2017-10

最大戦速! - 2016.03.05 Sat

トレーラー水島では今日も女海軍嬢たちが街を闊歩しているーー

 

衛兵所を敬礼で通り過ぎ、多くの艦の将兵嬢たちは三々五々、思い思いの場所へと歩き出す。その中の何人かーいや、何十人かがやけに足早に歩きそしていつしか駆け出して行く。

「なんじゃ貴様、邪魔するんか!?」

「そっちこそ私の行き先をふさぐんじゃねえ!」

「イテッ、足を踏むなよ~」

などなどもみ合うようにして急いでいる。

その中に『大和』小泉兵曹もいて他分隊・他艦の将兵嬢と先を争うようにして駆け足でゆく。

その小泉兵曹に、追いついてきた『大和』機関科の兵曹が

「なあ小泉兵曹、長妻兵曹はどうしたんじゃ?さっき一緒のランチに乗っとったはずじゃが、姿がみえんのう」

と尋ねた。小泉兵曹はまっすぐ前を見つめたままの駆け足で

「知らんかったんか。長妻はなあ、もう男遊びはせんのじゃそうな」

と言った。機関科の兵曹・堀内は

「ほう、なんでじゃね?何か痛いめぇにでも会うたんじゃろか?」

というと小泉兵曹は堀内兵曹を見て

「そがいなんと違うで。長妻兵曹は男遊びをやめたんじゃと。ほいであいつ、こないだ内地で婚約したんじゃ。じゃけえ男遊びはもう終いなんじゃ」

と言ってやった。すると堀内兵曹の顔が歓喜に輝いて

「そうね!ほりゃあえかった、競争相手が一人減って、順番も一人分待たされんで済むけえの」

と言ったが、数俊足を止めた後先を行く小泉に追いつくと

「ちいと待てや!長妻兵曹、婚約した言うたな!」

とかみつくように言った。小泉兵曹はうるさそうに堀内兵曹を見返って

「じゃけえ言うとるじゃろうが!長妻は、義理のにいさんの紹介であった人と結婚するんじゃと」

というと

「走るで。なんだかえらい混んでるような気ぃがしてならんけえ」

いうなりさらに加速して走り出した。周囲の将兵嬢たちもつられて加速しだし、おお、待ってくれえと慌てる堀内兵曹をしり目に小泉兵曹は、走る走る…。

 

小泉兵曹たちが目指したのは海軍指定の慰安所。しかしもうすでに多くの将兵嬢たちが長い列を作って待っている。

小泉兵曹たちはその最後尾に並ぶと「えらい並んどってなねえ…これじゃ時間に間に合わんで?」とぶつぶつ文句を垂れた。桜本兵曹が聞いたらきっと頬を染めながら「ほんなら昼間っからそがいなところに行かんでもええのに」と言いそうである。

しかし、もうたまりにたまった情欲を吐き出したくてたまらない小泉兵曹たち〈経験者〉には昼間も夜もないのである。

「それにしても」

と堀内兵曹がつぶやく、「なんね、ちいとも列が動かんじゃないね」。

すると小泉兵曹の前に並んでいた他艦の下士官嬢が振り返って

「なんでも昨日、オーストラリア周辺に長期展開していてやっと帰ってきた艦があって、その乗組員たちが大挙して押しかけてきたんだそうな。だからこの有様…。まあでも久しぶりなんだから仕方がないね」

と教えてくれた。堀内兵曹は「ああそうでしたか。ほんなら小泉兵曹、きょうはあきらめてほかに行かんか?」と言ったが小泉兵曹は首を横に激しく振って

「いやじゃわ、うちだって待ちに待ったんじゃけえ譲れん。人間譲れる時とそうでない時があるわい」

と言って列の先をにらんだ。

堀内兵曹はそれから五分ほど所在なさげに立っていたが突然

「小泉兵曹。うちは時間がもったいないけえ他へ行くけえね。腹が減ったけえ飯を食いに行ってくるわ、ほんならまたな」

と言って列を離れた。その後ろの下士官嬢が前に詰めながら「やった、ラッキー」と小声で言うのが聞こえた。

小泉兵曹は堀内兵曹が去ってゆく後姿を一瞥した後「フン、辛抱の足らんやつ」とつぶやいて列の先を見つめた。その時、列が動き始めた…

 

それから三十分もたったころ、小泉兵曹はだいぶ列の前に来ていた。あと少し、あと少しじゃと心の中で浮きしながら至福の時を待つ。

慰安所の入り口で、案内の爺さんが「はいお次の兵隊さん、中の椅子で待っててくださいな」と言って二人ほど中に入る。

(あと少し、あと少しじゃ)

心逸る小泉兵曹。だが、ここからなかなか進まなくなってきた。どうしたんじゃいったい?と思っていると同じ思いでいる彼女の後方の列から怒号が響いてきた。

「なにしとってか!はようせんか!時間がないわい」

「前戯なんかしなくていいからさっさと済ませろ、後がつかえてる」

「ここの男は遅漏か?それとも兵隊が離さんのか。いい加減にしろ」

どうやら小泉兵曹より階級の上の上等兵曹とか兵曹長クラスらしい、イラついた様子が伝わってきて小泉兵曹は

(こりゃあえらい連中が後ろに来てしもうた。これじゃあただでさえゆっくりできんのに尚更ゆっくりできん…ああ、いやじゃなあ)

と苦り切った表情になった。

やっと一人が中の待合室に入り一足だけ列が進んだ。

そのあとまた、停滞。

先ほど怒鳴っていた上等兵曹嬢がついに業を煮やしたか、慰安所の奥へ向かって

「ええ加減にせえや!貴様一人の男と違うで!最大戦速、最大戦速じゃ!」

と怒鳴りつける。

すると小泉兵曹やそのほか多くの待ちくたびれた将兵嬢たちが一斉に「最大戦速、最大戦速!急げ」とわめきだしたのだった…。

 

小泉兵曹はそれから十分ののちやっと中に入ることができた。やや古い建物の中は小さな部屋が八つほどあり薄い壁の向こうからは左右の様子が手に取るようにわかる。

がそんなことを気にしているひまなど、ない。

小泉兵曹は二種軍装を素早く脱いで下帯一枚になった。男性は兵曹を薄い敷物の上にそっと倒すと彼女の下帯を解き、ゆっくり兵曹の中へと入ってきた。

「ああ…」

男性がうめき声をあげる、そして兵曹も男性の背中に手を回し事が始まったーーと!

「最大戦速!急げ――!」

というものすごい大声が外から響いてきた。びくりとして男性も小泉兵曹も一瞬動きを止めた。と、男性が小泉兵曹の瞳を見つめ「いいですか?」というとしっかり兵曹を抱きしめた、はいと兵曹が返事をするなり。

男性、最大戦速で動き始めたのだった。

小泉兵曹はそのすごさに「ひやあ~、いけーん!いけんわあ、うちそがいにされたらもう…」と叫んだ。そしてそれから間もなく二人は果てた。

事が済んで、男性は手早く小泉兵曹に後始末を施し兵曹はさっと軍装を身に着けると「ありがとう、おおきに。えかったわあ」と言って部屋を出た。

兵装の部屋の左右からも、次々に兵隊嬢たちがさっぱりした顔で出てきた。皆、最大戦速で突っ走ってきたのだった。口々に

「いやあ、えかったわあ」

「さすが最大戦速。息をもつかせぬ激しさだったな」

「はあ、も一度あの勢いでしたいものだ」

と言って満足そうに帰ってゆく。

 

以来。

ここの慰安所では〈最大戦速〉プレーが流行したことは言うまでもない――

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・

またこんな話を書いております。

実際、慰安所に並ぶ列が長すぎ時間がないと焦る兵隊さん方が「急げ、最大戦速―!」と怒鳴っていたという話を読んだことがありましたので使わせてもらいました。

しかし、〈将兵嬢〉がそれを叫ぶとは…ちょっと変な光景ですね。

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● COMMENT ●

オスカーさんへ

オスカーさんこんばんは
ウフフ…これはもう18禁で御座いますね――♡。多感な中学生くらいのころちょっとした言葉にも悶々としていたことがーーありました!正直に言いますw。

それにしても最大戦速プレーを何度も要求されたら男性の体は持たないでしょうね(-_-;)。いったい個々の慰安所男性何人いるのかな、心配ですね(;´Д`)。

ponch さんへ

ponchさんこんばんは
そう、この世界では男女逆転現象がしばしば起きますw、慰安所もその一つです。
どっちかというと男性のほうが女性にへつらう、ではないですがご機嫌をとる世界かもしれませんね。

あの時代の話、結構探すと面白い話がたくさんありますよ^^。今後も探してご紹介しますね!

おはようございます~! 朝から…(///∇///) 私が中学生だったら1日モンモンとして過ごしたかもしれませんが、今は平気……観音ミュージアムを官買~ュージアムと見間違えるようなおやぢですが(笑) お仕えする(?)殿方の体力(回復力?)もさすが!!だと思いましたが、乙女たちがあまりオッサン化しないことを祈ります~!!

女だらけの世界では女が男を買うんですね。
女が自由でいい世界ですよね。
何だかこの世界では、男の方が貞節を強いられてそうな感じですね。

自分はこーゆー裏話は大好きですよ。
戦闘の息抜きにこーゆー裏話があってもいいんじゃないかと思います。

森須もりんさんへ

森須もりんさんこんばんは
まったく品のないお話で申し訳ない…(-_-;)…

おお、これ男女が逆だったらと思うとなんかすっごいことになりそうですね!オオ~~~~・・・・!
途切れない行列になることでしょうw。

河内山宗俊さんへ

河内山宗俊さんこんばんは
まさに『大和突撃隊長』そのものです小泉兵曹。そして河内山さんは「島風」ですか…w。

しかし最大戦速プレーって、男性の体にはどのくらいの負担がかかるのでしょうね??と言って…再現なんぞできませんし(-_-;)。

こんにちは

私は、これを、男性と女性を逆に考えてみました 笑

大変な賑わいだったことでしょうね。

さすがは

大和突撃隊隊長といったところですな。おいらは最大戦速以前に速きこと島風のごとしですので、こういう心配はないwのですが。

その後最大戦速プレイが流行るとは、慰安所の男性諸君の体力やいかにw


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ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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