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「女だらけの戦艦大和」 ・ てんぷら狂想曲<1>

「女だらけの戦艦大和」艦内には、今日も烹炊所からのいい香りが漂っている―――

 

「今日の昼飯はなんだろう、、この匂いは」

「カレーじゃね?なんかそんな感じだよ」

「たまにはてんぷらも食べたいよね~」

兵員たちのさえずりがあちこちで聞かれる昼食時である。「大和」「武蔵」の食事は、<豪華>だと他艦からのもっぱらの評判である。

艤装当時から『大和』に乗ってる一部の乗り組み員はそうはあんまり思わないだろうが、他艦から移ってきたほとんどの乗組員は、当初(すげえ!!こんなすごいご飯、食ったことないし!!)と、内心驚嘆したものだ。

そしてその驚嘆は続いている。

いや、、ほかの艦の名誉のためにも言っておくが、決してほかの艦の食事が悪いとかまずいとかいうのではない。

「帝国海軍」の飯は、うまい!!―――というのはもう常識であるのだが、それにまして「大和」「武蔵」はうまいのである。

で。

今日のご飯はやっぱり「カレーライス」だった。狂喜乱舞するみんな。やはりカレーはご飯業界の永遠のアイドルである。不滅のヒーローみたいなものである。

食事が始まって、それぞれの分隊の班ごとに食卓について頂く。航海科の見張兵曹の班では、トメキチにカレーはダメなので、兵曹がご飯の上にふりかけを掛けてトメキチに食わせている。「トメキチもカレー食べられたらいいのにねえ~」とかいいながら、間違ったふりして、右となりの亀井一水のカレーのさらに、自分の匙を突っ込んで何食わぬ顔で食っている。

「あ、、、っ!!」と思わず声を上げる亀井一水を見張兵曹は一瞥しただけで何も言わない。そのあと、左隣の酒井上水の皿にもおんなじことをしている。

通りかかってそれを見た伝令の石場兵曹は「なんであんな美人がああもイヤシイかねえ?麻生分隊士もあんなのを嫁にしたなんて、どうかしてるよ」とひとりごちたが、その麻生分隊士も、実は下士官時代今の見張兵曹とおんなじことをしていたと知ったら、、、彼女らはどんな顔をするだろうか?

ともあれ、ご飯の時間は兵員にとっては訓練に次いで、、いや、、、ある意味訓練より大事な時間であるらしいことは確か、である。

 

しかし、食うほうはいいが作るほうは大変なのである。

特に今日という日は夕食に<てんぷら>を出すことが決まっている。こういう日は、昼飯を作り終えたらすぐに、夕食の準備にかかるのだ。

烹炊所はてんやわんやの大騒ぎになる。

なんせ、、いいですか、2500人からのてんぷらですよ。たくさんの烹炊員が走り回って作るのだ、この時はまさに<戦争状態>。

さて、、、若き烹炊員の時田一水と、西一水がかぼちゃを切り始めた。が、ちょっと足りないような気がしてきた。

「班長、かぼちゃが人数分に足りないようでありますが?」と、時田一水が班長の森野兵曹に言った。森野兵曹は「え、、!?足りない?そんなまさか」と、時田一水とともに倉庫に行ったが、ない。

「これは、、、誤算だったか!」と今度は冷蔵庫を見た。―――すると、冷蔵庫の隅っこにでっかいオレンジ色のかぼちゃが一個、あった。森野兵曹は「これでいいや、でかくってもしかしたらうらなりかも知んないけど、、、揚げちゃえばわかんねえよ」と言って、時田一水と一緒に抱えて烹炊所に戻った。

そのでかいカボチャを見て、西一水が「こんなでかい物を、切れるんでありますか?」と心配そうに言う。森野兵曹は、ちょっとそのかぼちゃを見ていたが「う~~ン、、、確かに普通の包丁じゃあ無理っぽいな、、、ちょっと待ってろ!」と言うなりどこかに消えた。やがて戻ってきた班長は、げんのうのようなものを持ってきた。

「工作科から借りてきた。―――おい、西。お前これをたたき割れ」とげんのうを手渡した。西一水は喜んで、「はいっ!!」と言って、床の新聞紙を広げた上に置かれたカボチャに向かって、力いっぱいげんのうを振りおろした。

「グエッ!!」

と、変な音がした。森野兵曹・時田一水・西一水が思わず顔を見合す。そしてかぼちゃを見ると、ひびは入ってるものの、まだ割れるとこには至っていない。「今度は時田一水がやれ!」と森野兵曹は言い、今度は時田一水がげんのうを。

ボコッ!!

と音がして、今度は見事にわれたオレンジ色のかぼちゃ。やはり、中身はあんまりない。でも、まあ何とか食うくらいはできるだろう、そう判断した森野兵曹は「これを適当な大きさに切っとけ」と命じて自分はほかの班員を監督しに行った。

時田一水と西一水はそれらをさっとかき集め、揚げやすい大きさに切り始めた。でかいかぼちゃだけあって、相当な数になりそうだ。

(これで不足分は補える)と時田一水はほっとした。でないと、みんな担当の時田一水と西のせいにされ、あとでバッター制裁を食らうのは目に見えてる。その痛い制裁を免れることができるだけでも御の字、というものだ。

二人は、かぼちゃをサクサク切ってゆくーーー。

 

昼飯の済んだ航海科の連中はそれぞれの配置に戻って「今夜はなんだろうなあ?--今夜はカレーがいいな」とか「すき焼きもそろそろ食いたいです」とか「いや!話に聞いたビーフシチューとかいうのが食いたい!!」などと勝手なことを言っている。

烹炊員の苦労など考えたことはないんだろうか、こいつら。

そういう今も、夕飯作りの作業は烹炊所で進んでいるのだが。

この日のてんぷらがおおごとの元凶になるとはだれが想像しえたであろうかーーーー!!

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次回に続きます。

 

ご飯ネタ、であります。

豪華、と言われた「大和」「武蔵」の食卓をぜひのぞいてみたかったです。「大和」での兵員人気献立ベスト3は、てんぷら・カレー・すき焼きだったとか。

私もこの3つは大好きです。「大和」に乗ってもその点では苦労しないで済みます。―――たぶん。



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Secre

森須もりんさんへ

森須もりんさんこんばんは
大和ではこの三つが三大人気献立だったそうですよ!あの当時の内地の市民の食事から見れば大変豪華でぜいたくなものだったことでしょうね。
でも食事は人を動かす原動力。あまり粗末でも…ねw。

叶うならぜひ本物の『大和』『武蔵』に乗りたいですよね~。私も『大和ミュージアム』、そして呉の街に行きたいです。とてもいい街ですもん。

そうですか、てんぷら、カレー、すきやきが人気だったのですか。
豪華版ですね。
大和の食事は豪華だと本で読んだことがあります。
温存された船の中で、隊員たちは食事がなにより大切だったことでしょう。

私も、本物の大和が見たい。
呉ミュージアムにもう一度行ってみたいな。

チハタンさんへ

こんばんは
続きは意外と詰まんない仕上がりになっちゃいました(泣)、ここんとこなんか寝不足でーーーっていいわけすんな、ですね。

まあ、オトメチャンがこのところいろんな意味で<激務>だったのでちょっとゆっくりさせてやろうかと。
またまたオトメチャンは一息入れる間もなく、<激務>にさらされます(汗)。

ジスさんへ

こんばんは

そうです、、、ド派手なこわ~いカボチャですよ(笑)。

しかしホント、2500人分って見当つきません。よくそんなたくさん作っていたもんだといまさらながら感心いたします。私なんてたった5人分でも大変大変、、って言ってるのですから(恥)。

NoTitle

ラブコメかホラーかサスペンスかと一晩続きを考えました
オトメチャンが幸せ感じるお話もいいですね
最近波乱万丈だったから

NoTitle

やっぱりソレは西洋風のハロウィンに出てきそうな派手なヤツですよね。それにしても2500人分って・・・もうちょっとした地方自治体ですな。ビックリです。

matsuyama さんへ

こんばんは

本当に2500人分の食材をどう割り振っていたのか?知りたいのですが、こういうことの資料はなかなか見つかりません(泣)、しかし、「大和」の冷凍・冷蔵庫の大きさはおよそ、容積にして223・4㎥。畳50~60畳ほどの広さだったそうです。
また、この冷凍冷蔵庫は<野菜庫(冷凍野菜庫、生野菜庫各2室)>、<獣肉庫(冷凍獣肉庫、冷凍魚庫各2室)>に分かれていて、それぞれ畳6~8畳ほどの広さ。
庫内温度は生野菜庫のみ0~5度で他はすべてマイナス10度に保たれていたそうですよ。
ーーーといわれても、、、簡単には想像付きませんよね。
ああ~~、本物の「大和」が見たいです~~~!!!

松ちゃんさんへ

こんばんは!!

まさかりカボチャ、、ですか!!名前のごとく堅そうですね、、、それは見たことも聞いたこともないです、いやあ~、一度本物にお目にかかりたいものです!!
どんな味なんでしょう、、、興味津津。

NoTitle

2500人分の食事を用意するとなると、容易に事ではできませんね。
1つの素材から何人分取れるのか、それだけの食材を確保する倉庫はどんな大きさなのか見当がつきません。
これを1日3食毎日続けるとなると、気が遠くなりそうです。
その食材から何かまた急展開があったのでしょうか。

カボチャの味・・・

見はりんさん、おはようございます。 私もカボチャのこと調べていたら皮が凄く硬いマサカリカボチャのこと知りました・・・たいがいのカボチャはいただいて食しましたが、このカボチャは食べたことありません、どんなお味か先が楽しみであります・・・
プロフィール

見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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