「女だらけの戦艦大和」・壮大な作戦1<始動>

広い広い太平洋、その東の果てであまりに壮大な作戦は立案された――

 

女だらけの帝国海軍航空部隊は、ここ数日ほど米本土から出航してきたとみられる空母が散見できることに危機感を覚えていた。しかも敵空母はなぜか一隻から二隻と言うあまりに少数で行動しているようだとの索敵機からの報告に航空司令部は首をひねった。

「なぜ空母が一、二隻と言う単独行動と言っても差し支えないような状態で行動するのか?真意が計りかねる」

「もしかしたら、目立たぬよう少数でどこかに集結し、そのあと大部隊を編成し一気に攻め込んでくる可能性を考えないといけない。空母は西に進み、オーストラリア方面に向かう様子である。

今までの単独行動空母は何隻になるか?」

と言うことで今までの索敵結果を総合すると、大型空母1、中型空母3、小型空母4という結果になることが分かった。

「全部で8隻か。しかしこれに全て動かれると厄介だ。叩くことは十分可能であるから早期に雌雄を決しなければ大変なことになろう。他に米本土から空母が出動の兆しはあるか?」

索敵機が大掛かりな索敵を行ったが今のところ本土からの空母は見られないという。司令部はついに意を決して壮大な作戦の立案に至った。

 

その作戦を、某基地に停泊中の空母、「飛龍」・「蒼龍」の各航空隊の搭乗員は聞いた時わが耳を疑った。

「そ、そんな作戦ができるんでありますかっ!?」「我々は命を惜しむものではありませんが作戦が成功しなければ意味がないと考えますが?」「きちんとした作戦内容を教えてください!」

搭乗員たちは空母に訪れた航空司令にかみつかんばかりの勢いである。航空司令は皆の顔を静かに眺めてからうなずいて、「皆の言うことはもっともである。実際に攻撃に出るものの意見を聞かずして作戦の成功はありえない。ここでしっかり聞いてもらいたい、この作戦の重大性を」と言い、作戦内容の詳細を話しだした。

 

話は時間がかかったが搭乗員たちは次第に顔を紅潮させ興奮してきた。最後に航空司令が「・・・皆の生還は必ずしも約束はできないが万全の態勢で臨めば不可能ではない。どうか行ってもらいたい」と言うと皆は腕を天に突き上げ、

「行きますとも!生還など最初から望んではおりません、死して護国の鬼となるのが本望であります!総員この作戦に大賛成であります!」

と叫んで航空司令は感激の涙にむせぶことになった。

 

この作戦に投入されるのは「飛龍」「蒼龍」の艦載機とあの<新・特殊潜航艇>である。新・特殊潜航艇もすっかり訓練を完了し出番を待って腕を撫している。

新・特殊潜航艇の乗艇員たちもこの作戦を聞いて「やった。やっとのことで出番が来た。しかも航空部隊と一緒に行動できるとは最高の作戦だ。喜んでやりましょう」とこれも諸手を挙げて賛成を表した。

特殊潜航艇を束ねる潜水艦部隊と航空部隊の合同作戦会議も急ぎ持たれ、それぞれの隊では訓練が始まる。しかしもう時間がない。

特殊潜航艇では「我々の動き方次第に航空部隊の成功不成功がかかっている。心を一つにして行動をすべし。決して功名心にはやることなく平常心で作戦に臨もう。今までの訓練通りやれば間違いない、諸子は十分訓練を積んでいる、自信を持って従事してほしい」と参加総員に檄が飛んだ。特殊潜航艇乗員たちはまなじりを決して「はい!」と返事をする。

 

ここに壮大な作戦は始まった――

 

某日、「飛龍」からの索敵機は先に航行していた敵空母を捕捉した。空母は二隻で護衛艦もいない。索敵機の機長は電信員に「あれを見よ。奴ら護衛もなしでいるぞ。一体どういうつもりだかな。もっとも潜水艦の護衛付きっていうこともあろう、よく見張れ」と言い、電信員は海上を見つめる。

その頃、女だらけの潜水艦部隊は新しい電探を駆使して敵潜水艦の有無を調べていた。

「伊号八一〇潜」では水中測的員が耳に神経を集中してソナー音に聞き入る。「どうだ、聞こえるか?」と言う班長の問いに測的員はレシーバーを耳に当てたままで、「いえ、敵潜水艦のいる様子は全くありません。・・・このまま続けます」と答える。

その「伊号潜水艦」はこの作戦に全部で三〇が参加、そのすべてに<新・特殊潜航艇>が一〇艇つづ積まれている。

伊号潜水艦に乗艦している特潜の乗員は、三種軍曹に身を固め頭には「七生報国」の鉢巻きをきりりと締め、その時を待っている。

仁科大尉は、居住区にいて他の乗艇員を見た。皆緊張はしているようだがそれが作戦に影を落とすようなものではないのを見て取った。

(敵空母を少しでも帝国に近寄らせてなるものか)

仁科大尉はこぶしをグッと握った。万が一にも敵の空母が飛行機を満載して日本に接近したらおおごとになる。

(それをさせないためなら)命などいらぬ、と大尉は思う。大事な祖国を守るために(投げ出すことを躊躇するものではない。我々は命と引き換えに帝国を、故郷を、家族を守るのだ)

居住区には皆の静かな息遣いしか聞こえない。艦内の気温は高く、汗がにじむがそれも気にならないほどの緊張と期待が支配している。

 

「飛龍」「蒼龍」では索敵機の報告を受けまず二〇機ずつが攻撃に出ることになった。この二〇機ずつの計四〇機は精鋭ぞろいである。

「飛龍」の加来艦長は

「諸子の活躍如何でこの作戦の成否は決まる。敵空母撃滅のため、しっかりやってほしい」

と訓示し甲板上に並んだ「九九艦爆」のエンジンが掛けられる。やがてエンジン音はごうごうたるものとなり、飛行兵たちはそれぞれの愛機に向かって走り出してゆく――

 

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いったいどんな作戦になるのでしょうか。そして敵空母の意図もわかりませんね。

ともあれ次回以降をお楽しみに。



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Comments 6

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見張り員  
matsuyama さんへ

matsuyama さんこんばんは!
生還を期さない出撃をしていった当時の兵のみなさんの気持ちを思う時、言葉がありませんね。
それは特殊潜航艇の乗組員も同じですね、どんな気持ちで行ったのだろうかと思うと今の自分たちの生活がいかに幸せなものかを思い知らされますね。

今の物差しでは「戦時中は命の重さがない」と言われますが私は現在のほうがずっと命が軽く扱われていると思います。
今の人にこうした作戦は…できないでしょうね、きっと。

2012/03/19 (Mon) 21:39 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
matsuyama  

動画の「空母部隊の出撃」迫真に迫りますね。
国を守るため、家族を守るため、こうして決死の思いで飛び立って行ったんでしょうね。
生還など顧みないという特殊潜航艇乗員、覚悟のほどがうかがえます。そこまで真剣だった当時の若者たちには頭が上がりませんね。
ちょっとした思い違いで人を殺めたり、殺傷事件を起こすなど、切れやすい人間が多い現代社会で、集中力、覚悟など、当時の壮大な作戦には考えさせられますね。

2012/03/18 (Sun) 15:51 | EDIT | REPLY |   
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見張り員  
オスカーさんへ

オスカーさんこんにちは!

空母を少し活躍させたくて^^。
といっても今回は空母自体というより艦載機や潜水艦、空挺部隊が主になりそうですね。

さあ~どうなりますか、ご期待を!!

2012/03/18 (Sun) 15:30 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
オスカー  

こんばんは。「休暇は終わりぬ」って感じでしょうか?どんな闘いになるのか…一人一人の活躍も気になります。見張り員さまの腕のみせどころですね!!楽しみにしています(*^^*)

2012/03/18 (Sun) 00:20 | EDIT | REPLY |   
見張り員">
見張り員  
ジスさんへ

ジスさんこんばんは!
もうおからだは大丈夫でしょうか?お大事になさってくださいね。

「ワルキューレ」!
「ワンダバマーチ」!
どれも好きですね~。特にウルトラマン系は今娘たちが大好きでDVDを見ているので嬉しいですね^^!

作戦成功するでしょうか・・・そしてこの作戦の本質やいかに???
お楽しみに!

今日は一日雨でしたねタメイキ。
春に三日の晴れなしと言いますからもう春も近いのでしょうか?春が待ち遠しいですね。

2012/03/17 (Sat) 23:27 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
ジス  

こんばんは。いつもありがとうございます。

「壮大な作戦」ワルキューレとか宇宙戦艦ヤマトの出撃シーンの歌とかウルトラマンの「ワンダバマーチ」を脳内で再生しております。空母から敵機が本土に来られたら敵いませんからね。ぜひとも作戦の成功をお祈りいたします。

体調はいくらかましになり今日は仕事にも行きました。まだまだ季節の変わり目です。お互い気をつけましょう。

2012/03/16 (Fri) 23:39 | EDIT | REPLY |   

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女だらけの「帝国海軍」、大和や武蔵、飛龍や赤城そのほかの艦艇や飛行隊・潜水艦で生きる女の子たちの日常生活を描いています。どんな毎日があるのか、ちょっと覗いてみませんか?
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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)