「女だらけの戦艦大和」・告白2

・・・さわやかな風吹きぬけるその場所で、石場兵曹はいきなりオトメチャンの手を握った――

 

「どうしたんです?石場兵曹」と問いかけるオトメチャンに石場兵曹は「なあ、オトメチャン。俺の話しを聞いてくれんか」と言った。オトメチャンは石場兵曹の手のぬくもりを感じながらはい、と返事をした。

石場兵曹は手を握ったまま視線を遠く水平線に当てて、「俺はな実は好きな人がおってじゃ」と唐突に言った。

オトメチャンはその横顔を黙って見つめている。なんだかこういう話にたとい、相槌でも軽々に打てない気がして、でもその横顔から目が離せない。

石場兵曹はオトメチャンの視線を横顔に感じつつ、話を続けた。

「もう…ちいと前からの話なんじゃが。その人はのう、いきなり俺の心の中に入りこんできたんじゃ」

 

オトメチャンは石場兵曹が「恋」に悩んでいるのが少し意外だった。石場兵曹は小泉兵曹や長妻兵曹のように「オトコ、男!」とわめくことがない。

たまには慰安所だとか男性を呼べる料理屋などに行くようだがそれもそんなにたびたびではない。そんなことより、階級が上の人や作戦などで行った先々の兵たちと「模擬作戦」と銘打ってオリジナルの図上演習をする方が大好きなようだ。

「あいつは少し、変わっとる」

と口さがない連中は言うがオトメチャンには小泉兵曹や長妻兵曹よりは話が出来る相手だと思う。玉にきずなのは、やたらと接吻をする癖だが、これは本人に悪意もなにもないので御愛嬌ではあるが。以前それを誰かに指摘されて石場兵曹は「あれ、アメリカに行ったらこげえにして挨拶するんよ?今から慣れとって悪うはないと思うがねえ」とシレっとして言ったという。

 

ともあれ。

石場兵曹は視線を動かさないで話し続ける。

「じゃがなあ。その人には心奪われとる人がおってな、俺なんぞに目もくれんのじゃ」

少し声のトーンが落ちて哀しげになる。オトメチャンは石場兵曹が可哀想になった。そっと、「石場兵曹は、その人になんぞ言うてみたんですか?その・・・うちはこういうことはようわかりませんけえなんて言うたらええのか・・・兵曹はその人を好きなんじゃ、とわからせるようなことを」と聞いてみた。

石場兵曹はオトメチャンの瞳を見た。そしてふっと自嘲的な笑いを浮かべて「言うとらん。言うたところでその人は俺なんぞ振り向いてはくれんけえね」と言って下を向いてしまった。

風がまた吹き抜けて、二人の髪を揺らして行った。オトメチャンは傍らに置かれた二人の軍帽を見るともなしに見つめている。

「・・・ほいでも」とオトメチャンは声を励まして言った。「言うに言えん思いを抱えておっては気持ちが重うていけんでしょう。ダメでもともと、当たって砕けろ、言うじゃないですか。そがいな感じでその人に当たって行ったらどうですか」

石場兵曹はオトメチャンの手を離して、「そうは言うがなあ、その人はえらい人気もんでなあ。ライバルが何人もおってじゃ。・・・はあ俺はもうどうしたらええか、ようわからん」というとその場にごろり、と仰向けになった。

オトメチャンは少しの間石場兵曹の顔を見ていたが不意にいたずらっぽい笑みを浮かべると、

「ほいじゃあ石場兵曹、その人に『おい、俺のほうがええぞ。俺のものになれ!』言うて見たらええんじゃないですか」

と言ったので石場兵曹はちょっと驚いた。体を起して「ほう、オトメチャンも随分大人じゃのう。もしかして誰ぞにそがいに強引にされたんか?」と言った。

オトメチャンは顔を赤らめて首を横に振り、「いいえ。でもみんなようそんな話をしとってからです。どうしても好きな人がおってなら、ちいと強引にしたらええのかなあと思いまして」と小さな声で弁解した。

「ほうね、強引に俺のものにしてもええかなあ」石場兵曹はまた水平線を見つめながら言った。海はどこまでも蒼く、そしてきらめいて美しい。

「・・・本当に好きならば。じゃけどその人がどう思うかわかりませんね。おなごが男性にそがいな強引なんを嫌がるかもしれんし、第一その人が必ずしも」

石場兵曹を好いてくれるかどうかもわからんし、とオトメチャンが言いかけた時。

石場兵曹はいきなりオトメチャンを抱きしめると敷物の上に倒れ込んだ。

「石場兵曹!」とオトメチャンが叫んだ。「どうなさったんですか、あの・・・」

叫びは石場兵曹の口づけで遮られた。長い口づけの後石場兵曹は、

「相手が男じゃ思うたか、オトメチャン。俺が好きで好きでたまらんのは、オトメチャン。あんたじゃ。俺は前からオトメチャンが好きでたまらんのじゃ」

というと更にオトメチャンの唇を奪った。唇が離れると、石場兵曹はオトメチャンの服のボタンに手をかけてそれを外し始めた。

「いやじゃ!石場兵曹、お願いです・・・やめて」泣き声を立て始めたオトメチャンに、石場兵曹は少し残酷なほほ笑みを浮かべると、

「強引にしたらええ、言うたんはオトメチャンじゃ。じゃけえ、強引にさせてもらう」

というと普段の兵曹からは想像もつかないような力で、オトメチャンの服は脱がされてしまった。

「やめて・・・お願いですけえ」と泣いて懇願するオトメチャンの肌着も取り去ると、石場兵曹はオトメチャンにまたがって自分の服も脱ぎ捨てた。

「前からずっとオトメチャンが好きだったんじゃ。こうしたかった・・・」そう言うとその両手をオトメチャンの白い肌に這わせた。

「オトメチャンは可愛いのう。麻生分隊士や艦長や副長、それに参謀長まで夢中にさせる悪い子じゃ。そして俺まで夢中にさせてしもうて、どうしてくれるんじゃ・・・」

兵曹の手がオトメチャンの乳房を掴んだ。石場兵曹は息を荒げて、「昨夜も分隊士とこがいなことをしとったんじゃろう?今更誰にされたって同じじゃ。今度は俺が可愛がる番じゃ」というと柔らかいふくらみの先をつまんだあと、その口に含んだ。

「やめて・・・誰か来ますけえ、お願い」と泣くオトメチャン。石場兵曹はオトメチャンの乳首からプチっ、と音を立てて口を離すと「誰も来やせん、気にせんでええ。俺はオトメチャンが大好きじゃ・・・」というと再びオトメチャンの乳首を吸い始める。

「ああ、やめてえ・・・」

オトメチャンの喘ぐ声が、その場に広がった・・・・

 

その頃さっき二人が通ってきた、草を踏みしだいた道を上がってくる現地の男性が一人。彼はふと、足元をみるとそれ以上道に踏み込むのをやめた。踵を返して下りはじめる。

そこには、石場兵曹が固く結んだ草があって彼はそれを見て思う、

(アブナイアブナイ。誰かのオタノシミの邪魔したら、馬にケラレテ死んじゃうネ。誰かはワカンナイケド、ごゆっくり)

なぜならむすんだ草は「この先で逢引中」を知らせるこの土地ならではのサインであったのだから――

  (次回に続きます)


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まろゆーろさんへ

こんばんは!

まったくこの部分だけみるといったいこのサイトはなんじゃね!?という感じですねww。

そうです、だーれもこないところで秘密のあれこれ。
してみた~~~いですよね~~(って同意を求めるな!!ですね)!!

ウフフ。
さあこの二人どうなるんでしょう。ご期待を!!

オスカーさんへ

こんばんは!

そうですね、だめといわれるとさらに・・・というタイプ。石場兵曹がこのタイプですww。

救世主!
来ますよ~~。ただ登場の仕方は・・・・??

ご期待くださいww。

No Subject

おぉ、目が離せません。
隠れた場所での一途な秘めごとの成就でしょうか。艶めかしくてめくるめく場面がなんともイイです。
誰も来ない場所で好き放題をしたいという欲望は良く分かります。見張り員さん、上手!!!

こんにちは。いやいや言われると余計に燃える(萌える)タイプっていますよね…颯爽とヒーロー(ヒロイン!?)は登場しないのでしょうか~落下傘背負って空からを希望します(笑)
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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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