新しい光

<潮風>くんは、布団の上に横たえたオトメチャンの服をそっと脱がせ始めたーー

 

それでもオトメチャンは微動だにせずなすがままである。<潮風>くんは優しい手つきでその作業を終えると今度は自分が来ていた浴衣を脱いでオトメチャンの横に添い寝する形になった。

「いいんですね?」

と彼は確かめるように言ってオトメチャンは小さく「…はい」と答えた。<潮風>くんは小さくうなずくとオトメチャンの上になった。心なしかオトメチャンの表情に緊張が見えた。

<潮風>くんはそんなオトメチャンに接吻した。長い接吻の後彼の手はオトメチャンの頬を撫で、そのあと首筋に下がりやがて乳房にたどり着く。そしてその先にそっと触れてみるとオトメチャンは頬を赤らめて恥ずかしさに耐えているようである。

<潮風>くんはそこにしばらく触れた後、いよいよその手をオトメチャンのまだ締めたままの下帯に掛けた。オトメチャンがはっと身を固くしたのがわかった。

<潮風>くんはそれに構わずそのひもを解き、オトメチャンの両足を大きく開かせ自分の腰をそこに入れた。

「う…」

とオトメチャンが嗚咽を漏らし始めた。<潮風>くんは動きをとめてオトメチャンを見つめた。しばらく部屋の中に満ちるのはオトメチャンの嗚咽だけになった。

どのくらい嗚咽を漏らしていたのだろうか、やがてオトメチャンは泣き止むと<潮風>くんに

「ごめんなさい、うち…いさぎようないですね。この期に及んで女々しく泣くなんぞ帝国海軍の軍人の風上におけんですね」

と言って片手の甲で涙をぬぐった。<潮風>くんはそんなオトメチャンにやさしく微笑みかけると

「本当はトメさん、したくないんですよね?」

と尋ねた。その優しいまなざしにオトメチャンの瞳がまた潤んだ。そしてオトメチャンは

「ごめんなさい。ほんまいうたらうち…しとうないんです。ほんまにごめんなさい。でもあの時、うちは許婚だったひとから<あばずれ>呼ばわりされて無理やりされそうになって…自棄を起こしておったんじゃ思います。ほいで高田兵曹にヴァーを捨てるけえいうてお願いしてここに連れてきてもろうた。ほいでも、いざとなるとうちもどうも怖いような気がしてならんのです。<潮風>さんにはほんまに申し訳ないです」

というとまた静かに泣き始めた。

<潮風>くんはオトメチャンを優しく抱きしめると

「わかっていましたよ、なんとなくでしたが、でもやはり。いいんですよ、私はトメさんの意に染まないことはしません。あなたを大事にしたいと思います。そしてあなたの初めては、いつか出会うあなたの大事な人のために取っておきましょう」

と言った。オトメチャンが泣きながら

「うちに…そんとな人がいつかできるでしょうか?」

というと<潮風>くんは微笑みながら

「当たり前ですよ。トメさんは素敵な人だ、海軍さんとしてもそして女性としても。きっとあなたを大好きになって、一緒になりたいという素敵な男性が現れるはずです。ですからどうかご自分を卑下したり安売りをするようなことはもうやめてくださいね、これ、私との約束ですよ」

と言ってオトメチャンの片方の手を優しく取ってその小指に自分の小指を絡めた。

「はい…」

オトメチャンは、いつだったか紅林に「小指に絡まった赤い糸」の話を聞いたのを思い出し、少しつらい心持ちにはなったが

(赤い糸もきっと長うてからまる先を間違うたんじゃろう。うちはいつまでも待とう、本当にうちを好きになって一緒になってくれる人が出てくるんを)

と思い直した。そして微笑み返したオトメチャンに<潮風>くんは

「ああ、トメさんの笑顔は本当に素敵ですね!きっと、いや絶対素敵な男性が現れますから待ちましょうね。…そうだ今夜は」

と言ってオトメチャンに浴衣を着せかけ自分も浴衣を着ると、ちょっとのあいだ部屋を出て行き戻ってくると手にはちょっとした料理と酒を持ってきた。

「今夜は新しいトメさんを祝いましょう」

と言って二人はその晩は遅くまで食べ、飲み、そして語り合ったのだった。

 

それを隣の部屋で耳をそばだてて聞いていた高田兵曹はほっと安どの息をつき、

(ああえかった!<潮風>くんいうんは大した男じゃ。感謝します。――言うてもうちの佐野さんのほうがずっと大した男じゃがね)

と思ってくすくすと布団の中で笑ったあと、深い眠りについたのだった。

 

翌朝、オトメチャンと高田兵曹は<潮風>くんに心から礼を言って見世を出た。えかったねえ、えかったです、と言い合いながら。

その後ろから「おーい、おぼこちゃーん!」と大声を上げて追っかけてきたのはだれあろう棗主計特務大尉、彼女はオトメチャンの肩をひっつかむとこちらに向かせその顔をじーっと見つめた。高田兵曹が気味悪く感じるほど見つめた後棗大尉はウフフーッと笑うと

「ああえかった!おぼこちゃんのままねアナタ。ほっとしました。自分を大事にしなきゃいけませんよ」

というと「じゃあねえ~」と言ってそのまま走り去っていった。

高田兵曹がその後姿を見つめながら

「棗大尉、心配しとってなあね」

とつぶやきオトメチャンは「ありがとうございます、棗大尉」と言って力いっぱいの敬礼をしたのだった。その二人にトレーラー島の新しい朝の光がまぶしく照ったーー

 

               ・・・・・・・・・・・・・

 

どうなることかとは思いましたがオトメチャン、ヴァーを守ることができました。<潮風>くんナイスガイですね!紅林、彼の爪の垢でも煎じて飲んだらいいのに…ってもう遅かったですが。

 

次回新しいお話が始まります、誰が主人公になるやらお楽しみに!

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Secre

すっとこさんへ

すっとこさんこんばんは
相手の気持ちを読んで行動できる男性(いや男性でも女性でも)は理想ですよね。こういう人がもっといれば世の中も少し良くなるのになあ~(;´Д`)。
棗大尉は、相手の瞳を見ればわかるんだそうですよw。ヴァーは済んだ瞳をしているとかww。

しかしすっとこねえさまのご経験もすごいぞ!!その『独特のオーラ』を解るとはさすがです。私もそういう目を持ちたいですねw。

オトメチャン 本当にヴァーが守れて良かった❣️潮風くん、よく自分の衝動を堪えましたね。なんという紳士でせう。こういう方とオトメチャンを赤い糸で繋げてあげたいですね。
棗大尉の炯眼にも驚きますが 実は自分にも同じような経験が。

海外駐在生活で 日本からの出張者がよく我が家にお食事にいらしたのです。周りに日本食レストランがなかった時代で。
多数の企業戦士さんをご接待して話を伺ってるうちに ある時から「愛人持ちさん」が判るようになっていました。独特のオーラを放っておいででした。

だから棗大尉もヴァーに関しては何か判定基準があったのでせうね❣️

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは
ハラハラさせてしまいましたが良い結果になりました!
しかし自棄になってとはいえ、突っ走らなくてよかったし相手が良い人だったのが何よりの救いでした。まだ若すぎるほど若いオトメチャン、絶対良い出会いが待っています!さてそのお相手は…???

棗大尉の観察眼、これはいったいどうして培ったものなのか?謎ですねw、この大尉自体が謎なので、探ろうとすると大変な深い淵に落ち込みそうですね^^。

ponchさんへ

ponchさんこんばんは
自分を安売りすることだけは避けなければなりませんよね。後々とてつもない後悔をするでしょうから。潮風くんのように自分を大事にしてくれる人を見つけてほしいですね^^。
そう、私も女性の気持ちを汲んで思いとどまる男性にこそ、と思いますね!そういう男性、この世にいるかなあ…??いると信じたいです。

河内山宗俊さんへ

河内山宗俊さんこんばんは
本当に爽やかでなかなかの好青年です。こういう場所で働いているのがもったいないといえばもったいないほどに。
オトメチャン、新しく生まれ変わってどんなになるでしょうか、ただのおぼこで夢子ちゃん…ではなくなりそうですよねw。
棗大尉の観察眼、恐ろしいほどです。どうしたらこんな観察眼が持てるんだか(-_-;)…女だらけの帝国海軍の謎人間のトップに君臨しそうですねw。

アジシオ次郎さんへ

アジシオ次郎さんこんばんは
メッセージ拝見していましたがお返事できなくてごめんなさい。
ご紹介の本未読なものばかりなのでコメントのしようがないのですがそれでもあまりな表現のものを堂々と世の中に出すその神経は理解できません。子供に及ぼす影響を考えるとき何らかの対策を必要としますね。

よかったです~一時の感情に流されて(本人にはとても辛いことでしたが)後から悔やむような行動をしてはいけません~まだまだ若いんですから、よい出逢いがあるはず。焦らずにいきましょう。しかし、棗さんの観察眼はスゴいですね。ちょっと欲しい能力(?)です(笑)

No title

オトメチャン、すんでのところで自分を安売りしなくて済んでよかったですね。
ただ潮風くん結構いい人みたいなので、これを期に彼との恋が進展すると
いうことはないんでしょうか。
自分は即座に頂いてしまう男よりも、女の気持ちを汲んで思いとどまる男こそ、
女の大事なものを捧げる価値があるのではないかと思ったもので。

源氏名?のとおり、爽やかな青年ですね潮風くん、あの方とは正反対。
これで吹っ切れたオトメちゃんのこれからが楽しみですが、多少夢見るオトメちゃんではなくなりそうですね。
しかし、棗姐さん顔を見ただけでわかるのですか?ますます謎の人物です。これも生きた性活事典の為せる技?

No title

こんにちは。

そう言えば見張り員さんにメッセージを送ったんですが、そちらはご覧になりましたか?
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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