「女だらけの戦艦大和」・松岡中尉夜話4

松岡中尉を連れて石場兵曹・小泉兵曹・長妻兵曹は行きつけの見世の「裏飯屋」に行った――

 

松岡話 その四 続き

「ほう、ここが君たちが熱くなる場所なんだね。それでここの何処で熱くなるんだね?」

松岡中尉は見世の玄関を入りながら傍らの長妻兵曹に尋ねる、長妻兵曹は「中尉、どうかお静かに願います」と自分の唇に右手の人さし指を当てていさめた。松岡中尉は小首をかしげて「熱くなるのに静かにしなきゃいけないのかね?なんか変だね」と言ってから、「まあ、いい。それが君たち流なんだね、私も今日は君たち流を見習おうじゃないか。私も今日は静かに熱くなろう」と笑った。

見世の女将は士官、それも特務士官ではない「本チャン」士官の登場に驚いている。この見世は兵や下士官の主に使う見世で――つまり料金が安い――士官が来たとしてもそれは下士官からたたき上げた特務士官がここを懐かしがって来るくらいしか見たことがなかった。

(失礼のないようにしないと)と緊張の面持ちの女将に、松岡中尉は笑顔で

「私はここは初めてですがどうぞよろしくね。松岡海軍中尉です・・・と言っても特別扱いは嫌ですよ。ここに来る皆と名時扱いでないと私は怒りますよ」

と言ったので女将は少しほっとした、(ちょっと変わった人みたいだけど、威張らないからいいか)と。そして女将は「では皆さまこちらへ」と一室に案内された。石場兵曹は女将に「いつものように願います」というと女将はうなずいた。

長妻兵曹が「松岡中尉、どうぞお楽になさってつかあさい」と床の間の前を指した。松岡中尉は「おお、こんな上座に私が座っていいいいのかね!?」と、感激のあまり「いいのかね」の「い」が多くなったがそれでも「行為はありがたく受けるのが私流だよ」と言ってそこに座った。

そのうち見世の男性陣が料理や酒を持ってやってきた。

「長妻さんお久しぶりです」とか「石場さんお元気でしたか」とか「小泉さん今日もお綺麗ですね」なんて言いながら。そして松岡中尉の顔を見て

「おや、こちら様はお初ですね!はじめまして」

といっせいに挨拶。松岡中尉は至極機嫌よく「こちらこそはじめまして。熱くなってますねみなさん―!バンブー!」と例のよくわけのわからない掛け声を発し、手にしたラケットを振り上げた。男性陣は「おお、素晴らしい」と感激。気をよくした松岡中尉はさらにラケットを振ろうとしたが、

「中尉、それは収めてください。怪我のもとでありますけえね」

と小泉兵曹に言われ「それもそうだね!」と後ろの床の間に置いた。そして男性たちは松岡や石場たちの前に膳を置くと各自その前に座り、銚子を取り上げ「さあどうぞ」と酒を勧める。

皆盃を取って酒を受け飲み干した後、自分の相方の男性にも「じゃあ、ご返杯」と酒を注いでやる。それから和やかににぎやかに、宴席は始まった。

その途中で長妻兵曹は自分の相方の男性にそっと、「だれかに中尉のお相手を頼みます」と言った。男性はうなずいたが「で、長妻さんは今夜は?」と尋ねる。この男性こそ、長妻兵曹の「いいひと」である。長妻兵曹はにっこり笑うと「もちろん今夜は泊り。皆泊るからよろしく」と言って二人は盃をさらに重ねる。

やがて気分がよくなったか松岡中尉が歌を歌い始める。歌は彼女の十八番「ゆんべ父ちゃんが~」である。普段なら顔をしかめて嫌がる石場兵曹や小泉兵曹の航海科メンバーも今夜は無責任に乗せまくる。長妻兵曹は

「これが例の歌かいね!こりゃあ確かに整列で歌わされるんは恥ずかしいのう」

と大笑い。男性たちにもオオウケである。やがて皆で大声で畳をふみならしながら歌い出す。

ゆんべ父ちゃんと寝たときに

変なところにイモがある

父ちゃんこのいも何のイモ

オラ

坊やよく聞けこのいもは

お前を作った種イモだ

しかも何度も何度も、壊れたレコードのように・・・。この場に麻生分隊士がいたら顔を真っ赤にして「ええ加減にしてつかあさい、分隊長!こげえな恥ずかしい歌うちはよう歌えません!」と激怒するところである。が、今日は麻生分隊士はこの場にはいないので歌い放題である。

さんざ歌って踊って食って飲んで・・・皆がちょっとだけお休み状態に入ったその時、「失礼いたします」と一人の男性が入ってきた。彼こそ、今夜松岡中尉と枕を交わす男性である。その男性はまず石場兵曹のそばに行くとそっと

「あちらの中尉さんと・・・ですね」

と確認してきた。石場兵曹はうなずいて「ほうじゃ。あん人じゃ。が、あん人はちいと変わっとるが驚かんようにな。今夜はよろしく願います」と言った。

その男性は――見世での名前はシロ――、松岡中尉のそばへ寄っていくと「はじめまして。シロと申します、よろしくお願いいたします」と銚子を捧げた。中尉は機嫌よく「はじめまして!いやあ今夜は素晴らしい夜だね、これ程素敵な夜は今まで過ごしたことはないよ、熱くなれそうだね!」と言って酒を注いでもらう。

シロと中尉は意気投合したようであれこれと話がはずんでいる。そのうちふと、シロが松岡中尉の手をそっと取るとその耳元で

「松岡中尉さん・・・そろそろ・・・私と熱くなりに行きませんか?

と囁いた。一瞬その場の全員が聞き耳を立てて室内はし~んとした。松岡中尉は全く気にもかけないでしかもシロのひそやかな囁きに反してデカイ声で

「おお!いいねえ、熱くなろうじゃないか。で?そこで熱くなるんだね?」

と言い、シロも他の男性陣も、もちろん石場、小泉、長妻も大変面食らうことになった。が、シロは気を取り直し「そちらで・・・」と中尉から見て右側のふすまをそっとしめした。その向こうにこそ、今夜松岡中尉が<熱くなる>場所が用意されているのだ。そして松岡中尉がどんなふうに熱くなるのかを皆で確認した後、それぞれのお楽しみに行くというのが今夜の筋書きである。

松岡中尉は床の間のラケットを取り上げると、皆に向かって

「じゃあ私はこのシロ君と熱くなってくるからね・・・で、石場さん。明日は何時に戻ればいいかな」

と言い、石場兵曹は「明日は五時に上陸場です」と答え、中尉は「じゃあみんな、寝坊しないように。おくれたら長妻さんあなた重営倉ですよ」と脅した。長妻兵曹は「なんでうちが重営倉なんじゃ」とブツブツ言ったが中尉はシロのあとに従ってふすまの向こうに入っていった。

なまめかしい蒲団が敷かれているのが、小泉兵曹の目にちらりと見えた。小泉はごくり、と唾を飲んだ。(いよいよ・・・松岡中尉のあの時の声が聞けるんじゃ・・・)と期待に胸膨らむ思いである。

一同は皆押し黙ってふすまの向こうの様子に耳をそばだてた。

(なあも聞こえんなあ)

と、石場兵曹が小声で言った。すると小泉兵曹が

(接吻しとるんじゃろ?じゃけえなんも聞こえんのじゃないかね)

と言い、長妻兵曹は

(いや、もう前戯に入っとるんよ。言葉は要らん世界にね)

と決めつける。そのどれもに男性たちはいちいちうなずく。そして皆はもっとよく聞こえるようにとふすまの前に一列に並んで耳を澄ました。

と!

「アハーン」

という松岡中尉の声が聞こえて来たではないか。一同はかたずをのんでふすまの向こうの音に聞き入った――。

  (次回に続きます)

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

松岡中尉、下士官兵たちの行きつけでいよいよ始めたのでしょうか。え?なにを始めたって??そんなこと書けません、だって・・・恥ずかしいんだもん^^。

てな訳で緊迫の次回をお楽しみに!!

種イモ(画像お借りしました)。
種イモ


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ウダモさんへ

ウダモさんこんばんは!
松岡中尉の――というより私の悪い癖でまたこういう変態話を書いております(^_^;)・・・
なぜこういう話になったのか、ですがサツマイモを見ているうちに妄想が膨らんでしまったというわけです。で、だれをこの話の中心に据えるかを考えた時、松岡中尉しかいない!となったのであります。
いや~文才があるなんて言われますと嬉しくて木に登りそうでありますww!プロ・・・物書きのプロになるのが長年の夢ではありますがこんな話ばっか書いていてはいけませんね(^_^;)!
靖国神社の池に放尿・・・先ほどヤフーニュースで見ましたが本当ならこれは神聖な場所にしたということ、許せませんね。
あの池には何度か行って、池の傍のベンチで何時間もボーっとして気持ちのいい場所で大好きなところです。英霊と語り合えるような気がする場所に放尿!?ちょっといい加減にしませんか?と怒り心頭な私です。
こういうことされてもまだK-POPに現を抜かすのでしょうか・・・自国の英霊が穢された・・・許せませんね、それが誰の、どこの国の人間の仕業であっても!!

イモってwwwww

何をおっぱじめたのか、すごーーく気になります(*・_・*)
見張り員さん、いったい何を考えながらこれを書いたのかw
それもすごーーく気になりますw
しかし、いいなぁ…筆が進むという事は、やはり文才があるのだと思います。
これだけ長く書けるって、もうプロだと思いますよ!
次が楽しみです★
※関係ないですけど…
靖国神社にて韓国人男性が放尿したというニュース、ご存知でしょうか。
目を疑いましたけど、韓国ではそれ程、日本嫌いが広まっているのでしょうね。
国民の約70%が日本嫌いな国だそうなので…
それなのにKポップが流行している日本って…
平和ボケもここまで来ると…ですね。
ああ~悲しい…

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
松岡中尉に関しては色々あります・・・幼少期の話、いいですね!これまたいろんな話がありそうです。
さあ、松岡中尉「裏飯屋」での一夜はどうなるのでしょう。ああなるのかこうなるのか…もうそう膨らみますねwww.
どうぞ次回をお楽しみに♡

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
どうしようかと考えつつ・・・続きを書いています^^。
松岡中尉も普通の女なのでしょうかそれとも!?
そう、中尉の十八番はこの歌なんですよ。私の伯父が酔っぱらうとこれを歌っていたのを思い出します(-_-;)。
種イモというと店にいると「種イモ売ってない?」と聞かれ…つい笑いたくなってしまうのでしたww!
次回をお楽しみに~~♡

すっとこさんへ

すっとこさんこんばんは!
「裏飯屋」表はないぞうらめしい・・・ってか!?(あほみたい(^_^;))。
デインキー…そんな意味があるのですか!!!ひええええ!!!知らんかったっ!!一つ勉強になりました、賢くなった気がしていますエヘン!
種イモ、しかも「赤皮」・・・想像をかきたてられますね~って一体何の!?
さあ、松岡中尉いったいどうしたのでしょう。そしてシロさんの運命やいかに!!

こんにちは。マツオカ様エピソードはハンパないですね(笑)幼い頃も相当いろんなことをやらかしていそうです。どんなアツい夜になるのか…ムンムンなのかムシムシなのか~気になります!!

さぁ、見張り員さんはどのようになさるか!! 次回が楽しみです。
あの熱血の松岡さんが燃え上がるのは……、はたしでアレででしょうか。それとも。
しかし彼女の十八番がこの歌だったとはちょっと意外でした。やっぱり人間は等しくスケベなのですね。
最後の種イモの写真までご丁寧に。梅雨らしからぬ梅雨の日の朝から大いに笑うことが出来ました。ありがとう!!!

がはは!

あはは!
「裏飯屋」の屋号に吹き出しました!
そして御丁寧にも
種イモさんのお写真まで・・・。
”ホクホクした魅惑の赤皮”ちゃん、って!
ディンキーって ちっけぇ って意味らしいですね。
自慢のイモも「ちっけぇ」って言われるかもシロさん(笑)!!
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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