2017-10

「女だらけの戦艦大和」・医務科の猛訓練5<解決編> - 2014.08.30 Sat

 その日はついに来た――

 

その日の朝食後、医務科の「訓練要員」は前甲板に集合すると日野原軍医長を先頭に内火艇・ランチ・カッターに分乗して上陸して行ったのだった。居残り組で見送りの名淵大尉は遠ざかる皆に視線を当てて

「しごきかあ。いいような悪いような」

とひとりごち、そして艦内に戻っていったのだった。彼女たちを見送っていたのは、名淵大尉だけではない。前牆楼トップに鎮座していたハッシー・デ・ラ・マツコとトメキチもである。マツコはその灰色の羽の先をきれいにそろえて天に突き上げながら

「トメキチ見たあ?医者と看護兵の軍団が大挙して上陸よ!これはきっと…何か面白いコトがあるのかもしれないわよ」

と言ってその金色の瞳でトメキチを見た。トメキチもマツコの背中に乗っかってその細い尻尾を振りながら

「僕もそう思うわマツコサン。――てことは?」

「てことは?」

とマツコが鸚鵡返したそのあと、二人は声を合わせて「行くっきゃあないでしょ!」と叫んで、マツコはその場で羽ばたきはじめトメキチはマツコの体に装着してあるベルトの中に入った。このベルトは工作科の水木水兵長がマツコの背中に乗って飛行するトメキチの安全のため作ってくれたものである。

ともあれ安全を確認したトメキチは「マツコサン発艦準備完了!」というとマツコは「発艦はじめ!」というなり前牆楼トップから飛び立ってそして、日野原軍医長たち医務科の面々のあとを追ったのだった。

それを防空指揮所から見張兵曹が見上げて「ありゃ。ハシビロとトメキチ、何処へ行くんじゃろうか」とつぶやいたが右舷側の小泉兵曹には聞こえなかったらしい。見張兵曹は双眼鏡からしばし目を離してハシビロの飛んでゆく後ろ姿を見つめている。

 

さて。

上陸した『大和』医務科の面々であるが日野原軍医長を先頭に行軍してゆく。看護兵たちはこっそり「何処へ行くんじゃろう」とか「一体どげえなしごきをされるんじゃろうか、うちいやじゃわあ」と私語を交わす。その列の中へ黒川大尉が

「誰じゃあ、私語をしとるのは!黙って行動しないと真面目にしごくぞ!」

と怒鳴ったので皆あわてて口をふさいだ。その中の一人、京本水兵長は(真面目にしごく言うて、ほいじゃあふまじめにしごくつもりだったんじゃろうか?いやあ、こりゃあ困ったのう)と苦り切った表情で歩いている。

ずんずんと皆は歩いて、ハッと気がつけば朝日町である。(ここは?遊郭のある場所ではないか!)この場所によく通う連中が色めきたった。が、(まさかここで訓練なんぞ出来るわけがないじゃろう?ここを通りぬけて何処ぞへ行くんじゃな)と思っている。

が、そのまさかで日野原軍医長は町のはずれの一軒の見世に入っていった。軽くざわめく一同に「来なさい」と声をかけて軍医長は見世の玄関に入ると誰何した。

すぐに店の女将が出てきて笑顔で日野原軍医長にあいさつし

「では皆さまどうぞこちらへ」

と一行を招じ入れた。皆は大きな玄関で靴を脱いできちんと揃えるともう一度広い廊下で隊列を整えて待つ。日野原軍医長が皆を見返って「行きますよ」というと女将が軍医長の少し前を歩いて案内をしてゆく。「一体どういうことじゃろう」

と皆の不安が最高潮に達した時。

「どうぞ」

と女将がふすまを開いて軍医長が先に足を踏み入れたのは大広間。わりと高級な見世なので高級将校嬢たちが集う場所で、日野原軍医長はここの女将とは昵懇の間柄なのであった。その関係で実現したのが今回の訓練というわけなのだ。

軍医大尉や中尉達士官のあとにぞろっとついて行った下士官兵嬢たちは広間に入った瞬間びっくりしてその場に立ちすくんだ。

彼女たちの眼前に――浴衣に身を包み鎮座している男性たち、ざっと十五名がいたのだから。

「ひっひっ、日野原軍医長、これはいったいどういうことですかのう」

からからになってひっついたようになった喉を引き絞るようにして宮部一等衛生兵曹がつぶやくと日野原軍医長は

「言ったでしょ?しごき訓練だって。ほら、私達トレーラーで男性の性病検査するんだけどそろそろその役目をあなた方にもやってほしいんだわ。あと痔の検査もね。痔はともかくしごくのってあれってけっこう疲れるんだよー、君たちはうらやましがってるらしいがね?で、そんなわけで今日は私の懇意のこの見世の男性を是非に、と女将に頼み込んで実現したのがこのしごき訓練だ。皆、いい加減な気持ちでやったらいけないぞ、協力してくれる男性に感謝しながら、本番同様の気持ちで訓練に臨んでそしてこの高度な技を継承して行ってほしい!みな、この技の後継者として頑張ってほしい」

とさらりと言ってのけた。

なんと。

しごき、とはそっち(・・・)()しごきだったのか。私達がしごかれるんじゃなくって私たちがしごくのね…。

医務科の下士官兵嬢たちは複雑な表情でそれぞれの男性の前に立ち、日野原軍医長や衛生士官たちに指導されながらまずは痔の診察の仕方を教わりそして、肝心のしごきをしたのだった。しかしそのしごき加減が難しく、時には男性の方が変化を起こしてしまったりしてまだ経験(

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● COMMENT ●

ウダモさんへ

ウダモさんこんばんは!
コメントをありがとうございます^^。
五年間もこんな話を書き続けてきました。いい加減ネタがつきそうなものですが、ネタは自分の周辺から拾うことが多いし、物の本を読んで適当にアレンジしますのでネタの枯渇というのは正直ありません。
今回の話はまた下品でした(^_^;)、こういう下品なお話が実は大好きなんですよね~ホホホ!!ってなわけでこういう尾籠なお話はある程度人生経験積まにゃあ書けねえぜ!――とうそぶく私でございますw。
やはり軍隊生活に置いて痔主さんはいろいろ大変なことがあるからきっちり検査されるんでしょうね(-_-;)、しかし性病検査の話を本で読んだ時はさすがの私も「グヘッ!」となりましたわ(-_-;)。男性ではない身ですのでその痛さが解らないですね。男性が、女の月の者のつらさや出産の痛みを解りえないのと同じ感じかしら?と思っております。
今月14日に父の五十日祭を執り行います。やっとここまできたという感じですが今になって体が言うことを聴いてくれずへとへとに疲れますwしょうがねえなあ、って感じです。
しかし一人っ子ってこういう時本当に大変ですよね。
姑は以前私の親の前で「一人っ子はわがまま、過保護!」と悪口を言ってくれました。我がままでは親を送ることなんかできやしませんよって。ねえ!

matsuyamaさんへ

matsuyamaさんこんばんは!
いやあ、絶句させてしまいましたね(-_-;)…やはり男性にとってはショックな場面でしょうか!?しかしこれが反対だったら…すみません考えてもみませんでしたっ!
痔。
幸いにして縁はないのですが、検査にそんなことをするんですか!?いやあ…それは痛そうですね(-_-;)、怖いですし恥ずかしいなあ…ってなわけで肛門科には通わなくていいような人生を送りたいです!

こんにちは!

御葬儀のほうも一段落ついたようで、なによりです。
いつか私も両親の葬儀をしないといけないので、今から少々心配です。
一人っ子って、こういう時に心細いですw
物語、もう5年も書いてらっしゃるのですね!
連載ものですけど、なぜか途中から読んでも『読める物語』である事に敬服いたします!
今日はじっくり読ませて頂きましたとも♪
物語の面々に久しぶりに会いに来た感じです。
相変わらず個性のある面々ばかりで、キャラ設定がしっかりしているせいか、なんの違和感もなく読めました。
まあ、今回のは思わず笑ってしまいましたけどww
こういうきわどい話って、若い女性には書けないだろうなぁ…とか思いながら読ませて頂きましたb
それにしても痔というのは辛いんですね。
検査の段階でげんなりする病気って、そうそう無いと思いますが、痔と産婦人科の検査ぐらいでしょうかw
男性も辛いのですね…orz
おっと!久々に来たから長くなってしまいましたww
では、この辺で(^^ゞ

NoTitle

や~や~や~や~、大変な光景に出会いました。男にとっては修羅場ですね。二の句が継げないです。これが逆の立場だったらどうなるんでしょう。
痔の検査って、知人の話を聞いたことがあるんですが、調べるために医師が肛門に指を入れるそうですね。これが痛いのなんのって飛び上がるほどなんだそうです。
今はもっと激痛を伴わない方法があるんでしょうけど、肛門科には通いたくないですね。

荒野鷹虎 さんへ

荒野鷹虎 さんこんばんは!
父の緊急入院・手術・そして帰幽とこの数カ月は一体自分が何をしてきたのかさえよくわからないほどでした。このところやっと落ち着いて皆さんのブログを回れるようになってきたところです^^。
「女だらけの戦艦大和」としてはじめてからこの九月で5年になります。よくもこれまで書き続けてきたものだ問われながら感心します(^_^;)。これはもう私のライフワークのようになりました。
これからもどうぞよろしくお願いたします、私もまだまだ知らないことが多いので勉強の日々です!でも楽しい勉強です。
またコメントくださいませね、文章と関係なくっても構いません^^。お待ちしております!!

はづちさんへ

はづちさんこんばんは!
こういうことでしたww!いやあ、こういうことって男性からしたらどんな気分になるものでしょうね??
この訓練話の元ネタ?がありまして、兵隊さんの性病検査がまさにこんな感じで、男性のイチモツを軍医さんが握ってグイッとしごくんだそうです。淋病などにり患していると膿がでるのだとか…ウウウ!!そのあと治療のために男性の棒の中に薬をつけたガラス棒を突っ込むんだそうです…ギャッ!あな恐ろしや。男性も楽じゃないですね(-_-;)。
今月14日に、数日早いですが五十日祭を行うことになります。本当に葬儀のたいへんだったことと言ったら、あれを思えばもう何でもできる!怖いもの無し、という気にもなりますよね^^。
温かきお言葉をありがとうございます、いつも励まされております!!

柴犬ケイさんへ

柴犬ケイさんこんばんは!
一体どんな怖い訓練なんだろう…と思われたことでしょう、が!ふたを開けてみればこんなしょうもない訓練でした(^_^;)。
まあ、大事と言えば大事なのでしょうけどちょっとお下劣な訓練ではありましたねw。
でも日野原軍医長いわく、技の継承だそうですから技の向上に努めてほしいものです(^_^;)。
また今日も雨の一日でした、ケイさんのお住まいの方はいかがでしょうか。くれぐれもおんに大切になさってくださいね^^。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
看護婦さん…病院にもよりますが「きつい」人の多い病院は正直怖いですね(-_-;)。父が最後に入っていた病院は皆さん親切で礼儀正しい方ばかりでした。
私と次女の耳垢はネトネトです(^_^;)、旦那と長女はカサカサ。見事に二分されています!本当にあれって不思議ですよね、カサカサはうらやましいと思うことが多いんですが旦那は掻きだした耳垢をそこら辺にまき散らすのでとても嫌です。
九月になりました。昨年の今頃はこんな秋を迎えるようになるなんて思いもよりませんでした。いつも温かいお心遣いをありがとうございます。たくさん泣ける時間を作ります。母もあのあと、ヘルペスを発症しちょっと驚きましたが完治しております。
オスカーさんもどうぞ御身大切にお過ごしくださいませね。

見張員さんへ!!♪

昨夜は懐かしいコメントをいただき嬉しく思いました。生憎客人がよろ遅く参り、今日まで宴会三昧の日でしたので、お返事が遅れました。汗)
それにしましてもこの小説の長期連載には貴重でもあり、継続の力を感じ感服いたします。!
これだけの文章を書かれるには戦争時代の検証も読まないといけないので大変な努力を要せられます。
次兄も海軍でしたので。「艦隊勤務・・・♪」と言う歌だけはよく知っていて時に歌う事があります。
此の文章には直接関係のないコメントをお許しくさいね^^。‼☆!
ではまたお付き合い願います。!

おじゃまします

こんにちは
こういうことでしたか!(笑)
これは・・・もしかしたら、
恥ずかしいのは男性のほうかもしれないですね。
始まる前はみんな怖がっていましたが、
結果的に大好評だったわけですから、
すぐに後継者がたくさん育つことでしょう。
日野原軍医長、とんでもない訓練を考えてましたね。(笑)
そろそろ50日になると思いますけれども、
葬儀ほどたいへんなことなんてそうそうありませんから、
あれを乗り切れた見張り員さんは、これからも大丈夫ですよ。

NoTitle

見張り員さん   こんばんは♪
いつもありがとうございます♪
大和から上陸した日野原軍医長を先頭に行軍してゆく看護兵たちは
こっそりどこに行くか心配でしごきはどんなことをされるか私語を話し
ていると黒川大尉にしごくと言われると何にも言えなくなりますね。
遊郭の中の一軒に入り日野原軍医長と女将が知り合いで広間に入り
びっくりして見たら浴衣を着た男性が15名が鎮座していてトレーラーで
性病の検査を看護兵にもやってほしくあと痔の検査も協力してくれる男
性に感謝しながら本番同様の気持ちで訓練してそして高度な技を継承
してほしいでしょうね。
医務科の下士官兵嬢たちは複雑な表情でそれぞれの男性の前に立ち
日野原軍医長や衛生士官たちに指導されながらまずは痔の診察の仕方
を教わり肝心のしごきだったんですね。

こんばんは。
看護婦さんて結構Sですよね。まぁ患者さんに大人しくしてもらわないときちんと治療が出来ませんからね~プライベートで女王さまに目覚めないかちょっと心配ではありますが(笑)
全く関係ない話ですが、東洋人の耳垢はカサカサ乾燥していて耳かきに向いているけれど、西洋人は綿棒を使わないととれない、なんかネチャッ!とした耳垢なんだそうです……同じ人間なのに環境の違いか体質がそうなのか、不思議です。
明日から9月ですね。またいろいろ大変なこともあると思いますが、お身体に気をつけて下さい。ひとりになってたくさん泣ける時間もつくって下さい。母上さまもお気をつけて下さいますように。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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