ニャマトよどこに 3 〈撃沈〉解決編

桜本兵曹が〈それ〉に手をかけようとしたその時――

 

ものすごい勢いで敷布がぶわっと、まるで吹き上がるがごとく舞い上がり桜本兵曹にかぶさった。が桜本兵曹はそれをすぐに取った。そして

「あああっ!」

とオトメチャンらしからぬ大声を上げて指さした先には…以前から『女だけの帝国海軍』の艦艇やら航空隊やらに忍び込んでは迷惑をかけているあの男、<エガチャン>がいやらしい、そして不敵な笑いを浮かべて桜本兵曹を見つめていた。

さらに、<エガチャン>の下半身はいつもの黒いぴったりとした股引ではなく、

「か、艦長の下帯じゃ!」

桜本兵曹は仰天してまた叫んだ。そう、彼のはだかの下半身には梨賀艦長の下帯が締められていた。しかもその下帯のあのあたりは妙に膨らんでいる。桜本兵曹は恥ずかしかったがその部分を凝視した。

<エガチャン>はその部分を突き出すようにして桜本兵曹に見せつけた後彼女を指さすと

「いいか。これはお前のような子供が見ても面白くないものだ、これはいいか、大人の女が見るものだ。ここにネコを入れるともぞもぞ動いて気持ちがいい、アハア~ン。それに女の褌、もっといい気持、ウフ~ん。女の使った敷布をかぶればもう最高の気分。これは貴様ら女にはわかるまい」

と威張った口調で言った。お前のような子供、と言われて桜本兵曹の顔に怒りの朱が注がれる。梨賀艦長が絶望的な表情で声もなく彼を見上げている。

佐藤副長が砲塔の下で、背丈の高い機関科の兵曹の方につかまってつま先立ちでピョンピョン飛び跳ねて

「あいつ、あのやろう!いつだったか私を侮辱したあの男だな!くそッたれ、ここで逢ったが百年目だ。いいかオトメチャン、あいつをコテンパンにして懲らしめてしまえ。私が許す!」

と怒鳴った。

佐藤副長は前に、森上参謀長にふんどし一つで艦内旅行をさせられそうになって逃げだしたとき、艦に忍び込んだ〈エガチャン〉にその裸を見られた。見られるだけならまだしもあの時やつは言ったのだ、「今度来た女の体には色気も何もない、そそられない」と。

以来佐藤副長は<エガチャン>を目の敵としていた、そして「今度会ったなら絶対許さん!わが軍刀の錆にしてくれるわ」と息巻いているのだった。

佐藤副長はすぐにでも砲塔の上に駆け上がって<エガチャン>なる無礼でスケベで許せん男の首級を挙げたかったが、いかんせん周囲に大勢すぎるほど大勢の将兵嬢がひしめいていて行けないので

「桜本兵曹、私の敵を取ってくれ、頼む!」

と手を振って叫ぶ。

その佐藤副長に桜本兵曹はうなずいた。それを見た<エガチャン>はさらにいやらしい笑いをして

「貴様みたいなやつに俺は倒せない。反対に俺が貴様を倒してやる」

と言い放つ。桜本兵曹はそんなことには反応せず、

「ああそうね。そがいなことよりニャマトじゃ、早う出さんかい」

と怒鳴った。普段のオトメチャンからは想像できない雄々しさである。なんだか普段より一回り大きく見えるような気さえしてくる。

皆は固唾をのんでこの光景を見守っている。

と、<エガチャン>の膨らんだ下帯の中から「ギャ、ギャ、ギャマド!」と苦しげな声が聞こえ、膨らんだ下帯が激しく動いた。

見守っていた将兵嬢たちが一斉に「ギャーッ」と叫び声をあげた。長妻兵曹が、隣にいた増添兵曹の肩をひっぱたいて

「見い、あれ!ニャマトはあいつの股の間に挟まっとる。早う助けてやらんとニャマトが腐ってしまうで」

と悲鳴を上げる。普通の状態なら大笑いしたくなる言葉だが今誰も笑うものはない。ばかりか皆、長妻兵曹の言葉に同調し

「ほうじゃ、早うせんとニャマトが腐ってしまう」

とか、

「ニャマトにあいつのおかしな癖が移ってしもうたら大ごとなわ」

と騒ぐ。岩井中尉など「ひええ!うちそがいなんいやじゃわ、早う、早うニャマトを助けてやってつかあさい、桜本兵曹―」と卒倒せんばかり。その中尉をしっかり抱えた機関科の松本少尉も

「オトメチャン、何とかできんか?頼むけえニャマトを助けてくれんか」

と叫ぶ。

艦上は大騒ぎになった。

 

桜本兵曹は、目を閉じた。

(こういう時は無心にならんといけん。心静かにせんと、相手に付け込まれる)

そう思って目を閉じ、全身から殺気を抜いた。

どのくらい時間がたったのか、あるいはまだ経っていないのか。もう誰も時間の経過さえ分からなくなってきたその時。

桜本兵曹はまるで風のように素早く、床に手を置くと体を投げ出しその足で<エガチャン>の足をすくった。もんどりうってあおむけに倒れる<エガチャン>。

兵曹は素早く彼の下帯の中からニャマトを救い出そうとしたが瞬間<エガチャン>のほうが早く立ち直り兵曹は胸を思い切り押されて床に倒され組み敷かれた。

オトメチャン!と皆が叫んだ。数名が砲塔の上に駆け上がろうとしたが<エガチャン>の

「来るな、来たらこいつを素っ裸にしてやる」

との声に動きをとめ悔しげに彼をにらんだ。

<エガチャン>は兵曹をいやらしい目つきで眺めまわした後、その防暑服を破った。襦袢も破かれてオトメチャンの白い肌がちらと見えた。キャーオトメチャン!と皆が絶叫した次の瞬間だった。

「うぎゃあああ!!!」

と絶叫がトレーラーの空気を引き裂いた。何かと思えば、オトメチャンが<エガチャン>のあの部分を思いっきり膝蹴りしたのだ。ニャマトはその少し前にオトメチャンがやつに組み敷かれたとき目にもとまらぬ素早さで下帯の中から引き抜いていたのだった。

ウググ~と痛みにもだえる<エガチャン>、桜本兵曹は起き上がると服の前を掻き合わせニャマトを抱き上げた。

そして佐藤副長を見てうなずくと

「ニャマト、今じゃ。佐藤副長の敵を討ちんさい。ほいでニャマト、あんたを誘拐したその敵はうちが討ってやるけえな」

というと、ひっくり返ったままの<エガチャン>の上にニャマトを置いた。ニャマトは今までにないくらいの大きな声で

「ギャマド―-!」

と鳴くと、彼の大事な部分に下帯の上から思い切り噛みついたのだ。さらに断末魔の声を上げる<エガチャン>にさらにオトメチャンはーー

 

「うちからはこれをお見舞いしてやるけえ、ありがたく思え!ほいでもう二度とここに来るな、ええなあ!これはニャマトを怖がらせたバツじゃ、しっかり受けえやワレ!」

 

そういうとオトメチャンは<エガチャン>の両足をもって大きく開くとその真ん中に片足をグイッと当てると強烈な秘儀・電気あんまをかましたのだった。

<エガチャン>撃チン。総員唖然。

 

「ま、まさかあのオトメチャンがあがいなことを…」

「いったいどこであがいなん覚えたんじゃろう。まさか例の許嫁いう人とあがいなプレーを?」

「いや。オトメチャンに限ってそんとなことはない!あれは本能じゃな、さすがオトメチャンじゃ。とっさの時の対処法を心得とってじゃわ」

などなど、艦内の総員の間で「電気あんま」の光景は衝撃となって広がって行ったのである。

 

件のオトメチャンは「はあ…うちは夢中で居ったけえよう覚えとらんです。電気あんま言うてどんとなものかうちゃようわからんのですが?まあでもニャマトが無事でえかったですね」とほほ笑んでいる。

そして艦長の敷布と下帯だが、敷布はきれいに洗濯しアイロンをかけて

「消毒もしておきましたから大丈夫です」

となったが下帯はどう考えても気持ち悪いし、ニャマトにかまれて肝心部分がずたずたになってしまったので泣く泣く廃棄したのだった。

 

<エガチャン>はその日のうちにトレーラー海軍警備隊に身柄を引き渡されたがその際の取り調べで、「あの艦に猫がいるのを知って一度ふんどしの中に入れてみたかったんだ。なのにまた邪魔しやがって、がっぺむかつく!」と怒っていたとか。

 

佐藤副長は、敵を討ってくれた桜本兵曹とニャマト、そしてマツコとトメキチを私室に招待して感謝を表した。紅茶と菓子で四人をもてなした佐藤副長は

「ああいい気味、せいせいしたわ。しかしニャマト、あなたちゃんとうがいしましたか?」

と言ってニャマトを気遣った。ニャマトは元気よく「ニャマート!」と鳴いて答えたのだった――

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・

やっぱしあの男だったぜい!

またもや艦内に忍び込んだあの男性のおかげで大ごとになりましたが今回オトメチャン立派でしたね。しかし、どこで彼女電気あんまなる秘儀を覚えたのでしょう??まあ詮索はすまいw。

それにしても噛みつかれ電気あんまをかけられた彼のあの部分は大丈夫なのでしょうか?やや、心配ですね。

 

電気あんまの図(wikiより拝借いたしました)

電気あんま
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Secre

マナサビィさんへ

マナサビィさんこんにちは
そうそう!!昔よく家族でふざけてやりましたよね!!すみません今大笑いしながら書いていますwww.

〉電気ヤンマ
なんかすごい強そうな感じですね。キングオブトンボ、みたいな感じで。でも実はこうなのよ~~って言ったら笑えますね。しかし素晴らしいネーミングですよね電気あんま。電気ですからね、損女装子らのものと一線を画してますからねw。ああもう、可笑しくてお腹が痛い~~~~wwww!

マナサビィさんは岡山のご出身でしたね、広島のお隣さん^^。私は正直広島弁をよくわからないのでいつもはらはらしつつ書いております(;'∀')。

いなばさんへ

いなばさんこんにちは

本当にとんだ闖入者、否、珍入者でした。
こんなのが艦内をうろうろしていたらと思うと枕を高くして寝られませんねw。

ponchさんへ

ponchさんこんにちは
どうもこの物語はシリアスな展開が苦手のようでいつもなにかてとエガチャンが出てしまいます(-_-;)。

ネコの猛烈な噛みつき、オトメチャンの問答無用の膝蹴り&電気あんまでチン入者も文字通り撃チンでしたw。いつも結構痛い目とか合ってるのに懲りないエガチャン…次はどんな手で来るやら(◎_◎;)。

おっちゃんさんへ

おっちゃんさんこんにちは
そう、この物語において強烈かつ超下品なキャラクターの彼をお見知りおきくださいませw。
袋叩きよりある意味怖いニャマトの局部噛みに乙女の容赦なき電気あんま。恐怖がこの物語を支配しました…ぞぞぞ~~!

電気あんまが癖に…十分あり得ますね。彼のことですから。痛みが快感になるということ、彼なら…!!!

森須もりんさんへ

森須もりんさんこんにちは
出ました~という感じでまたまた登場。困ったエガチャンです。
ニャマトは本当に災難でしたがエガチャンもどえらく痛い目に遭いましたw。これで懲りてくれるといいのですが(;´Д`)。

ニャマト、お風呂に入ってきれいになりましたのでご心配なくb^^d

懐かしい言葉

こんにちは。
「電気あんま」(笑)
子供の頃、よく家族に遊びでかけられてました(笑)
でも、実を言いますと、私、今の今まで「電気ヤンマ」だと思ってました(爆) とんぼみたいなヘンな名前、でもそんなことをギモンに思う事もなく、ずっと聞き間違えたまま覚えてたようです^^;
長年の勘違いをただせて良かったです。
そうか〜、電気あんま、確かにぐりぐりさせますもんねえ。。。(納得)

岡山県出身の私としては、使われている方言の感じが懐かしく、親近感をいつも感じます^^

とんだ‥珍入者でした。(笑)

No title

ニャマトの失踪でミステリアスな展開になるかと思いきや、
とんだ闖入者がいましたかー。
エガチャン、ニャマトに男の急所を咬まれた上に、膝蹴り、
電気あんまですかー。
まさに踏んだり蹴ったりですが、これだけ痛い目に遭っても
懲りないエガチャンある意味強者ですねー(^。^;)


こんにちは

エガチャン、なかなか強烈なキャラクターですね。私は気に入ってしまいました。
てっきり、砲塔から落ちたエガチャンが将兵たちから袋叩きにあうのかなとか思いましたが、ニャマトにあそこを噛まれた挙句に止めは電気あんまですか?おそろしい結末ですね・・・。
ただ、エガチャンが、電気あんまがクセになってなければいいですが・・・。あんなキャラクターなので心配になってしまいました。

No title

うーむ、予想外の展開。

なかなかの、ひねりある結末。

災難でした。

そうですかニャマトはお風呂で清められましたか。よかったですね。

エガチャン、またの登場をお待ちしています。

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは
ご期待に応えましてw、エガチャン腐心人物としてまたまた登場でございます^^。もうこういう状況下において彼以外だれも考えられないという貴重な人材でもあります!
>憤怒し
素晴らしいですねこの変換!オトメチャンの心境そのものです。不動明王様も恐れるほどの怒りのオトメチャン、うん、怖いぞw。

ニャマトはあの後、「御風呂は嫌だニャー」と泣きさけびながらもお風呂に入れられたそうですw。入っていた場所が場所ですものね(;´Д`)。グエ。

河内山宗俊さんへ

河内山宗俊さんこんばんは
あれだけの秘儀を繰り出されそれでも生きてるエガチャンはある意味超人かもしれませんね(-_-;)…ちょっと怖いかもw。

オトメチャンがこれだけ怒りをあらわにするのは、きっとこれが最初で最後かもしれません。愛しいものを救うために我を忘れちゃったのでしょう。しかしそれでも電気あんまを仕掛ける彼女は意外に大物かも。ただこれを大事な人にやらないようにしてほしいものです。

艦長は本当に気の毒でした(;´Д`)…

こんにちは。
腐心人物(笑)はエガちゃんでしたか! ピッタリの人選ですね~相変わらずひどいことやってますね~“ふんどし”と打ったら“憤怒し”に変換されましたが、オトメちゃんはまさにこの心境だったでしょう。不動明王さまがうしろにいらっしゃる構図がうかんできました。ニャマトが皮膚病で苦しまないか気になりますが、見張り員さまらしい、楽しいお話をありがとうございました!

No title

ひざ蹴りだけでも十分ショック死もんですが、電気あんまとかみつきですから、並みのものならまず生きてはいまい。それでも死なないエガチャン。彼を倒すには水爆ぐらいしかなさそうでw
怒りで記憶が飛ぶぐらいにもかかわらず、しかも電気あんまを繰り出す。普段のオトメちゃんからは想像がつきませぬ。

艦長、お気の毒でしたね。
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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