2017-10

「女だらけの戦艦大和」・壮大な作戦3<戦闘> - 2012.03.19 Mon

一式陸攻と九七式重爆撃機は低空でシドニー近郊の人家のない海岸べりから侵入した――

 

万が一にも敵の電探に引っかからないようにぎりぎりの低空で飛ぶ。帝国陸海軍の航空機には海軍技研が開発したいわゆるステルス技術を施してあるため敵の電探にかかりにくくなっている。が、「万が一にも敵の電探に引っかかり作戦を失敗させてはならない」との海軍と陸軍の共同部隊の思いから超低空でのシドニー侵入となった。

多少不安げな表情を浮かべて装備をもう一度点検する陸軍空挺隊員に奥山大尉は「大丈夫だ、今回の操縦士は一番腕のいいのを選りすぐったからめったなことはない。大船に乗った気でいろ」と励ます。それを聞いた一人の下士官がひょっと顔をあげて「海軍だけに大船ですか?」と言い皆は大笑いとなり、一気に変な緊張が緩んだのはいいことであった。

海軍の一式陸攻の編隊が陸軍機を先導する格好で飛んでゆく。一式陸攻の偵察員は暗い陸上を見張りながら「いやあ、陸さんを先導するなんて一生に一度あるかないかの貴重な経験ですねえ。しかもこの作戦、陸軍の空挺部隊が一緒ならまさに矢でも鉄砲でも持ってこーい!ってな感じですねえ」と言い、機長の中尉は「ほう、陸さんだけに矢でも鉄砲でも、か!ウハハハハ!」と笑いだしこちらも一気に和む。

 

やがて、シドニー郊外にさりげなく、といったふうに作られた工廠が見えてきた。海軍機の機長は平文の無電で<本能寺>と打った。これこそが両者の間で決められている攻撃の合図で、それを受信した陸軍の重爆は攻撃隊形に展開。それを確認した海軍機も攻撃隊形に展開し、ここで高度を取る。今夜は月明かりもなく、工場の常夜燈の明かりを頼りだが各航空機から空挺隊員が降下を始めた。

夜のシドニー郊外の静かな空に、白い落下傘の花が次々に咲いた。

海軍機の機長は「おお、見ろ。夜に咲く白いバラの花だ。きれいなもんだ」と感嘆している。

 

工場の大きな建物を取り囲むような格好で数え切れないほどの空挺部隊員が着陸し、落下傘を切り離して銃を素早く組み立てるや一散に走りだす。

奥山大尉は海軍の斬り込み部隊隊長・山田ゆう少佐と顔を見合わせると軍刀を引きぬいて走った。

四方から日本軍嬢たちが工廠に向かって斬りこんでゆく・・・

 

そのほとんど同時刻、艦爆隊は隊長機からの信号を受けて敵空母に向かって一気に突っ込んで行った。

そしてそれと同じに空母の周りに静かに<イルカ型>特殊潜航艇が展開し、さらに<クジラ型>が静かに浮上を始めている。

「ん?なんだ、おお、見て見て~!艦の周りにたくさんのイルカさんが!」

アメリカ空母の見張り員が狂喜して海面を指して叫ぶ、その声を聞きつけて手すきの兵隊が集まってくると「キャー、可愛い~」「こんな夜に珍しいねえ、きっとあたしたちのことを守ってくれてるんだよね~」と大騒ぎ。

そこに。

急に飛行機の爆音が近付いてきてはっと顔を上げたアメリカ軍嬢たちが見たものは、次々に飛行甲板に着艦を果たす――日本の飛行機だったのだ。

「ギャアア!」と言う叫びに、サンドイッチをぱくつきながら「いったい何わめいてるのよ~。それに誰が来たの?ごうごううるさいけど」と文句たれながら艦橋に上がってきたマドレーヌ艦長は甲板の光景を見ると驚きと恐怖のあまり口に入っていたサンドイッチがぼろり、と落ちたのも気がつかない。

副長がこれもあわてて上がってくると大声で「総員斬り込みに備えよ!」と叫んだが、時すでに遅かった。

降り立った帝国海軍航空兵たちは銃や手榴弾、小型噴進砲などあらゆる武器を構えているではないか。

しかも、今まで<かわいイルカちゃん>と思っていたものは特殊潜航艇でありそれが夜の海面にその身をヌルヌルと光らせながら浮上し、しかもそれらの乗艇員も武器を構えている。

更にその後ろに大きなクジラがいる、と思ったらこれも巨大な特殊潜航艇で噴進砲の砲口を空母に向けているではないか。

マドレーヌ艦長とスコーン副長は真っ青になってそれを見つめている。しかし震える声で、

「あなたたち、こんなことしたってうまくいかないわよ。大体あの潜航艇の砲が火を噴いたらあなたたちも死んじゃうのよ?」

と言った。英語の堪能な大柴るり子少尉がズイッと前に出ると機体から外したような機銃を構えて

「我々に投降しなければあなたたちは死ぬことになる。あの潜航艇の噴進砲がこの空母ともう一隻の空母を真っ二つにするだろう。そして<イルカ型>の潜航艇が大量の魚雷を発射しあなた方の空母は粉になるだろう。我々は死ぬことは恐れないし、死ぬことを前提にここに来た!」

と大音声を発した。

そこにわらわらと空母の乗組員が甲板に上がってきたがその場の異常な空気に凍りついた。が、一人の水兵嬢が持ってきた銃を日本軍嬢たちに向かって放った。しかし、動揺して放ったその弾はどこにも当たらず闇に消えていく。大柴少尉はすばやくその水兵の足元に的確な機銃の弾を撃ち込んだ。水兵嬢はキャーっと叫んでその場にしゃがみ込む。大柴少尉はそして、

「その場に伏せー!武器を捨てろ、両手を頭の上にしてその場に伏せ!おかしな気を起したら命はないぞ、死にてえ奴は撃ってこいこの野郎」

と怒鳴り、その場のアメ嬢たちは従った。その彼女たちを縛りあげ大柴少尉を伴って艦爆隊長の小栗大尉は艦長に近寄って行った。小栗大尉は自慢の軍刀を握って。

そしてこれも帝国海軍嬢に縛りあげられているマドレーヌ艦長に「他の乗組員をすべてここにあげよ。おとなしくすれば命は助ける。搭載の武器はその場に置いてこの場に来るよう命令せよ。おかしなことを言えばここにいる少尉に全てわかるぞ、いいな」と言い、軍刀をスラリと抜いた。艦上の明かりに軍刀が光って、マドレーヌ艦長は恐怖で涙を浮かべつつ艦内放送マイクを取って

「皆落ち着いて聞いて?『アホーネットⅡ』は日本軍の手に落ちてしまいました。皆、武器はすべてその場に置いて飛行甲板に集合してちょうだい。決して反抗してはいけないわ、殺されるから。お願い、艦長のお願いよ」

と放送。さすがに顔色を失った空母乗り組み嬢たちが集まり、そのすべてが囚われの身となったのだった。

この光景は『ヨーダタウンⅡ』でも展開され、二隻のアメリカ空母は潜航艇によって日本軍基地に曳航されて行く――

 

そしてシドニー郊外の飛行機工場では・・・!

  (次回に続きます)

  

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

なんかものすごいありえない展開になりました!

さあ、空挺部隊はどうしたでしょうか。斬り込みに成功したのでしょうか?

 

「空の神兵(昭和十七年)」

パレンバン、パリクパパンに降下した落下傘部隊を歌ったものと思います。きれいな旋律ですね。



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● COMMENT ●

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!

平常心と申しましょうか、やはり緊張感も大事ですがリラックスも大事よ・・・と申しておりましたよ^^。

マドレーヌ、しょうもないですね。
だんだん書いているうちに自分で混乱してきました(^_^;)、解決編なんですがうまく話がつながっていますように!!

いつもありがとうございます^^。

こんにちは。戦闘前にリラックス~なでしこジャパンのような皆さまに拍手ですね!! マドレーヌのおまぬけさが一段と…ぷぷ!! 早く続きが読みたいで~す(*^^*)

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まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!

夜襲とか夜戦は日本軍が得意としたものです。夜目が効く日本海軍の見張り員をアメリカ海軍は「キャッツアイド・ルックアウト」(猫目見張り員)と呼んで畏怖していたそうです。

今現在の日本人で「命を惜しまない」と言って実行できる人は・・・いないと思うのです。震災の時の自衛官にはそれを感じましたが一般は・・・。

三島文学は日本人の崇高な精神を映した極地の文学ですね。美しい文体が哀しささえ感じさせます。
まさに『滅び』の精神の表現だと思います。
若い人にこそ読んでいただきたいですね^^。

夜襲、奇襲の攻撃ですね。
アメリカの狼狽と恐怖のサマが臨場感たっぷりにありありと目に浮かびます。
命は惜しまない……。今どきそんな日本人がいるでしょうか。
息子の春休みの読書感想文の課題が金閣寺と雪国です。ちょっと読んでみるかと金閣寺を先に……。
三島文学は滅びの美学ですね。個の武士道ではなく国粋をしっかりと踏襲しています。
これは息子ごとき若者には難しいかもと思いました。でも日本語がきれいです。こんなにきれいな日本語があったのかと驚いています。


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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