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「女だらけの戦艦大和」・友よこの手を握ってくれ1

――遠い昔にも思えるけどそんな昔でもないあのころ。みんなで息せき切って走った陸戦訓練。靖国神社までの駆け足往復行軍。あの皆の笑顔。今もよみがえる――

 

須川主計中尉は、主計科の部屋で書きかけの帳簿から顔をあげた。そして両目を手でそっとこするとふうっと小さく欠伸をした。そして傍らで主計兵曹がそろばんをはじいているのを見てから、そっと防暑服のポケットに手を入れると手帳を引き出した。そこには須川中尉の海軍経理学校時代の写真が挟まっている。卒業直前の須川中尉と、同期の江古田、豊島、大泉が並んで笑っている。

(皆それぞれの場所でガンバってるんだろうな。ああ、一度同期(コレス)会でもしたいものだなあ)

須川中尉はそんなことを思ってふっと笑った。傍らにいて事務を執る大山主計上等兵曹が「須川中尉、何を笑うておられるんで?」と尋ねて来たので写真を見せて、

「経理学校時代の友人だよ。これが江古田さと。こっちが豊島サキ。私の横が大泉洋子。みんなどうしてるかなあと急に思ってね」

と言って笑った。大山上等兵曹は事務を執る手を休め、写真を手にとって見入る。そして「ほう~。須川中尉もみなさんも、さすがに頭のええ顔をしとられますなあ」と感心した。須川中尉はそんなそんなと謙遜しつつもまんざらではなさそうだ。

江古田さと・・・豪快な女でいつもちょっとのことでは動じない。ガハハと笑い飛ばすサッパリした気質の女。

大泉洋子・・・北海道出身のシャイな女、と思ったらこれが結構突撃精神の旺盛の女。走ることに掛けては経理学校一だったかもしれない。「経理学校のヒグマ」と呼ばれたがっていたなあ。

豊島サキ・・・いつも春風のように微笑んでいる女。頭がよいので一目置かれている。そういえば昨年結婚したはず。ノロケを聞きたいものだ。

須川中尉はそんなことを思いつつ「大山兵曹、それが出来たら掌主計長のところへ持って行ってね」と言ってふたたび書きかけの書類に目を落とした。

 

それから数日後、須川中尉はトレーラー在泊艦艇の主計科の会議に出席するため『大和』からトレーラー軍需部に出張した。会議の出張のと言っても結局は各艦艇主計科の宴会のようなものである。こういう集まりには必ずと言っていいほど同期(コレス)が一人はいるからそれに会う楽しみもある。須川中尉は浮き浮きしながら――しかしそれを他の乗組員に気取られぬよう――生真面目な顔つきでランチに乗り込んだ。ランチは波を蹴立てて海上を走る。

 

上陸場から徒歩で五分の位置に海軍トレーラー軍需部がある。普段はここに軍需品の受け取りで来るが今日は別件。何か新しい気分になる。

会議室に入ればもうほとんどの主計科士官が集まっている。須川中尉は「遅くなりまして申し訳ございません、『大和』の須川中尉であります」と言って空いた席に着く。その隣の士官が「平気ですよ、まだ時間には随分あります。みんな同期や知り合いに会えるのではないかと思って早く来てるんですよ」と言って笑った。ああ、それなら良かったと言った須川中尉。その中尉に

「おお、須川中尉。久しぶりだなあー!」

と大声が投げつけられた。びっくりしてそちらを見ると、江古田さと中尉がこちらを見て手を振りながらガハハと笑っている。須川中尉も手を振りながら「おお!久しぶり・・・あとでな」と言って席にきちんと着いた。

そのあと、数名の主計士官が来ていよいよ「会議」が始まる。しかし会議は名ばかり、軍需部部長のあいさつの後あっという間にテーブルの向きは変えられて宴会仕様になる。軍需部付の水兵たちが次々に料理を運んで来ては各自の前に並べる。昼ではあるが冷えたビールが出され、給仕役の水兵たちがそれぞれのグラスにビールを注いで回った。

皆のグラスにビールが満たされ、それを確認した軍需部長が乾杯を発声。皆が一斉にグラスをあげ、そして一気に飲み干しそのあと拍手が起きた。軍需部長の林田大佐はにこやかに、

「今日はようこそ!時間いっぱいまで楽しんで行って下さい」

と短くあいさつし、宴会は始った。久しぶりの同期との再会や、他艦の主計士官との情報交換をして皆楽しく過ごし、のど自慢や隠し芸も出て和やかなひと時を過ごしたのであった。

その宴会も終わり夕暮れ迫る中、皆思い思いの方向へ三々五々散ってゆく。須川中尉はやっと、同期の江古田さと中尉とゆっくり話を出来る時間を持つことができた。

江古田さと中尉は「貴様は今日は?このまま泊れるのか?」と聞いた。須川中尉はうなずいて「ああ。主計長に許可をいただいてきた。貴様もか?」というと江古田中尉は嬉しげにうなずいた。

二人は連れ立って、トレーラー水島の繁華街に歩きだした。

 

「腹ごしらえしない?いくらなんでも腹減ったよ。貴様はどう?」

江古田中尉はそう言って一軒の宿に入る。ここは主計科御用達の宿で多くの主計科士官が使うところで宿の女将は士官の顔をしっかり覚えていてくれて、二人が案内を乞うとすぐ「今日はお泊りですね、では」と静かな二階の一室をあてがってくれる。

「やれやれ」と江古田中尉は軍帽を取って壁のフックに掛けた。二種軍装の上着を脱いで、畳に胡坐をかいた。「貴様も座れ、疲れたろ」というと靴下も脱いだ。

須川中尉も軍帽をフックに掛け上着を脱いだ。そして海に面した側の窓を開けた。夜の帳の降りはじめたトレーラー水島。外では水兵たちの楽しげな声と、現地の商人の売り声がにぎやかに響いて来る。

やがて女将が来てまずは茶を出してくれた。江古田中尉は女将に、

「適当に願います、酒は・・どうする?俺は今日は飲まないが」

と言って須川中尉を見た。須川中尉も昼間飲んだビールでいっぱいだったので「俺もいらんよ酒は。その代わり刺身のいいのがあったら願いたいです、あ、それから酒の代わりにトロピカルジュースを」というと女将は微笑んで、

「ではそのようにいたします」

といい一礼するとふすまを締めて行った。さて、と須川中尉が茶を一口飲んでから言い

「大泉や豊島はどうしてる?貴様豊島とは一緒の艦じゃなかったか」

と聞いた。江古田中尉はうん、と口の中で返事をしてから

「大泉はな、今シンガポールに居て今は陸上勤務だ。あいつ、暑いところはいやだいやだとさんざ駄々こねて行ったが結局今じゃ『ここが一番、俺は寒いのは嫌いだ』とかぬかしてるよ。『経理学校のヒグマ』は返上だな。せいぜいマレー熊がいいところじゃないか」

と笑った。須川中尉はふーんといって笑った。寒い方が性に合ってる、だって私は道産子だもんと言っていた大泉が今では南方にすっかり染まっているというのが何か可笑しかった。そして、

「あれほど防暑服の似合わない女もいないな。なんて言ったら叱られるかな」

というとまた笑った。そこに仲居がトロピカルジュースを二つ、運んできた。仲居は現地の女の子。入ったばかりなのか慣れない手つきが危なっかしいがそこが微笑ましい。

「ショウコウさん、どうぞ」

とジュースを置いてくれた。江古田中尉は置き終えたその手をそっと取った。女の子は緊張の面持ちで江古田中尉を見つめる。すると江古田中尉は満面の笑みで、

「新顔だね。よろしくな」

というとその手にチップを握らせた。手の中を見た女の子はそれこそはちきれそうな笑顔になると

「ショウコウサン、ありがとゴザイマス」

というと丁寧に頭を下げてそしてそっとふすまを締めて行った。廊下を跳ねるように歩いて行く音がして二人は思わずほほが緩んだ。「かわいいものだな。内地の妹を思い出すよ」と江古田中尉は言った。須川中尉は「貴様の終いの妹は幾つになった?もう女学校か?」というと江古田中尉は「いや、まだだ。来年だよ」と言ってトロピカルジュースをストローで吸いあげた。

須川中尉もジュースを飲んだ。南方の味が乾いた喉にしみわたる。

ジュースを半分も飲まないうちに、料理が運ばれてきた。女将がそっと江古田中尉に

「サマラにチップをくださったそうで、ありがとうございます」

と言った。江古田中尉は「なんだ、あの子女将に見せたのか・・正直もんだなあ」と笑ってから「サマラというのかあの子は」と言って一人でうなずいて、

「女将。あの子をよろしく頼む」

というと頭を下げた。女将がびっくりして「江古田さんあの子とお知り合いですか?」と聞いてきた。江古田中尉は笑って「さっきからの知り合いだ。俺の妹を思い出した。だからサマラをよろしくな」と言い、女将は「はい、わかりました」と言って頭を下げた。

そして「ではごゆっくりなさいまし。お食事がすんだらお風呂をどうぞ」と言って下がった。

刺身がたくさんもられた大皿を二人でつつく、「ぜいたくだな」とか言いながら。そしてその皿に盛られた刺身や、他の皿に盛られた料理をほとんど食いつくしたところで須川中尉は

「そうだ、豊島はどうしたね。結婚したんだろう?俺は結婚式には出られなかったが貴様出たんだろ?あいつのその後が知りたい、話してくれ」

と言った。

江古田中尉は頬を少し緊張させた。

そして話し始めたが・・・その話が進むにつれて須川中尉の顔から顔色が徐々に失われていったのだった――

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

懐かしい友人との再会は時間を忘れますね。

しかし須川中尉と江古田中尉の話は何やら普通ではないような気配がします。緊迫の次回をこうご期待であります。

 

海軍経理学校跡の碑(東京都築地)。
海軍経理学校の碑

海軍経理学校校歌。



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「女だらけの戦艦大和」・友よこの手を握ってくれ1

――遠い昔にも思えるけどそんな昔でもないあのころ。みんなで息せき切って走った陸戦訓練。靖国神社までの駆け足往復行軍。あの皆の笑顔。今もよみがえる――

 

須川主計中尉は、主計科の部屋で書きかけの帳簿から顔をあげた。そして両目を手でそっとこするとふうっと小さく欠伸をした。そして傍らで主計兵曹がそろばんをはじいているのを見てから、そっと防暑服のポケットに手を入れると手帳を引き出した。そこには須川中尉の海軍経理学校時代の写真が挟まっている。卒業直前の須川中尉と、同期の江古田、豊島、大泉が並んで笑っている。

(皆それぞれの場所でガンバってるんだろうな。ああ、一度同期(コレス)会でもしたいものだなあ)

須川中尉はそんなことを思ってふっと笑った。傍らにいて事務を執る大山主計上等兵曹が「須川中尉、何を笑うておられるんで?」と尋ねて来たので写真を見せて、

「経理学校時代の友人だよ。これが江古田さと。こっちが豊島サキ。私の横が大泉洋子。みんなどうしてるかなあと急に思ってね」

と言って笑った。大山上等兵曹は事務を執る手を休め、写真を手にとって見入る。そして「ほう~。須川中尉もみなさんも、さすがに頭のええ顔をしとられますなあ」と感心した。須川中尉はそんなそんなと謙遜しつつもまんざらではなさそうだ。

江古田さと・・・豪快な女でいつもちょっとのことでは動じない。ガハハと笑い飛ばすサッパリした気質の女。

大泉洋子・・・北海道出身のシャイな女、と思ったらこれが結構突撃精神の旺盛の女。走ることに掛けては経理学校一だったかもしれない。「経理学校のヒグマ」と呼ばれたがっていたなあ。

豊島サキ・・・いつも春風のように微笑んでいる女。頭がよいので一目置かれている。そういえば昨年結婚したはず。ノロケを聞きたいものだ。

須川中尉はそんなことを思いつつ「大山兵曹、それが出来たら掌主計長のところへ持って行ってね」と言ってふたたび書きかけの書類に目を落とした。

 

それから数日後、須川中尉はトレーラー在泊艦艇の主計科の会議に出席するため『大和』からトレーラー軍需部に出張した。会議の出張のと言っても結局は各艦艇主計科の宴会のようなものである。こういう集まりには必ずと言っていいほど同期(コレス)が一人はいるからそれに会う楽しみもある。須川中尉は浮き浮きしながら――しかしそれを他の乗組員に気取られぬよう――生真面目な顔つきでランチに乗り込んだ。ランチは波を蹴立てて海上を走る。

 

上陸場から徒歩で五分の位置に海軍トレーラー軍需部がある。普段はここに軍需品の受け取りで来るが今日は別件。何か新しい気分になる。

会議室に入ればもうほとんどの主計科士官が集まっている。須川中尉は「遅くなりまして申し訳ございません、『大和』の須川中尉であります」と言って空いた席に着く。その隣の士官が「平気ですよ、まだ時間には随分あります。みんな同期や知り合いに会えるのではないかと思って早く来てるんですよ」と言って笑った。ああ、それなら良かったと言った須川中尉。その中尉に

「おお、須川中尉。久しぶりだなあー!」

と大声が投げつけられた。びっくりしてそちらを見ると、江古田さと中尉がこちらを見て手を振りながらガハハと笑っている。須川中尉も手を振りながら「おお!久しぶり・・・あとでな」と言って席にきちんと着いた。

そのあと、数名の主計士官が来ていよいよ「会議」が始まる。しかし会議は名ばかり、軍需部部長のあいさつの後あっという間にテーブルの向きは変えられて宴会仕様になる。軍需部付の水兵たちが次々に料理を運んで来ては各自の前に並べる。昼ではあるが冷えたビールが出され、給仕役の水兵たちがそれぞれのグラスにビールを注いで回った。

皆のグラスにビールが満たされ、それを確認した軍需部長が乾杯を発声。皆が一斉にグラスをあげ、そして一気に飲み干しそのあと拍手が起きた。軍需部長の林田大佐はにこやかに、

「今日はようこそ!時間いっぱいまで楽しんで行って下さい」

と短くあいさつし、宴会は始った。久しぶりの同期との再会や、他艦の主計士官との情報交換をして皆楽しく過ごし、のど自慢や隠し芸も出て和やかなひと時を過ごしたのであった。

その宴会も終わり夕暮れ迫る中、皆思い思いの方向へ三々五々散ってゆく。須川中尉はやっと、同期の江古田さと中尉とゆっくり話を出来る時間を持つことができた。

江古田さと中尉は「貴様は今日は?このまま泊れるのか?」と聞いた。須川中尉はうなずいて「ああ。主計長に許可をいただいてきた。貴様もか?」というと江古田中尉は嬉しげにうなずいた。

二人は連れ立って、トレーラー水島の繁華街に歩きだした。

 

「腹ごしらえしない?いくらなんでも腹減ったよ。貴様はどう?」

江古田中尉はそう言って一軒の宿に入る。ここは主計科御用達の宿で多くの主計科士官が使うところで宿の女将は士官の顔をしっかり覚えていてくれて、二人が案内を乞うとすぐ「今日はお泊りですね、では」と静かな二階の一室をあてがってくれる。

「やれやれ」と江古田中尉は軍帽を取って壁のフックに掛けた。二種軍装の上着を脱いで、畳に胡坐をかいた。「貴様も座れ、疲れたろ」というと靴下も脱いだ。

須川中尉も軍帽をフックに掛け上着を脱いだ。そして海に面した側の窓を開けた。夜の帳の降りはじめたトレーラー水島。外では水兵たちの楽しげな声と、現地の商人の売り声がにぎやかに響いて来る。

やがて女将が来てまずは茶を出してくれた。江古田中尉は女将に、

「適当に願います、酒は・・どうする?俺は今日は飲まないが」

と言って須川中尉を見た。須川中尉も昼間飲んだビールでいっぱいだったので「俺もいらんよ酒は。その代わり刺身のいいのがあったら願いたいです、あ、それから酒の代わりにトロピカルジュースを」というと女将は微笑んで、

「ではそのようにいたします」

といい一礼するとふすまを締めて行った。さて、と須川中尉が茶を一口飲んでから言い

「大泉や豊島はどうしてる?貴様豊島とは一緒の艦じゃなかったか」

と聞いた。江古田中尉はうん、と口の中で返事をしてから

「大泉はな、今シンガポールに居て今は陸上勤務だ。あいつ、暑いところはいやだいやだとさんざ駄々こねて行ったが結局今じゃ『ここが一番、俺は寒いのは嫌いだ』とかぬかしてるよ。『経理学校のヒグマ』は返上だな。せいぜいマレー熊がいいところじゃないか」

と笑った。須川中尉はふーんといって笑った。寒い方が性に合ってる、だって私は道産子だもんと言っていた大泉が今では南方にすっかり染まっているというのが何か可笑しかった。そして、

「あれほど防暑服の似合わない女もいないな。なんて言ったら叱られるかな」

というとまた笑った。そこに仲居がトロピカルジュースを二つ、運んできた。仲居は現地の女の子。入ったばかりなのか慣れない手つきが危なっかしいがそこが微笑ましい。

「ショウコウさん、どうぞ」

とジュースを置いてくれた。江古田中尉は置き終えたその手をそっと取った。女の子は緊張の面持ちで江古田中尉を見つめる。すると江古田中尉は満面の笑みで、

「新顔だね。よろしくな」

というとその手にチップを握らせた。手の中を見た女の子はそれこそはちきれそうな笑顔になると

「ショウコウサン、ありがとゴザイマス」

というと丁寧に頭を下げてそしてそっとふすまを締めて行った。廊下を跳ねるように歩いて行く音がして二人は思わずほほが緩んだ。「かわいいものだな。内地の妹を思い出すよ」と江古田中尉は言った。須川中尉は「貴様の終いの妹は幾つになった?もう女学校か?」というと江古田中尉は「いや、まだだ。来年だよ」と言ってトロピカルジュースをストローで吸いあげた。

須川中尉もジュースを飲んだ。南方の味が乾いた喉にしみわたる。

ジュースを半分も飲まないうちに、料理が運ばれてきた。女将がそっと江古田中尉に

「サマラにチップをくださったそうで、ありがとうございます」

と言った。江古田中尉は「なんだ、あの子女将に見せたのか・・正直もんだなあ」と笑ってから「サマラというのかあの子は」と言って一人でうなずいて、

「女将。あの子をよろしく頼む」

というと頭を下げた。女将がびっくりして「江古田さんあの子とお知り合いですか?」と聞いてきた。江古田中尉は笑って「さっきからの知り合いだ。俺の妹を思い出した。だからサマラをよろしくな」と言い、女将は「はい、わかりました」と言って頭を下げた。

そして「ではごゆっくりなさいまし。お食事がすんだらお風呂をどうぞ」と言って下がった。

刺身がたくさんもられた大皿を二人でつつく、「ぜいたくだな」とか言いながら。そしてその皿に盛られた刺身や、他の皿に盛られた料理をほとんど食いつくしたところで須川中尉は

「そうだ、豊島はどうしたね。結婚したんだろう?俺は結婚式には出られなかったが貴様出たんだろ?あいつのその後が知りたい、話してくれ」

と言った。

江古田中尉は頬を少し緊張させた。

そして話し始めたが・・・その話が進むにつれて須川中尉の顔から顔色が徐々に失われていったのだった――

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

懐かしい友人との再会は時間を忘れますね。

しかし須川中尉と江古田中尉の話は何やら普通ではないような気配がします。緊迫の次回をこうご期待であります。

 

海軍経理学校跡の碑(東京都築地)。
海軍経理学校の碑

海軍経理学校校歌。



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見張り員

Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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