「女だらけの戦艦大和」 ・ 生と死、復活の時。|女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

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「女だらけの戦艦大和」 ・ 生と死、復活の時。

2009.11.26(23:13) 128

「女だらけの戦艦大和」乗組員の見張兵曹は、この世でもないあの世でもない世界をさまよっている―――

 

「大和」は元の泊地に向かって、「駆逐艦 無花果」とともに航行している。航海科の麻生少尉は、見張兵曹を思ってそろそろ夕暮近い海を防空指揮所から眺めている。(オトメチャン、、、)見張兵曹の配置の双眼鏡に触れた。とたんに悲しみがどっと沸いてきて、麻生少尉は双眼鏡をなでながら泣いた。

それを小泉兵曹が見ていて、これも涙にくれていた。

 

さて、見張兵曹は<段暮>(ダンボ)の背に乗って空高く舞い上がっていた。「おお、、お前すごいな!!これはぜひわが帝国海軍航空隊にスカウトしたいよ!」兵曹はご機嫌で象に話しかけた。

「だろう!俺はすごいんだぞ。そんじょそこらの象とはわけが違うんだぞ」段暮は威張った。

「ところで松本、、、じゃなかった、段暮よ。貴様は<大和>知ってるのか」と兵曹は聞いた。すると段暮は、「しらいでか!あの、デカイ島だろう?海に浮かんでるやつ。ハリネズミみたいなの」と言った。兵曹は嬉しくなって「そうそう!!でっかい戦艦だよ。ヤッパリ帝国海軍、ここまで鳴り響いてるんだねえ!」とひとりで笑った。そして「じゃあ、そこまで行ってくれ。行ってくれたらリンゴをやるぞ!」と象をペタペタと叩いた。

急に勢いづいた見張兵曹は、「ちょっと歌わせてね」というと、子供のころ習った唱歌だの、流行歌だの軍歌だの、、、歌い始めた。やがて大海原が見えてきた。

「海の女の艦隊勤務、月月火水木金金!!」思い切り、象の背中をひっぱたいたとたん!

        ぶふぉ!!

と、段暮から変な声がした。「ん???どうした」と問いかける兵曹に段暮は「は、、、鼻に、、、石が、、詰まった、、、」と苦しそうにいい、なんと空中で悶絶し始めた。

急旋回する段暮、危ないったらない。「こら、しっかり飛べ、貴様。それでも空の王者か?おいっ!!」兵曹は象の頭をひっぱたいた。その時、象の鼻が仰角45度くらいに立ちあがった、と見る間に、その<砲身>から小石の弾丸を乱射し始めた。その上、くるくると回るのだからたまったものではない。石が当たるし、だんだん目が回ってきた。

「おい!!段暮いい加減にしろったら!どこかに不時着したらどうだ、、、俺、、もう、、」兵曹の声が、途切れた。

と。

「おええええ!!!」 ついにやった。見張兵曹は、戻した。いつか<天山>でやった情景が再現されたようなものだ。

小石を発射しつくした段暮が、その惨状に気がついた。「あああ!てめえ、人の背中で何しやがんだいっ!」

怒りだした。兵曹は、ハアハアと息をつきながら「だって、貴様が急に旋回なんかしやがるから、、いいからその辺の浜に降りろっての」と言いかけて、またーーー。

ついに段暮も怒り心頭。「降りたきゃ降りろ、この野郎」とまるで松本兵曹長そっくりの罵声を発すると、兵曹を振り落として去って行ってしまった。海の上空で、自分の<塗装>を見たのか、「なんだあこの色はあ~~~~」という叫びがしていたが、落とされて痛みに耐える兵曹には風の音くらいにしか聞こえない。

「痛い、、、」と兵曹は砂の上に起き上がった。段暮はもう遠くに去って、姿が見えない。「やれやれ」と思ってふと水平線を見やると、そこには「大和」は浮かんでいた。

見張兵曹は、大興奮して立ち上がるとでかい声で「おおーーーーーい、。麻生分隊士~~。小泉~~、艦長~~~。私ここでーーーす!」と叫び始めた。落ちていた小枝をひらって、手旗信号を送った。しかし、、、当然のように反応なし。

がっかりして砂浜に座り込む兵曹。「だめかあ、、しかも小舟一艘もなしと来てるしなあ」今の今まで担いでいた双眼鏡を砂に下ろした。

ぼんやりと、遠くの「大和」を眺める。「麻生分隊士、、、会いたい。トメキチ、、、会いたい」と終いには泣きだした。

こうなって見ると、あのしつこいくらいの麻生分隊士の愛撫も懐かしい。というより今の自分には必要じゃないかという気さえしてくる。そしてトメキチのつぶらな瞳と二本足で歩く愛らしい姿、まるで人の言葉が分かるかのような賢さがいとおしい。

「帰りたい」と兵曹は、声を上げて泣いてしまった。その兵曹に声をかける人がいた。

「もし、、そこの兵隊さん」

ふと兵曹が顔を上げて声の方を見ると、最初に穴に落ちた時見かけたウサギがいた。ウサギは兵曹を見つめて、「あなたはあの<大和>に帰りたいんですか」と聞いた。兵曹は涙をぬぐって「はい。帰りたいです。あれは私の家も同然ですから」と座りなおした。

ウサギはちょっと悲しそうな顔になると「あの<大和>はあなたの知っている<大和>ではありませんよ、実はすでに敵の手に落ちてしまっているのですよ」と、衝撃的なことを言った。

「まさか、そんなことがあるはずないっ!」見張兵曹は驚いて食ってかかった。

「本当です、あなたには<大和>の後ろにいる敵の大きな艦が見えませんか? でも、、一つだけ。助ける方法があります」ウサギは言った。兵曹は「なんでもするよ、だから教えて」とすがった。

ウサギは、まず一つの箱を出して「この箱には、敵のすべてーーつまり、目の前の敵そのひとだけでなく、敵の家族や隣人や、もしかしたら国そのものすら消す威力のあるものが入っています。これを使えば、あなたたちは守られます」と言って、さらにもう一つの箱を出した。

「そしてこの箱には、目の前にある敵だけを消せるものが入っています。ですが、この箱の中のものを使うと、あなたが消えてしまいます。でも、あなたが大事に思うものは、守られるでしょう」ウサギは、二つの箱を差し出した。

「どれを使おうとそれはあなたの自由意思です。さあ、、、どちらを使って<大和>をすくいますか?」ウサギは静かに言って、兵曹の目を見た。

見張兵曹は言った。

「二つ目の箱を――――」

二つ目の箱の中には、爆弾をぶら下げた飛行機が入っていた。ウサギは言った、「この爆弾は<はずせません>。と言えば賢明なあなたにはどう使ったらいいのか、もうお分かりですね?」

見張兵曹は微笑んで言った、「敵に突っ込みます。それしか皆を救う手はないんですから」。

ウサギは深くうなずいて、二つ目の箱をポン、、と空に放った。するとそれは、地に落ちる時中に入っていたのと同じ飛行機になって兵曹の前に現れた。違うのは、大きさだけ。

既にプロペラが回っている。兵曹は、乗り込んだ。ウサギは「いいんですね」と確認した。「あなたはもう戻れませんよ。つまり、、、」と言いかけて兵曹に「死んでしまう、ということですね。いいんですよ。みんなを助けるなら、、、私は」と遮られた。

見張兵曹はちょっとの間、考えていた。子供のころの故郷の思い出や、父親の思い出、海兵団に入ってからこっちの事など、走馬灯のように思い出が走り抜けた。

ふっと涙腺が緩みかけたが、それをたち切った。

「行きます」

兵曹は操縦など知らないはずなのに、操縦桿を操って<大和>の上に飛んだ。その先に、敵がいた。

「こいつが、、、」涙があふれた。麻生分隊士や、艦長、森上参謀長、小泉兵曹やトメキチたち仲間の顔が浮かんだ。みんなを死なせてはならない。そのために、、、私は。

兵曹の飛行機は、敵の艦めがけて急降下する。対空砲火が始まる。

「分隊士!!」叫んだ時、肩に鋭い痛みが走って―――――

 

 

麻生分隊士は、防空指揮所に森上参謀長と一緒にいた。トメキチが分隊士のそばに立っている。ようやく周りは暮色に包まれてきた。対潜警戒中の見張り員が時々、「異常ナシ!」という声が響く。

「なあ、、、分隊士。オトメチャンはどこに行っちゃったんだろうなあ」と森上参謀長がタバコをくわえたまんまで言った。麻生分隊士は「分かりません、、、でもきっと帰ってきますよ。あいつが私を置いてどこかに行ってしまうなんてありえません」

「しょってるなあ」と参謀長が笑った。トメキチが参謀長を見上げたその時。

二人の背後の壁のあたりが鈍く光った。トメキチが「キャン!」と叫ぶように吠えた。参謀長と分隊士が振り向くと、なんとそこには血にまみれた見張兵曹が横たわっていた。

「オトメチャン!!」二人は叫んで、駆け寄って参謀長が兵曹を抱き起した。見張り員たちが駆け寄ってきた。トメキチが見張兵曹の顔を舐めた。

見張り員たちが、「見張兵曹、見張兵曹だあ!!」と信じられないという声で叫んだ。参謀長が「艦長に連絡だ、それから軍医長を」と、そばにいた伝令に命じた。

「息はありますか?」という麻生分隊士に参謀長は「大丈夫だ、、、息はある。おいしっかりしろ、オトメチャン」と見張兵曹に声をかけた。麻生分隊士はたまらなくなって参謀長から兵曹を抱き取った。そして耳元で「オトメチャン、聞こえるか?おれだよ、麻生だよ、しっかりしろ」と囁いた。兵曹の肩から血が流れている。

ふっと兵曹は目を開けた。「おお、気がついたか!」分隊士は喜んで叫んだ。参謀長が覗き込む。やがて、艦長・副長が来て軍医長も応急手当の用具を持って飛んできた。

兵曹は大勢に囲まれながら「・・・みんな無事だったんですね。よかった、、。なんだか大きなお菓子の家やら、コブタの家やら、、、空飛ぶ象に乗って、、、そのあと敵の艦に体当たりして来たんですが、、、ここは冥土でありますか」と小さな声で言った。

麻生分隊士は「何言ってんだよ、この世の<大和>だよ。いったい今までどこに行ってたんだ、、心配したぜ」と笑った。兵曹は「この世、でありますか。みんな無事なんですね。よかった」と言ってほっとしたように眼を閉じた。トメキチが心配そうに分隊士を見上げた。

軍医長が「このまま下で手術だ。誰かこの子背負って降りられるか」と聞いた。参謀長が「麻生少尉、いけるな」と言い、麻生分隊士は「はい」と力強く言って、見張兵曹を背負った。

 

艦内は、見張兵曹の生還に沸いていた。

さっそく<通夜>の用意は撤去された。艦長・副長は「本当によかった。しかしオトメチャンの容体はどうなんだろう」と喜びつつも心配であった。

軍医長によれば、機銃弾が跳ねた後兵曹の肩をかすったようで、出血の割には傷は大きくはないとのことで皆ほっとした。でも今までの出血の量が多かったのでしばらくは静養となりそうだった。手術を終えた兵曹は、麻酔も解けて病室で麻生分隊士と会っていた。分隊士は「腹減ってないか?喉乾いてないか?」とこまごまと世話を焼いて兵曹を恐縮させた。見張兵曹は、あの時の体験を全て語った。分隊士は「そうかあ、ずいぶんおもしろい体験したな。しかし、あの松本兵曹長が象とはね、、、ダンボ、だって?」と言っておかしそうに笑った。兵曹もちょっと笑った。そこへ件の松本兵曹長がやってきた。今度は殊勝な顔つきである、それが「見張兵曹、、大丈夫か?おれ、、、貴様が死んだと勝手に思って<通夜>をしようって、、、済まない」と言って頭を下げた。麻生分隊士はちょっと厳しい表情で、「ここに来てちゃんと謝れ」と言った。

松本兵曹長はおとなしくしたがって、「許してはくれないか?」と言った。見張兵曹はまだ青い顔色で「許します。誰だって、死んだと思うでしょうから」と言った。

「ありがとう」と、兵曹長はまた深々と頭を下げると、麻生少尉にも敬礼してそこを出た。

分隊士はその後ろ姿を見送りながら「――-ダンボ松本、だな」と言った。

二人はこっそり笑いあったのだった。

 

こうして無事?見張兵曹は<大和>に戻ってきた。肩の傷は、それほど大ごとにならずに済んだようで勤務にも支障なし。出血のための貧血のせいで、復帰はちょっと遅れているがその間、みんながカバーしてくれている。皆に感謝の見張兵曹である。

この後<大和>は外地から、久しぶりの「呉」に戻ることとなった――――

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

見張兵曹の復活の時、でありました。

しかし、段暮のだらしねえったらないですね。弾丸詰まりを起こしちゃどうしようもありません。とても「零戦」と同列になんか、語れませんね。はい。

でもあの時、ウサギに示された最初の箱の中身はなんだったか。賢明な皆さんには、お分かりですね。

選択しなくてよかったです。

次回のお話でお会いしましょう。(次回は28日更新予定です)


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コメント
こんばんは!!

本当はそうしたかったのです。いつかきっと憎き鬼畜米英を粉砕させます。その時はオトメチャン一番乗り、です。

オトメチャンは軽くナルシストなので、この選択になりました。いいのか悪いのか、、、、ねえ??
【2009/11/27 21:22】 | 見張員 #- | [edit]
普通やはり最初の箱でしょうね。私も選ばせたかったのですが、今後の展開上、今回はこのようになりました。

参謀長は女の中の女、男以上にかっこいいです!
【2009/11/27 21:20】 | 見張員 #- | [edit]
見はりんさん、こんにちは。 迷わず1番の箱を選ばなければなりませんぞ~鬼畜米英を根こそぎ駆逐するのです。 アメリカ大陸がが我が国の領土になればホワイトハウスの星条旗が日条旗にかわり一つの旗に50+1もの小さな日の丸が描かれることでしょう・・・考えただけでも愉快であります。
【2009/11/27 11:19】 | 陸戦隊 #- | [edit]
バートリ伯爵夫人の名を進呈されている私は
当然1個目の箱を選びそうです
2個目とか言ったら似非平和主義とか罵倒されます・・・
さて・・・ふふ
参謀長かっこいい、銜えたばこの参謀長萌え
【2009/11/27 09:43】 | チハタン #- | [edit]
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