「女だらけの戦艦大和」・食いしん坊バンザイ!|女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

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「女だらけの戦艦大和」・食いしん坊バンザイ!

2010.05.26(22:05) 215

「女だらけの戦艦大和」に、いいにおいが漂っている――

 

『大和』は間もなく修理を終えて元のトレーラー基地に戻るだろう。兵装も整えられてハリネズミどころかヤマアラシのようになった。

見張兵曹は防空指揮所からそれを見降ろして(すっごいなあ。これでもう「大和」は向かうところ敵なしってもんだなあ)と感心している。

そろそろ夕飯時であり、烹炊所から漏れ出したいい香りが艦内に漂い出している。

「今夜はすき焼きだ!」

兵曹は香りを嗅ぎ分けて嬉しくなった。

 

艦橋から居住区に下りる途中、兵曹の鼻は『別のいい香り』を感知した。

(お!?なんだこのいいにおい。すき焼きではないなあ~。一体どこから来るんだろう)

見張兵曹はその香りをつけてゆくことにした。

 

匂いの元は下甲板の士官烹炊所。ここでは士官用の食事を作っているのである。彼らは見張兵曹たちとはちがっていわば自腹で飯を「買う」ので豪華な食事をとれるのである。

準士官である兵曹長になれば準士官用の烹炊所がある、松本兵曹長とか渡貫兵曹長はこう言ったところで作った物を食えるのだが松本兵曹長は「士官用?盛りがすくねえから嫌だ。兵食を食っていたい」と言って兵食を食っている変わり者である。

 

ともあれ。

見張兵曹は士官用の烹炊所をそっと覗いた。ここでは主計科の烹炊員ではない軍属のコックが調理をしているのだ。

(わあ、今日はいったい何を作ってるんだろう)

食べ物に興味のある兵曹にはたまらない場所である。

 

そこに。

「あれ?オトメチャンじゃない、どうしたの」

と福島主計大尉が声をかけた。兵曹は振り向くと敬礼した。その兵曹に笑って返礼しながら福島大尉は、

「ああ。ここのぞいてたんだ。士官用の烹炊所、オトメチャン達の烹炊所とはちょっと趣が違うでしょ?」

と言って扉を開いてくれた。コックたちが大尉に気がついて礼をする。大尉は仕事の邪魔にならないようにうなずいて、

「今日の献立は何だっけ、たいがい夕飯は和食だよ。・・・今日は牛肉味噌漬けにたけのことイカの木の芽あえ、それに煎り豆腐とかかなあ。他にも何皿かあるんだよ」

と教えてくれた。

「なんと!牛肉の味噌漬けでありますか。おいしそうでありますねえ」

見張兵曹はよだれをたらさんばかりに言った。福島大尉はちょっと苦笑して、

「でもさあ、オトメチャン。今日はオトメチャン達もすき焼きだよ?すき焼き、嫌い?」

と聞いた、すると兵曹は猛然と首を横に振って、

「とんでもないであります、すき焼きは大好物であります。・・・あとウドンもそうでありますし、カレーライスもでありますし、てんぷらもでありますねえ・・・」

と話し出した。止まりそうもない。

福島大尉は、「オトメチャンは小さい頃何が好きだったの?」と思わず聞いてみた。すると兵曹はちょっとさみしげな表情になって、

「私は子供のころはこのくらいの飯椀にちょっとのご飯、それに味噌汁の上澄みをぶっかけて食っていました。いつも毎日それだけでありましたからぶっかけ飯が好きでありました」

と言った。福島大尉は内心(しまった)と思った。

兵曹の心の地雷を踏んでしまった!――と後悔したが、兵曹は次の瞬間表情を和らげて、

「ですが海兵団に入ってとてもうまい飯を食うことが出来てよかったであります。海兵団は極楽のようだと思いました」

と言った。

福島大尉は海兵団はしごきもあってとても極楽、とは言い難いんじゃないかと言ったが兵曹は、

「いえ。あんなしごきは私がうちでされてたことを思えば蚊に刺されたくらいです。それより美味い飯が食えるから嬉しかったであります」

と意に介していないようだった。

「そう。それはよかった・・・」

福島大尉はそう言って、

「ほらもう食事の時間だよ。早く行かないと」

と兵曹に発破をかけた。兵曹は「あ・・」と小さく口の中で言うと福島大尉に敬礼して自分の居住区に走って行ったのだった。

兵曹が居住区に着いて間もなく食事開始。

「いただきまーす!!」

大きな声があちこちで響いて、兵員の食欲が爆発している。

 

さてここで本日の士官食の簡単なレシピをご紹介しましょう。

牛肉味噌漬け

牛肉の純良なところを三十匁(≒112グラム)位に切って白みその中に入れて漬け置くこと一日半くらい。

味噌を取って鉄条か串に刺して焼いて差し出す。付け合わせは菜のお浸しとする。

肉は切って提供すること。

(参考文献・復刻 海軍割烹術参考書 イプシロン出版企画より引用させていただきました)

 

 

見張兵曹は今日見たあの士官烹炊所の風景を何度も心に描きだしていた。そして(いつか必ず士官になってあのうまそうな料理を食べるんだ!)と心に誓っていた。

そして、(麻生分隊士もあんなおいしそうなものを毎日食べてるんだなあ)と思ってとてもうらやましくなった。

 

その晩例によって分隊士の部屋を訪れた見張兵曹は麻生分隊士から小さな弁当箱を渡された。

分隊士は笑って、「開けてごらん」という。ちょっとだけ怪訝な顔でそれを開けた兵曹の顔がぱっと明るくなった。

「分隊士、これ!」

と声が上ずった。弁当箱の中には「牛肉味噌漬け」が入っていた。分隊士は「福島大尉がな、これをオトメチャンにあげてくれって。オトメチャンは料理がうまそうだからこれ食って味を覚えたらいいって下さったぞ」と言った。

「福島大尉が。ありがたいであります」

兵曹は弁当箱をささげて頭を下げた。分隊士が「さ、食ってみろよ?美味いぞ。・・・でそれ食ったら俺がオトメチャンを食うからね」

 

食って食われて。

でも今夜はオトメチャンにとっては嬉しい晩になったのであった――

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「復刻 海軍割烹術参考書」 イプシロン出版企画 ・は普段の献立の参考にもなるいい本であります。

お鍋などの調理用具やお皿などの図、そして日本料理・西洋料理・菓子(デザートといていいでしょうか)などが現代語訳されています。

興味のある方ぜひ読んでみてください。

帝国海軍士官は結構おいしいものを食べていましたね~、いいなあ。

私も士官になって・・・いや兵食も魅力あるし・・・どっちもいただきたい!!


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コメント
こんばんは!!

タジン鍋。
うちの近所のホームセンターに売ってるのも小さめでしたね・・・でかい鍋でたくさん食べたいものであります。

「大和」ご飯。
永遠の憧れ。ダイヤモンド以上です。
【2010/05/27 22:36】 | 見張り員 #- | [edit]
こんばんは!!

おお、九段下で食堂を開きましょうか。
新しい「靖国名物」になれたらいいですねえ~。
帝国海軍の烹炊員だった方を募集せねば(笑)。
【2010/05/27 22:34】 | 見張り員 #- | [edit]
こんばんは!!

トレーラー島はまさに「トラック島」を意識しています。トラックとくればトレーラーだあ、って感じでww。

ぶっかけ飯ってうまいですよね。みそ汁とご飯のハーモニーが言うに言われません。絶妙なこの味、日本人の味だ!!

ここの福島大尉は脳内日章旗ですからご安心をww。
【2010/05/27 22:32】 | 見張り員 #- | [edit]
こんばんは!

こちらこそいつもありがとうございます。
「大和」とか「海軍」の料理って尽きぬ興味があります。かつての海軍に一番近い存在は今や「海上自衛隊」ですがここも海軍の気風を受け継いで、食事はうまいそうですよ。

しかし本物の「大和」の飯を食べたかったものです(泣)。
【2010/05/27 22:30】 | 見張り員 #- | [edit]
タジン鍋なる物を買いました
一番大きい鍋にすれば良かった。一人前用なんて足りないよ。
大和ご飯憧れます
【2010/05/27 19:08】 | チハタン #- | [edit]
見張りんさん、こんにちは。 野菜屋さんとは別に九段下で”トメ屋”食堂を開いたらどうですかねぇ~ 懐かしい海軍の味・・・名物食堂になること請け合いですぞ~!
【2010/05/27 13:16】 | 陸戦隊 #- | [edit]
お早うございます。 かつての連合艦隊の南方拠点のトラック環礁を想像させますね! トレーラー基地+゚。(苦´・艸・)(・艸・`笑)。゚+  
オトメチャンも味噌汁ぶっ掛けが好きだったようですが、私も好きで、今でも
丼を片手にかきこむ時が有りますよ

福島大尉・・ この名前を見たとたん
アレルギーを起してしまいましたw
【2010/05/27 08:15】 | としぼーん #JalddpaA | [edit]
こんばんは。いつもありがとうございます。

見張りんさんのブログで以前から「大和」の食事は豪華で旨いとお聞きしていましたが、これだけ具体的に列挙されると本当に旨そうです。そういえばすきやきなんてもうどれだけ食べていないことか・・・。
【2010/05/26 23:25】 | ジス #- | [edit]
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