2017-10

「女だらけの戦艦大和」・トレーラーの奇人変人2 - 2012.12.18 Tue

「ねえあれ!なんだろう」と、『海きゃん』取材班小林兵曹が声をあげ、砂浜のかなたを指差した――

 

「おうっ、なんだか知らないがこれはいい記事になるかもしれないぞ。さあみんな行こう!」と筑紫少尉が殘間中尉を促し、写野兵曹が「特ダネ、特ダネ――」とカメラを捧げ持って三谷・袴田・小林兵曹と武田水兵長とともに<あれ>に向かって走ってゆく。

 

「これはいったい何なんじゃろうなあ」

と、長妻兵曹はそれを見下ろしながら腕を組んで言った。白い砂浜の波打ち際より少し陸に上がったところにそれはある。同じようにそれを見下ろす兵隊が数名。そして長妻兵曹の友人ともいうべき椰子の実落としの男性とその相棒のお猿も同じようにそれを見ながら考え込んでいる。

「おじさん、これいつからあったか、わかるかのう?」と長妻兵曹が椰子の実取りの男性――イシ・マッチュ――に尋ねる。が、マッチュ氏も首をひねって

「ワタシ、昨日もケサもココヲアルイタケド、コンナモノなかったネ!ダカラ多分、ついサッキここにキタノカモ知れないね」

という。他の兵隊――『武蔵』の乗組員――も、「私も昨日ここで遊んだんですがこんなものはなかったですねえ」とか「でもこんなに埋まってるってことはある程度前には置かれていたってことじゃないかなあ」などと話している。

そこへ「どうしたんです!?」と筑紫少尉と写野兵曹たち取材班が走り寄った。

長妻兵曹が彼女たちを見て、「ああ、『海きゃん』のみなさん。取材活動ですかのう、ご苦労様です。・・・これを見てつかあさい、こげえなもんが砂浜にうまっとるんです。でもみんなの話じゃと、こげえなもの昨日も今朝もなかった、いうんですがねえ」と言ってそれを指差した。

『海きゃん』の皆が、指差されたそれを見た。

それは。

白い砂の中にめり込むように埋まり込んだ大きな亀の甲羅である。見た感じでは相当大きな亀のようで、その甲羅の半分くらいが砂に埋まっている。

「ほう、これは大きな亀の甲羅ですね・・・どれ」

と、筑紫少尉がしゃがみ込んで甲羅の砂をどけ始める。長妻兵曹もしゃがむと砂を取り払いだした。武蔵の兵隊や、イシ・マッチュ氏そしてお猿もそれに倣う。

「しかし、でかい甲羅じゃのう。これは見たこともないくらいの亀じゃな」

長妻兵曹が言うと、マッチュ氏は首をかしげて

「デモおかしいね、ナガツマサン。ここにはコンナおおきなカメ、スンデタコトも、来たコトモナイヨ?」

と言った。長妻兵曹がマッチュ氏の顔を見つめると「え?なんじゃと?ここにはこげえなカメは居らんというんかね?」と問うた。

マッチュ氏は至極真面目な顔でうなずいた。武蔵の兵もそれを見て、この人は嘘は言ってない。ということはどういうことなんだ?と大変な疑問を持つにいたった。

写野兵曹も、大事なカメラを汚さないように布袋に入れて肩から掛けて亀を掘り出す作業をしていたが急に、

「変ですよこの甲羅!ちょっと見てくださいよ」

と大声をあげた。皆が写野兵曹の顔を見た。写野兵曹は立ちあがって甲羅を指差すと、

「こんなに柔らかい甲羅なんか、見たことない・聞いたことない・触ったことない!ちょっと変ですよこれ!もしかしたらほりだしてはいけないものかもしれませんよ!きっと何か良くないものなのかもしれませんよ」

と叫んだ。

うわっ、と皆も立ち上がり少し甲羅から離れた。「柔らかい、って?」と武蔵の兵の一人が言うとマッチュ氏のお猿――ジロ――がいきなりそばに置いてあった大きな椰子の実を甲羅のど真ん中に向かって叩きつけるように投げた。

ボスッ!

と大きな椰子の実は、甲羅の真ん中に当たってそして少しへっ込んだのを一同はしっかり見た。

「あり得んことだ。亀の甲羅は固いものだろう?これは変だぞ」

武蔵の兵曹が言って、殘間中尉がおずおずと「それじゃあ、いっそこんなわけのわからないものは埋めてしまった方がいいかもしれないですねえ。見たところ生きてるようにも見えないから死んでるのでしょう。ならば埋めてやった方がいいってものかもしれませんよ」といい、みんな賛成した。

「ほいじゃあ、埋めるで」

長妻兵曹が言って、みんなが手で砂をすくって甲羅に掛ける。それを見ていたジロが興奮して甲羅の上で飛び跳ね、大きな椰子の実をボンボンと投げつける。

長妻兵曹が「ジロ、そがいに投げたら危ないで?跳ねかえったらケガするけえ、気いつけえ?」とジロに注意した。ジロが、長妻兵曹を見てキーッ!と鳴いた。

その様子が少しばかりおかしいのに長妻兵曹は気がついた。そして「ジロ、お前どうしたんじゃね」といいかけたその時。

甲羅がもそもそ、と動いた。皆が作業の手を止め甲羅を凝視した次の瞬間。

甲羅がすさまじい勢いで砂を跳ね飛ばし、立ちあがったではないか!

「うわああ!」

「ギャー!」

「なんだこれ!」

と皆口々に驚きを表した。ジロが長妻兵曹に抱きついて恐怖の叫びをあげた。マッチュ氏でさえ砂の上に腰を落としている。

甲羅はすっかりその姿を現した。

「ああ、あれみて!」と袴田兵曹が叫んだ。震える指先の指したところには、甲羅の着ぐるみを着こんで砂だらけになって、はあはあと息を切らした男が怒りに身を震わせて立っているではないか。男は皆を見回すと

「遅い!もっと早くほりだせよ!!ずっと待ってるの苦しいんだよ!!」

と怒鳴った。

その姿に長妻兵曹と武蔵の兵たちが「わー!あいつだあ!」と叫んで恐慌に陥ってしまった。

無残なまでに禿げ散らかした頭、狂気なのか正気なのか測りかねる眼・・・彼こそ!

「ラガシエ島の変態だー」

そう、以前長妻兵曹たちが漂流した際上陸した島で襲われかけたり『武蔵』の酒保で酒を飲んだり幽霊騒ぎを起こした張本人である。

長妻兵曹が恐怖の叫びをあげるのと同時に男は着ぐるみを破って飛び出してきた。しかも全裸である。当然大パニックに陥る女海軍将兵たち。

その将兵を男は素っ裸のまま追いかけはじめる。写野兵曹は果敢に撮影をしつつ逃げ回り、殘間中尉は泣きながら「いやだあ、怖いよう。誰か助けてえ」と筑紫少尉や武田水長の後ろに隠れようと必死である。

長妻兵曹は、

「おじさん、ジロ。こいつは普通じゃないけえ危険じゃ、はよう逃げえ!」

と二人に怒鳴って逃がそうとした。その時、長妻兵曹は男が埋まっていた穴の端に足をとられてひっくり返った。

「あっ!」

と思う間もなく男は長妻兵曹に襲いかかり、兵曹の防暑服を両手でものすごい力で破った。兵曹の白い肌があらわになった。

「やめえ!このあほ!!」

長妻兵曹が必死に抵抗したが男はさらに下の方に手をかける――

武蔵の兵たちが思わず飛びかかろうとしたその時。

「キ―――!」

とすさまじい声がして、マッチュ氏の肩からジロが男に向かって飛び出した。ジロは、長妻兵曹に覆いかぶさる男の頭髪をまずむしった。

ウホ―と叫ぶ男に構わずジロはむしりまくる。そして男がたまらず長妻兵曹から身を離して立ちあがった時、ジロは男の一番大事な部分を思いっきり、あの椰子の実落としで鍛えた手で以て握りつぶしたのだ!

「!!!」

声にならない絶叫をあげ、男はその場に昏倒した。口から泡を吹いて全身けいれんしている。長妻兵曹は服の前を掻き合わせ、はあはあと荒い息をついて砂から体を起こした。武蔵の兵曹の一人が助け起こす。

皆は言葉もないまま男が痙攣しているのを見つめている。

その男の痩せた体の上でジロが勝鬨をあげている。

が、もちろん男は全裸であるから皆(マッチュ氏以外)は男のすべては正視できないのであった・・・

 

男は海軍警備隊に引き渡された。警備隊長以下は「またあの男だ!」と思いっきりいやな顔で男を迎え、警備隊長は「私はこいつの顔をみたくない、艦の一番下にぶち込んでおけ」と言って男は警備艇の船倉に急ごしらえされた牢屋にたたきこまれた。

しかし男は全裸のままで急ごしらえの牢屋の中で踊っている。

 

長妻兵曹他の海軍嬢たちは悪夢からまださめていないようだ。それでも落ち着くと「いやあ。えらい目に逢いましたね」とか「でも大ごとにならなくて良かった」「助けてくれてありがとう」「あのお猿さんは勇敢ですねえ」等々少し興奮気味で話す。

武田水長は皆の間を回っては取材。写野兵曹はカメラを構えて甲羅の着ぐるみの残骸とか、男が埋まっていた穴などを撮影。

それが一段落すると皆はそれぞれ思い思いの方向に散っていった。

筑紫少尉は武田水長・写野兵曹と「警備隊に行ってあの男を取材してきます」と言ってそこを離れる。

「すごい、すごいぞトレーラー!まだまだいろいろ起こりそうだね!」

浮き浮きする筑紫少尉ほか。

だが殘間中尉はげっそりと肩を落として、「もういや・・・こんな変な人がいるような島、おっかなくって。やっぱり『大和』で寝泊まりした方が良かったかしら」と言ったのだった。

 

トレーラー水島に、午後の風が吹き抜けてゆく――

 

   (次回に続きます)

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

何かと思えばまたあれか・・・(-_-;)

ラガシエ島の住人、いったい何をしに来たんだか??サッパリわかりませんね。でも全裸で砂の中、しかも着ぐるみで埋まってたとは思いもよりませんです。

長妻兵曹に何もなくてよかったです、ジロの大手柄です。

しかし、椰子の実落としで鍛えた手で大事なものをつぶされた彼。これに懲りてバカな真似をやめればいいのですが??

トレーラー島取材まだ続きます。ご期待を!
亀の甲羅(画像お借りしました)
亀の甲羅

そしてこの人が・・・!(画像お借りしました)
エガチャン2

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まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんにちは!
こんな拙いお話でもまろにいさまの元気を呼び戻す「呼び水」になることが出来てうれしいです。
私もこのところあまり元気というか覇気が無いなあと自分でも思っています。もしかしてこれが「思秋期」か!?(岩崎宏美さんの歌のタイトルでもありましたね)と思ったりして・・・
なんかよく読むととてもいやらしい話ですね(^^ゞでも江頭さんをモデルにしますとこんな風になりますw。きっとこの先もエガチャンさんはこの話に顔を出してくれます!!
曇りの天長節となりました東京ですが大分はいかがでしょうか?
どうもこのところの寒さにはついてゆけないわが身であります、あと少しの平成24年。お互いに風邪やノロウイルスの洗礼なしに乗り切りましょうね!!

ここのところイマイチ元気が出ない私でしたが
亀……、江頭さんの驚愕の登場で元気になりました。
亀、すっぽん、滋養強壮、そして元気を頂いた。ありがとうございました。
しかし江頭さん、神出鬼没ならぬ今回は亀出鬼没でしたね。
寒くなりそうです。無理せず風邪引かずで乗り切って下さいね。

matsuyama さんへ

こんばんは
江頭さん、当初本当に驚きました。すさまじいキャラクターだと・・・
でも嫌いではなかったです、不思議なキャラで。その彼が福島へ援助物資をトラックで運んでいたという事実、私も何かで聞きました。
隠密裏にしたというのがいかにも彼らしいなあと思いましたね、そういうことは目立たないようにするという謙虚さといいますか。
実は大好きなのですが・・・私のブログではちょっとヘンな人となっています(^^ゞエガチャンごめんね~~~!

いつも馬鹿なことをして皆さんに厭きれられているエガちゃんですが、先日被災地の福島県に自らトラックを運転し、ボランティアをしてたそうです。
エガちゃんは純粋に一個人として支援物資を隠密に運んでいたようですが、何人かに目撃されツウィッタ―されてるそうです。ツウィッタ―仲間の間では拡散してるそうですよ。
やっぱり男はやる時はやる、んですね。頑張れ、江頭2:50。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは
お返事遅くなってごめんなさいね。
なんだか何かというとエガチャンを出して安易に走るわたし・・・(-_-;)
ホント、彼には蒸し暑いとか暑苦しいっていうのが似合う気がしますねw、雰囲気そのものが熱い(暑い)ですよね。熱いと言ってもマツオカの暑さとは違うし・・・、
エガチャン主演の戦時もの!見たいですね!できたら陸軍編と海軍編両方作ってほしいと思いました!
シリアスが似合うかエガチャン!?
どんな兵隊になるか、これどこかのTV局で企画しませんかねえ~~?
明日は今日より寒そうです、くれぐれも御身大切になさってね。

こんにちは。期待を裏切らないエガちゃん!!彼には南国のムシムシした暑苦しさがよく似合う!!(笑)エガちゃん主演の戦時中のドラマが見てみたいと思いました。彼ならその辺のチャラいアイドルよりずっと深い演技をしてくれる気がする!!


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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