「女だらけの戦艦大和」・トレーラー島点描

「女だらけの戦艦大和」が停泊している島は、トレーラー島という。

 

トレーラー島はトレーラー諸島の中の一つで最大の島。ここに海軍が目をつけたのは流石としか言いようがないくらいのいい場所である。

この環礁一帯は潜水艦が侵入してくるほどの深さもなく、かといって大型艦が座礁してしまうというような浅さでもない。

近くには油田もあり、また漁場にも恵まれている。トレーラー諸島自体も肥沃な土壌に水も良いと来ていればこれは他国が黙ってみている代物ではない。

いつ、この諸島を奪いに来るかも分かんないという緊張状態にあることは確かである。

しかし、帝国海軍の守りは固く敵の偵察もなにも寄せ付けるものではない。「これるもんなら来てみやがれ、粉にしてやるぞ!」と梨賀艦長や森上参謀長などは息巻いている。

そして、「大和」始め海軍の艦艇の乗組員は、みんなここが好きである。

そんなある日の、トレーラー島点描――――

 

機銃分隊の辻本一水は、長妻兵曹に連れられて今日は清遊。

「たまには男の尻ばっか追っかけてないで、島の自然に触れてみろよ」と長妻兵曹に言われ、それもそうかな?と、辻本一水は静かな波の打ち寄せる砂浜に来た。

真っ白な砂、真っ青な海の色、、、、普段艦の中ではあまり気にも留めなかったがこうして見ればなんて美しいんだろう。

思わず辻本一水は靴を脱いで、裸足で波打ち際を歩いた。温かい海水が、彼女の足にまとわりついて、辻本一水はくすぐったそうに笑った。

そして「私はこんなきれいであったかい海は初めてであります!」と、長妻兵曹に叫んだ。長妻兵曹もうれしそうに「そうか!ここに来てよかったかー?」と聞いた。辻本一水は、満面の笑みを浮かべて「ハイっ!」と答えた。

そして辻本一水は、足元の貝などをひらって歩いてゆく――――

 

機関科の松本兵曹長は例によって真昼間から慰安所から出てきて、「ああ!腹減った。何か食おうぜ」と小泉兵曹に言う。航海科小泉兵曹も「いやー、遊んだ後はどうしてこうも腹が減るんでしょうね?」と言って二人は笑った。

そして「ここでいいか?」と島一番のレストランに入って行って、トレーラー風のリゾットだとか味噌汁だとかタコのから揚げetc,etc、、、食べまくったのだ。

仕上げは、椰子の実のジュース。

しこたま食って、膨らんだ腹をなでながら二人は椅子によりかかって島の青い空を見上げている。

「空が、、、青いなあ」と松本兵曹長はふと、感嘆の声を漏らした―――――

 

航海科の麻生少尉と見張兵曹は今日はトメキチを伴って海水浴場に来ている。

ここには現地の子供や海軍の兵隊が来てよく遊ぶ。トメキチはあっという間に子供たちの人気者になった。優しい見張兵曹も子供に大人気、取り囲まれて嬉しそうだ。トメキチは子供たちに二本足で歩いて見せたり、敬礼をしてウケまくっている。

ひとりの子が「コノ子、ヘイタイさんのワンちゃんですカ?」と聞いてきた。兵曹が「そうよ。私の大事なワンちゃん」というと、子供は笑って「ふーん。ナンカこのワンちゃんヘイタイさんの子供ミタイ」と言った。

見張兵曹は「私の子供?」と言ってその子を見るとその子は、ちょっと真面目な顔で兵曹と麻生少尉を見ながら、兵曹と少尉を交互に指さしながら「あなたがオカアサン。あなたがオトウサン」と言った。

「へ!俺が、、お父さん?」と麻生少尉はちょっと上ずった声を出した。顔がちょっとニヤついている。他の人に男呼ばわりされると怒るくせに子供だと怒らない。

その子供は「ハイ。トメキチのお父さんとオカアサン」と言って今度はきれいに笑った。

麻生少尉は兵曹の肩を抱き寄せると「おれたち、、、トメキチの親だって。俺たちが夫婦に見えるんだなあ子供には。正直なもんだよな、子供は」と言って1人で嬉しそうにしている―――

 

梨賀艦長は久しぶりに上陸して、内地からの料亭の出店「大松」――通称ビッグパインーーで<武蔵>の猪田艦長と会って会食した。

猪田艦長は、ナナを連れている。「あれ、、梨賀艦長。トメキチは?」と聞く猪田艦長に梨賀艦長は「トメキチは見張兵曹と麻生少尉が一緒なの。あの二人、親みたいなものだからね」と言った。

猪田艦長は、杯を飲み干して「・・へえ。親なのぉ。あの二人がワンちゃんを生んだんだ!」と感心している。梨賀艦長も「そうなの。あの二人はもう何があっても離れないよ、すごく強いきずなでつながってるからね」といい、猪田艦長は「・・・つながってんの?」と意味深な笑いをし、二人は一瞬の間の後、大爆笑して更にその辺の話で盛り上がったのだ。オトナだ。

昼間っから、悪酒である。その騒ぎの中、ナナはおとなしく猪田艦長の横に座って、(トメキチさん、今日は来ないのかな~)とちょっとさみしげ――――

 

そして夕方になり、泊まりのない兵たちは戻ってくる、泊まりの兵はそのまま島で過ごす。

機銃の辻本一水はなぜか頭に包帯を巻いて帰ってきた。居住区で皆に「どうした、どうした」と聞かれ、「異常にハイテンションになって椰子の木に登った長妻兵曹が、椰子の実をもぎ取ってそれを落としたら跳ね返って私の頭に、、、」と、半泣きで答え、あわれ辻本一水は皆から「バーカ!そんな近くにいるからだよ!」と罵倒され、泣き寝入りした。なんでも長妻兵曹の椰子の木のぼりは機銃分隊限定で有名だそうだ。

かつて椰子の実を取るのを生業としている現地の人が飼ってる椰子の実取り専門のおサルと競争して勝った、という変な人でもある。そのあとおサルはちょっとの間自信を無くして困ったらしいが。

 

機関科の松本兵曹長と航海科の小泉兵曹はしこたま食ってそのあとちょっとだけいつも使う宿で休んだ後また、夕暮れとともに慰安所にしけこんだとか。よくそこまでしてすり切れないものだ。

 

そして、、、麻生少尉と見張兵曹。この二人は、梨賀艦長・猪田艦長と出会って「トメキチ貸して?ナナもいるから今夜は一緒に寝たい!」とせがまれ、トメキチを連れてかれてしまった。

「なんでえ。親子水入らず、だったのにな」と少尉はちょっと悔しそうだし、兵曹も「今夜は一緒に川の字で寝たかったのに」と残念そう。

結局二人はいつものホテルに行き、、、そしていつものように熱い夜を過ごしたのだそう。

 

トレーラー島の夜空には満天の星がきらめき、涼しい風も吹いてこれ以上ない最高の晩であります――――

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

トレーラー島での出来事のほんの一部です。

まだまだトレーラー島ではみんながいろんなことしています。それはまたいずれ。

寒い日本ですが、そろそろ春の兆しも見えてきたようですね。梅がほころんできましたね。どんなに寒くっても必ず春が来る。

人生にも、、、ね!


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コメントの投稿

Secre

ジスさんへ

おはようございます。

ほんとに、、、一週間でも一カ月でも、こんなのんびりした南の島で過ごしたいですね(涙)。

天候不順な2月ですよね、今日はとても寒いです、、、早く春が来ないかな~?

NoTitle

ほのぼのとした素敵な風景です。しばらくこういった休日を取ったことが無いです。心からゆっくりしてみたいものです。

それでももう2月も中旬ですね。そろそろ暖かくなってほしいです。

matsuyama さんへ

こんばんは!

ほんとに平和な休日です。
しかし彼女たちも帝国軍人ですのでいざという時の心構えはしっかりできています。

明日は紀元節ですね、この平和を単に甘受するのみでなく先人たちの思いもしっかり受け止める日にしたい、と思っています。

陸戦隊さんへ

こんばんは!

何とヤシの実にはいい思い出がないのですね、、、。ヤモリに訃報では、、、(泣)。
私はハワイに行った時(戦争で、ではありません。念のため)、ヤシの実が落ちてくるから気をつけろとさんざん言われて、とても恐ろしかった思い出があります。

ただ、ヤシの実のジュースで割ったお酒(チチという名前でした)は、うまかったです。

雪風さんへ

こんばんは!

雪に縁のない地方の人は雪にあこがれると言いますが、、、実際雪国に住まう人は雪なんか大嫌い、という方が多いのは確かかも。
運転には十分気をつけてくださいね。

東京は昨日のあったかさがうそのように寒いです、しかも明日は雪だって(泣)。

NoTitle

平和な大和の乗員の1日ですね。
これがひとたび宿敵との攻撃態勢に入ったら、すさまじい光景を見せてくれるんでしょうね。今の平和な日本からしたら、このまま思い思いに健やかな休日を過ごしてほしいですね。
明日11日は「建国記念の日」、紀元節でもありますから、平和な中で日本の建国を再認識したいものですね。

♪名もしら~ぬ~遠きし~まより・・・

 見はリンさん、こんにちは。 ある島で友達の肩車でヤシの実をとったことがあります・・・苦労して採ったのはいいのですがその実にヤモリのようなものがくっついていてビックリ、ヤシの実ごとほたり捨てました。
 
 もう一つは旅行中、ちゅら海水族館でヤシの実、丸ごとジュースを気持ちよく飲んでいたら携帯電話におじさんの訃報が・が・が・・・・

 ヤシの実にあまりいい思いではありません・・・

NoTitle

南の島か
水を含んだ雪にタイヤを取られ冷や冷やの毎日
少し憬れちゃいます
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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