2017-09

「女だらけの戦艦大和」・秘密の花園、『大和』❤3 - 2012.11.24 Sat

『海きゃん』一行はまず、海水にぬれた体を洗うために士官浴室に案内された――

 

そこでぬれた軍服を脱ぐと副長従兵がそれらすべてを持って洗濯室に行き、きれいに洗濯してくれた。殘間中尉以下は風呂からあがってそれを知り大感激。「やっぱり大和は違うねえ」なんて世辞を言う。

まあもっとも駆逐艦や巡洋艦ではこの連中はただの<お荷物>でしかなかったからこんな素敵な待遇をされたら舞い上がるのも致し方ないかもしれない。

そして皆は提供された防暑服に着替え副長従兵の河村兵曹に伴われ、「こちらが皆さんの居住区です」としばらくの仮の宿となる下甲板の兵員室に案内された。

「わあ、ベッドがある!」

と素っ頓狂な声をあげたのは筑紫少尉。殘間中尉の肩をばしばし叩いて、「殘間中尉、これはすごい。すごいですよ、普通兵員にベッドは与えられないっていうのに。さすが『大和』ですよね」と大騒ぎ。殘間中尉は痛い痛いと言いながらも副長従兵の河村兵曹に「『大和』はいいですねえ。皆にベッドなんて。聞いた話多くの艦はハンモックだと言うじゃないですか」と言った。河村兵曹は、「それでも新任の少尉たちはハンモックで寝ています。いろいろ彼女らには教育的見地からそうしてるらしいですよ。まあ、未来の提督はそういうところから育てないといけん、言うことでしょうな」

と言って右手の人さし指で頬をそっと引っ掻いた。そしてまだ感心して居住区を眺めまわしている一行に「さあ、では行きましょうか。<艦内旅行>」と言うといきなり歩き出したのだった。

 

缶室や機械室ばかりの船倉。機械のうなりがなんだか『海きゃん』取材班には気味が悪い。時折行きあう兵員が珍しそうに一行を見て通る。そのたびに写野兵曹が追いかけてカメラに彼女たちを収める。武田水兵長や三谷兵曹が軽くインタビュー。それを見て河村兵曹が「仕事熱心だねえ。さすが『海きゃん』編集部」と感心してうなる。

その上に上がるとまた缶室やら主機械室が居並んでいる。

「機械室が多いですねえ。さすが弩級の戦艦だけあります」

小林兵曹が感激して言うと河村兵曹が「弩級、じゃない。超弩級じゃ」と訂正した。すみません、と小林兵曹が誤ると、河村兵曹は嬉しげに肩を揺すって笑った。

そこへ前方から機関科の松本兵曹長がやってきた。

河村兵曹はさっと礼をし、皆も倣う。松本兵曹長はその中に中尉や少尉がいるのであわてて敬礼した。

「この方たちはどなただ?」と副長従兵にそっと尋ねた兵曹長に従兵は、

「『海軍きゃんきゃん』取材班の方々です。大宮島(グアム)を取材後わざわざトレーラーにまで取材に来て下さったのであります」

と答えた。松本兵曹長は「ほう!『海きゃん』のね?えらい遠くまでお疲れでしたね。まあ、ゆっくりと『大和』艦内を取材してください。・・・ここは帝国海軍一の秘密の花園ですけえ、話のタネはいくらでもころがっとる思いますけえの」と意味深長なことを言って、そばにいた袴田兵曹の背中をドン!とどやすと大笑いして去っていった。

「・・・秘密の花園、ですかあ」

殘間中尉が言うと河村兵曹はにやりと笑って「まあ、女だらけですけえの。いろいろありますわ。そのうちお分かりになる思いますよ」というと先を急ぐ。

武田水兵長はその言葉を聞いた時点でもう何か顔を上気させている。<女だらけ><秘密の花園>という言葉で何かを連想したのだろうか。

武田水兵長は(女だらけで秘密の花園とくれば、きっとあちこちで○○とか×××とかあるのかもしれない!うわあ~、これは取材のやりがいがあるってもんよ!)と思っている。

さらにもう一つ上の甲板に上がる――

皆は<秘密の花園>がどこにあるのか興味しんしんで河村兵曹の後に列を作ってあるく。しかし、さっきと変らないような機械室や缶室ばかり・・・と、ある大きなドアの前に水兵長が立っているのを見かけた。手には木銃のようなものを持っていて見張り役のような感じである。もしかしてここが秘密の花園の入り口?と思った武田水兵長は列を離れそっと近づいて行った。

と。

見張り役と思しき水兵長がいきなり「何者じゃ、貴様!」というなり武田水兵長の顔面に鉄拳を見舞った。派手にぶっ飛ぶ武田水兵長。わあ、と驚いた筑紫少尉や袴田兵曹たちが武田水兵長を抱き起こし、

「何すんですか、いきなり!」

と抗議の眼を向ける。しかしそれ以上に鉄拳を繰りだした内田水兵長の怒りはすさまじいもので、手にした木剣を皆の前に突き出すと

「いきなりはこっちのせりふじゃ!ここをどこじゃ思うとるんじゃ、ここは弾薬庫じゃ。俺はここの番をおおせつかっとる、やたらと入りこんで悪さをしようとする貴様らみとうな連中を捕まえて禁錮室にたたき込むためおるんじゃ!」

とそれはでかい声を放った。

一行は「だ、弾薬庫!」と真っ青になった。皆から背中を押されて殘間中尉が

「も、もうしわけない。私たちは取材で『大和』に来た『海軍きゃんきゃん』の者だ。まったく艦内のことを知らぬもので失礼した。今回だけは見逃してほしい、悪さをしようとしてきたのではないのだから」

と弁解を始める。それを凄味のある目つきで見ている内田水兵長は「何言うとる、嘘言うたって調べればわかるんじゃけえの!」と怒鳴る。
皆は河村兵曹に助けを求めようとしたが肝心の河村兵曹は先に行ってしまったか姿がない。

するとそこへ「おーい、皆あ。どこにおるんね?」と河村兵曹の間延びした声が聞こえ、やがて兵曹が「まだそんなとこに居ったんか。うちはもう先に行ってしもうてじゃ」と笑いながら戻ってきた。

そしてその場の緊張した場面を見て「ああ、あんたら内田水兵長の怒りを買うたんじゃね」と言うとまた笑った。わけのわからんと言った表情の一行に、兵曹は

「内田水兵長はこの弾薬庫の見張り役でなあ、この仕事に命かけとってじゃ。鼠一匹ゴキブリ一匹ここを通さんで、そりゃあ大したもんじゃわ。あんたら始めてみる顔じゃけえ内田水兵長は怪しい、思うたんじゃね。

まあ水長もちいと融通効かんとこがあるけえな、まあそれも任務に忠実言うことの証じゃけえ堪忍してやってくれんか?こんな<糞パッキン>みとうな女じゃがよろしゅうな」と説明してやった。

内田水兵長はそんな説明中もあたりを睥睨して木銃を握っている。

「はあ!?<糞パッキン>ですか」という写野兵曹に河村兵曹は「ほうじゃ、糞パッキン言うあだ名がついとるんは内田水長だけじゃのうてこの『大和』には何人かおるで。ほいでもみんなきっちりしとってなかなかええ連中ばっかじゃけえ、あまり先入観だけで見たらいけんで」と注意した。

わかりました、と殘間中尉は答え(やれやれ、『大和』は大きな艦だがそれだけに艦内の人間も大きな変人がいるのだな。これは気をつけないと)と思っている。

が、武田水兵長は(ふーん・・・秘密の花園を暴かれんようにその、なんだ、<糞パッキン>とかいう人も多数配置して目くらまししてるのだろうか。う~ん、謎の多い艦だなあ。でも取材のし甲斐があるね!)と内心浮き浮きしている。

河村兵曹は、そんな心のうちも知らず「さあ、今度はもっと上じゃけえ。みなさんの好きな烹炊所も見せてあげますけえね、がんばれ!」と励ます。

 

一行が<艦内旅行>を始めてから、もうすでに2時間半が過ぎていた――

   (次回に続きます)

 

         ・・・・・・・・・・・・・・・

禁断の?『大和』艦内を見て歩き出した『海きゃん』取材班一行ですが早くもおかしな目に逢い始めました。

この先取材をうまくできるのでしょうか。私は心配です・・・

水兵長。兵の中での最高階級水兵長 水兵服   、水兵服とももうじきお別れ、いよいよ下士官任官間近だ!(画像お借りしました)



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● COMMENT ●

まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは!
まさに帝国ホテルのスイートが「長官室」あたりだったようです・・・うらやましい。
そうでなくとも『大和ホテル』と言われていたという艦です(多少やっかみあり)からその豪華さ、推して知るべしですね^^。
でも『武蔵』のほうが内装に関してはもっと素晴らしかったようです、武蔵は長崎造船所(民間)ですから・・・。
糞パッキンの見張り番。仕事に熱くなっています。松岡分隊長が知れば「弟子にしてあげよう!」というところでしょうかw。
実際に「糞パッキン」というありがたくはないあだ名をつけられていた兵とか下士官が居たそうです。融通が利かない人につけられたあだ名で「○○パッキン」(○○は名前)ならまだしも「糞」がつくと…(-_-;)。
私も姑さんに昔「融通が利かない!」と言われてましたので「糞パッキン」の部類ですww!

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは!
まさに珍道中ですねこりゃww!
『大和』の大きさはまさに半端なかったようですね。新らしく入った兵隊さんたちが艦に慣れたかを見るために要所要所でハンコをもらって戻ってくるいわばスタンプラリーのようなことをしたらしいんですがその時何時間たって戻ってこない兵がいたとか。
彼ようやく見つけられたのですがふらふらになってその場駆け足でそれでも場所を探そうと必死になっていたとか・・涙・・・。
私は方向音痴なので全く自信ないですね・・・
「秘密の花園」…どんな花園なんだか!?
お楽しみに^^。

ホテルランクで言うなら帝国ホテルクラスが大和でしょうか。気品と風格が来る人を優しく包み込むみたいな。そして責任感強い見張り役の出番。バックヤードがしっかりしているから尚のこと美しく見えるのかもしれませんね。働き甲斐のある仕事場でもある訳ですね。
とは言うものの「糞パッキン」とはまた??

こんにちは。取材というより珍道中になりつつありますね(笑)私も一度保安庁の船の中に入らせてもらいましたが、小さい船だったので狭い~大和だったら本当にテーマパークに近いでしょう…迷子になりそう!!
秘密の花園のヒミツはどこまでオープンになるのか?ワクワクします!!


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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