2017-10

「女だらけの戦艦大和」・いざトレーラーへ - 2012.06.26 Tue

「女だらけの大和」ほかの艦艇は、小笠原父島を後にしていよいよトレーラー島に――

 

それを見送る父島駐在の海軍嬢や陸軍嬢たち。歓声をあげて帽子を振ったり手を振って見送る。その中に、あの毒蝮大佐もいて

「ああ、あの松なんとか言う変な中尉もあの船に乗って行ったんだねえ。もう一遍逢いたいものだが、逢えるかねえ」

と感慨深そうに傍らの参謀に囁く。囁かれた参謀はちょっとびっくりしたような顔で大佐を見て「毒蝮大佐殿はあの海軍さんに逢いたいのでありますか」と言った。毒蝮大佐は、

「そうだよ、いけねえか?俺はね、ああいう飛んでもねえ感じのやつが好きなんだ。なんていやあいいかなあ、ちょっと常人離れしたようなところがあるだろう。ああいうのを超人(ウルトラマン)って言うのかもなあ」」

と言って笑うと、『大和』を見やって

「また会えますな、松・・・松岡中尉殿」

と言って大きく手を振った。参謀もそれに倣う。その場の多くの陸軍嬢たちが「またねえ」とか「元気でなあ!」と声を上げる。

 

『大和』以下の小艦隊は一路、トレーラー諸島を目指す。

『大和』を真ん中にして一列縦隊で航行してゆく艦隊、南の日差しを浴びていよいよ勇ましい。

『大和』の前を行く「矢矧」、その露天艦橋で古村艦長が双眼鏡を握って時折それを目に当ててあたりを見ながら副長に何やら話しかけている。

古村艦長が、双眼鏡を持ったまま艦橋の後ろに行った。そしてそこで後ろの『大和』を双眼鏡で見た。

(梨賀の野郎、どうしてやがんだか)

と言っても艦と艦の間は1千メートルから離れているので相手の顔までしっかりは見られはしないが兵学校以来のライバルとしては気になるところか。

(あの辺にいるんだろうか、それとも艦長室かなんかで呑気に紅茶でも飲んでやがるかね)

ゆっくり検分してゆく・・・と。

「あ、ああああ!!!」

ものすごい大声が古村艦長の大きな口から吹き出す。何事か、と和田副長がすっ飛んできた。

「どうなさいました、艦長?」

そう問う副長に、古村艦長は震える指先で『大和』を指差した。副長はけげんな表情で「『大和』がなにか?」と言った。

古村艦長はまだ震える指で『大和』を指したまま、「あ、あ、あのあのあの」と言う。副長は等々艦長の背中をドン!と叩くと

「どうしました古村艦長!しっかりなさいませ」

と少し声を荒げて艦長を励ました。古村艦長はやっとのことで、ごくっと喉を鳴らすと

「あれ、『大和』の前牆楼のいちばーん上を見て!ほら、あれ・・・」

と言って「矢矧」の後ろを疾駆してくる『大和』を指差す。和田副長が「いったい何なんです」とつぶやきながら双眼鏡を目に当てて古村艦長の言った方を見る。

「わああ!古村艦長あれはぁ!」

和田副長はわれ知らず大声をあげていた。

「チックショー、梨賀の野郎私に意地悪するためにあんなものを!」

・・・そう、『大和』トップのトップにはあのハッシー・デ・ラ・マツコは鎮座していたのだった。古村艦長の脳裏にあのへんな鳥に襲われたあの恐怖がよみがえる。

「あんなものを飼いならしやがってえ・・・くっ、悔しい」

言うなり古村艦長はその場にうち伏して泣きだしたのだった。

 

そんな「矢矧」での騒ぎを全く知らない『大和』では、

「総員適宜散髪せよー」

との副長からのお達しが。艦内放送でそれを聞いた一部の兵隊たちは「ええ!?せっかくここまで伸ばしたのに~」と不満たらたらであったが副長の言いつけとあればそむけない。もしそむいたら甲板士官の怖い罰直も待っているだろうし。

「まあ、仕方ないか。髪はまた伸びるからね」

「南方の熱いところに帰るんじゃけえ、仕方ないわ」

「ほうじゃ。あのなあ、スケベは早う髪が伸びるんじゃと」

「ええ、まさかあ?」

「ほう!じゃけえ、沢村少尉は髪が伸びるんが早いんじゃね!」

「おお、あのエロ姫ね」

等々騒がしい。

ともあれ手すきの兵員から理髪室に行って散髪。理髪手嬢たちも久々の大人数相手で張り切っているから普段より力がこもったか、

「はいっ、出来ました。おお、ええ仕上がりじゃわあ~」

と言って、鏡を見せるとその兵は「ぎゃあ!こがいに短あなってしもうて、男みとうじゃー!」とわめいて泣きだす。それでも順番を待つ兵は、

「ええでないか、それだけばっさりやったら当分切らんで済むけえ、ありがたい思え!」

と怒鳴る。

航海科の見張兵曹も、小泉兵曹や石場兵曹たちと髪を切りに理髪室に。三人で互いを見あっては、

「ずいぶん伸びたのう、ここんとこ切らんじゃったから鬱陶しいわ」

「ちょうどえかったわ。うちは切りたかったけえね」

「小笠原でもずいぶん暑い思いをしたけえトレーラーはもっとじゃ。早う切りたいわあ」

とこれもやかましい。

そして理髪手嬢たちに案内されて三人それぞれ散髪用の椅子に腰を下ろす。

やがて散髪を終えて三人は顔を合わした。

「わあ、オトメチャンええわあ。なあ、石場さんよ、オトメチャンかわいいのう」

小泉兵曹が言うと石場兵曹はじっとオトメチャンを見つめた。オトメチャンは石場兵曹の視線を面映ゆげに外した。小泉兵曹が石場兵曹を見て、

「どがいしたんじゃね、石場さんは」

と言うと石場兵曹は視線をオトメチャンから外さないまま、

「美しい。・・・オトメチャンの美しさが、うちには怖い」

と言って小泉兵曹や周囲の兵の失笑を買っている。

さて散髪もほとんどの兵員が終え、あと残るは内務科の岩井少尉と航海科麻生分隊士、機関科の松本兵曹長、機銃分隊の増添兵曹だけになった。

松本兵曹長は理髪手嬢に、

「思いっきり切ってくれんさい。熱いとこの配置じゃし、また暑い土地に帰るんじゃけえおもいっきりやってくれんさい」

と頼んだ。その通り思いっきり切った松本兵曹長、理髪室を出て、切ったばかりの頭を撫でると「こりゃええわ。うちはやっぱり長い髪より短い方が性にあっとるわ」と大喜び。麻生分隊士と岩井少尉もさっぱりした髪になってお互いを見やって

「よう似合うとりますね」

と褒め合う。この二人は普通の短髪。そして「増添兵曹はまだかいね」と松本兵曹長が言ったその時。

理髪室から悲痛な叫び声が聞こえて来た。「なんごとじゃ!?」と三人が理髪室に取って返すとそこには綺麗に生えそろったばかりの前髪を、バリカンでごっそり刈られて大泣きの増添兵曹がいた。

理髪手嬢は大変驚き、かつ恐縮して「申し訳ございません、いや、後ろの髪が短かったけえ、前も後ろにあわしたらええかと思うて。ほんまにすみません!」と謝っていた。

岩井、麻生、松本の三人はあまりに気の毒で声も掛けられず、そっとその場を離れていた。

 

そんなこんなの「女だらけの大和」、トレーラーまであと少しである――

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

また、トレーラーでの生活が戻ってきます。

古村さん、とうとうマツコを見つけてしまいました。というかちょっと情報が遅すぎますね。ハシビロは呉の街でもあれほど大人気だったんですから耳に入れてくれないと・・・ブツブツ。

増添さんは大変お気の毒でした。でも日はまた昇る、いや、毛はまた生える!

手動式バリカンくん
バリカンくん。昔中学のころ同級生の男子が担任の逆鱗に触れてみんなの面前でこいつでもって丸坊主にさせられていました。その日から卒業するまで彼は丸坊主を通しましたっけ。


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● COMMENT ●

ジスさんへ

ジスさんこんばんは!
お疲れ様です!

なんだか夏が来るというと心が浮き立つ部分がありますね~^^。

やはり、スケベは髪の伸びが早いといいますよね!私もご多分にもれず早いです^^。

おじい様に散髪してもらっていた風景、ほのぼのしますね。ほほえましいお爺さんとお孫さんのワンシーンが目に浮かびます。
私も母が短髪が好きだったせいか、私も<サボ>なるバリカンみたいなものでバリバリ切られ(というより刈られたというほうが正解です)、外に出れば「男の子」と言われる始末でした(泣)。

でも年とった今(-_-;)、もう短髪のほうがめんどなくっていいですねww。

こんばんは。いつもありがとうございます。
今週もご無沙汰しておりました。

暑い夏がやってくる、そんな雰囲気を楽しませてもらいました。
確かに昔からスケベな奴は早く髪が伸びるって言いましたね。
言われてみれば私もかなり早いほうかなとwww

昔は家で祖父にバリカンで散髪してもらっていました。しばらくして「スキカル」っていう電動のが出てきてバリバリやられた記憶があります。
懐かしい子供の頃の思いでです。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
懐かしいでしょう、このバリカンくん。
そう、私たちが子供のころはまだ後ろ刈り上げ・わかめちゃんカットが幅を利かしてましたね。私の友達もわかめカットか短髪が多かったです。長くしてる子は殆どいなかった記憶があります。

ローマの休日!
ヘップバーンカットですね、あれ可愛いですね^^
オトメチャンもきっと・・・!

こんばんは。バリカン、懐かしいですわ~幼い頃は後ろは刈り上げのワカメちゃんヘアでした。今は小さいうちからパーマをかけさせる親がいたりして、おいおい…です!!
オトメちゃん、私の中では「ローマの休日」みたいな感じになっています♪可愛い~(笑)

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
あの頃は親も本人も「悪いことしたんだから仕方がない」という感じだったですね。
今なんかこんなことしたら本当に大ごとになりますね。モンスターペアレンツが黙ってないでしょうし、子供も変な知恵が付いてますからまさに国を二分してしまうことでしょう。
善悪を教えるはずの親も教師も、彼ら自体がきちんとしつけられていないところが多くもうどうしようもない日本。
日本の行く末が大変気になりますね。

マツコ、何だか『大和』の重鎮のようになってきました。
マツコはトメキチよりは少し大人でそれなりに苦労もしましたのでものの本質を見る力もそれなりにあるかも知れません。
至極まともな鳥だったということですね^^。

おお、剛力あやめちゃん。
彼女いいですね、清潔な感じがして。私が彼女を好きな部分のひとつに「短い髪の毛」があります。どうも最近髪をゾロッと長くしてる女性が多くどうかすると没個性に見えがちですが、彼女のはつらつとした短髪を見ると元気が出ます!
まろにいさまがポスターに見とれていたそのお気持ち・・・よ~~~く分かります!!!

みんなの前で丸刈りの刑かぁ。先生も勇ましかったものです。それがごく当たり前の……、親が口をはさむ必要のない学校の先生の姿でした。今では国を二分するくらい大変な大騒ぎになるでしょうね。悪を認めて正義や道理を退けるのが今の世ですもんね。子供たちもそれが沁みてしまって善悪の判断がまったく乏しくなってしまっています。だから年ごと、日ごとにエスカレートする凶悪犯罪が後を絶たないのでしょうね。

マツコさんの存在が殊のほか輝きはじめましたね。
大海原の風に当たりながら、堂々とトップのトップから睥睨する姿を連想するだけでもカッコよさが溢れています。言っていることがごく自然で、心の本質を捉えているように聞こえはじめました。

今年の靖国神社みたま祭のポスター。モデルは剛力彩芽ちゃん!!
昨日、護国神社に貼られていたのをニヤニヤしながら見つめてしまいました。イカン、場所をわきまえないただのスケベ親父だ。十分堪能したあとで気付きました。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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