2017-09

女だらけの戦艦大和」・大相撲トレーラー場所1 - 2013.07.16 Tue

暑い暑いトレーラー環礁内に今日も停泊中の、女だらけの「戦艦大和」では、女将兵の野太い声が今日も響いている――

 

午前中の課業を終わって昼食が済んだあと、ここトレーラーにいるときは午睡の時間があることが多い。あまりに熱いため体力を消耗してはいけないとの配慮からである。が、

「だからって、いつも寝てばっかりじゃいざというときどうしようもないよねえ」

とまるで松岡修子中尉のような言い方で副長は言って、

「よい風の吹く午後は、体育に充てるよ!」

と決め、そして今日がその日のようである。暑いながらも優しい海風が艦上を吹き抜け「絶好の体育日和だ!」ということでみな、「日焼け止め美白水」を顔や体に塗りたくってから柔道・相撲・体操・剣道のいずれかに精を出す。

艦内一番人気のアイドル兵曹のオトメチャンも、今日は剣道着に身を包んで前甲板の一隅で竹刀を振っている。いつの間にか伸びた髪の毛を頭の後ろで一つに結わいて、その髪がしなやかになびく。その凛々しい乙女武者ぶりを少し離れたところからじっと見つめる石場兵曹、ため息交じりに

「ええのう・・・オトメチャン。素敵じゃわ~。なんでこがいにオトメチャンはかわいくてきれいなんじゃろうねえ。いけんのう、あの子はうちの心を惑わす悪い子じゃ・・・おおう・・・」

と<暗黒の一重まぶた>も重々しく、半開きにして白目にしながら呟いている。そんな石場兵層に背後から

「ほら!しっかりせんね。何を考え事しよるんじゃ、しっかり竹刀振らんか!」

と岩井特務少尉が竹刀で背中をつついて注意する。石場兵曹ははっとするとその瞼を全開にして

「はい!石場兵曹ぼんやりしておりましたー!」

と大音声を発してから竹刀を振り下ろした。それを満足げに見つつ、岩井特務少尉は竹刀を片手にほかの下士官兵たちの間を見て回る。石場兵曹を見て小泉兵曹が苦笑する。そんな皆の末席に座を占めるマツコとトメキチは「石場さん、何をぼんやりしてたのかしらねえ」「居眠りじゃないかしら?」「そんな馬鹿な、いくら石場だって剣道しながら寝るわきゃないでしょ?あんたも変な犬ねえ」とささやき合っている。

そしてその向こうでは柔道を習う将兵の群れ。森兵曹だとか山下兵曹などという艦の内外に音に聞こえた黒帯の猛者たちを中心に練習に励む。森兵曹は黒帯をしめなおしながら

「今度試合をするときは士官連中に一勝もさせんようにしような。兵学校出の連中の鼻っ柱を折ってやるんじゃ、ええな!」

と下士官兵たちに檄を飛ばしている。それを遠巻きに見ている少尉・中尉の連中は「やだなあ。森兵曹の投げ技を食らうと艦の外にほっぽり出されるって有名じゃないか。私は嫌だなあ」と恐ろしげに身を寄せ合っている。確かに、森兵曹の投げ技はすさまじく、相手がマットに叩き付けられるとドーン!と砲撃のような音がして一瞬艦上の皆がこちらを見るくらいである。通りかかった森上参謀長は、「そんなもん恐れてどうするんだよ?思いっきりかかって行って思いっきり投げられたらさっぱりしないか?一度どんなもんかやられて来いよ。いい話に種になるじゃないか」と言って笑っている。

そして体操の班では谷垣兵曹や長妻兵曹、増添兵曹それに機関科の椿於二矢子兵曹などがマットの上で飛び跳ねている。

増添兵曹が「新新宙返り左六回転半ひねり!!」と叫ぶとマットの端から助走をつけて走り、真ん中でそれはそれは高く飛んだ。おおっ!と体操の面々が声を上げたとき――増添兵曹は残念ながら前頭部をマットに激しくこすってその場に倒れてしまった。

「大丈夫か、増添兵曹!」

体操の指導の責任者の内村こう少尉があわてて駆け寄った。長妻兵曹や谷垣兵曹、椿兵曹たちも駆け寄ったが増添兵曹は頭をこすりつつ起き上がって

「平気であります、内村少尉。・・・いやあしかし、ここが熱うなって火が出るか思いましたわ」

と言った。長妻が「増添兵曹。せっかく生え揃うた前髪が燃えんでえかったのう」と言い、谷垣兵曹が「ほうじゃわ、また部分かつらのお出ましを希うんじゃ困りものじゃな」と言い皆が笑った。

増添兵曹は笑いとも悲しみともつかないなんともいえない表情を浮かべて頭を撫でている。皆の明るい笑いがはじけて、それを見まもる参謀長や副長の顔も明るい。

 

さて。

前甲板の一番先のほうでは相撲部の一団がいて、手製の土俵上でぶつかり稽古などしている。

横綱は機関科の浜口大尉。大関クラスは松本兵曹長や副砲の舞野うみ中尉など多数。『女だらけの大和』の相撲部は大型の「力士」が多く対抗試合でもよく優勝することで知られ、恐れられてもいる。

浜口大尉は流れる汗をタオルでふき取りつつ皆を眺めて

「おうー、俺らもずいぶん対抗試合をしておらんな。そうだ、おいみんな。トレーラーにこの『大和』と『武蔵』がいるうちに対抗試合をしたいと思わないか?ワハハ、ワハハ!」

と提案をした。松本兵曹長がこれも汗をタオルで拭き拭き、大尉のそばに来てしゃがむと

「いいですねえ、以前『武蔵』と試合をしたときは引き分けでしたけえね。今度こそ『大和』が優勝せんといけんですからね。『大和型』一番艦の底力を見せてやらんとですな」

と言った。すると次々に相撲部の面々が浜口大尉と松本兵曹長の前に座り込み、

「そうですとも、やりましょう!『武蔵』の連中に眼にもの見せてやりましょう」

と大声を上げた。浜口大尉はたいへん満足そうな笑みを浮かべると「そうか、やってくれるか」というなり膝を思い切りたたいた。パーン、といい音が響いた。浜口大尉は立ち上がると

「よしっ!これから二週間死に物狂いで稽古だ。いいな、それから『武蔵』の相撲部に挑戦状を出す。そして試合だ。この試合に勝ったら、俺から皆に褒美を出すぞ。さあ、気合いだ。気合を入れろ、気合いだ気合いだ気合いだー!オイオイオイ~~!」

と叫んで相撲部員はこれも立ち上がって喝采した。まわし姿の女力士たちがはしゃいでいるのを森上参謀長が目ざとく見つけ、野村副長をつついた。副長が「なに?」と振り向くと参謀長が

「相撲部員が何か面白いことはじめるようだぜ?行ってみよう」

というと副長の手をつかんで走り出す。そして「おーい、浜口大尉。何をたくらんでんだあ~」と言いながら相撲部員のところへ。浜口大尉は参謀長と副長の出現に少し驚いたものの、すぐにたくらみを告白した。すると、参謀長も副長も大変喜びかつ、乗り気で

「こんないいこと艦長にすぐ知らせなきゃあね!浜口大尉、すぐ行こう!」

とまわし姿のままの浜口大尉を引っ張って、艦長のいる艦橋まで走って行った。浜口大尉は「この格好でいいんですかー!?」と叫んでいたがもう参謀長たちの耳には入らないようだ。

それをぽかんとして見送る松本兵曹長だったがハッとして気を取り直すと、「おう、皆!そうと決まれば稽古あるのみじゃ。さあ、気合いを入れてやるで!」というと部員たちは「ハイっ!」と返事をし、稽古に戻るのだった・・・。

 

第一艦橋にいて当直の兵と雑談中だった梨賀艦長はいきなり飛び込んできたまわし姿の浜口大尉に度肝を抜かれたが、後から来た副長に事の次第を知らされ

「それはいいね!うんと稽古をして『武蔵』に勝ってよ!もし、勝ったときは私からビールを2ダース賞品として出そう」

と檄を飛ばす。浜口大尉は「ありがとうございます、ではこの浜口命に代えてもわが相撲部を勝利に導きますぞ!」というとその場で大きく足をあげて四股を踏んだ。ドン!とものすごい音で床が鳴る。勢いついた浜口大尉はさらに二度三度踏み続ける。

それをほほ笑みつつ見ていた艦長と参謀長はふと横を見て、副長が実に嫌な顔をしているのに気が付いた。艦長がそっと

「ツッチー、どうしたの?そんな顔して」

と尋ねたのへ副長はその顔のままそっと浜口大尉を指さした。そして

「見てくださいよ艦長、そっとですよ。ほら浜口大尉のまわし、緩んでますよ」

艦長が、副長の指す先を見ると―ー浜口大尉のまわしから股間がはみ出ていたのがしっかり見えた。艦長も顔をしかめて「・・・うっわ。あれは見たくないなあ。ツッチー、後で浜口大尉にそれとなく注意してやってよ」といい、副長は驚いて「私が言うんですか?なんで私が」とびっくりしている。

それを聞いた森上参謀長が「いいよ、ツッチーは恥ずかしくてよく言えないだろう?おれが後で言ってやるから安心しろ」と笑いながら言って、艦長はほっとした。

皆のもとに帰った浜口大尉は艦長からの言葉を伝え

「『武蔵』に勝ったらビール2ダースだそうだから皆奮励努力せよー」

といったもんだから相撲部の皆の士気はいやがうえにも盛り上がったのだった。その晩から、相撲部員は当直時などを除いて前甲板に集合して稽古に精を出す日々が続いた。

それを見つめる松岡中尉と樽美酒少尉、この二人は体操にも、剣道にも属さず二人で「球技部」というのを勝手に作ってラケットで野球のボールを打ったりして楽しんでいるのだが松岡中尉は相撲部の激しいけいこを見て大感激した。そして「ちょっと樽くん、待っててね」というとラケットを担いで浜口大尉たちのそばに寄って行った。そしてものすごい大声を発して、

「相撲部の皆さーん。熱くなってますねえ!素晴らしいですよ、いいですかあなたたたちは今日から富士山だ!バンブー!」

と少しばかり「た」が多くはなったが怒鳴った。浜口大尉は振り向くと、まわしをポンポンと叩きながら「なんだ、おう、火の玉中尉じゃないか。何怒鳴ってんだ?」と言って松岡中尉のそばに立った。すると松岡中尉は浜口大尉の汗の光る肩をぐいっとつかんで、

「素晴らしいですよみなさん。こんなに熱い人たちがこの『大和』にいたなんて、私は感激です。やれば何でもできる、気合いの入ったあなた方に向かうところ敵はないー!」

と叫んだ。舞野うみ中尉がそれを聞いてぐすっと笑った。松岡中尉は「で?」と言って相撲部の皆を眺めまわした、「で?あなたたたちはもちろん誰かと試合をするつもりでしょうね。いったい誰と?よかったら私に教えてくれませんかね~」という。浜口大尉は

「『武蔵』の相撲部とだよ。以前引き分けになったからもう一度試合を申し込もうと思ってな。ワハハ」

と答えた。すると松岡中尉は持っていたラケットをブン!と一振りすると「むさーーし!!」と天を仰いで怒鳴った。びっくりする相撲部の皆に向かい合うと松岡中尉は

「ではみなさん。『武蔵』との交渉はわたくし、松岡海軍中尉に一任していただけますか?いいですねご異存はないですな?ハイ、ではわたくし早速『武蔵』の相撲部に連絡してまいります!!・・・みんな熱くなれよ!」

とまくし立てるなりあっという間に走り去ってしまった。立ってこちらを見ていた樽美酒少尉の手を引っ張って、下甲板へ向かったようだ。

「やれやれ。全く変な中尉だな、あいつは。まあいい、みんな稽古に励めー」

浜口大尉はそういうと、松本兵曹長に何やら耳打ちをした。とたんに松本兵曹長の顔が嬉しそうにほころんだ――

    (次回に続きます)

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

TVで相撲を見ていましたらひらめきました話でございます。

まあまあ、浜口大尉まわしはしっかり締めてくださいね、大変見苦しゅうございます。そして松岡中尉はやたら意気込んでいますがあの人に任せていいのでしょうか。

そして松本兵曹長、何がそんなにうれしいのでしょうか??

次回ご期待くださいね^^! 
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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!。
私も石場兵曹と永田町の石破ちゃんがいつもオーバーラップして困っていますww。本当にインパクトの大きいお顔ですよね~~ww。
松岡がまた何を考えているのか、そして浜口大尉は!!・・・目の離せない展開になりそう、いや、しなければ!であります!!こうご期待。
こちらはおとといの夕方から涼しくなり、昨日今日大変涼しく昼間もクーラーいらずでした。今は雨が落ちて少し蒸してきました。
大分の暑さをニュースで知りました。何もしたくない、できない暑さですね、くれぐれも熱中症にはご注意願います!
ご心配いただいております、父はなんだかやはりぼけています。痛みもなく歩けるはずが一向に外へ行こうともしません・・・母の具合のほうが心配な昨今です。
お心遣いをありがとうございます、とてもうれしく思います!!

酔漢さんへ

酔漢さんこんばんは!
ご祖父様の剣道姿…タイムマシンがあったらぜひ拝見しに参りたいものです!
え?体型的には柔道ですか?柔道海軍というくらいですものね、うん、柔道着姿も拝見したい!!
おお・・「武蔵」相撲部は強かったですか!そうか、古村さん艦長時代ならさもありなんですね^^。古村さんと相撲取ったらすぐふん投げられそうで怖いww。
さあ、「女だらけの大和」VS「女だらけの武蔵」の相撲部対決、こうご期待であります!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
相撲、あれこそ日本の伝統ですね。さまざまな部分に「神事」なんだな~と思わせる部分があってとても日本的な感じがしていいですよね^^。
貴乃花さんといえばかつての「若貴」ブーム、すごいものがありましたよね!私もあの奥様は好きではないです。ああいう形で「女の武器」を振り回すのは下品ですよね。
そうそう、私は「寺尾」が好きでしたよ^^。
ここ二日ほど涼しいのでほっとしていますが、再び暑さが来たらと思うとげっそりです。オスカーさんも御身大切になさってくださいね。
いつもご心配をありがとうございます!!

NoTitle

石場兵曹の表情と永田町の石場さんの顔がしっかりとダブってひとり笑ってしまいました。増添さんも可哀そうなことで。
相撲大会もひと波乱以上のことが起きそうな雲行きですね。
松岡さんと樽美酒のふたりはまた何をしていることやら。しかしとってもバラバラに見えて実は結束力が固いのが大和の大きな誇りでもありますね。
暑い日ばっかりでひとつも気持ちが休まる思いがしません。
お父様ご自宅に戻られて少し落ち着かれましたか。お母様はお疲れになっていませんか。そして見張り員さんは大丈夫ですか。くれぐれもご自愛下さいね。

剣道だったと聞きましたが・・・

祖父は剣道ではなかったかと聞きましたが、体型的には相撲かも。柔道とともに日課でしたしね。
武蔵の相撲部は強かったとか。何せ古村さんの時代、古村さんが相撲好きだったことが影響しているとこれも又聞きなのですが・・・・。ほんとう、展開が楽しみな内容です。

こんにちは。相撲は神事ですもんね~これからの展開が楽しみです。少し離れた小学校に貴乃花親方がいらしたそうなんですよ!!知らなかった~貴ちゃんは別にいいのですが、奥さんはキライです…妊娠して結婚するよう仕向けた感じがしてイヤらしい女のイメージしかないです。
今日は曇りで涼しいですね。気温変化が大きくても体調を崩しそうです。お気をつけ下さいね。ムリは禁物です。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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