2017-10

「女だらけの戦艦大和」・月を愛でる会5<解決編> - 2010.09.23 Thu

『月を愛でる会』真っ最中の『大和』『武蔵』である――

 

石場兵曹に伴われて見張兵曹は第一砲塔へ行った。そこには運用科と工作科の兵が数人、待ち構えていた。見張兵曹の姿を見るなり、「おお、オトメチャンが来たよ!オトメチャン早く早く、こっちに入って!」と皆で取り囲んで砲塔内に引き込んだ。

「え?なになに?・・ねえ石場兵曹、待って・・・」

オトメチャンはわけがわからない。石場兵曹はちょっと気の毒そうな顔をして「・・じゃ、俺はここにいるから、しっかりね」と言った。砲塔のドアが閉まった。

薄暗い砲塔内でいきなりオトメチャンは目隠しをされた。「何なさるんですね!」とオトメチャンは泡を食って叫んだ。そこに(静かに・・)と人差し指を口に当てて副長が入ってきた。副長は「御免!」と言うなりオトメチャンのみぞおちに拳を思いっきり入れた。

とたんにグンニャリとなるオトメチャン。運用科と、工作科の兵は(ごめんねえ、オトメチャン。これもお国のためです)と手を合せて拝んでいる。

副長が、「さ、目覚めないうちに早く!」と言って、皆は我に返り手早くオトメチャンの服を脱がした。

その向こうで誰かが嬉しそうに笑っているのだが――

 

その頃、麻生分隊士は第二砲塔内で着替えさせられている。

「なんだあ、これは?おれのキャラクターに合わないみたいだが・・・」とぶつぶつ言っている。それもそのはず、なんだかある動物の体の一部分のような作り物を身に付けさせられているのだ。しかし、それがなんなのかは暗くってよくわからない。

「しかもなんだ、人のふんどしをふんだくりやがって、これをつけろだと?」ブツブツ言いながら工作科の兵曹に渡されたふんどしを締める。なんだか工作科の兵曹は笑いを必死にこらえているようではないか。

麻生分隊士は「貴様何か隠しているな?言わんか!」と怒鳴ったが、ふんどしを締めながらでは迫力に欠ける。工作科兵曹は笑いをこらえて震える声で、

「いえ、言えません。言うなと副長のご命令ですから・・」

と答えるのみ。やっと暗がりの中でふんどしを締めた麻生分隊士は「副長、だと?またなんか企んでやがるなあ」とぶつぶつ言う。

「準備はようございますか?」と外から水木水兵長の声がして、兵曹が「おう、いいぞ」と答える。兵曹が、「では、麻生少尉。ちょっと御無礼・・」と言って分隊士に目隠しをした。麻生分隊士は「なんだよ、何すんだよまったくもう」とちょっとあわてている。それには取り合わず、工作科兵曹は分隊士の手を引いてどこかにいざなう。

オトメチャンは、気を失ったままで第一砲塔の上に吊り上げられた。

「これから寸劇を始める!」

と、『大和』艦上に大声が響いた。副長の声である。皆が一斉に第一砲塔を見た。猪田艦長も何事かと目を向ける。

すると、今まで幕に覆われていたものが姿を現した。黄色い、大きな月を模した張りぼての前に、オトメチャンが気を失ったまんまでつりさげられている。

「おお!」「うわっ!」「刺激的~!」

いろいろな叫びが交錯した。猪田艦長も「おおっ、すごい・・」と思わず喉を鳴らす。

オトメチャンはなんと、白い兎の耳をつけ胸には白いさらしを巻き、下はやはり白いふんどしでお尻にはふわふわのウサギのしっぽが付いている。

それが気を失ってつりさげられているのだから何とも言えない風景である。

そこに、竹刀を持った森上参謀長が現れた。来ているものはまるでどっかの独裁国家の将軍が着ているような軍服調の服。

竹刀でバシッ!とばかりに床を叩いて、「ワハハ!このかわゆいウサギちゃんはおれのものだあ!誰にも渡さんぞ!」と悪役丸出しの参謀長。もしかしたら素のままかもしれない。

第一砲塔に連れてこられた麻生分隊士はここで目隠しを取られ、「なんだってんだ。・・え、ここは――」と言いかけて、砲塔の上の騒ぎに気がついた。

砲塔の上に続くラッタルを上って肝をつぶした。

あられもない姿でつりさげられているオトメチャン。そしてそのそばでヘンな服を着て竹刀を振り回している参謀長。

カ――ッ、と頭に血が上った麻生分隊士は一気にラッタルを駆け上がった。そして、砲塔の上に仁王立ちになると、「参謀長!ついに本性現しましたねぇ!」と叫んで身構えた。

参謀長は、竹刀を構えると「おお、来たな正義の味方クロウサギめ!」と叫ぶ。ここに至って初めて分隊士は(へ!?クロウサギって何だ)と我に返る。最上甲板いっぱいにいる乗組員たちが皆、この砲塔の周りに集まって目をキラキラさせている。

麻生分隊士は自分の姿をあらためて見直した、すると。

自分は黒い兎の耳をつけ、胸には黒いさらし、そして下は黒いふんどしにふわふわのウサギのしっぽが付いているではないか。

「ギャッ!!」

思わず叫んでいた。・・・何これ何これなにこれ・・・

参謀長はそんな分隊士にはお構いなしにひとりで盛りあがって「劇」を続けている。竹刀で、オトメチャンをつついて、「ほら見ろ~、貴様の大事な彼女だろ、ほれほれ、こうしてやる」といやらしい笑いを浮かべる。

「やめろぉ!」

麻生分隊士は再度、頭に血が上って参謀長に掴みかかった。「私のもの、私のオトメチャンに一体何をするんですかあ!いい加減にしてくださいって!」とわめきながら掴みあい。

下で観ているみんなはもう大喜びである。猪田艦長でさえ「いいぞぉ、麻生少尉。もっとやれ、もっとやれえ!」と手をたたく。

しばらくドタバタが続いて、オトメチャンが目を覚ました。異常な状況に「キャーッ!」と叫び声を上げる。

「オトメチャン!」麻生分隊士が怒鳴るように言って、参謀長を殴り飛ばした。参謀長は、分隊士のパンチをもろに食らって「演技」ではなく本当にダウン。

分隊士はオトメチャンに駆け寄るとその縄を解いた。オトメチャンは「・・分隊士、一体どうしたことか私にはわかりません」と泣きそうになっている。分隊士も「おれもよくわかんない。これが副長の言っていた『出し物』なのかな?」と言って、しっかりオトメチャンを抱きしめた。

とたんに満場の喝さい。

そこに副長の声で「・・・こうして邪悪なものは退治されて愛し合う二人は再び会いまみえることが出来たのであった。クロウサギは、まるで皇軍のようだ。強くて慈愛にみちた皇軍のようである!」とナレーションが入って喝采は最高潮に達したのであった。

クロウサギとシロウサギはわけがわからずポカンとしたまんまである――

 

そんなこんなで、よくわからないまるで楽屋受けのような寸劇も終わり、夜も更けた頃総員今度は落ち着いて猪田艦長のお説教を聞いた。

「・・・ああ、こういうすがすがしいお話を聞くって言うのもいいなあ!」と座禅を組みながら皆は言ったものである。

一方『武蔵』でも、乗組員による出し物の後、梨賀艦長の『くだらない・笑えない冗談』を乗組員一同は聞いたが、「・・・ああ!たまにはこういうお話もいいじゃない?」と大うけであったとか。

普段『大和』乗組員にはそっぽを向かれる梨賀艦長の冗談がここではウケて、梨賀艦長はご機嫌かつ大感激であった。

そばでは、加東副長の右と左に陣取ったトメキチとナナがあくびをしながらその冗談を聞いていた。

『月を愛でる会』はこうして終わったのだった――

           ・・・・・・・・・・・

長い話でした。

例によって、あの三人の絡みでしたね。結局これか!と言う感じでしたがみんなにはいい刺激になったようです。

昨日(9月22日)は東京では素晴らしい十五夜でしたが一夜明ければ大雨の彼岸の中日であります・・・。


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● COMMENT ●

雪風さんへ

こんばんは

猪田艦長と梨賀艦長の「大人の寸劇」。
一度させてみたいですね、そのうちさせましょうか!

ええ!?「雪見」が近いと!?
・・・確かに季節はいっきに「冬」ですね。
あの暑さが懐かしくなってきました・・・・

陸戦隊さんへ

こんばんは!

>フンドシの除幕式
には笑っちゃいました。

「女だらけの~」ですから天の月ばかりでなく「月のもの」も何人かいたかも!!??・・・え!?

高校時代、どんなシナリオで劇をなさったんでしょうか、今度教えてくださいな~?

吉田明彦 さんへ

こんばんは!

オトメチャンはきっと吉田さんのような男性が大好きだと思いますよ!是非助けてやってください。
しかし…麻生分隊士が邪魔しに来るかも!?

村○、ありがとうございます!

ジスさんへ

こんばんは、こちらこそいつもありがとうございます。

そうなんです工作科はこの白黒のために大騒ぎさせられていたんですね、かわいそうに・・・。

しかし一歩間違えばエロ寸劇になりますね!危険だ!

22日はうちのあたりではよい月夜でしたが、翌日は(泣)でした。

matsuyama さんへ

こんばんは!

なんだかどうしてこうなるんだか、この連中はww。
もっと美しいコントとか?笑える寸劇ならいいのですが、これでは、ねえ・・・タメイキ。

来年の「月を愛でる会」が心配です。

No title

猪田艦長と梨賀艦長の寸劇も見てみたいな
大人の女の色香を振りまきながら

こちらは一気に冬です・・・
近いうちに雪見ざます

あの頃に戻りて~

見張りんさん、こんにちは。 e-279『月にっ代わってお仕置きよ!』フンドシの除幕式かと固唾をのんでおりました・・・
 
内容はともかく、高校時代の予餞会で自分の考えたシナリオでクラスで茶番劇をしたことを懐かしく思いだしました・・・ 

おはようございます

オトメちゃん、読んでる途中で助けてあげたくなります^^

村○です

2位でしたね!

No title

こんばんは。いつもありがとうございます。

白兎と黒兎・・なるほど、工作隊はコレを・・ですか。ドラマチックな寸劇だったみたいですね。

昨夜はお月見でしたね。家族で近くのお寺に出かけては見たものの。見えたり見えなかったりでした。

No title

それにしても激しい寸劇ですね。刺激的ですね。
白と黒のバニーちゃんがかわいそう。
どうせなら丸い黄色の大きなお月さんをバックに
麻生分隊士とオトメちゃんのバニーちゃんが、餅つきを
するショートコントだったら良かったのに。
月を愛でる会も締まったかもしれないですね(笑)。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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