2017-10

「女だらけの戦艦大和」・秘密の花園、『大和』❤5 - 2012.11.27 Tue

――平野少尉は「さあ『海きゃん』の皆さん、25ミリ機銃をとくとご覧ください」と言って『海きゃん』取材班一行を機銃座に招いた――

 

初めて間近で見る機銃座に、皆――殘間中尉から武田水兵長まで――が目をらんらんと輝かせて走り寄った。そして口々に「おお、これが帝国海軍がほこる25ミリ機関銃なんですね!」とか「これが連続で発射されたら敵機はひとたまりもないですね」などと喋りまくる。

それを見ていた長妻兵曹と増添兵曹は「やかましい連中じゃのう、編集部員いうてこがいにやかましゅうてええんかいのー?もうちいと静かで知的な感じのする人じゃと思うとったがのう」と言って苦笑する。

その二人を平野少尉は近くに呼ぶと、「この人たちに機銃の撃ち方を見せてやりたいんだがちょっとやってみてくれる?」と言い二人はうなずく。

増添兵曹は普段はシールド付の機銃の配置だが少し前は露天のこの機銃座にもいたことがある、いわば古巣。喜んで旋回手の席に着く。長妻兵曹はちょっとだけ格好つけて射手席におもむろに座った。

そこで平野少尉はエヘン、と咳ばらいを一回すると殘間中尉以下を見回して「ではこれから、皆さんに機銃の射撃手順ほかをお見せいたします」と言うと、機銃の方に向きこれは何というものであれはこういう名前のもの云々と説明を始める。

それを一つ一つメモをとる袴田兵曹ほか、そして写野兵曹はあちこちのアングルからカメラのシャッターを切る。増添兵曹は自分の方にカメラが向いたとき緊張の面持ちだったが長妻兵曹は何気なくカメラ目線を送る余裕たっぷり。

そして「増添兵曹、長妻兵曹!敵機発見、仰角60度!」と平野少尉が叫んだ。『海きゃん』一行が緊張の面持ちで少尉や兵曹たちを見つめる。

平野少尉は得意になって指揮棒を振りながらまるで上空に敵機がいるかのような熱演である。『海きゃん』の皆も上空を見上げ、そこに敵の飛行機の姿を見ているかのようだ。旋回手の席の増添兵曹がもうノリまくって「仰角65度」となどと叫ぶし長妻兵曹も「右30度ぉ!」と叫んではハンドルを回して機銃を動かし、ついでに「バババババ!!」「ダダダダダダ!」と機銃の射撃音の口まねまでする熱の入れよう。

写野兵曹は「すごい!まるで本当の戦闘を見てるみたいだ」と興奮してカメラのシャッターを押しまくる。

そこに、それまでこの様子を後方で見ていた辻本一水が機銃の弾倉を抱えてきて「給弾しまーす」と言って機銃座の後ろ側にある給弾口に弾倉をがちんと入れた。

と、平野少尉が突然「いいですかみなさん!」と言った。増添兵曹、長妻兵曹の声と手が止まり二人は顔を見合すと(始まるで、平野少尉のアレが)とこっそり笑いあった。

「はい」と殘間中尉以下が平野少尉を見つめると、平野少尉はつい先ほど辻本一水が持ってきた大きい機銃の弾倉を給弾口から取り外すと皆の前に突き出した。

そして、

「もうお分かりとは思いますがこれがこの機銃の弾倉です。弾丸が15発入っています。発射速度は一分間に220発。それが三連。引き金は足元のこれで引きます。・・・まあ、この機銃群が火を噴けばアメちゃんの飛行機と言えど我々の敵ではない!」

と大変偉そうに話しだした。殘間中尉や筑紫少尉、下士官連中や武田水兵長などもう大感激で涙ぐみつつうなずいて聞いている。

「そして」と平野少尉がいい、皆は平野少尉に視線を移す。平野少尉は弾倉を抱えて

「給弾の際には弾倉ををこうやって・・・ここにハメるのです。そう、ハメる。で、弾をガンガン撃ちまくります。そしてぇ、撃ち終わったればこの空弾倉は跳ね上がります。で、それを引き抜いてまた新しくハメ直す・・・」

と言い、それを聞いている増添と長妻の顔がニヤつきだした。『海きゃん』取材班のうちの袴田兵曹の顔がなんとなくハッとしたような顔つきになり・・・。

平野少尉はなお続ける、「で、この機銃とて撃ちまくればもう真っ赤になって焼けてしまいます。この砲身の部分が真っ赤に焼けるんです」と言って一本の機銃の砲身を撫でた。その手つきに機銃の兵曹たちと『海きゃん』袴田兵曹は含み笑いをし始める。

平野少尉は袴田兵曹の顔を見て嬉しそうにさらに続ける、「ですので、熱を取るため濡れたソーフ(雑巾)を当てて火照りを取ってやるんですが」

増添兵曹が下を向いて笑いはじめ、長妻兵曹は視線を上にあげて笑いをこらえている。平野少尉は撫でる手を止めないままで

「そこまで行くと砲身がぐったりと曲がってしまうこともあります。・・・つまり・・・どういうことだと思う?君たち」

と部下の兵どもを見ると大声でいい、増添兵曹・長妻兵曹・辻本一水はこれも大きな声で

「イッちゃうのであります!」

と言い――四人は大笑い。『海きゃん』の皆――袴田兵曹以外――は呆気にとられてぽかんとしている。袴田兵曹も大笑いして「ゲハハ・・・イッちゃうんだってさ・・・ウホホ!」とその場で悶絶。

――すると、その袴田兵曹に向かって殘間中尉が言ったのだ。

「ねえ、どこに行っちゃうの?」

これには長妻兵曹が驚いた。「え!し、知らんのですかさっきの話の意味を?結構ええ年しとってじゃけえ、わかると思っとりましたが・・・オトメチャン並みのおぼこじゃったとは!」

これには筑紫少尉以下の『海きゃん』組が反論した、頬を真っ赤に染めて「し、知ってますよそのくらい!私らだって海軍軍人のはしくれ、とっくに男は知ってます!だから平野少尉のおっしゃったお話のスケベな意味もわかりますよ!ただ唐突に言われたからびっくりしただけですよ、馬鹿にしないでください!」。

しかし、肝心の殘間中尉は今一つわけがわからないと言った顔をしている・・・

そして筑紫少尉はまだ笑っている袴田兵曹をひっぱたいて「これ!あんたは笑いすぎだよ。そんなに笑う奴があるか!」としかったが、袴田兵曹は目にたまった涙を指先で拭いつつ、

「だって、すっごい良い表現じゃないですかあ。今までこんなにわかりやすい表現した人はいませんよ?・・・よし!これは記事に書きます!誰が何と言おうと記事にします!」

と言ってノートを取り出すと先ほどの平野少尉と下士官たちの言葉を書きつけた。殘間中尉は情けなさそうな顔でそれを見ていたが、平野少尉は満足そうな笑みを顔いっぱいに浮かべて

「わかる人にはわかる!さすが『海きゃん』の編集の人だけあるね。鋭いよ。こんな素晴らしい比喩を聞いてもまったく無反応な奴がいたが信じらんないよね~」

と言って袴田兵曹の肩を叩いて「あなたは偉い!」と賛辞を与えたのだった。

取材班は機銃の取材をとりあえず終えた。ノートやカメラを一応仕舞って、平野少尉たちに礼を言った一行。

すると、平野少尉が筑紫少尉にそっと寄ると

「そうだ、この艦のぴか一の下士官が艦橋の上の方におりますからお探しになるといいですよ。これはほんと、記事になる子でしてね。とても可愛くておぼこな子でね。ただこの子を取材しようとするといろいろな障害があるかもしれませんが、きっと皆さんの編集部魂に火をつけること請け合いです。幸運を祈ります。またあとでお会いしましょう」

と囁いた。

筑紫少尉の顔が今までになく輝いた。

「記事になる子!可愛くっておぼこい子!その上その子を取材するには様々な障害が待ちうけているとは!素晴らしい、さっそく探しに行きましょう。ありがとうございました」

筑紫少尉は叫ぶと殘間中尉他をせかして艦橋に走り出す。

が、急に走り戻ってくると平野少尉に「あのッ、艦橋にはどう行ったらいいのでありますか!?」とたずね、増添兵曹と長妻兵曹、辻本一水が「知らねえで行ったんかい!?」とずっこける一幕も。

 

前牆楼の後部のラッタルをぞろぞろ登ってゆく取材班。

妙に張りきった筑紫少尉が「いいかみな!それらしい子を見かけたらすぐに私に言うんだぞ、抜け駆けは許さん!」と皆に言いながら先頭を上がってゆく。(やっと「秘密の花園」とやらの本体が見られるのだな、どんな花園なんだか・・おお、楽しみだ!)

途中で足は萎えるわ、どこから入ったらいいかわからなくなるわでその場で立ち往生していると、数段上にあった鉄の扉が開いた。

副長が、顔を出した――

    (次回に続きます)

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・・

いよいよ「秘密の花園」に足を踏み込むのでしょうか、取材班。

でも相手が相手ですから波乱が予想されますね。え?誰かって、そりゃあもうあなた、あの子でしょう~~
三連装機銃弾倉
三連送機銃の弾倉です(画像お借りしました)。



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● COMMENT ●

酔漢さんへ

酔漢さんこんばんは!
『大和』の最終の戦闘、坊ノ岬沖海戦時の音はホント、われわれには想像できませんね。
>あたり一面真っ白
一体どんな状況!?
底知れぬ恐怖しか感じませんねもうこうなると・・・
「海きゃん」取材はうまくいってるようです^^、次回以降をお楽しみに!!

柴犬ケイさんへ

柴犬ケイさんこんばんは!
ご退院おめでとうございます。
通院治療はこの季節、より大変ではありますがどうぞお大事になさってくださいね。
ケイちゃんもさぞ心配だったことでしょう・・・
一日も早い御快癒をお祈りいたしております、ご無理なきように願いますよ~~^^。
ではまたお邪魔いたしますね^^。

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
ウッフフフ・・・
こういうことにかけては実は大変洞察も造詣も深い私なのでした~~~ww。
なんちゃって。
でもそうおっしゃっていだたくとなんだか…こそばゆいくらい嬉しい気がします^^。
さあ、艦橋のかわい子ちゃんと言えば・・・・言わずもがなのあの子・・・ですね^^。
ご期待を♪

坊ノ岬沖海戦時。その音の凄まじさは想像できません。
「あたり一面真っ白になった」とは、実際に聞いた話。
ホッチキス、恐るべし!
と話は戻りまして・・・。
ここまで拝読させていただきました。
取材好調?に進んでますね。
これからどうなる?
またおじゃまいたします。

見張り員さん  こんばんは♪
いつもありがとうございます♪
連絡が遅くなりごめんなさい。
入院中ご心配頂きありがとうございました。
退院しましたが通院の治療になりますが
今後とも宜しくお願いします。

あはは。
とても分かりやすくて、身にも覚えがあって良い感じでした。女性(であるはず)の見張り員さんの、誰だかへの洞察力と探究心の玉物……、いや賜物であるようですね。実に写実的でしかも堂にも入ってるし!!
さて艦橋のかわいい子ったらもしかして!?

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
機銃の平野少尉、またの名を「変態エロ少尉」といいます。新兵とか新しく配属になった兵隊を相手に機銃をレクチャーするのですが必ずこういうスケベ話を混ぜますw。
しかし聞いてる方もすぐに「ハッ!」と思うのと「なんで可笑しいの??」というのにわかれてこれまた可笑しいですね。
女子校、確かに反応がわかれますよね!私も高校時代男女別学の女子クラスだったのでノリは女子校。こういう感じもありましたよ^^。
さあ、狙われしオトメ。
マツコはどうなる!?
ご期待ください!!

こんばんは。ネツの入った講義でしたね~すぐにピン!!とくる人、いつまでも?マークの人、それぞれの反応が楽しいです(笑)女子校ってこんな感じですわ、いろんな女の子がいて…。オトメちゃん、完璧に狙われてしまいましたね~どうなるのかしら?ハラハラドキドキ、続きをお待ちしています。マツコを大活躍させて下さい(爆)

kazu さんへ

kazuさんこんばんは!
「男たちの大和」では機銃と烹炊所が主役みたいでしたね。
あのすさまじい戦闘シーンは正直気分が悪くなるほどリアルでした…(-_-;)

機銃といえば
映画、男たちの大和を思い出しますね。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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