2017-10

「女だらけの戦艦大和」・壮大な作戦2<開始> - 2012.03.18 Sun

この作戦が開始される少し前のことである――

 

オーストラリア周辺でおかしな動きがある、という情報が海軍ニューカレドニア基地から軍令部に入ってきた。陸軍部隊と連携の上調査するとオーストラリア東部シドニーに置いてアメリカ軍が関与した動きがあり「どうやら飛行機を大量生産している」工廠があるらしいことが分かり、その動向に注視していた。

その矢先、米空母が目立たぬようにではあったがオーストラリア本土に向かう様子を見せているのだ。「オーストラリアで生産した航空機をかの地で空母に乗せ、帝国基地やあるいは本土を狙う計画ではないか、由々しき事態である」と言うことになり、空母部隊の出動になったのだがそれと同時進行の形で航空機の生産工場と生産された航空機を破壊しておく必要がある。

そこで、空母部隊が出撃したのと同時刻に海軍・陸軍の落下傘部隊が共同で降下しそこを叩くことになり、『海・陸共同空挺部隊』が結成され一式陸攻(海軍機)および九七式重爆撃機(陸軍機)に登場した空挺部隊員総勢千五百名が斬り込みをかけることになった。

出撃に際し陸軍の奥山道江大尉は「今回の作戦は帝国の存亡にかかわる大作戦である。皆心してかかるように。海軍との共同作戦であるがどうかお互い助け合って臨んでほしい」と訓示。陸軍嬢たちの士気が上がる・・・

そしてとある晩、一式陸攻と九七式重爆撃機の大編隊は一路オーストラリア・シドニーを目指した。

 

さて、太平洋。

敵空母は二隻だけで粛々と進んでいる。そのうちの一隻「アホ―ネットⅡ」のマドレーヌ艦長は鼻歌を歌いつつ艦橋にいる。それを見ながら副長のスコーン中佐が「艦長、呑気ですね。この辺はジャップがうようよいるあたりじゃないですか・・・護衛もなしでこんな作戦成功しますかね?私が下手なバスケットの試合でシュートを決めるより難しいですよ」と双眼鏡を握りしめながらぼやく。

マドレーヌ艦長は笑って「副長は心配性だねえ、大丈夫よ。だからこそ目立たないように二隻で来たんじゃないの。これでひと月のうちに十隻がそろえば日本への空襲だって夢じゃなくってよ。もう現地では飛行機の生産が終わってるはずだから後は積むだけ、素晴らしいアメリカとオーストラリアの共同作戦!いよいよジャップを叩き潰す時が来たわね」と艦橋を浮き浮きと歩き出す。

スコーン中佐も「なるほど。でしたら心配ないですね」とほほ笑んだ。通信長が「ジャップはこちらの動静に全く関心がないのかなんなのか、動きがないようですし。奴ら馬鹿ですよ、あほな音楽が終日流れているんですから」と言って大笑いして手にしたコーヒーカップを口に運ぶ。

マドレーヌ艦長は「もう、勝ったも同然だね。今のうちに乗組員に休息を取らせて?向こうに着いたら飛行機を積んだりなんだで大変になるからね」と言って、じゃあここをお願いね、と艦長室に降りて行った。

通信長がきらめく海原を見つめて「おお、イルカの群れがいるよ。あたしたちを祝福してるみたいね」とほほ笑んだ。

 

そのイルカの群れこそ・・・帝国海軍がほこる<新・特殊潜航艇>であるのだが知らぬが仏である。

 

日本海軍は新しく開発された塗装を潜水艦に施している。それは敵のソナー・電探に引っかからない塗装でこれに海軍技研は長い長い時間と費用を費やしてきたがこのたびようやっと実用化にこぎつけたものである。

その性能には実験段階から軍令部も潜水艦司令も舌を巻くものだった。「素晴らしい。まったく電探に反応がない!」これなら姿を見つけられない限り、特に夜間攻撃に威力を発揮するものであろう。

その塗料を身にまとった潜水艦部隊、新・特殊潜航艇が今敵空母に肉薄しつつあった。

更に海面近くの<イルカ型>の下、海面下二十メートルほどのあたりを<クジラ型>の特潜が数隻、潜航中である。

乗組員は皆「その時」を今か今かと待っている。

 

やがて、水平線のかなたに太陽は落ち海面は黒一色になった。「アホ―ネットⅡ」と「ヨーダタウンⅡ」は互いに発光信号を送りながら航行してゆく。

艦内ではアメリカ海軍嬢たちがそろそろ夕食を準備の時間である。腹をすかした兵たちが嬉しげに支度にかかっている。

 

「飛龍」「蒼龍」からの艦爆の編隊が、彼女たちをついに捕捉した。

今回の艦爆隊長は「飛龍」の小栗旬子大尉、「見つけた。・・・行くぞ!」と短く言うと九九艦爆は全機がその機体を大きくひるがえして夜の闇に消えて行った。

そして同じころ、夜の闇をまとったシドニーの航空機工廠に一式陸攻と九七式重爆撃機の大編隊が覆いかぶさろうとしていた――

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・

 

いよいよ作戦開始ですが、一体どんな?しかも夜の闇を突いて、とはどういうことになるんでしょうか?

ご期待下さい。

作中の「奥山道江」大尉のモデルにさせてもらいましたのは陸軍の<義烈空挺隊>隊長の奥山道郎大尉。陸軍士官学校第53期。豪放磊落、竹を割ったような気性で部下思いだった方です。
沖縄戦の「義号」作戦で沖縄本島北飛行場に強行着陸、斬りこみましたが部隊員ともども玉砕しました。
この時奥山大尉26歳。
↓義烈空挺隊出撃直前。左が奥山大尉。
義烈空挺隊



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● COMMENT ●

ジスさんへ

ジスさんこんばんは!

こちらこそいつもありがとうございます。
ハイ!いよいよ始まりました、久々の?戦闘シーンです。

艦船の名前、考えるのは大変な部分もありますが実際のものをちょっといじると結構面白いものになります。「アホーネット」は初代が前に撃沈されましたので「Ⅱ」を登場させました^^。

細かい部分を読み取っていただけましたことをうれしく思います。

またよろしくお願いいたします!

こんばんは。いつもありがとうございます。

いよいよですね・・・
「アホーネット」というネーミングに思わず笑ってしまいながらも乗組員のリアルな会話、作戦前の静けさ、情景が浮かんで参りました。

皆さんのご活躍を期待します。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
マドレーヌ艦長、ロングな金髪で巻き髪でボン・キュッ・ボン!なイケテルお姉さん。
日本軍嬢たちはそこまでスタイルはよくないにしても均整は取れていますぞ^^!
てな訳でその辺ももうそうしながら楽しんでくださいね~^^。

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
書いているうちに自分がその場にいるような気分で書いています。
ときには情景が目にリアルに映るくらいに・・・戦闘シーンはリアルでは知らないはずなんですが(って当たり前ですね^^)、時になぜか砲煙のにおいがしてくるときがあります・・・(ーー;)

さあ、どうなりますかお楽しみに!!

misha さんへ

misha さんこんばんは!
ありがとうございます!!
喜んでいただけてうれしいです、書いた甲斐があるというものです^^。戦史というものは奥が深く、戦史を読むたびに新しい発見があります。
そこから「不謹慎かなあ」と思いつつも新しい話を引き出してゆくのが今は楽しいですね。しかも日本が大勝ちの話ですからww。

次回を待っててくださいね~\(^o^)/

こんにちは。いよいよ始まりますね!マドレーヌ嬢、金髪ぐるんぐるん巻き毛のグラマラスなお姉さまのイメージですが(笑)スレンダーボディのヤマトナデシコたちは負けませんわ!!続きが本当に楽しみです!!

臨場感が体を押し付けてくる感じです。
いつもながらの筆力に感嘆符が5つくらい点滅しています。
これから、さてどうなっていくのでしょうか。
ワクワクドキドキ……、たまりません!!

泣くほど笑いました

こんばんわ。すごく面白かったです。
共同空挺部隊、大編隊(遠い目) 
アホーネットとイルカ型(笑)
マドレーヌ艦長の「よくってよ」も素敵!(*´∀`*)
よく勉強されて、自由な発想で、ただただすばらしいなぁと感じ入りながら拝読しております。
どんな落ちがつくのか楽しみです(敬礼)


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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