2017-09

「女だらけの戦艦大和」・スーパーアイドル誕生5 - 2011.05.06 Fri

「おお!これは・・・」と艦長・副長・参謀長が声を上げた。開かれた風呂敷の中には『艦艇ーズ』のために作られた衣装が鎮座ましましていた――

 

その衣装は、それぞれ三色。黄色・ピンク・ブルー。そしてその形は、『礼服』にそっくり。肩章はもちろん、勲章もどきもバッチリくっついている。

「これ、すごい。一生着られないと思っていた『礼服』みたいじゃん・・・」と副長が震える声で言った。艦長がこれも震える声を励まして「・・・うん。礼服だねえ。すっごいや」と言ってでは、とその上着を持ち上げる。

「うん、重くなくっていいな。しかしすごい色使いだがね。・・・まあでも素晴らしい。よく作ってあるねえ」艦長は感心しきりである。参謀長も一つを持ってみた。そして、

「ああ、よく出来てる。で?もう一つあるなあ。おお!!」

と大声を出して他の二人は驚いた。なになに、と覗き込む艦長と副長に参謀長は「ほらっ!」ともう一つを差し出した。

「キャーっ、す、水兵服じゃん!」「実はものすごくあこがれの水兵服だあ!」

艦長と副長は色めきたった。参謀長さえなんだか顔つきがニヤつきだしている。彼女たち海軍兵学校出は水兵服とは全くの無縁であるから、実は(着てみたい、着てみたいのよ水兵服)と内心熱望している者も少なくない。

この衣装は彼女たちの「どつぼ」にハマったわけである。しかも本当の水兵服に忠実に作られているからなおさらである。

副長はその二つの衣装を抱きしめて「ああ、礼服に水兵服。いっぺんに願いがかなってよかったわあ。「艦艇ーズ」やってよかったねえ」と夢心地である。

参謀長が「ほんと。でも梨賀たちも実は『水兵服着たかった派』だったとはねえ」と言って笑った。そして「で?上着はいいが下の方はどんなだ?」と、上着の下に畳まれた下の方を出した。

「うわっ!」

と三人は声を上げた。「・・・これは・・・」

礼服仕様も、水兵服仕様もどちらも過激な「ミニスカート」であった・・・。

 

「す、すごーい!まるでアメ公の女優みたいじゃないかね、こんなすごいの着られるとはね!」

梨賀艦長はもう大興奮である。野村副長もちょっと顔を赤らめて「大和撫子が着るのはちょっとどうかねえ・・」と言いつつもまんざらではないらしくそっと自分の腰に当てている。

参謀長が「いいんだ、やる時はやる。俺たちのこの活動を見て海軍に入りたいと言う乙女たちが増えてくれたらそれでいいんだから」とうなずいた。

「要するに」と艦長が口を挟んだ。「要するに『艦艇ーズ』はプロパガンダ的な部分もあると言うことだね、参謀長」

うなずく参謀長、副長はもうすっかり自分の世界に入っていて「なんでもいいですよ。私たちの趣味も満足できて海軍も満足な結果になったら言うことはないんですからね。さあ、これを着て練習しましょうよ」とせっついた。

「よし。じゃあさっそく着てみよう。梨賀、部屋のカギはしっかり閉めたか?海軍記念日の記念行事まで絶対に誰にも見られちゃならんからね」

参謀長が言うのへ、副長が「ああ、それを言うならあの三人に口止めはしておいたんですか?このことしゃべっちゃならんと」と言った。

艦長が「それは大丈夫。しっかり口止めしてあるから」と自信たっぷりに言う。実は艦長は『竹林の三賢』に、「絶対誰にも言っちゃいかん。万が一にも、小指の先ほどでも他人に漏らした時は軍機(・・)漏洩の罪で軍法会議に掛ける。いいな、わかったら・・」と厳命して血判まで押させたのだった。

「じゃあ、大丈夫だね」と副長と参謀長は笑いあって、衣装を身に付け始めた。

 

その頃、居住区では見張兵曹や秋山兵曹長、士官私室では麻生分隊士が血判を押した後の指の痛みに耐えていた。

麻生分隊士は「くそったれ、なんだあの艦長の野郎。人の恩をこういう形で・・・。痛えじゃねえか全く。それはそうとオトメチャンの傷は大丈夫だろうなあ」と部屋で一人怒りまくる。

そのオトメチャンは誰かに「どうしたの、その指」と聞かれたらどう答えようかと考えている。

(痛かったなあ。親指の真ん中に小刀をいきなり刺すんだもの。そんな血判なんかしなくたって誰にもしゃべらないと言うのに。それより誰かにこれを聞かれる方が困っちゃうよ)

そう思いながらも「あ、当直の時間じゃ!」と走り出してゆく健気なオトメチャンである。

工作科の部屋では秋山兵曹長が(俺達って信用ないんじゃろうか。こがいに痛い思いをさせられるんは、俺に信用がないからじゃろうか。それとも麻生少尉?それともオトメチャンか!?そうだとしたらえらいとばっちりじゃなあ。でもあんなもんが軍機とは恐れ入ったね)と親指をそっとかばいながら思っている。

 

それぞれの思いを抱えて「女だらけの戦艦大和」は瀬戸内の春の夜に眠りにつく――

       (次回に続きます)


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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

こんにちは、コメントありがとうございます。

そうです、「艦艇ーズ」の衣装は単なるコスプレです!!さあ大変ww。

まろ様も御承知の通り彼女たちは「女」ですが、ですがあ・・・・海軍軍人です。
・・ということは、下着は・・・!!

緊迫?の次回をご期待くださいw。

タイトル

おぉ、なんという展開になるのでしょうか。
ミニスカートの礼服仕様とは、妙なるコスチュームですね。
いっそのこと六尺ふんどし……、あっ、女性でしたね。


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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