夫婦凱旋 3

「次ちゃん」と新矢は小さく叫ぶと妻へとーー

 

新矢はベッドの上の妻の隣に座るとその体を抱きしめ、むさぼるような接吻をした。長い長い間の不在の隙間を埋めるような激しい接吻をし、新矢は次子の存在を確かめた。

やがて新矢は唇をそっと離し、次子を見つめた。彼女も潤んだ瞳で新矢を見つめ、彼はもうたまらなくなった。かすかに上ずった声で

「次ちゃん、その…見せてくれますか」

といい、彼女の答えを聞かないうちに寝間着のひもを解き始めた。次子は「恥ずかしい…」と軽く身もだえしたが新矢は「恥ずかしくなんかないです。きれいなあなたの体が見たい」といい寝間着を脱がせてしまった。

部屋の明かりの中、次子の裸体が美しい。双子を孕んだ腹部がいとおしく、彼はその部分をやさしくなでた。乳房も、以前よりその大きさを増してき始めているようだ。彼は次子をベッドにそっとあおむけに寝かせると乳房を掌で包み込んだ。

「綺麗だ…」

とつぶやいた後、彼はその先を口に含んだ。舌の先でその部分を軽くつつくと次子が「ああ」と声を漏らした。新矢は口をそこから離すと妻の両足をそっと持って開いた。次子は恥ずかしさに横を向いたままである、その彼女に「いいかな…?気分が悪くなったらすぐにやめますから、言ってくださいね」というと彼は次子の中にそっと、わが砲身をねじ込んだ。

新矢は久しぶりすぎるこの感覚におぼれた。根元まで入ると、矢も楯もたまらなくなり走り出した。膨らんだ腹に自分の重みをかけないように気を付けてはいるが、もう止まらない。ハアハアと息も荒く次子を攻め立てた。

「次ちゃん、次ちゃん…大好きだ!やっと一緒に暮らせますね…私はうれしい」

そう話しかける深夜に次子も夢中で「はい。私もうれしいです…待っていましたわ、この時を」と答える。それを聞いた新矢は体中に喜びと愛しさが電撃のように走り抜けるのを感じた。

次子を攻めながらその乳房をつかんでその先をもみつぶした。ああ、いやあ!と次子が悲鳴に似た声を上げ、新矢はその瞬間わが砲身を締め付けられ…果てた。

 

次子の隣に横たわって新矢は

「次ちゃん、いきなりごめんね…。お腹、大丈夫だろうか」

と心配そうに尋ねた。次子は裸の腹部を撫でてから「お腹は平気ですよ。ちょっと張りが来ただけです、ここが刺激されると張るんだと聞きました。でも収まりましたから平気」と言って乳房の先を示した。新矢は

「お腹が張る…赤ちゃんたちはどうもなかっただろうか…あんなことをしてしまって。心配だ」

と言ったが次子は微笑みながら「あなたと私の赤ちゃんたちですもの、平気ですよ。私たちが仲良くしているのをきっと感じてくれていますよ」といい、新矢は

「そうか、そうだねきっと」

というと裸のままの次子を抱きしめた。寒くない?と尋ねて毛布にくるんでやった。次子は嬉しそうにほほ笑みながら新矢に抱かれている。そして「あなた。今まであった出来事をお互いに話しましょうよ、どんなことでもいい、話しましょう」と提案した。新矢も「そうだね、お互い何があったのか知っておくのも悪くないね」というと「では私から」と話し出した。

次ちゃんを送り出してからの寂しい独り寝のこと、繁木少佐と初めて行ったリンガ泊地。空母瑞鶴と翔鶴の話。例の「松岡式防御装置」を施す際の空母の乗員たちとの話し合い。高橋美代子中佐のとんでもない思い違い。そして

「瑞鶴の貝塚艦長が従兵を一人つけてくれたんです。その人が何か、次ちゃんを想わせるような人で」

と語った。風邪をひいて高熱を出し、妙な夢を見たその詳細まで話した。

次子はそれを聞いて新矢の胸の中でくすくす笑った。そして彼をやさしくにらむと

「まああなたがよその女の人にそんな気持ちを持つなんて、私が近くにいたらそれこそ陸戦装備で斬りこみに行ったかもですよ」

と笑った。新矢は次子にこの話をすべきかどうか迷っていたが(隠していていいものではない)と告白することに決めた。もしかしたら次子は怒るかもしれない、背中を向けて二度とこちらを向いてはくれないかもしれないが、隠すのは嫌だった。

その新矢の思いを知ってか、次子は

「なんて冗談です。私、あなたがその人の中に〈私〉を見出してくれたのがうれしい…。私、あなたと出会えてそしてこうして一緒になれたことがとてもうれしい。その上こんどは二人の子供まで授かることになって、本当に私は幸せです」

と言って新矢の瞳をまっすぐに見つめた。新矢も次子の瞳を見つめ返し

「幼いあの時から私は次ちゃんが大好きでした。まだ本当に小さかった次ちゃんをだっこさせてもらったりおんぶするのが私の喜びでした」

と言った。

思い返すと遠い記憶の中では二人はいつも一緒だった。新矢がお菓子を持っていればそれを必ず彼は二つに分けて次子にくれた。次子が熱を出して臥せっているときは枕元で見守りながら静かに本を読んでいた新矢。二人花を摘みに出かけ雨に降りこめられ泣き出す次子を抱きしめて農家の牛小屋の軒下で雨宿りしたあの日。

懐かしいあの日が次々に二人の脳裏によみがえる。

新矢が引っ越してしまったあとの空虚の胸の内、そして風の便りに新矢が海軍の技術者になったと聞いて自分も海軍に入ると決意したあの時。次子が忘れられなく、ほかの女性が目に入らず同僚たちから「あいつはどうもおかしい、男色家ではないか」といやな噂を立てられ、それでも次子への思いを絶たなかったこと。

そして、やっと互いを見つけることができた松岡中尉をめぐる事件。そして二人を決定的に結び付けた次子の迷惑な見合い話。

「でもそのおかげでこうして一緒になれました、けがの功名とでもいうものでしょうか」

二人は微笑んだ。

祝言の日の互いの美しい姿、皆から祝福されたあの日、次子が見た瀬戸内の美しい春の海と海兵同期が送ってくれた祝福の発光信号。楽しかった宴、兄夫婦と次子の両親のほっとしたような笑顔。初めての夜、初めて交わした愛…。

次子は新矢の胸に額をそっと当てて思い出に浸っているようだったが顔を上げると「では今度は私のお話し」と新矢と別れてからこちらを話し出した。

新矢の面影を求めて夜更けに一人露天甲板で泣いたこと、最後の休暇から悪くなった体調を押しての軍務、そして発覚した妊娠。つらかった悪阻。

「でももうあの悪阻も思い出。笑ってお話しできます」

そう次子はいい、新矢はさらにいとおしさが募り次子を抱きしめた。

「次ちゃん…、これからは決して無理をしないで出産に備えようね。あなたは今まで十分帝国と海軍のために働いてきましたからね、今度は自分とそして、私のために…」

新矢はそういうと次子をくるんだ毛布をそっと取り、その頬を撫でた。新矢の熱い両手は次子の肩を滑り、乳房を何度かこねるように揉み、そして膨らんだ腹部をやさしくなでた。

そしてそこに唇を押し当てるとしばらく彼はそのままでいた。次子もじっとして彼のなすがままに任せる。

新矢はやがて唇を話すと

「次ちゃん。これから大変かもしれないけど一緒に頑張ろう」

というと。

再び次子のからだを開かせ、その中へと入っていったのだった――

  (次回に続きます)

 

                ・・・・・・・・・・・・・・・

山中大佐、やはり抑えきれませんでしたね。でも、次ちゃんに無理がかからなければいいのかな。そして二人の間には語り切れない思い出の数々。そうした思い出を胸にこの先も二人は仲良く過ごすのでしょうね。

次回をお楽しみに。

 

この歌が大好き。軽くモチーフとして使用した小比類巻かほるさん「TONIGHT」。


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Comments 10

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見張り員  
森須もりんさんへ

森須もりんさんこんばんは
続けてのコメントをありがとうございます!

美しく描けているというお言葉をうれしく思います、なんだかこういうシーンは汚かったり単にいやらしいのは嫌いなので書くときにずいぶん推敲します。甲斐がありました!

新矢は優しい男の人です。独身が長かったせいもありますが子供のころから思い続けてきた次ちゃんへのあふれる愛情があります。こんな人が居たらいいなあ、と私は思いますw。

きっとこの二人、ずっと仲良く暮らしますよ!

2016/07/10 (Sun) 22:55 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
森須もりん  

見張り員さん、美しく描いていますね。

新矢さんの優しさがいいなあ。
この二人が仲良く暮らせることを祈りたい。

2016/07/10 (Sun) 15:29 | EDIT | REPLY |   
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見張り員  
まろゆーろさんへ

まろゆーろさんこんばんは
書く前に考えるんですよ…どんなふうにしようかと。あまりいやらしさばかりが前面に来てもいやだし、暴力的なものもいやだし…と。特にこの二人は私にとっても大事なキャラクターなので丁寧に扱いたくって^^。
新矢さん、たまらなかったのですw。長い間離れていましたからたとえお腹に子供がいても!でしたねw。

私が聞いたのは「妊娠中にするとあざのある子が生まれる」でした、真っ白なかさぶたもあざもなんだか考えると妙にリアルですねw。

2016/06/29 (Wed) 21:08 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
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見張り員  
ponch さんへ

ponchさんこんばんは
お返事遅くなってごめんなさい!

>生々しさを感じるけどそれでいてどことなくユーモラスな感じのする、春画のような濡れ場が好きです。
うれしいですね^^!変にいやらしくなったり暴力的にならないように心がけています。
長いものってやはり男性を意識させますね、夢診断とかなんかでもそうらしいですよ。
鎌とカマw。やっぱし男は槍とか砲身ですね!…では女性は???

コッヒー、いつ聞いてもいいですよね~。この歌は本当に私の青春の思い出の歌です。結構彼女の歌ってTV番組の主題歌だったりして聞いてるものですよね^^。

2016/06/29 (Wed) 21:03 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
まろゆーろ  

おお‼️ なんだかこちらまで果てた思いです(笑) いやはや見張り員さんの描写の上手さには、文字通りお手上げです。
「妊娠中にエッチをしたら頭に真っ白なかさぶたが残ったままの子どもが生まれるんですよ〜」と、昔、若いお母さんが真顔で言っていたことを思い出しました。

新さん。たまらなかったのですね。こんな素敵なふたり、ずっと一緒に暮らせるように祈っています。

2016/06/28 (Tue) 15:26 | EDIT | REPLY |   
ponch  

待ってました。という感じでしょうか。
見張り員さんの、生々しさを感じるけどそれでいてどことなくユーモラスな感じのする、春画のような濡れ場が好きです。

砲身とか銃身とか槍ってやっぱり男性的ですよね。
逆に鎌は響きがカマっぽく感じます。

小比類巻かほる懐かしいですねー(^o^)
彼女の歌が入った、あぶ刑事とワイルド7のサントラCD今でも持ってるし、時々聴いてます。

2016/06/27 (Mon) 23:20 | EDIT | REPLY |   
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見張り員  
オスカーさんへ

こんばんは
「あれまあ、寝られんかっただけ?」
と甲州弁では言うところでしょうかw。

想像しちゃうとこれ、キリが無くなりますね。どんどんオリジナルが出てきちゃってw。今夜はよく眠れますように!
この二人ほど結ばれる定めの二人もいない、というシチュエーションにしたかったのです。
妊娠中って感情的にもすぐ泣きたくなったりしてなんか変ですよね、しかし男性にはなかなか分かってはもらえない歯がゆさがあったりして。

「コウノトリ」に倣い、山中夫妻にも元気な赤ちゃんが生まれるその日が来ます!楽しみに待っていてくださいませ♡

2016/06/27 (Mon) 22:20 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
見張り員">
見張り員  
河内山宗俊さんへ

河内山宗俊さんこんばんは
口に出すようなものではありませんが…ありますよねw、〈その〉経験w。しかし新矢さん、ちょっと性急すぎやせんかと。
マツタケが…w。
高級品ですからね、大事にせんとねw。

2016/06/27 (Mon) 22:12 | EDIT | 見張り員さん">REPLY |   
オスカー  

こんにちは。
昨夜はモンモンしてなかなか眠れませんでしたよ←おやぢの想像力でなんか違う方向にいった可能性アリ(笑)
出逢うべくして出逢い、結ばれるべくして結ばれたふたりという感じですね。『ベルばら』のオスカル様とアンドレ氏を思い出しました。さすが見張り員さまの描写です~殿方も妊娠中の女心をよくわかって下さったことでしょう(笑)
マンガ『コウノドリ』で赤ちゃんは無事に生まれました。新しい命の誕生、その日が待ち遠しいです~!

2016/06/27 (Mon) 09:07 | EDIT | REPLY |   
河内山宗俊  

おいらもそんな経験ありますけど、もう新さんたら。妊娠発覚時にそれをにおわす発言しとったので、想定の範囲内だったけどな。

小話の「老子」のようなオチがつくかもしれませんな、マツタケが生えてくるって。
お後がよろしいようで。

2016/06/27 (Mon) 04:40 | EDIT | REPLY |   

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女だらけの「帝国海軍」、大和や武蔵、飛龍や赤城そのほかの艦艇や飛行隊・潜水艦で生きる女の子たちの日常生活を描いています。どんな毎日があるのか、ちょっと覗いてみませんか?
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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
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(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)