番外編・横須賀ぶらり行軍 1

麻生分隊士はある朝言った、「今日は暇じゃけえみんなして横須賀に遊びに行こうや」と。

そんなわけで麻生分隊士以下航海科の面々とその他の暇人もとい有志が集まって横須賀へと出発したのだった――

 

と言っても横須賀とか関東の地理に疎い連中であるからナビゲーターになんと「蒼龍」艦長・柳本柳子大佐をお迎えしての横須賀ぶらり旅である。柳本艦長は「まあいいからみんなそんな緊張しないでよ、きょうは無礼講で行こう。いやあ私も海軍期待の弩級艦『大和』の優秀な皆さんとご一緒できてうれしいわ、さあ行きましょう。それはそうとこれは保健行軍と言うことでいいのかしらね」と大喜びである。

「単に遊びに行くんじゃないんか」と麻生中尉…。

 

品川駅

「さあみんな!ここで省線から京浜急行に乗り換えるぞ…って何だいつの間に省線が省線でなくなっているのだ?JRとは何者だあ?」

となぜか怒りをむき出しにする柳本艦長を松岡中尉がラケットを振って「大佐、熱くなって居られて大変結構です。が省線はある時から国鉄に、そしてまたある時からJRという名称に変わったのだそうです」と教えてやって柳本艦長は「ふーん。なんだか知らないが横文字を使うなんてアメちゃんのまねか?――ハッ、まさか日本はアメリカに…!」

と言いかけたところで麻生中尉や桜本兵曹、石川兵曹や機銃の長妻兵曹たちに「柳本艦長、早うせんと汽車が出てしまいます」と背中を押され京浜急行電鉄の改札を通り…

麻生中尉ホームに出たはいいが「どの汽車に乗ったらええんかうちにはようわからんわい…」と途方に暮れてしまった。ほかの連中もわからないのでぼーっとしてしまうがそこは柳本艦長、胸を張って

「これだ、〈三崎口〉行の快速に乗るんだよ。そして金沢八景で鈍行に乗り換え、今回はまず<汐入>駅で下車して行軍だよ」

といい皆は「ああ、詳しい人がおってえかったねえ。ほっとしたわい」と胸をなでおろす。亀井上水が「あの〈浦賀行き〉いう鈍行で行ってもええんじゃないですか?」と言ったのへ柳本艦長は笑いながら

「それでも当然いけるが途方もない時間がかかるよ、それでいいなら君は一人で来るか?」

と言われ慌てて「いいえ!快速とやらで参ります!」と言って一同大笑い。

 

さあ京急に乗った一同は「すごい、すごいでこの汽車。早いねえ」とか「あの駅の名前面白いねえ」などと大喜びである。〈青物横丁〉〈六郷土手〉など、風情を感じる駅名が多い。

多摩川を越せばそこは神奈川県。横浜の大都会に腰を抜かし、だんだんと汽車(電車ですね)は横須賀に近づく。麻生中尉はオトメチャンに「なんかドキドキせんか?初めての場所に行くんは楽しいのう」と話しかけ、オトメチャンも「はい、うちは関東は初めてですけえもうドキドキです」と言えばそこここの座席から賛同の声が上がる。

松岡中尉はラケットを振り回し

「あなたたたたち少し静かにしなさい、恥ずかしいじゃないですか。もっと堂々としていなさい、特年兵君そんなきょろきょろしない!亀井さんあなたキーキーうるさいですよ、公共の場では静かになさい!」

といさめるが麻生中尉に

「お言葉ですが松岡分隊長、分隊長のラケットあぶのうていけんです。どうか仕舞うてつかあさい」

と言われバツ悪げにラケットをケースに収納…。それを見てうれしそうに笑う柳本艦長である。

 

やがて汽車(電車だ!)を乗り換えた一行の汽車は逸見駅に。この周囲は丘陵地帯で海が迫っている。なかなか素敵な土地である。そこで柳本艦長は

「『女だらけの戦艦大和』豆知識の一つだが、横須賀海軍病院の外科次長で辺見次長という方がいらっしゃろう?奥様は元零戦の搭乗員の。あの方の名前はここ<逸見駅>から取ったものだそうだ」

と知識を披露。一同感心。逸見駅(画像はWIKIより拝借しました)
逸見駅

汐入>到着。

松岡中尉はラケットをカバーから出して肩に担ぎ、柳本大佐に

「で、これからどこに行くのですか?」

と尋ねた。大佐は「ヴェルニー公園だ、横須賀の観光名所の一つでね」というと皆を促して歩き出した。途中幹線道路の交通量の多さに驚きながら。

「海のにおいがする!」とオトメチャンはつぶやいた、長妻兵曹も「ほうじゃな、もう海がそこなんと違うか?」と言って空を見て「見い、トンビがおってじゃ」と指さした先には大きなトンビが一羽、悠然と大きな弧を描いて風に乗っている。

 

〈ヴェルニー公園〉

ここは横須賀製鉄所の建設に貢献したフランス人技師・ヴェルニーを祈念してつくられた公園でフランス式庭園も美しい公園です。園内にはヴェルニーと、幕末の幕臣で横須賀製鉄所の建設を推進した、小栗上野介忠順の胸像があります。ベルニ― 小栗上野
ここは昔海軍横須賀軍港逸見門があり、その衛兵詰所が残っています。ほかに、たくさんの碑があります。順にご紹介しますが、…

「さてこれはなんだ!」

という柳本大佐の声に皆が見たものはーー

戦艦陸奥の主砲です。
ベルニ―公園入口1 陸奥主砲1 陸奥主砲2 陸奥主砲3

陸奥は横須賀が故郷…広島県柱島沖で謎の爆沈を遂げた陸奥の主砲の一つがここ横須賀のちに安置され、この後きちんと周辺を整備されてお披露目となるそうです。(こちらもご参照くださいスカレーブログ

見つめる一同<謎の爆沈>という言葉は聞かなかったことにして。

気を取り直して海に向かう一同、「ああ、やっぱし海はええねえ」という長妻兵曹にオトメチャンがうなずく。その左側には海上自衛隊横須賀総監部の建物、そして護衛艦。正面を見れば潜水艦が!
海上自衛隊横須賀総監部 潜水艦 潜水艦2 潜水艦3

「見てみい、戦艦じゃ」という亀井上水に酒井水兵長が「いや、ちいと違うで。どれが主砲なんだか、ほいで副砲はどれね?機銃群もないで?それに『大和』よりなんやちいそう思えるが」と首をかしげる。
自衛艦1 自衛艦2 自衛艦3 自衛艦4
この辺の事情はこれを読んでくださる皆さんのほうが詳しいですねw。

目の前の海上を、遊覧船が走ってゆきましたーー
横須賀周遊

 

細長い格好の公園を歩きますと、まあなんと美しいフランス式庭園が!ベルニ―公園噴水 ベルニ―公園バラ

「ここはバラが咲くときれいだそうだよ。これから秋バラの季節だからそのころ来るといいかもしれないね」

柳本艦長はそう言い、麻生中尉が「ほいでもあれ!ちいと咲いとりますね。これがたくさん咲いたらほりゃあ綺麗でしょうねえ!まるで」と言ったところへ間髪入れず松岡中尉が横から

「オトメチャンみとうに、でしょう麻生さん―。私はあなたの思うことすべてわかっちゃうんですよねえ~。熱くなってっていいぞ、うん!」

と茶茶をいれ、大笑いの皆。

「海軍の碑」海軍碑

「軍艦山城の碑」山城の碑

「国威顕彰の碑」国威顕彰2

「軍艦長門の碑」軍艦長門の碑

「軍艦沖島の碑」軍艦沖島

に敬礼した一同。正岡子規の文学碑を見て「うーん、うちらももうちいと文学的素養を養いたいもんじゃの」とうなるのであった。

子規碑

そして「さあ次はもう少し歩いて〈三笠公園〉へ行くぞ。そのあと食事だ」と柳本大佐がいい、一同の士気はさらに上がるのであったーー

  (次回に続きます)

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨日娘と横須賀へ行ってきました!普通に書いたのではあまりに普通なので『女だらけの海軍』さんたちに出演してもらいました。いかがでしょうか?

天気は曇りでしたが雨にも会わず良い一日でした。京浜急行線の中でこれを思いついていました。本当は京急に乗る際いきなり鈍行に乗ってしまい、後で慌てて快速に乗りなおしたのですw。えらい時間がかかるところでした(-_-;)。しかし空の大きさ、海の爽快さを胸いっぱいに吸ってきました。普段見ている空がいかに小さく切り取られている不自然なものかを感じもしました。外に出る、ということの大事さを痛感した一日でもあります。

そして停泊していた自衛艦を見て「乗せてくれんかなあ~」と独り言ちていましたw。

次回は記念館三笠をご紹介です。
文中の国威顕彰の碑についての詳細はこちらを→ヴェルニー公園国威顕彰の碑

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森須もりんさんへ

森須もりんさんこんばんは
横須賀、ぜひ行っていただきたいです。ベルニ―公園があまりに素敵なので大好きになりました。ここはJR横須賀駅からなら目の前。私は京急押し?だったので汐入で居りましたがこの駅もなかなかいい感じでしたよ!

「国鉄」。
懐かしい響きですよね。国鉄がJRになるときは何か悲しかったです。
若い人に「国鉄」と言っても「?」という顔をされたことがありますのできっと死語だと思います(-_-;)…ガーン。

No title

なかなか訪ねる機会がありませんが
ゆっくりと見て回りたいです。

その時の参考にしたいです。

国鉄という言葉をブログで見て、懐かしいなあと思いました。
というか、もうすでに死語なのでしょうか。

いなばさんへ

いなばさんこんにちは
えっ…ブラ田森で!それは知らなかったです、ああ知ってたら見たのにぃ~~~~(;´Д`)。
横須賀、もう一度いや、何度でも行ってみたくなりました!!

オスカーさんへ

オスカーさんこんにちは
電車一本でいけるというのはうらやましいですね^^、ぜひいらしてみてください。素敵なところです。海の好きな人そうでない人、誰もが心に残る場所だと思います。「横須賀ストーリー」というお菓子がありましたよw。

今回初の試みです。遠足の気分で皆を歩かせてみました。

突然涼しくなってこれまた体調が崩れる故ですね(◎_◎;)。オスカーさんもどうぞお大事になさってくださいませね。

NHKの人気番組「ブラタモリ」を以前見ていたら偶然、横須賀編をやっていました。もちろん、見張り員さんの撮った画像の中にも、それらしき同じ所と思われる場所も。もしかして、見てました?。

No title

こんばんは。私の利用している路線でも一本で行ける場所なのですが、まだ出掛けたことがありません。港の風景、絵になりますね~! 横須賀ストーリーとか歌いたくなります(笑) みんなで社会科見学というか遠足みたいで読んでいて楽しいです♪ 急に涼しくなりましたね。お身体に気をつけて下さいませ。

河内山宗俊さんへ

河内山宗俊さんおはようございます
陸奥、そうだ原子力船陸奥ってありましたね。放射能漏れがどうのと言われてましたっけ。私が高校の時の修学旅行で佐世保港のそばを通ったとき係留されていました。

陸奥の姉妹艦「長門」は健在であったがためにビキニの核実験に使われてしまいましたが誰も見ていないうちに沈んでいったらしいですね。その辺がいかにも日本的な最後で泣かせます。

陸奥の謎…これから明かされる時が来るでしょうか、期待したいです。

No title

陸奥 悲運の長門型2番艦ですな。
どうもこの艦名には悲運がつきまとうようで、
原子力船「むつ」も年中放射能もれ事故をしていたような気がします。
おいらが小学生の頃は最低年に1度はそんな報道が。

陸奥の残骸は、世界各国が核実験をはじめる前に海底に沈んだために、放射能をあまり受けておらずある筋では「陸奥鉄」といわれとても貴重品なのだそうですが、本当かどうかは定かではありませんw

陸奥の謎を解くことが出来たら、世界中がひっくり返る?
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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