2017-10

「女だらけの戦艦大和」・<新・特殊潜航艇>!1 - 2011.12.17 Sat

特殊潜航艇部隊には今、大変な緊張が走っていた――

 

黒木少佐、仁科大尉の考案した新・特殊潜航艇がこの度完成し、訓練配備を承認されたのだった。その新・特殊潜航艇とは・・・。

 

数年前から黒木少佐と仁科大尉は「敵を完全に撃滅できる兵器を開発できないものか」と考えていた。仁科少尉(二年前当時)は「・・・黒木中尉(二年前当時)。この兵器は決死ではなく<必死>の決意で臨む兵器でないとなりません」と悲壮な決意を込め言ったのだった。

黒木中尉もうなずいて「左様・・いくら日本は勝っているとは言え、この兵器は<必死>の決意で臨むところに意義があるのだ」と静かに言った。

そして二人は図面を引いたり、敵の心情や動向を研究しそしてやっとこの度開発にこぎつけたのだった。

「この兵器は○○○(都合により今は伏字)となるところに大いなる意味があり、その○○○はいわば×××(都合により今は伏字)のようなものではある。そしてその○○○の中心に△△△(都合により今は伏字)がいて一気に敵をせん滅する、というものであるから○○○の行動いかんでは失敗に終わる可能性が無きにしも非ず、というまさに決死的<必死>の兵器なのだ。

これは一見お遊びのように取られがちだが、われわれが敵の心情や性格を分析した結果出てきた物である。

この新・特殊潜航艇の乗艇希望者を募る。憂国の情にあふれる諸子にはぜひ一考してほしい」

黒木少佐はこの兵器の完成にあたってこのように談話を発表したのである。

 

潜水部隊基地で、特殊潜航艇の訓練中の光景が広がっている。

「どうします、松尾大尉。新しい潜航艇の乗員を募集していますよ」

こう言ったのは特殊潜航艇で数々の武勲をあげている<松尾・都竹>ペアの都竹兵曹である。松尾大尉はハッチを開けて外に出た。明るい大津島の陽射しが瞳に眩しい。

外に出た松尾大尉は的(特殊潜航艇のこと)の上に座った。そして搭乗帽を取ると続いて上がってきた都竹兵曹のために場所を開けた。そして

「どんなものだかはよくはわからんが、今までこれで訓練し戦ってきた我々にとって<決死的な必死の兵器>は魅力ですね。我々の決死的必死な攻撃で敵を粉砕撃滅できるなら・・・私は志願しますよ。兵曹はいやですか?」

と都竹兵曹を見て言った。

都竹兵曹は激しく首を横に振って、

「いやなものですか、大尉!私も特潜の乗員です。これ以上の兵器があるのなら何を躊躇しましょうか。大尉、私も志願いたします!どこまでも大尉にお伴いたします」

と噛みつくように言った。

松尾大尉は静かに微笑んで「それでこそ私のペアですよ、兵曹。死ぬも生きるも・・・一緒ですよ」と力強く言い、二人は右手と右手を固く握りあったのだった。

 

新しい「特殊潜航艇」の乗員募集の話はあっという間に海軍全体に広がった。「女だらけの大和」にもその話は聞こえてきた。トレーラー島の昼下がり、防空指揮所で例の二人が話をしている。

「分隊士。今度新しい特殊潜航艇が出来て、その乗艇員の志願を募っているらしいですね」と見張兵曹が麻生分隊士に言った。

分隊士はあわてて見張兵曹の両の肩を掴んだ、そして

「オトメチャンまさか、特殊潜航艇に乗るつもりなのか?もしかして・・・あの時のことが原因で俺を嫌いになったんじゃ・・・それで俺と離れたいのか?そんなオトメチャン・・・」

というとその瞳に涙をあふれさせた。

見張兵曹は大慌てで「違いますったら、違います!私は潜水艦みたいなものにはどうやっても乗れませんけえ、ただ、そういうものが出来とる、言う話ですけえ安心してください」となだめた。麻生分隊士はほっとしてオトメチャンの肩から自分の手を離した。

そこに小泉兵曹が上がってきた。彼女も「ねえねえオトメチャン。新しい特殊潜航艇の話、聞いたか」という。

どうも皆、「新しい」というところに興味をそそられているらしい。

「聞いたけど、どがいなふうに新しいんじゃろうねえ?新しい特殊潜航艇、ゆうてもどこが新しいんじゃとかゆうてくれんとなあもわからん」と見張兵曹は言い、分隊士も小泉兵曹も笑った。

「まあもっとも、大和(ここ)から行こうと言うやつもおらんじゃろうがね」

確かにいきなり明日から特殊潜航艇を動かせるというものではないし、仮に訓練を受けてもそう簡単ではない。

志願者は潜水学校出身者や機関学校出身者、それに海軍工機学校出身者などが占めた。他には予科練生が少しいた。予科練生の彼女たちは「早く第一線で戦いたい」という気持ちの大変強い子たちであった。

志願者は締め切りまでに、黒木少佐・仁科大尉の予想を上回る人数が殺到し驚きと嬉しさがないまぜになっている。

「これは大変だ。新・特殊潜航艇の増産に励んでもらわないと乗りはぐってしまう者がたくさん出て恨まれてしまうね」

黒木少佐も仁科大尉もそう言って笑った。

 

大津島P-1基地は新・特殊潜航艇のための基地である。

志願者たちは某月某日ここに集結した。基地司令の多茂神(たもがみ)大佐は集まった彼女たちを満足そうに、しかし厳しく見つめた。

そして

「よく来てくれた。今回諸君が志願してくれた兵器の訓練はかなりの厳しさを伴うものである。既存の特殊潜航艇の比ではないことはきっと兵器をみればわかってもらえることだと思う。そのうえで、私はやはり出来ない、嫌だと思う者があれば遠慮なく申し出てほしい。元の部隊に戻そう。だが、出来ると思うなら最後まで全力で訓練に臨み出撃の日を迎えてほしいと思うものである。以上!」

と訓示した。

そのあと志願者たち――総勢六〇〇名――はいよいよ「新・特殊潜航艇」の格納庫に行き、その実態を見ることとなった。

 

海軍大臣の許可なきもの 入室を禁ず

 

と張り紙のある重い鉄の扉が重々しい音を立てて開かれた。六〇〇名が列を乱すことなく粛々と中に入る。彼女たちの背後で鉄の扉が閉まる音がした。

暗い格納庫の天井の明りがパッ・・・パッ・・・と次々にともった。

そのとたん、「おお!」「うわああ」という皆のどよめきや声にならないため息が格納庫に広がったのである。

彼女たちの前に鎮座していたものはーー!!

  (次回に続きます)

 

   ・・・・・・・・・・・・・・・・

「新・特殊潜航艇」とは一体なんぞや!?

しかも「決死的・必死な兵器」とはちょっと大変ものすごくヤバい兵器な気がしていますが・・・。

まさか!?

 

海軍機関学校、舞鶴にありかつては「舞鶴」と言えば機関学校を指したそうです。本物の黒木少佐は機関学校51期卒(昭和16年11月15日)です。

機関学校では将校となる生徒の育成以外にも准士官・下士官の養成もしました。(写真はWIKIより)

海軍記念館・旧機関学校大講堂(舞鶴総監部内)

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● COMMENT ●

ジスさんへ

ジスさん こんばんは!

記事の更新が遅くなりまして、やっと更新できました(-_-;)
思った通りの?陳腐な結果だったかもしれないですね・・・平にお許しを~~~!!

何かと忙しい年末、このような勇ましい歌を聴いて前向きで過ごしましょう!きっと来年はいいことありますから!!

No title

こんばんは。いつもありがとうございます。

何でしょうか・・・・続きが気になりますね。
そして久々のyoutubeですね、ついつい開いてしまいます。年末でバタバタしている中、なんだか前向きで明るい気分になれる歌ですね。

matsuyama さんへ

matsuyama さん こんばんは!

新・特殊潜航艇は一体どんなものなんでしょうか?そしていったいどのような攻撃を・・・???

悲壮な平気なのかそれとも(;一_一)
どうぞ次回をお楽しみに(と言いつつ陳腐な展開だったらどうしよう(-_-;))。

鍵コメさんへ

ありがとうございます。
温かきお心に感謝しております。
大丈夫ですよ、却って待っていていただけると励みになりますから!!

本当にありがとう(*^^)v

オスカーさんへ

オスカーさん こんばんは!

伏字というとやはり「美・サイレント」ですね~、私も書きながら思い出していましたよ^^、「あれいったいなんて言ってんだろう??」ってクラスで皆考えこんでいましたっけ^^!

今日「出口のない海」のDVDを見ながら構想を練っていましたが、映画のラストで思わず泣けてしまいました。あの映画も登場人物のせりふに批判的な声もありますが、そのあたりを差っぴけば泣けますね。

さあ!新・特殊潜航艇とは!!
もうちょっと待っててね^^!

No title

特殊潜航艇!敵軍の泊地襲撃に出撃か。
いよいよ太平洋戦争勃発真近か。
軍艦マーチが鳴り響きそうですね。
格納庫に鎮座するそのものとは?
まさかまさかの人間魚雷「回天」?
次回が楽しみになってきました。

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こんばんは!ナニナニ~気になるわぁ(笑)伏せ字を見ると百恵ちゃんの「美・サイレント」を思い出してしまいます♪
焦らすのは焦らすのは楽しいですか~と私がオンチなのに歌い出すことのないようなるべく早めに続きをお願いします(((^^;)


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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