益川中佐見合いする 2|女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

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益川中佐見合いする 2

2017.04.30(16:39) 2233

益川中佐は相手の女性を見て思わず目を瞠ってしまったーー

 

室内に入ってきた女性は、何かそこら辺の女性とは違う雰囲気を醸していた。(化粧が濃いなあ)。益川中佐の周囲にいる工廠の海軍の女性軍人は普段は全く化粧をしないかしても薄い化粧であるがこの女性はばっちり化粧をしていて、(素顔がわからんなあ)。

そして(これも天女のうちなのだろうか?)、例えば山中次子や繁木史子のような楚々とした感じがない。(形の違う天女と思えばいいのだろうか?)。

益川中佐の心はだんだん塞いできた。(この女性と交際してそして結婚してうまくできるのだろうか。いや私には自信がない)とそこまで考え始めてきた。

やがて仲居によって料理が運ばれ会食が始まった。その間もそれとなく益川中佐は彼女―蘭子ーを観察している。ふと目が合った瞬間、蘭子は嫣然と益川中佐に微笑んだ。その微笑みに中佐は

(この人が…私の天女なのだろうか)

と疑問がわいてくるのをどうしようもなかった。兄と兄の知り合いという男性はお互いをほめあって

「いやあ、蘭子さんは素敵な女性ですよ。なかなかこんなにきれいな人はいないですからね、敏也は幸せ者ですよ」

と益川の兄はもう話が決まったような口ぶりで言うし、兄の知り合いの男性は

「いやいや、姪っ子は何もできませんからかえってご迷惑をおかけするんじゃないかと心配ですよ。益川中佐は立派な海軍技術中佐ですから恥ずかしくないようしないといけないぞ」

とこれも兄と同じような口ぶりである。

益川中佐は(なんだかもう話が決まったようなことを言うが私はまだ決めたとも何とも言ってはいないぞ)とやや不快になった。

 

益川中佐が激高する時が、そのすぐ後に来た。

兄の知り合いで蘭子の伯父という男性―金太―が隣に座る蘭子に、まだ手を付けていないご飯茶碗を差し出して

「もっと食べるか?食べなきゃだめだぜ二人分なんだから」

といったのだ。

「…二人分?二人分てどういうことです?」

益川中佐はけげんな表情で金太と蘭子を交互に見た。益川の兄が困ったように面を伏せた。益川中佐はまず兄を見て

「どういう意味なんでしょうねえ二人分って」

といいそのあと金太と蘭子を厳しい目で見つめた。すると金太が

「すまない益川さん、何も聞かなかったことにして蘭子と一緒になってほしいのです!」

というとその場に平伏した。

驚く益川中佐に金太が告白したこととはーー

 

――蘭子は金太の姪っ子であるが男性にだらしがない。女学校時代から男性のうわさが絶えず、困り切った両親が金太のもとに預けてその素行を直してほしいと頼み込むほどであった。金太も困り果ててはいたが蘭子の親で自分の兄の申し出にいやとは言えず数年間彼女を預かり指導してきた。

が、勤めに出るとまた悪い虫が騒ぎ出しあちこち男性を乗り換えて歩く始末。そしてーー

 

「実は蘭子のお腹にはその中の一人の男性の子供がいるんです。どうか益川さん、すべてに目をつぶって蘭子と結婚してお腹の子供の父親になってはくれませんか?」

泣きながら言う金太の言葉、そしてそれを他人事のように聞きながら食事を続ける蘭子を見て益川中佐はついに激怒した。

「バカな。ばかなことを良く恥ずかしげもなく言えたもんだ、そんなハスッパで、行っちゃ悪いがあばずれ女を私にだって?いくら私がこの年まで一人だからってバカにするのもいい加減にしろ!…兄さんもこのこと知っていたんだな!」

怒りは自分の兄にも向いた。兄はつらそうにしていたが小さくうなずいた。

益川中佐は

「兄さんまでぐるになって私にそんな話を押し付けようとしていたんだな、もう絶交だにいさん。こんなひどい話あっていいもんじゃないだろう、よく考えろよ!俺はいったい何なんだよ、本当にいい加減にしてくれよ!」

と悲痛な叫びをあげると部屋を飛び出していた。

男二人は黙って下を向き、蘭子は箸を口に運びながら「あ~あ。だめになっちゃった」と嗤っている――

 

益川中佐は怖い顔でずんずんと歩いてゆく、その目指す先は山中新矢大佐の家である。

緩やかな丘を上がり門をくぐって玄関の戸を叩くと数瞬ののち「はい?」と返事があって新矢が玄関の扉を開けた。

「益川君!どうしたんだね今日は見合いでは」なかったのか、と言いかけた新矢の前に益川中佐は頽れて大泣きし始めた。

「どうした何があった?まあいいから入りなさい」

新矢はびっくりして益川中佐を家に入れた。そして居間に座らせると茶を淹れて「さあ飲んで落ち着いて」と言って、益川中佐が落ち着くのを待った。

しばらく時間がかかったものの益川中佐はやがて落ち着き、見合いの場での話をした。

「なんてことだ、なんて失礼な話なんだ!」

山中新矢大佐も、わがことのように怒ってくれた。新矢は大事な自分の部下であり友人である益川中佐への、その仕打ちに心底腹を立て

「いいか益川君。前にも言ったが絶対にいい縁が来るからあきらめてはいけない!そしていつか<天女>のような女房を娶って見返してやりなさい。いいね、絶対その日が来るから自棄を起こしたりするなよ、いいな!」

と励ました。益川中佐は新矢の心に感じ入ってますます泣いた。

 

後日、その話を伝え聞いた次子は顔を曇らせて

「どうしてあんなに良い方にそんなひどいことをなさるんでしょうね?考えられない話ですわ。益川中佐、お気持ちを落としてらっしゃらないか心配です」

といった。そして

「きっと、いえ絶対に益川さんにはよいお相手が見つかりますよ、絶対にね」

と言って新矢を見つめてうなずいた。新矢もうなずき返す。

 

そして、傷心の益川中佐には突然の辞令が下りようとしていたのだった――

  (次回続編へ)

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・

ありえない見合いでした。益川中佐どうしてこんな目に合わなきゃいけないのか。山中夫妻の怒り尤もです。

そしてその益川さんへの辞令とは?次回をお楽しみに!

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コメント
ponchさんこんにちは
益川さん大変残念なこととなりましたし相手がとんでもない女でした。どこの誰が父親かわからない子供を孕んでその子の父親になれだなんて益川さんの怒りごもっともです。
さていざ南方、いい人との出会いを期待しましょう~♡
【2017/05/18 18:33】 | 見張り員 #- | [edit]
益川さん、やっと身を固められるかと思いきや、
とんだ女を押しつけられそうになっちゃいましたねー。
自分はでき婚はどうかと思いますが、そうゆうのは孕ませた男に
責任取ってもらうべきなんじゃないでしょうか。

益川さん、今回も残念でしたねー。
益川さんにも早く春が訪れますように(´人`)
【2017/05/16 02:48】 | ponch #7yu2AX4I | [edit]
オスカーさんこんばんは
お返事遅くなってごめんなさい、二日の午後から実家に行って居りました!

蘭子=乱子
まさにその通りでしたね(;´Д`)。自分の不始末を全くの他人に押し付けてしまうというこの連中のいやらしさ。人間不信にならないでほしい益川さんです。
きっとどこかに幸せが待っていることでしょう。次回以降をお楽しみに!
【2017/05/07 18:17】 | 見張り員 #- | [edit]
こんばんは。
蘭子は乱子なのですね~どうしても❗な訳ありではなくて、すべて自分の責任なのに・・・ああ、女嫌い、人間不信にならないか心配です。早くしあわせがやって来ますように!
【2017/05/03 21:44】 | オスカー #- | [edit]
河内山宗俊さんおはようございます
まさにぶっ飛んだ話で読んだかたのほうが面食らってしまったかもしれませんね(-_-;)。しかしこんな話が本津男に逢ったらとんでもないですね。
いわば人の使い古しをいただくなんて…。出来っこない!益川さんにはひどいショックとなりましたが。
さてさてどんな辞令が出たのでしょう、そちらもお楽しみに。
【2017/05/01 09:03】 | 見張り員 #- | [edit]
あまりにぶっ飛んだお話でしたね。
さすがにデキ婚が多くなった現在でも、
到底うまくいかないお話で。

さて、傷心の益川さんにどんな辞令が?
何事もなければいいのですが?
【2017/04/30 23:09】 | 河内山宗俊 #jYbOzkUY | [edit]
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