日々雑感・お勧めの本です!

次回のお話の骨子が出来るまでもうちょっとかかるので今回は私のお勧めの本を紹介いたします。

「お父さんへの千羽鶴」(絵と文 ときたひろし 展転社)
千羽鶴

<おおよその物語> ともえちゃんのお父さんは海軍航空隊の零戦搭乗員。いよいよ日本の戦局が悪くなったある日、お父さんは家に三日の休暇をもらって帰ってきます。家ではお母さんとともえちゃんそしておじいちゃんとおばあちゃんが大喜びで迎えます。

そして家族はおとうさんに皆で心をこめて折った千羽鶴を贈ります。それを持っておとうさんは三日間の休暇を終えて部隊に帰るのです。一度だけ振り向いて家族に別れを告げるお父さん、しかしそれは永訣の時でした。

お父さんは特攻隊員として出撃します。敵の空母を目標に突っ込んでゆきますが仲間の機は次々に撃墜されて行く中、お父さんは被弾しながらも懸命に機を操縦します。お父さんの零戦の機内では、もらった千羽鶴が乱舞しお父さんは「力を貸してくれ、敵に突っ込むまで死んでたまるか、飛べ!」と最後の力を振・。り絞って機を飛ばします。

そして――。

ふっと気がついたお父さんは自分の周囲にたくさんの鶴を見ます。それはとりもなおさず家族の贈った鶴達です。鶴たちはお父さんに「あなたの戦いは終わりましたよ」「一緒に帰りましょう」と言ってお父さんを背中に乗せともよちゃんたちの待つ懐かしい町へと飛んでゆくのでした。

お父さんはあれから年を取らないのにひいお爺さんになりましたが今も、空の上からみんなを見守っているのです・・

この本は美しくも悲しいお話です。ともよちゃんのお父さんは国を守るため愛しい妻子も老いた父母も顧みることなく戦場に赴きそして死んでゆきます。しかしお父さんの御霊は滅されることなく家族の心のこもった鶴に乗って懐かしい家に、町に戻るのです。

そしていつまでも皆を見守る・・・護国の神となったのですね。

お父さんが出撃し、敵の空母に突入するまでの心模様が泣けます。ぜひ読んでみてほしい一冊です。

 

「敷島隊の五人 上 下」(森史朗 文春文庫)
敷島隊

以前光人社からハードカバーで出版されたものの文庫化。最初の神風特攻隊と呼ばれた「敷島隊」の隊員五人の物語。隊長・関行男の生い立ちから海兵での生活。その後の航空隊での様子や恋、慰問袋から端を発した結婚話、そして特攻隊任命の時・・・出撃から戦死後の母親と妻たちの様子までも描き、ほかの若い隊員たちの青春の物語やその心の懊悩までを、当時の銃後の生活なども絡めて描き出した秀作。

五人のうちたった一人の妻帯者・関行男の心のうちが垣間見える部分ではその心の苦痛はいかばかりだったかを思う。しかし彼は軍人であり国を守ること即ち愛しのKA(ケーエー。海軍隠語で妻のこと)を守ることになると出撃してゆく。その潔さは今の日本人には持ち合わせないもので、崇高な精神に頭が下がる思い。

また若い搭乗員たちはひそかな初恋を心に秘めたままで体当たりに臨んだり、面会に来た母と感激の再会を果たした後戦死を迎える。彼らがどうしてこの道に進んだのかということは個々の事情に依るのだが彼らの忠誠心・愛国心には時代を超えた感動がある。

哀切なのは、谷暢夫の母が戦後比島タクロバンに慰霊に行き、息子暢夫が突入したレイテ湾に向かって花束を投げた際、思いがけない波が起きて母の足を濡らしたその時母は「ああ、暢夫が来た」と言ったそうである。

どれほど時間がたとうとも子は母を待ち、母は子を思うその心が哀しい。

関行男の母の戦後の苦しい生活は敗戦がもたらした悲劇の一つか。ぜひ読んでいただきたい一冊。また巻末の資料編・国民の反応 では当時の特攻隊に対する国民感情がわかって興味深い。

 

「海の特攻 『回天』」宮本雅史 (角川ソフィア文庫・角川学芸出版から『回天の群像』という題でも発行されている)
回天

言わずと知れた海中の特攻兵器「回天」の搭乗員たちの生活や出撃に至るまでを描いたもので、当時の回天隊員の生還者たちに取材をして書かれているから、戦後の人間の一方的な<特攻視観>ではない。彼らはなぜ1パーセントも生還の余地のない「回天」に志願したのか。そしてなぜ黒木博司と仁科関夫は「回天」を作ったのか。

当時の戦局と、若き海軍士官たちのやむにやまれぬ愛国の思いがそこにはある。それを理解するのは容易ではないが読むうちにその心に近づきたいと思ってくる。

そして年若い搭乗員たちの心のよりどころとなった「おしげさん」の戦争。たくさんの若い「子供たち」が死地に旅立つのを見送った彼女の心のうちは本当の親にも勝る愛の心。

息子を「回天」で失った親たちの心の変化も読みどころ。「回天」という強烈な印象を与えはするが地味な扱いの兵器とそれに乗っていった若人たちの軌跡がこの本の中にはある。ぜひご一読を。

 

「神雷部隊始末記 人間爆弾「桜花」特攻全記録」(加藤浩 学研)
神雷部隊

写真や図版が豊富で読みごたえある一冊。

空の、もう一つの特攻兵器「桜花」。一式陸攻の腹に下げられた小型機はその頭に1200㌔徹甲爆弾と九一式爆薬518キログラムを搭載して、敵艦に向かって陸攻から放たれる。そして敵艦に体当たりという兵器である。

この兵器の開発と運用、そして訓練。過酷な訓練で殉職者も出る中搭乗員たちは懸命に訓練に臨む。部隊では下士官と士官の意思の疎通がうまくいかない事や、里の住民たちとの交流もあり読んでいてハラハラもしたり楽しい気にもさせてくれる部分がある。

彼らの写真の中には、飛行帽やメガネを逆さにかぶっておどけるものもあり、若者の根本は今も昔も変わらないような感じがある。が、決定的に違うところは彼らの鋭い瞳であり、彼らの背後には動かしがたい「死」という現実があることだろうか。

長い話ではあるがこれもぜひ読んでいただきたい一冊。

 

「語り継ぐ戦争絵本シリーズ7シベリア抑留 氷海のクロ」(文・神津良子 絵・北野美子 郷土出版社)
クロノ本

過酷だったシベリア抑留。

そんな中で抑留されていた日本兵たちに心のよりどころとして可愛がられていた犬「クロ」。「クロ」と日本兵たちの心の交流が温かく描かれます。

何年もつらい抑留生活を送る日本兵たち、寒さと飢え・病気にかかって亡くなる仲間もいる中いつかは帰国しようと固く誓いあうのです。

そんな生活が何年か続いた後、日ソ共同宣言の調印により(1956年10月)抑留者の帰国が決定します。喜んで帰国の途に就く日本兵たちは、「クロ」との別れに悲しみます。そして12月、ナホトカの港から日本に向けて帰ろうと輸送船に乗りこんでいた日本兵の目に映ったのは彼らを必死に追いかけて来た「クロ」の姿でした。

しかし無情にも船は皆を乗せて出航。「クロ」はそれを追って冷たい氷の海へ・・・!

この後は是非、本で読んでください。感動ものです、泣けてきます。

 

「この世界の片隅に 前編 後編」(こうの史代 双葉社)
この世界

こうの史代さんは広島出身の漫画家さんです。以前映画になった「夕凪の街 桜の国」の原作者でもあります。

「この世界の~」は昭和9年から終戦の年の広島と、呉を舞台にした物語。広島に育ったすずは十九の年に呉に嫁ぎます。そこで慣れない生活をしながらも自分らしさを忘れないで戦時下を暮らします。海軍法務官の夫を助け、舅姑に仕え夫の出戻りの姉とも何とかうまくやっていこうと必死なすず。

彼女を取り巻く家族や夫のかつての<恋人>の存在、そして悪くなる一方の戦局と銃後の生活。その中で失った大きなものやその半面で得たものの大きさ。

このような思いをして日本人はあの戦争の痛手から立ち直ってきたのだろう。そう思うと自分の親や祖父母の世代がとても偉大に思えてくる。戦争をくぐりぬけて来た世代には勝てないというゆえんがここにはあるような気がします。

戦争を体験していない私たち世代は・・・きっとこういうバイタリティがないのだろうなあ。

 

「『写真週報』に見る戦時下の日本」(保坂正康 監修 太平洋戦争研究会著 世界文化社)
写真週報

「写真週報」とは昭和十三年二月一六日号を創刊号として昭和二〇年七月十一日号の三七四・三七五号を最終巻として発行された当時のニューメデイア。内閣情報部(のち情報局)発行。

当時のご時世がよくわかる。この本にはその週報の一部が大きく出ているからかなりしっかり読むことができるし、週報の表紙も当時の日本というものを知る上で貴重な資料となるだろう。戦線従軍の記事や銃後の生活。子供たちの学校生活や捕虜たちの生活から外地のことなど多岐にわたる。

「あの戦争は何だったのか」と帯の背には書いてあり最近この手の問いかけをする書籍が多いが正直「わからない」としか言いようがない私であります・・・。

 

というわけで私の『お勧め』本を書きだしてみました。「もう読んだよ!」という方にはごめんなさい。これが私の特にお気に入りの本たちです。他にもたくさんありますがそれはまた次の機会に!


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酔漢さんへ

酔漢さんこんばんは!
「回天の群像」お読みくださったんですね。
そう、どうして回天も大和はじめとする第二艦隊特攻も「準特攻」とした扱われないのかが不思議です。ご遺族の中には「二階級特進」を信じてらっしゃる方もいらっしゃるのではないかと思うんですが・・・。
桜花爛漫になりましたね、私は日曜日に靖国に行ってきます。雨の予報ですが曾にほうが人も少なめでいいかなと思って。
あの桜を見つつどんな思いで出撃して行ったのでしょうか、特攻艦隊は。私はかつて宮崎県南郷の海を見て思いました。桜をその瞳の奥に焼き付けて、勇士は桜のごとく散っていったのですね。
湘南も桜満開、さっそく拝見に参ります^^。

「回天の群像」を拝読いたしました。
どうして、日本特攻者戦没協会は回天を「準特攻」にしているのでしょうか。これは、ずっと疑問に思っております。
二艦隊もそうなんですが・・・これは、自身で語って居る事ですし・・・。
さて、見張り員さんのブログのタイトルよろしく湘南の地は「桜花爛漫」ですよ。
「くだまき」に桜をめいいパイ詰め込んでみました!
あれ?宣伝してしまった。
大和他第一遊撃部隊が出港するとき、彼らの目に桜はどう映ったのでしょうか。
この季節になると、いつも考えてしまいます。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
美しいですね、千羽鶴に込める思いは日本人ならではですね。
あるときは励ましになり、あるときは亡くなった人への鎮魂になる千羽鶴。
人間の歴史が長くなればなるほど記憶にとどめるべき事柄が多くなりますね。戦争しかり震災しかり。
書店を見ただけでは本の種類もすべてじゃないからほかにどんな本があってどんなメッセージが発信されてるんのだろうと思いますね。
私ももっといろんなところに目を向けて行かねば!
風間も昔は日本酒でしたが今ではワインに取って代わったようですね、時世時節です。すっかり代替わりしてしまいましたがあの地に行けばどこか二祖母がいるような気がします^^。

こんにちは。千羽鶴って日本人の心を表現するもののひとつですよね。震災の時は大人の千羽鶴(千円札に描かれ鶴・折り紙でなく寄付をしよう)が話題になりましたが…忘れてはいけない出来事や記憶しておかねばならないこと、伝えていきたいことってたくさんあるので、毎日書いても読んでも足りないくらいかもしれない。今は絵本コーナーにいくと新入学のものが多いですが、たくさんの種類をおいて欲しいと思います。またいろいろ教えて下さいね。
あ、風間ワインですがロゴ入りのカレンダーを見たような記憶があります。見張り員さまのご親戚の方々もお元気で春を楽しんでいただきたいです。

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
以前から考えていた話や急に思いついた話だとかがあふれてきましたので、一つ一つ整理しながら書き始めようと思います。まずは軽くジャブをかまして・・・ww。
もし写真週報がご実家にありましたら是非家宝になさってくださいませ!私は「学研 太平洋戦争シリーズ」の付録についていた週報の復刻版が数冊ありますが、当時の日本を知る貴重な資料だと思います。
お父様の書斎・・懐かしさもひとしおですね^^。

おぉ、ただ今構想を練り練り中ですか!!
じっくりと練り上げて桜花爛漫の頃に素敵なヤマトが還ってきますように。楽しみだなぁ。ちょっと長すぎますね。
週刊通報の表紙はどこかで見たような記憶があります。実家にあるかもしれません。お彼岸の折に父の書斎を覗いてみます。そういえば書斎も父が逝った後の処分以来、手付かずのまんまです。
なんだか忘れていたことを見張り員さんが知らせてくれたような……。ありがとう!!
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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