2017-10

「女だらけの戦艦大和」 ・ もみじまんじゅう~~~!!こしあんか、つぶあんか? - 2009.12.11 Fri

「女だらけの戦艦大和」は、懐かしい呉を離れた―――

 

呉のブイを放たれ、瀬戸内を航行してゆく「大和」「無花果」。だんだんと、遠ざかってゆく懐かしい日本の景色を、皆はしっかりと目の奥に焼き付けた。美しい、一年も終わりに近い日本の景色。

それぞれの脳裏にこの10日ほどの間の停泊中の思い出がよぎる。

あるものは、家族との再会を果たした。あるものは、念願の初上陸で<ヴァ―>を捨ててきた。あるものは、恋人に逃げられた―――

悲喜こもごもである。

そんな思い出をかみしめながら、皆は各々の配置で内地にしばしの別れを告げるのだった。

 

さて。「大和」は外洋にやっと出た。そのあたりで夜になった。

当直配置員を残し、眠りに着くものや次の当直まで眠れないからと仲間とこっそり談笑するものもいる。

見張兵曹も談笑組の1人で、今日は機銃の長妻兵曹のところに、小泉兵曹・森兵曹としけこんでいる。今回は、石場兵曹が参加している。

例によって、高角砲の森兵曹が模擬砲弾を持ってやってきた。空洞にしたこの砲弾の中に日本酒の一升ビンが隠されている。

石場兵曹は、今回上陸前に父親が危篤という手紙を受け取っていたので航海長から直々に3日間の休暇をもらって故郷の宮島に帰っていた。

「で。親父さまはどうだったの?」という森兵曹に、石場兵曹は「いやあ、、死に目には会えませんでしたが、いい顔して死んでましたよ」と言った。なんだか思いっきり他人事のようである。しかし見張兵曹はその裏側に隠された石場兵曹の悲しみを感じていた。

彼女は、5人兄弟の末っ子と聞いている。しかも、大の父親っ子だったというからその嘆きはいかばかりだったか。

「そう、、」と一同はちょっとしんみりした。小泉兵曹は、既に実母を失っているし見張兵曹に至っては、父親はなく家族からは縁を切られてしまっている。天涯孤独と言って過言ではない。

まともに両親が生きているのは森兵曹、長妻兵曹である。

帰港のたびに会えずとも、この空の下で元気に生きていると思うだけで森兵曹も長妻兵曹も幸せなのだ。

石場兵曹がその場の湿った雰囲気を払しょくするように「はいっ、で、これがお土産で~~~っす!」と言って、隠していた大きな箱を出した。

「何なに!?」 「食えるもの?」 「びっくり箱じゃあるまいねぇ?」と皆勝手に盛り上がる。石場兵曹はエヘン、と咳払いをして「ジャー――ン!これだっ!」と箱のふたを取った。

箱の中にきれいに整列していたのは、<もみじまんじゅう>ではないか!

「きゃーーーお!」「これこれ、一度食いたかった~~~」「マジでもみじの形じゃん!!」騒々しいこと・・・・。

「皆さま、どーぞ!」と石場兵曹が言うなり、皆の手が一斉に伸びた。1人で二つも三つもつかむ見張兵曹に森兵曹が「てめえ!ずるいぞ!一個ずつ食うんだよ。いやしいなあ!」と怒った。見張兵曹は怒られながら、「いいじゃないか、、1つはトメキチに。1つは分隊士に」と反論した。石場兵曹が笑いながら、「オトメチャン、分隊士にはもう渡してあるから大丈夫。エライさんにはもう別に持ってったから」と言ってくれた。

見張兵曹は「ほ~~~らね」と森兵曹に言って、さらに三つばかりポケットにねじ込む。

そのしぐさにあきれながらも、皆ぱくつき始める。

「うーーーーん、、、うまい」と森兵曹が唸るように言うと、小泉兵曹も「ああ、、内地の味。いいねえ、この繊細さ」と感動している。

見張兵曹も「この餡子、、いいねえ。これは粒あんだね」と中身を見ながら言った。小泉兵曹は「これはこしあんだよ。森兵曹のは?」と森兵曹を見る。

森兵曹は「これか?これはなんと、、、チョコ餡だぜ!」と大喜び。

粒餡だろうがこし餡だろうが、はたまたチョコ餡だろうがうまい物はうまい。それでいいのだ。

石場兵曹はそんな騒ぎを嬉しそうに見つめーーーそしてちょっとだけ後ろを向いて、涙をこっそりぬぐったのだった。

 

さてその次の日。長妻兵曹が最上甲板を歩いていると、何やら大騒ぎが聞こえる。

なんだろう、と思って騒ぎの方を見れば一水が数名揉めている。

それを、小泉兵曹がなんとか鎮圧しようとしているのだが―――。「何の騒ぎだ!?」と、長妻兵曹は寄って行った。

小泉兵曹はちょっと<助かった>という顔で、「こいつら何を揉めてんだか言わんのです。でも大喧嘩なんですよ」と言った。長妻兵曹は、一水たちの間に割って入ると、「貴様ら、艦内で喧嘩はご法度と知っているだろう?・・・いったい何を揉めてる?原因を言わんかっ!」と、大喝した。

流石に驚く一水たち。見ればいろんな分隊の一水たち。その中には航海科の亀井一水もいた。

まず、亀井一水が口を開いた。

「あん、です」

「は!?なんだ?<あん>って?」と理解不能な長妻兵曹。小泉兵曹は「分かるように言え。<あん>じゃなんだかわからん」と言った。

すると今度は機銃の辻本一水が「饅頭とかに入っている<あんこ>の事であります。そのあんこの、粒餡のほうがうまいか、漉し餡の方がうまいかで話し合っていたらこうなったであります」と、長妻兵曹の方を向いて言った。

なんだって、、、<あんこ>の種類で喧嘩だと!―――長妻兵曹も、小泉兵曹も信じられないという顔をした。

「そんなもの、個人の好き嫌い、嗜好の問題じゃないか。議論にするほうがおかしいよ」小泉兵曹はあきれ顔だ。

「ではお聞きしますがお二人はどちらがお好きでありますか?」高角砲の一水が噛みつくように言って、ほかの一水たちもグイ、と身を乗り出した。

その時、二人の兵曹は顔を見合わせてニタッ、、と笑った。そして大きな声で言ったーーー

「チョコ餡だっ!」

ポカ――ン、とする一水たちをしり目に、声高に笑いつつさる二人の兵曹。これが年の功、というものだろうか??

ともかくなんとかその場をうまくまとめて、皆はそれぞれ散って行ったのだった。

小泉兵曹は「・・・全く。最近の若いもんの考えることはちっともわからん!」と年寄りじみたことをつぶやきながら艦橋に上がって行った。

 

その晩、その騒ぎの話を聞いた麻生分隊士は、自室で見張兵曹ともらったもみじまんじゅうでお茶を飲みながら、

「バッカみてえだな。そんなもん、どっちだって食えりゃあいいじゃねえの」と大笑いした。見張兵曹も笑いながら、「でも私はちょっとだけ気にしちゃうかな、、、」と言った。「分隊士はどちらがお好きなんです?」とちょっと興味があったので聞いてみた。

すると。

分隊士はやおら、湯呑をテーブルにトン、と置くなり兵曹を椅子から床に引き倒した。「なになさるんですぅ!」と床に腰を落として言う兵曹に、分隊士は「おれはねえ、、、やっぱ」と言って兵曹の服の前を思い切り開いた。裸の胸があらわになった。

そして、彼女の胸の先をつまむなり「やっぱ、<つぶ>アンだねッ!」と言ったのだった。

つままれながら、見張兵曹は(そう来たか、、、<つぶ>アンね、、、)とちょっとだけ情けない思いでいたのであった。

 

「女だらけの戦艦大和」、常夏の泊地に向けてひた走る――――

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「もみじまんじゅう」大好きです。しかし、「大和」がブイブイ言わしていた時代にはあったのかなあ???と思って調べたらなんと。

明治39年に発売になっているのですね。驚きだぜ!!

―――ってことはもしかしたら本当の「大和」乗組員が食べていてもなんの不思議もないわけですね。

おお、、、すばらしき「もみじまんじゅう」。


にほんブログ村 その他日記ブログ 妄想へ
にほんブログ村
関連記事

● COMMENT ●

matsuyama さんへ

こんばんは

そうでした、B&Bが「もみじまんじゅう!!」って叫んでいましたね。その頃ちょうど広島に旅行した人から頂いて、「これかあ~~」って感激しました思い出が。
私の母は、自分の故郷(というか自分の親の郷里)しか認めない人なので「うまくない!」と言っていましたね。
最近いろいろな会社が出すので、競争で随分味も良くなってきた気がします。

NoTitle

もんちっち、携帯ストラップ、キーホルダー、チョロキュー‥‥。まぁ、なんともみじ饅頭グッズの多いこと。漫才のB&Bがこれを売り物にして不動の地位にしただけあって、全国区になりましたよね。
初めて食べた時、これがかの有名なもみじ饅頭かと思いましたが、もみじの形をしてるだけで、他の饅頭と変わらないじゃないかと思ったこともありましたっけ。味は美味しかったように記憶してますよ。v

雪風さんへ

こんばんは

戦中世代はいろんなことをよく知っていて好きです。
私も小豆が大好き。
汁粉、ぜんざいの類ははずせねえ~~~!!

松ちゃんさんへ

こんばんは!

やはり『小豆』の餡に限りますか?
十勝の小豆って、最高級品ではないでしょうか!すげえ。
私は、隣のスーパーで「北海道産100%」と銘打たれたあんこを買ったら、翌日の新聞に実は産地偽装品、正体は中国産という記事を読んで大ショックでした(泣)。

もみじまんじゅう、「りんご」が入ってるのはうまかったですよ。

NoTitle

戦中世代と話す機会が増えました
小豆と砂糖は超貴重品とか
私はどちらでも大好きです

あの小豆の食感がなければ・・・

見はりんさん、こんばんは。 選ぶことが出来るならやはり小豆のアンがいいですねぇ~ ウチは今年はデパートの北海道物産展で十勝の小豆を選びました。 ぜんざいや餅の中はこれでなくては! 小豆の柔らかな食感が堪りません・・・ チョコやカスタードは邪道です!


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://haitiyoshi.blog73.fc2.com/tb.php/137-913e5ff5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「女だらけの戦艦大和」 ・ <肉食系女子>と<肉食女子> «  | BLOG TOP |  » 「女だらけの戦艦大和」 ・ ただれたペアの私たち??

プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

最新記事

最新コメント

フリーエリア

無料アクセス解析
無料アクセス解析
現在の閲覧者数:
Web小説 ブログランキングへ
小説家志望 ブログランキングへ ブログランキングならblogram
夢占い 夢ココロ占い (キーワードをスペース区切りで入力してください。)

カテゴリ

未分類 (21)
大和 (486)
武蔵 (66)
大和と武蔵 (41)
海軍航空隊 (28)
麻生分隊士 (3)
オトメチャン (39)
連合艦隊・帝国海軍 (155)
ふたり (69)
駆逐艦 (10)
ハワイ (8)
帝国陸海軍 (23)
私の日常 (112)
家族 (22)
潜水艦 (3)
海軍きゃんきゃん (24)
トメキチとマツコ (2)
ものがたり (8)
妄想 (5)
北辺艦隊 (1)
想い (14)
ショートストーリー (4)
アラカルト (0)
エトセトラ (5)
海軍工廠の人々 (5)
戦友 (10)

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2ブログランキング

FC2 Blog Ranking

FC2Blog Ranking

最新トラックバック

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード