2017-09

「女だらけの戦艦大和」・蹴れ!投げろ! - 2011.09.11 Sun

陸軍にはある精鋭部隊がいる――

 

その名も「佐々木なでしこ部隊」である。この部隊は特殊な組織で大きな旅団とか師団について行くことが多い。

そこで彼女たちは八面六臂の活躍をするのだ。今まで行った場所は南方は言うに及ばず、大陸からソ連国境付近まで多岐にわたる。

彼女たちのそのものすごい行動は陸軍だけでなく海軍にも知れ渡っていた。

 

「ねえ、分隊士。『なでしこ部隊』って知ってますか?」

ある日、防空指揮所で酒井上等水兵が麻生分隊士に聞いた。麻生分隊士は自分の双眼鏡で水平線を見ていたが目を離すと、「『なでしこ部隊』か?ああ、聞いたことがあるのう。なんでもえらい決死的な行動で敵をせん滅するんじゃそうだが。でもあんまり詳しいことは知らんのう」と言った。酒井上水は、「ほうですかあ。皆あまり陸軍のことはよう知らんみたいで、誰に聞いてもようわからん、ばかりです」とちょっと困惑げである。

そこに松岡分隊長がやってきて、

「麻生さーん、あなたも帝国海軍の士官ならいろんなことに情報網を張り巡らさなきゃいけないよ。あのね、『なでしこ部隊』とは陸軍の特殊部隊で佐々木少将を部隊長としてつくられているんだが、総数は二十名ほどらしいよ。でも彼女たちは精鋭ぞろいだからこの数で十分敵をやっつけてなおかつ、自軍を援助してあまりあるらしい。すごい部隊だね、海軍で言うならあの『幽霊艦隊』みたいなものかな?ねえ麻生さん」

と言った。

麻生分隊士と酒井上水は、松岡分隊長の意外な情報ツウな所に驚きながらも「へえ。どがいなやり方で敵をせん滅するんでしょうね。しかもわが海軍の『幽霊部隊』に匹敵するくらいの重要な役どころとは?」と興味津津である。

すると松岡分隊長は、「ちょと待っててね」というと下へ降りて行った。入れ違いに見張兵曹がやってきて松岡分隊長を振り返って、

「どうされたんです、分隊長?」

と言った。麻生分隊士がこれこれこうだと説明してやると見張兵曹は、「ほう。『なでしこ部隊』とはえらい素敵な名前でありますのう。きっと愛国心にあふれた清純で、素晴らしい乙女ごたちが居る部隊でしょうなあ」と感心している。

麻生分隊士が「そうじゃなあ。まあ、間違うても小泉みとうな男好きはおらんじゃろうな」と言って見張兵曹と酒井上水は声を立てて笑った。

そこに松岡分隊長が何やら持って上がってきた。

「ほらこれを御覧よ」と差し出したのは<陸軍日報>という新聞。「分隊長、これをどこで?」と問う分隊士に、松岡分隊長はにっこり笑って「昨日上陸した時、日本人の店で買ってね」と言って「さあほらここ」と新聞を広げると指さした。

その先には、

「なでしこ部隊及び○○少佐、敵陣地をせん滅。敵の新兵器も皇軍の前には歯が立たず」

と大見出しが躍っている。

・・・それによれば、佐々木なでしこ部隊は今現在、大陸で戦う第二〇一一師団の援護を任されている。その日も敵とのにらみ合いが続いていた。

第二〇一一師団長は「敵は新兵器の『蹴球爆弾』を我が陣地に投入してくることが十分に考えられる。佐々木支隊(なでしこ部隊)には、これの排除を命じる」と、佐々木少将以下の部隊員に命令を下した。

『蹴球爆弾』とは、最近中国・ソ連やアメリカ・オーストラリアなどの各国が陸上戦用に共同開発したとされる爆弾で、相手の陣地に蹴り込み相手がそれに気がつかないと時間をおいて爆発するという厄介な代物である。簡単に言えば『時限爆弾』であるが、航空機などから投下するより気がつかれなくっていいんじゃない?というスタンスで作られた兵器のようだ。しかも最近改良を加え、あちこち飛び回るという新機能も加わったとか。

密林地帯などでこれをされると蹴り込まれたことに気がつくのに遅れ、それなりの被害が予想されるもので、実際ドイツ軍はこれで進撃を邪魔されかけたというものだ。

佐々木少将は、部隊員を全員集め適宜斥候に出し、戦場の地形を調べさせた。そのうえで「ここからやられる」「ここは案外手薄」「ここなら絶対蹴り返せる」というポイントを見つけ出した。

そして『蹴球爆弾』に対する防御ポイントをしっかり作成したうえで部隊員を配置させる。一番の肝心どころ、作戦司令部の前には挺身班の櫂堀上等兵を配置、ほかにも変なところに爆弾が飛ばないようそれをうまく蹴って敵陣に蹴り返す要員が多数配置された。

その中でも一目置かれている澤野ほまれ少尉は「大和魂を持ってすれば敵の爆弾ごとき見事蹴り返してごらんにいれます。部隊員全員で一丸となれば不可能はないであります!」と意気軒高である。そして常に「訓練も実戦と心得よ」を合言葉にして、一時も気を抜かず敵の攻撃に備えるのであった。

そして。

ある曇りの朝。今にも泣き出しそうな空模様の時、それは来た。

「シュート!」

という妙な声が遠くから響いてきた。皆がハッとする。と、双眼鏡をのぞいていた佐々木少将が「敵襲―!」と叫ぶ、その声が終わらないうちになでしこ部隊はアッと言う間に布陣を敷いた。

なでしこ部隊の面々が息を殺して構えているそこに、ビュッ!と音を立てて飛んで来たものこそ『蹴球爆弾』であった。

新型らしくあちこち飛び回る『蹴球爆弾』を追って走り回るなでしこの面々、追いついた澤野ほまれ少尉がそれを蹴る。敵陣に返そうとするが、爆弾はなぜだか作戦司令部のほうへ飛んで行く。

それを櫂堀上等兵の捨て身のアタックで受け止めた。

しかし「澤野少将殿、時間が、時間がありません!」と高清水准尉の悲痛な声。

皆が(今度は駄目か!)と思った時・・・

「あきらめるんじゃない!」

と大声が響き皆が振り向くとそこには身長百九十センチ以上はあるかと思う室伏弘江少佐がいた、澤野少尉が「室伏少佐殿!」と叫ぶと少佐は、爆弾を足で押さえてそれに素早く、網のようなものをかぶせた。

そう、スイカを買ったときに入れてくれるあの『網』のようなもの。それを室伏少佐は体ごと振り回し始めた。

少佐の体がその場でぐるぐる回り、皆が見守る中・・・

「どりゃああーーー!」

とものすごい掛け声とともに室伏少佐はそれをふんなげた。

勢い付いて、敵陣にまっしぐらに飛んでゆく『蹴球爆弾』。やがてその姿は小さくなって消えた。

ドドーーン!

と地鳴りがし、煙が上がる。

「やった、やった!」と抱き合って喜ぶなでしこ部隊、それを嬉しそうに見る室伏少佐。佐々木部隊長もほっとしたような顔でいる。

そして佐々木部隊長は「室伏少佐どの、危ないところをありがとうございました」と礼を言いなでしこの皆も頭を下げる。

室伏少佐は少し照れながら「いやいや、私はちょっとだけお手伝いしただけです。あなた方の素晴らしい連携を見せてもらいました。これからもがんばってくださいね!」というと、「うおりゃ―!」と気合を入れながら去って行ったのだった・・・・

 

「爆弾を投げ返したり蹴り返したり、まあすごいものですなあ」

と見張兵曹が感心したように言うと、松岡分隊長は「まあ、私のラケットにはかなわないがね。いつかこの『なでしこ』とやらと敵機撃墜合戦でもしてみたいもんだねえ。熱くなれるぞ!」と言って笑った。

皆も「そうですなあ、いつの日か見たいものです」と言って笑う。

 

トレーラー島に明るい日が輝いている――


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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

まろゆーろさん、こんばんは!

こんな戦場があったらいやなようないいような・・・??
松岡分隊士の闘争心に火をつけるいいライバルとなりそうですww。

本物のなでしこ、よくやってくれました!溜飲が下がるとはこういうことでしょうね、中国にはなんだかんだ嫌がらせに近いことされたみたいですが、それすらはねのけて五輪出場を勝ち得たなでしこは素敵です。

がんばれなでしこ!

戦場はまるでオリンピックスタジアムそのものの豪華メンバーですね。松岡分隊長もハイテンションで頑張って下さいねぇ。
中国を下して五輪出場を決めて帰ってくれて有難いですね。これでまた日本に元気が目覚めれば嬉しいですね。
しかしこんな時によくぞ頑張って下さったと涙が出そうになります。

matsuyama さんへ

こんばんは!

本物のなでしこは五輪を決めてくれて私は嬉しいです。
こんなくだらない話を書いたおかげで「負けた!」と言われたら私はもう、日本海溝に潜るしかないですww。

松岡分隊長は実はひそかに室伏少佐にライバル心を燃やしています。
そのうち対決が見られるかも・・・!

オスカーさんへ

こんばんは~

あの室伏さんのお顔で想像すると確かに・・・・!ですね、そうか彼には妹さんがいらしたんですね。ではそちらで・・・ww。

なでしこ、中国を破って五輪出場決めましたね。
私は「絶対勝つ、なでしこ勝つ!」と言っていたのが事実になってよかったです。

さあ私も突っ走るぞ~~~ww。

なでしこ部隊登場ですね。20人の連携プレーは蹴球爆弾をもうまく蹴って敵陣へ蹴り返す。世界がうらやむ蹴球作戦ですね。
加えて世界の投てき室伏少佐が投げ返す蹴球爆弾。小気味良いですね。
機会があったら松岡分隊長のラケット対蹴球対戦、見てみたいですね。

こんにちは。室伏選手のみつあみ姿を想像し、うっ!!と船酔い状態になってしまいましたが(笑)妹さんがいたことを思い出し~はぁ、良かったです。
なでしこ達も走りますが、見張り員さまの筆も快調に走って何よりです♪


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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