2017-10

「女だらけの戦艦大和」・マツコの恩返し2<解決編> - 2012.06.10 Sun

マツコは(恩人の梨賀艦長の天敵のコムラに一矢報いよう!)との気概から、島の森へ行くとあるものをくわえて来た――

 

ハシビロコウの意地にかけて、マツコはその身の丈よりも大きく太い木の枝をくわえて来たのだった。これで、(館長の嫌いなコムラをやっつけてやるわ、任せなさいよ!)と思うマツコ。

マツコは風にあおられ、飛びにくい状態ではあったがそれでも意地を張りとおし、やがて「矢矧」上空に。

下を見ればまた古村艦長以下は甲板の掃除に忙しそうだ。

マツコが偵察していると細かい枝やごみや魚を集積場所に決めたところに置くと、腰を伸ばして空を仰いだ。

その古村艦長の目に不思議な飛行物体が映る。

「なんだあ、あれは」

と艦長が声に出すか出さないうちに、マツコは木の枝をくわえて急降下してきた。零戦猛者もありなんと言うくらいの華麗な急降下である。余談ではあるがマツコは今まで訓練で零戦や艦爆などの急降下の様子をつぶさに見ていて、ひそかにまねをし、やがて己も体得するにいたったのである。実は結構な努力家である。

ともあれ、マツコは古村艦長めがけて急降下し、古村艦長の上に太い木の枝を投下してさっと急上昇。

事態が飲み込めないままそれを見上げていた古村艦長こそ、いい災難であった。

ドサッ!と重い音がしたと思ったら「ギャーー!」と古村艦長の叫びが轟いた。轟いた叫びに驚いたのは副長以下のその場の連中で、

「わああ、艦長、しっかり!」

「いったい誰がこんなものを!」

と大騒ぎ。古村艦長は太い木の枝の下敷きになってもがいている。しかもその枝には葉っぱがたわわについていてさらに重量感が増している。

和田副長たちがあわてて木の枝を取りのけた。艦長しっかり、と言って抱き起こす副長に古村艦長はハアハアと息をついて起き上がる。その額からは木の枝で引っ掻いたためか少し血が出ている。

「・・・鳥が、私にこれを投下した」

と艦長は荒い息のままで言った。額を右手の甲でこすると少しの血がついた。引っかき傷のためか、ひりひりする。

「鳥、でありますか?」

言われた副長、その場の下士官や兵たちはけげんな表情になった。鳥がこんなものを投下するだろうか?

皆の不審げな表情を見た艦長は、バッと立ちあがると空を指差して

「鳥ですよ鳥!でっかい見たことのない鳥がこれを私に向かって落としたんだってば!嘘じゃないって、嘘なんか言って何の得にもならんでしょうがあ!!」

と怒鳴った。和田副長が、「はあ、まあ・・・」と言った時、勝俣兵曹が「あ、あれなんでしょう!」と叫んだ。彼女が指差す方を見れば見たことがない大きな珍奇な鳥が集めてある木の枝の上で何かつつきだしているようだ。

古村艦長は、

「こらあ、貴様なにしてる!ここを帝国海軍の巡洋艦と知っての狼藉か!」

と怒鳴って鳥の方へと走った。マツコはふてぶてしい笑いを浮かべると、

「知ってるから来たんじゃないの。バカな女ねえ。さあ、あと一発くらいお見舞いしてやりましょうかねえ」

と思うなり。

向かって来た古村艦長の顔めがけて、その大きな口いっぱいに含んだ魚を

ブ―――――ッ!!

と吹きつけたのだった。台風で甲板に打ち上げられた小魚やら名も知らない魚を、古村艦長はその大きな顔面で受け止めてしまった。

「ぐえええ!!」

と古村艦長はうめくとその場に昏倒してしまった。マツコが吹き付けた魚は、言うまでもなく集積場所のごみの中からつつきだしたもので若干腐敗してきてるものさえある。

それをもろくらっては、豪胆で知られる古村艦長もひとたまりもない。

副長たちが「わあ、艦長お気を確かに!」とか「衛生兵を呼べえ!」とか「心臓マッサージをしよう」と阿鼻叫喚に陥っているのを尻目にマツコは、

「今日はこれで勘弁しとくわよ。でもまたうちの艦長に何かしたら次はもっとすごい奴をお見舞いするからね、いいわね!」

と毒づくとその場から舞い上がった。

下ではもう、マツコの存在など忘れて古村艦長の介抱に大わらわである。

「女だらけの大和」へと去りゆくマツコの目の端に、担架に乗せられてゆく古村艦長の姿が入って消えた。

 

そしてマツコは何事もなかったように『大和』のトップに舞い降りた。

麻生分隊士が見つけて

「あ。ハシビロのやつ帰ってきよったで。おい、ハシビロ貴様どこいっとったんじゃね」

と両手をメガホンにして怒鳴った。それを聞きつけて見張兵曹だとか小泉兵曹、石場兵曹そしてトメキチがが麻生分隊士を取り囲んで上を見上げた。

「あっちこっち行ったらいけんで。もうすぐ出航じゃけえね。置いてきぼりになるよ、ええんかそれでも」

石場兵曹が怒鳴るとマツコは

「アタシには羽があるからちょっとくらい置いてきぼりになっても平気だってば。もうこのおたんこなす!・・・でも、いい復讐ができたわ」

と言ってホホホと笑う。トメキチが

「ねえおばさん、フクシュウってなに?」

と聞くとマツコはその金色の目で遠くを見つめると「今は教えない」と言って大きな口を開けた。

すると―――その口から魚が一つ、飛び出して指揮所の床に落ちた。

 

その頃「矢矧」では古村艦長が医務室のベッドの上で息を吹き返し、

「いったいなんだあれは。私はあんなものにあのようなひどい目にあわされる筋合いもかかわりもないんだが」

と首をひねっていた。まだ古村大佐の鼻腔の奥には、さっきの魚の匂いが残っていて少し気持ちが悪い。

 

『大和』ではまさかマツコが恩返しの一環として古村大佐への復讐を果たしていたとはつゆ知らない梨賀艦長が出航準備にかかり始めている――

 

        ・・・・・・・・・・・・・・・

 

マツコの恩返し。

いや恩返しと言うより復讐劇っぽかったですね。古村さん、大変な目に遭っちゃいました。が、どっちの艦長も真実を知らないのだからまあ、いいか!

  ハッシ―
「あたしが、マ・ツ・コ。ハッシ―・デ・ラ・マツコ。任務完了よ」(画像お借りしました)


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● COMMENT ●

鍵コメさんへ

こんばんは
喜んでいただけて良かった!!
これは本当に見のがしたら一生後悔しちゃいますね!

本誌もですが付録もちょっと期待できそうですワクテカ・・・!!
これでビデオの件、帳消しにしてくださるといいなあ~^^。

なんだかこのところ肌寒くて困りますね、どうぞ御身大切になさってくださいね^^。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

matsuyama さんへ

matsuyama さんこんにちは!
慣れてくるとこれほどかわいいやつもないだろう、というくらい愛らしい気がします。目のあたりの表情は、まさにひょうきん者のそれを感じますね^^。

マツコも「女だらけの大和」で日々学んでいるようです。
今回は梨賀艦長への恩返しでこうなりました。彼女なりに義憤に駆られての行動でした…が、この先どうなりますか。
通り魔的ハッシーはいただけませんからね^^。

ひょうきんな顔をしてますね。
長良川の鵜飼を思い出しました。ハシビロウのあの大きなくちばしから吹きつける魚は、威力があるでしょうね。急降下爆撃も相手を威嚇するには効果てき面かもしれません。
マツコはマツコなりの復習を企てていたんですね。思いやりがあるんですね。生きていく上では相手を思いやる気持ちが大切です。
魚を吹き付けたり、急降下爆撃を敢行するだけではいけません。それじゃただの通り魔ハシビロウになってしまいます、よね。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
マツコ大活躍の巻きでした!喜んでいただけてうれしいです♪
この写真のハッシー、いい表情ですね。毛並み(羽並み??)も美しいこと・・・うっとりしますね。
艦長の座を狙っているといううわさもあながち嘘ではないかも???

またよろしくお願いいたします^^!

こんばんは。うふふ~ものすごく得意そうなマツコの表情がたまりませんわ~なんてナイスな写真!!義理人情にアツいマツコ、いつか親分と呼ばれる日がくるかも!?(笑)
今回も楽しかったです~ありがとうございました!!

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!

恩返しというより単なるかたき討ちみたいなことになっちゃいました、マツコさんでしたw。
ハッシーのマツコさん、意外と義理がたいです。
日本人っぽいですね^^。

本物のマツコさん、結構いいことおっしゃってますね。人は外見で判断してはいけないといいますが彼女にも当てはまるような気がします。

このハッシーの滑らかな羽毛。ナデナデしたいですよね~♡。
千葉市動物公園というのがありまして、これは実家の割と近くにありますから行ってみたいと思うのです。実はここに・・・・
ハッシーがいるのです!!

取材に行きたい~~~^^。

今日は変な雲の多い一日でした、夕方からものすごい大雨になり一時間ほど降りまくりました。
うっとうしい季節も「女だらけ~」は気分爽快でゆきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
まろにいさまも御身大切にお過ごしくださいませ。

可憐な鶴の恩返しならぬマツコの恩返しは派手でしたね。思いがこもっている!!
でも恩義を忘れずに仇を討つなんて立派でした。
不逞な面構えもなんだか可愛く見えるのは、最近の人間のマツコさんと同じでしょうか。あちらのキャラと存在に慣れてきた私です。良いことを言ってるし……。
ハッシーの顔はビロードのような羽(??)ですね。

東京も梅雨入りしましたか。
暫くは鬱陶しいことですが「大和」で気分爽快にさせて下さいね。心地よく読ませて頂いていますがご努力に敬服です!! くれぐれも御身お大切に。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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