「女だらけの戦艦大和」・艦内大騒ぎ!?|女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

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「女だらけの戦艦大和」・艦内大騒ぎ!?

2010.11.17(21:50) 281

とうとう『大和』『武蔵』など、トレーラー島組がハワイを去る日が来た――

 

その前の日は最後の上陸日、でも朝から夕方五時までの上陸なので皆は買い物だの散策だので過ごした。

名残惜しげに、ハワイの夕暮れを見ながら艦に戻る兵たち・・・「また来ような!」を合言葉にして。

 

そして今日。いよいよ『大和』『武蔵』は真珠湾を抜錨した。ガラガラと錨が巻き上げられ、出航である。

港周辺に、ハワイ駐在の艦隊・航空隊の兵たちそしてハワイに住む一般の人々が居並んで大型戦艦たちとの別れを惜しんだ。

彼らの間から誰からともなく「アロハ・オエ」の歌が流れだし、それが耳に届いた乗組員たちはちょっと涙ぐむシーンもあった。

『大和』防空指揮所では松岡分隊長が大声で「みんな―!ありがとうー!また来るまで元気でいろよー!熱くなれよ!!」と叫んで航海科員他の失笑を買っている。

下の第一艦橋では山本いそ連合艦隊司令長官が「いい休暇だったね。私も命の洗濯をさせてもらったよ」と満足そうである。

それにおおきくうなずく梨賀艦長と野村副長。しかし松岡中尉の大声がここにまで響いてきてちょっと困り顔で天井を見上げるが、山本長官は何も言わずに微笑んでいる。

防空指揮所には、森上参謀長がいて松岡中尉に「あんたは、しかしいつも熱いんだねえ」と感心している。

松岡中尉は参謀長を振り返るといつも持っているラケットをカッコ良く構えて「はいっ!熱くなければ生きている意味がありません!参謀長ももっと熱くなってください!」と言って右手の親指をぐぃッ、と立てて見せてそれを見た見張兵曹に「なんだか分隊長、アメリカさんみたいですねぇ」と感に堪えたように言われて満場大笑いになったのだった。

 

ともあれ。

『大和』『武蔵』他の艦隊は一路、トレーラー島を目指して行き足を速める。

 

さて。

その夜居住区では皆でハワイの思い出をそれぞれ披露し合っている。

小泉兵曹とか長妻兵曹は慰安所でのめくるめく快感の時を話して「ああ・・もう一度あの彼と・・」と夢見る目つき。

それを見て「困った奴どもだなあ。それしかやることはないのかね?」と笑う機関科の松本兵曹長。

松本兵曹長は、「今回は俺はね、こんないいものを買って来たぜ」と包みを開いた。

「なんですか」と包みを覗き込む見張兵曹と石場兵曹。そして麻生少尉も今日は兵員の居住区にいてそれを興味津津で見ている。

「ほら、すげえだろ」と松本兵曹長が皆の前に出したのは・・・「世界妖怪大全集」という分厚い本。しかも総天然色。これはハワイ限定販売だと言う。

「わあ!これって日本が世界に誇る妖怪研究家の水本しげるさんの御本じゃないですか!」と石場兵曹が飛び付いた。「しかも内地じゃ売ってないと来てる代物ですよ」

それをきいて他の連中も「見せて見せて!」と松本兵曹長の周囲に集まった。あの麻生少尉でさえも。

「では・・・」と松本兵曹長は麻生少尉もいるのでちょっと丁寧に本を皆の前に差し出した。

見張兵曹が受け取ってそっと表紙を開く。そしてそっとページをめくった。

「うわあ・・・これはすごい」

皆の間から感嘆の声が漏れる。兵曹が開いた見開きのページいっぱいにまずは日本の妖怪がいる。

「なんですね、これは・・・一反もめん、ですと」小泉兵曹が言うと増添兵曹は「ほら、あのふんどしのお化けだよ。古いふんどしが、捨てられて『ああ、恨めしい・・』って出てくるんだぞ」

次々にページをめくるたびにいろんな妖怪が出てくる。

「あ!これって」と石場兵曹が指さすのを見ればなんだか髪の毛の妖怪である。石場兵曹が増添兵曹を顧みて、「増添さん、あの部分かつらを邪険にするとこんなふうに化けて出るよ?」と言ったので満場大爆笑になった。増添兵曹は複雑な顔でいる。

次のページから「世界の妖怪」である。ちょっと緊張している見張兵曹が可愛く、松本兵曹長が「怖いのか、トメは?」と聞いてやった。見張兵曹は「怖くはないんですが、ちょっと緊張しています」と言って笑った。

「そうか」と松本兵曹長は言って、麻生少尉はオトメチャンの肩にそっと手を置く。

「では世界に移りますよ」と見張兵曹がページをめくった。

「ギャーッ!」

皆の間から叫び声が湧いて、通りかかった副砲分隊士の安倍晋子少尉がすっ飛んできた。

「なにがあったの!」

しかしその原因が『妖怪図鑑』と知ると、安部分隊士も参加。みんな結構こういう物は好きと見える。

最初の妖怪は「吸血鬼ドラキュラ」。

「血・・・吸うんですって。吸われた人も吸血鬼になっちゃうんですって」見張兵曹が怖そうに言う。皆もちょっと怖げな顔である。こういう妖怪の類は日本にはちょっといないから。

ゾンビには皆が絶叫した。

「は、墓場から出てくるんだあ!!」「嘘だあ、いやだあ!!」「気持ちわりい~!」・・・etc

その声を聞きつけた森上参謀長がすっ飛んできた。「何事か!?」

そして参謀長も参加・・・。

参謀長はゾンビに興味を示し、「こういうもので敵をおどかせばいいんじゃねえか?」と言ったが麻生分隊士に「参謀長、お言葉ですがこれは敵方の妖怪でありますから敵は驚かないであります」と進言し、参謀長も皆も笑った。

「最後でありますよ」と見張兵曹がページを繰ると。

「ギャー―――!!!」

今日一番の叫びが参謀長以下の口から噴出した。その声は廊下を伝わり長官室の山本いそ長官の耳にまで届いたが長官は「みんな熱くなってるな」と、すっかり松岡中尉に洗脳されてしまったかのような口ぶりである。

で。

皆の覗き込むページには・・・

こめかみに五寸釘をぶッ刺し、顔じゅう縫い傷だらけの「フランケンシュタイン」がいた・・・。

「これは痛々しいでありますな!同盟国ドイツは医療技術が高いと聞いていたのに、これでは・・!」と、安倍分隊士が叫ぶと長妻兵曹も「しかもこのヒトももともとは死体だそうです!オ・・・オエエエ!!」と言うなり吐き気を催し始めて皆パニック。

他の皆も真っ青な顔つきで「・・・世界にはものすごい妖怪がいるんだねえ。怖いねえ」と言いあってこの晩は更けて行ったのだった。

松本兵曹長は(これはいい土産が出来たぜ。絶対誰にもやらねえよーだ)と本を抱えていそいそと機関科の居住区に戻って行ったのだった。

そのあと・・・機関科居住区でもものすごい叫びが起きたのは言うまでもない。

 

『大和』は『武蔵』たちと波を切ってひた走る。・・・トレーラー島へと。


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コメント
こんばんは!

船の別れって本当に切ないものだそうですね。
私は高校時代の担任の先生からそういう話を聞いたことがあります。
先生が大学時代旅行した先で親しくなった人と、船で別れるとき、先生とその人の間に貼られたテープだけが最後まで切れなくって、友達から「すっごくうらやましがられたのよ!」って言ってましたね。

私も船旅がしたいこの頃です。
【2010/11/19 21:38】 | 見張り員 #- | [edit]
こんばんは!!

ええ!食玩のコンプリですかあれって大変ですよね。
しかも、オークションまで・・・。

でもやるときは、やる!
素晴らしい「大和魂」を垣間見た気がして気分がいいです~!!

子供じみた、とおっしゃいますが人間夢中になるときはそういうものですって!私もそうですからww。
【2010/11/19 21:35】 | 見張り員 #- | [edit]
みんな思い思いにハワイに別れを惜しんでいるようですね。
別れはいつでも惜しいもんです。
先日地元の港に寄港した飛鳥Ⅱが出航する時も、五色のテープが投げられ、別れの音楽が流されると、込み上げてくるものがありました。飛鳥Ⅱの関係者でもなんでもないんですけどね。
ゆっくりと離岸する船の別れは物想いに更けますね。飛行機はもちろん、新幹線での別れには味わえないシーンです。
【2010/11/18 11:21】 | matsuyama #- | [edit]
見張りんさん、おはようございます。 水木しげるさんの妖怪漫画も好きなんですが、40代の終わり頃 色々と食玩にはまってしまい、その中でも『妖怪辞典』というやつをフルコンプするには苦労しました・・・とうとうシークレットが揃わずオークションで落札までしたんですよ。 今はもうそんな子供じみた思い出だけが残っています・・・
【2010/11/18 09:21】 | 陸戦隊 #- | [edit]
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