に自宅で撮ってもらいました。
見合い結婚…いいような悪いような。仲人口にはご注意を!!

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!

飯田房太中佐本当に優しいまなざしが、女の子のように素敵な方です。ですが飯田さんも時代の子でなかなか内心には激しい闘志を燃やされて真珠湾攻撃に行かれました。
でも結果はなんと残酷な結果に・・・

自爆して果てないでも、と思うのは現代のわれわれの感覚であの当時の軍人さんたちにはもしかしたら当然だったかもしれませんがなんと残酷なことか。

こうした人たちの死を無駄にしない。そのためにはこの日本を未来永劫守ってゆく気概を養うことかもしれませんね。

「女だらけの航空部隊」もみんなお年頃・・・♡です。
いい人がいたらいいんですが・・・^^。

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

見張り員さん    おはようございます♪

いつもありがとうございます♪

飯田房太さんは優しい顔の方で若くして真珠湾で
自爆されて亡くなられて悲しいですね。
2度とそのようなことがあってはならないですね。

不安定な天候が続きますが東京は昨日は大丈夫
でしたか?
こちらは雷が4時間半も鳴り続けゲリラ雨が降り
庭の砂利も水たまりができました。
モミジちゃんは雷は平気ですが雷で大暴れのケイも
最近は怖がらずに落ちついて寛ぎ寝ていました。
こちらは朝・晩は涼しく昼間も2日間冷房なしで窓を
開けて風が爽やかです。
見張り員さんもお身体に気をつけてください。

こんばんは。やはり親は娘には良い旦那さんを~なんでしょうね。またこんなご時世だからこそ、普通の娘さんらしい気分を味わって欲しいのもあるのかなぁ…。
お見合いはしたことがないし、そーゆー写真もとったことがないので、どんな展開になるのか楽しみです!!

飯田房太さん、まるで女の子のような優しい面差しですね。
こんな人までも突っ込んで自死したなんて。時代が異なっていたらまったく違う人生だったでしょうに。心が痛みます。
こんな人たちのお蔭があったればこそを今の私たちは忘れちゃいけませんね。

結婚の話が出始める皆さん。年頃ですもんね。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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