女だらけの戦艦大和・総員配置良し!

女だらけの「帝国海軍」、大和や武蔵、飛龍や赤城そのほかの艦艇や飛行隊・潜水艦で生きる女の子たちの日常生活を描いています。どんな毎日があるのか、ちょっと覗いてみませんか?

「女だらけの戦艦大和」・花びらの向こうに

アリューシャン列島を守備する「北辺艦隊」の一部の艦が交替の艦を迎えて、補修と乗組員の休養を兼ねて南下し、択捉島・単冠(ヒトカップ)湾で経由で横須賀にやってきた――

 

その中のある重巡洋艦の乗組員の岩崎少尉は、南下するに従ってその色を微妙に変える海と空の色に見入っていた。(内地はきっとすっかり、春ですね)と思う。その通り、日本列島を北から南に行くに従い、対岸の本州の景色が春に染まってゆく。

北海道、まだちょっと春には遠い。

三陸、そろそろ春がきそうな岸の緑。

福島・茨城、遠くに見えるのは梅の花だろうか?

岩崎少尉は艦橋で、見張りの双眼鏡を借りた。内地の様子が見たくなって矢も盾もたまらなったからだ。艦橋要員の太田兵曹は双眼鏡の場所を岩崎少尉に譲ると、

「今年は春が早いと聞きましたから房総沖に出ればもしかしたら桜が咲いているのが見えるかもしれませんよ?」

と言って嬉しそうに笑った。大田兵曹も他の乗組員も久しぶりの内地、それも春爛漫の内地に戻れるとあって心浮き立つのも当然だろう。アリューシャン列島のような極寒の地での勤務は正直つらい時もある。すさまじい吹雪の時もあれば一面霧に覆われ何も見えない時もある。それでも一瞬でも気が抜けないのだ。

鳴神島(キスカ)島、熱田(アッツ)島の両島には帝国海軍の守備隊が基地を作っており、列島のアダック島までは日本海軍が制覇しているがそこから先はまだアメリカとのにらみ合いが続く緊迫の海である。そんな中なので時折交替の艦が来るとほっとするのも当たり前だろう。

今度の内地滞在は少し長いものになるかもしれない、と少尉のそばで艦長が言った。ほんとですか?と尋ねる兵曹に艦長は、「この艦も新しい特殊塗装をするからね、その準備もあるから今回は長くなる。交替で来た艦隊も前に出て行ってからずいぶんかかったでしょう?あれは塗装に時間がかかったからだよ」と教えた。

大田兵曹は「そうですか、それなら思う存分内地の櫻を楽しめますね」とうれしそうに言い、艦長もうなずいている。

が、岩崎少尉の表情はすぐれない。(桜か。桜の季節は私には気分が重い季節だ)と思っている。岩崎少尉は後ろから肩をそっと叩かれて振り向いた、同期の高田少尉が「交代だよ岩崎少尉。・・・どうしたの、顔色悪いが?」と心配げに言ったが岩崎少尉は「平気平気、では、願います」というと居住区に降りる。少し、艦が揺れる。海が荒れて来たのだろうか。

 

巡洋艦の舳先が波を勇ましく切り、左右の随伴の駆逐艦や軽巡が遠くに見える。さらにその後ろに空母「凡鷹」が向かってきているのがわかる。堂々たる北辺艦隊の一部である。

眼を右舷側に転じれば懐かしき内地の岸が見え、もしかしたら大きな声でも出したら誰か気がつくのではないかと思うくらい、近く見える。

 

ガンルームで岩崎少尉はため息をついて椅子に座った。思い出したくない思い出が、否応なく胸の内を去来した・・・

 

岩崎ヒロ少尉は関東のとある場所の生まれ、6歳離れた兄と四つ下の妹との三人きょうだいである。ヒロは兄と仲がよくその友人とも仲良くしてもらったのだがそのうちの一人、折田とは特に相性がよく、学校に上がってからは勉強も見てもらうようになった。折田は、粗雑な兄の友人であるというのが信じられないほどのおとなしく、礼儀正しい少年であった。女きょうだいがいないという折田は、ヒロを実の妹のように可愛がりまた、ヒロも折田を本当の兄のように慕っていた。

そんな二人が、恋心をもつようになったのも自然の成り行きかもしれない。兄が就職で東京に出てゆき、ヒロが女学校の受験勉強をするのを折田は自分自身も大学受験で忙しいのに良く見てくれた。そして二人して合格するとひそやかな付き合いが始まった。しかし近所の目を気にして、歩く時も数メートル離れて歩く。映画を見る時も席を2,3席離してである。しかし若い二人にはそれが十分楽しく心躍る時間であったことは間違いない。

ヒロが女学校の二年生に上がる時、いつものように勉強を見てくれていた折田は真面目な顔で

「ヒロさん。・・・その、僕は将来官吏になるつもりで勉強しています。大学を出て官吏の登用試験に合格したら、ヒロさんは私と一緒に東京に来てくれますか?」

と言った。実質、求婚である。ヒロはそれがわからぬような鈍感な娘ではないからほんのりほほを染めると、

「はい。折田さんと一緒なら私、どこでも行きます。連れて行って下さいますか」

と言った。折田はうなずいて「では約束、一緒に行きましょう」と言って二人は微笑んだ。その後、二年して折田は官吏の登用試験に合格した。ヒロも、女学校を後一年残してはいたが「やめてでも折田さんと一緒になる」と決意していた。

が、折田は「ヒロさんはせっかく入った女学校を一年残してやめてしまうのはもったいない。僕はヒロさんと結婚したいので婚約しておきたい。その旨をヒロさんのご両親にお伝えしたい」と言った。確かにそう言わないと父親も母親も納得はしないだろう、ヒロも「では折田さんのお考えに合わせます。一年なんてあっという間ですものね」と納得した。

そして、桜花爛漫のあの晩。

折田はヒロの家を訪ね、父親の前に両手をつき「大学を終え、このたび官吏登用試験に合格しました。そしてもうずっと前前から考えていました、ヒロさんを私の嫁にいただきたいのです。本当は今すぐにでもと思いますがヒロさんもまだあと一年学校が残っています、卒業したらぜひにも」と平伏したまま言った。その横でヒロも居住まいを正して頭を下げている。

父親は二人をじっと見つめた。ヒロはそっと顔をあげて父親の顔を見た。隣では折田がまだ平伏したままだ。

と、ふうっと父親が息を吐いた。そして抑揚のない声で

「早すぎる」

といいさらに、

「そんな若くて結婚でもなかろう」

と言った。ヒロが「あの・・・」といいかけたのを遮って父親は

「折田君、官吏の試験に合格したと言っても君が本当に一人前の官吏になるまでにはまだ何年もかかろう。半人前に娘をくれてやることは出来ん」

というと立ちあがろうとした。ヒロは思わず、「そんな言い方、折田さんに失礼ですお父さん!」と叫んでいた。折田が頭をあげてヒロの片手をつかんで制した。が、ヒロは半泣きになって「お父さんは折田さんのことをずっと前からよくご存じのはずでしょう、なのにどうしてそんな・・・」と言ったが父親はもう聞く耳を持ってはいなかった。

そのまま座を立つと、次の間に消えて行った。

「ひどい、ひどいわ。お父さんたら・・・」

ヒロの号泣が部屋に満ちた。

 

それからしばらくして、折田を送りに出たヒロは先を歩く彼の背中を見つめていた。桜が満開でその枝の間に満月がかかっている。月明かりに櫻が壮絶と言っていい美しさを見せている。折田はその桜を見上げもせず歩く。

(折田さんを怒らせてしまった、もう駄目になった)

急にヒロの胸にせつなさと悲しさと、折田への愛おしさが募ると彼女は折田の背中にしがみついて、

「ごめんなさい、ごめんなさいね折田さん・・・あんな言い方、折田さんに失礼だわ」

と言ってむせび泣いた。折田の歩みが止まってヒロはその背中にしがみついたままで泣き続けた。しばらくして折田はヒロに向き直り、ヒロをしばらく見つめた。そして、

「いや、お父さんを責めたらいけないよヒロさん。お父さんのおっしゃることは尤もだろう・・・確かにそうだね、まだ海のものとも山のものとも付かないくせして娘をよこせ、なんてとんでもないことだよね」

と優しく言った。ヒロは涙を手の甲で拭きながら

「私、折田さんと東京に行きます。あの家を出ます。どうか、連れて行って・・・私、わたし折田さんが好きだから、離れたくない。お願いです」

と懇願した。もう、あの家には居たくない、父親の顔を見たくないという激しい感情がヒロを支配していた。が、折田は優しくその肩をたたくと

「ヒロさんはちゃんと勉強して学校を出てください。それがあなたの幸せの一歩になるでしょうから」

と諭した。が、ヒロは「私の幸せは、折田さんと結婚することしか考えられません」と食い下がった。そのヒロに折田は、

「少しだけ、少しだけ僕たちも冷静になって考えましょう」

と言って「さよなら」というと桜の花咲く道を走り去っていったのだった。彼の後ろ姿に桜の花びらが降りかかった。

ヒロはそれを「別離」の言葉と受け取った。春の夜風が、ひろの体を吹き抜けて行った。
すべてに絶望したヒロは女学校を退学し、「海軍兵学校へまいります」と宣言し一年後海軍兵学校の生徒となっていた――

 

(あの晩の櫻はことのほかきれいだった)

岩崎ヒロ少尉はそこまで思い出すと少し涙のにじんだ瞳を天井へ向けた。もう少しで涙がこぼれ落ちそうだった。

 

そして巡洋艦他は懐かしい横須賀に帰って来た。桜は満開で出迎えてくれた。皆は大喜びで、艦長以下甲板に整列して桜と内地の風景を瞳に焼き付ける。そのあと艦内の点検などを済ませた後、半舷ずつ休暇が出される。

岩崎ヒロ少尉は休暇が出ても家には帰りたくないと思い(ではどこで暇をつぶしたらいいのか)としばし途方にくれる思いでランチに乗り込んだ。波を蹴立ててランチは海面を走り、上陸場に着く。うかない顔の岩崎少尉が最後にランチを降り、衛兵所を敬礼で通り過ぎたその時。

「ヒロさん」

と声をかけられた。懐かしい声に岩崎少尉が落としていた視線をあげるとそこには――

なつかしい折田が微笑みながら立っていた。昔よりずいぶん男前になったみたい、もう立派な官吏の姿。そして彼は

「待っていましたよ、ヒロさん。今日はいい知らせ、あなたのご両親からお許しをもらってきましたよ。あの後冷静になって考えましたがやはり私の伴侶はあなたしかいない・・・」

といい・・・岩崎少尉は滂沱としてあふれる涙を隠すこともしないで折田の胸に飛び込んで行った。

桜の花が春の風に揺れ、花びらが二人を祝うかのように舞い散った。

 

           ・・・・・・・・・・・・・・

切ない恋の話、それも別れの!?と思ったらこのような意外な結末でした。岩崎少尉、末長い幸せを^^。

この歌のモチーフは「春おぼろ」(岩崎宏美)です。



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「女だらけの戦艦大和」・お待ちかね、『海きゃん』!2<解決編>

『海きゃん』特別号の目次にまず、目を通す――

 

『海きゃん』特別号発刊に寄せて――山本いそ聯合艦隊司令長官

現地ルポ1・「大宮島」陸戦隊に随行取材、私はここで地獄を見た――『海きゃん』取材班

現地ルポ2・潜水艦は狭かった、巡洋艦では船酔いしまくり!――『海きゃん』取材班

グラビア特集1・南方の帝国海軍嬢の素顔

連載小説・欠落園第18回「誰がナットを外したか」(作・渡辺淳子少佐)

連載漫画・イボちゃん (作・植田まさよ中佐)

あつまれ最上甲板・今回も読者のみなさんの面白い投書がいっぱいだよ!

現地ルポ3・トレーラーの弩級艦にお邪魔しました!――『海きゃん』取材班

現地ルポ4・私はトレーラーに奇人変人を見た!――『海きゃん』取材班

グラビア特集2・陸戦隊、トレーラー碇泊の弩級艦、トレーラーの街

特別グラビア・帝国海軍最後の「処女(をとめ)」・私をその眼で・・・

 

ざっとこんな具合だが、さっそく石場兵曹が「おお、特別グラビアを見たい、見たい!」と騒ぎ出す。石場兵曹はオトメチャンが大好きだから仕方がないのだが、ほかの連中――小泉や石川――たちが「気落ちはわかるがここは最初っから読もうや」とたしなめて渋々最初から。

「山本長官の巻頭言はあとでええわ、えらいさんの文章は難しいていけんけえ」

と石場兵曹がいいこれにはみんなが賛成。すっ飛ばして次へ。

「ええと、なんじゃ?陸戦隊で地獄を見たんじゃと」と言って小泉がページをめくると『海きゃん』取材班が大宮島(グアム)で陸戦隊を取材して大変な目に遭った一部始終が書かれていて皆笑った。亀井一水が「陸戦隊について行こうというところが健気ですね、どう考えてもあの人たちの出来ることじゃないですよね」と真実を鋭く突いた一言を発し、皆さらに大笑い。

「みてみい、こいつら大宮島で陸戦訓練させられて海岸で野営してそのあと『投石訓練』したんじゃと。よう命があったもんじゃのう~」

小泉兵曹が腹を抱えて笑う。見張兵曹も笑う。小泉が「訓練に随伴、いうて邪魔しただけじゃないかねえ、ど素人がついて来て。陸戦隊もはあえらい迷惑じゃったのう、地獄を見たんは陸戦隊の方かもしれんねえ」と言って次の記事を。

「潜水艦は狭かった、言うてあったり前じゃないね?広々とした潜水艦なんか見たことも聞いたこともないで?ほんとにこの人らは海軍の軍人なんかねえ?あまりにも物を知らんけえ、恥ずかしいわ」

と言ったのは「潜水艦は狭かった、巡洋艦で船酔い云々」の記事を読んでの石場兵曹の嘆息である。皆、うんうんとうなずく。尤もこれを読んで本当にしんそこ嘆息をついているのは各潜水部隊の兵員嬢たちであるが。

グラビア特集1は各地の海軍嬢たちの勤務や普段の生活の様子が収められている。中には何処の艦なのだろうか、胸や褌もあらわにして雑魚寝の兵たちが写っている。また、慰安所に順番待ちで並ぶ海軍嬢の列まで撮られ、長妻兵曹などは「俺写ってないじゃろうねえ?万が一姉さんがこれを読んだら一大事じゃけえ」と必死で写真に見入る。長妻兵曹の姉の夫は海軍工廠の勤務だから『海きゃん』を入手できる。身重な姉に衝撃を与えたくない、というけなげな妹の思いである。

 

石川水兵長が「あ、私連載漫画の『イボちゃん』好きです!読まして下さい」と言ってページをすっ飛ばす。小泉兵曹が「まあ、ええわ。うちは注文出したけえあとでゆっくり読めるけえ」と石川水兵長が連載漫画を読むのを見ている。

石川水兵長は「ああ~面白かった」というと本を皆の前に戻した。亀井一水が、「トレーラーの記事を読みましょうよ、うちらがどんなに書かれてるか、はよう知りたいけえ」というと石場兵曹がさっと「現地ルポ3」のページをめくる。

見開きいっぱいに『大和』の前甲板から見た前牆楼の雄姿が写っていてこれには皆感動した。「『大和』は誰が何と言うても帝国海軍一の軍艦じゃわ、こうして見とっても胸が震えるわ・・・」とオトメチャンがつぶやく。

記事には『大和』の艦内の様子が書かれていて、「弾薬庫の前に立っていた当番兵に殴り倒された我が取材班(武田水兵長)」の写真も出ていて見張兵曹は「ああ、弾薬庫の当番兵言うたら内田水兵長じゃね。あの人は責任感が強うていつも自分から見張りを買って出とるらしいね。あの人ちいと怖そうじゃけえ、あまり近寄りとうないねえ。あの人にいきなり寄ってくなんか、『海きゃん』も命知らずじゃね」と言ってその記事を指して笑う。

そのほかにも烹炊所での事やら酒保での事、艦長室や副長の部屋、幕僚室の記事に見入るみんな。普段なかなか入れないところとあって「わあ、艦長はええなあ。こげえにふかふかなベッドで寝とるんじゃね」とか「副長の机の上にあるこれ!もしかして恋文かいな!?」とか「幕僚室で食事してみたいねえ、こんなきれいな部屋で飯食ったら普段の飯も高級料理みとう思えるん違う?」と姦しい。機銃の平野兵曹のエロいたとえ話にも「あれの洗礼受けたんか、ワハハ!」と大笑い。

そして、「帝国海軍最後の処女」を探すため防空指揮所に上がった時最初に出会った兵曹は、自分が取材対象ではないと知ると<態度が艦隊進路180度くらい豹変した>と書かれていて石場兵曹が「これ、小泉のことじゃろう?」と言ってくすくす笑った。小泉兵曹は石場をちょっとにらむと「ほいじゃって、だれでも一瞬は期待するじゃろ!」と唸った。

「トレーラーの奇人変人~」では、長妻兵曹の椰子の実落としが詳細に書かれていた。その最後は<彼女の椰子の実落としの技術はもう、だれもその右に出るものはないと言ってよい。彼女は言う、『私に勝てる、と思うものは誰でもいつでもかかってこいやあ―』と。>とこの様に締めくくられている。

石場兵曹は「ほう、こりゃあえらいことじゃ。本当に長妻兵曹に椰子の実落としの挑戦者が来たら、あいつどうするんじゃろう」とブツブツ言う。小泉兵曹が「ほりゃあ、あいつのことじゃ、一も二もなく受けるじゃろ?椰子の実落としではだれにも負けんつもりじゃからね」という。

そこまで読んだ時、午後の課業の始まる五分前を知らせる副長の声が令達機から流れ、皆いったん本を仕舞って課業の準備・・・

 

再び皆が集まったのは夜になっての居住区。

「さて、どこからじゃったかね」と石場兵曹が本を持ち出して来て開いた。小泉兵曹・見張兵曹・石川水兵長が集まる。亀井一水は同期兵のところで本を見ている。

「トレーラーの奇人変人なんか言う題名じゃ、長妻が哀れじゃね」と小泉が言ったが、「ほいでもありゃあ奇人変人の類じゃわ。・・・おい、あの変態男また出たんじゃね」とページを指差す。皆が覗き込んだところには長妻兵曹たちと海きゃん取材班が遭遇した<エガチャン>の写真。

「ほう、あの人は今度はカメに化けとったらしいわ。・・・長妻のやつ、その話せんかったね。なんでじゃろ」

小泉が首をひねったが当の長妻兵曹はあまりに衝撃的な出来事を忘れたくて話をしなかったらしい。記事には『矢矧』に座乗中の古村司令と、原艦長がゴリラとみまごうばかりの俊足と扮装で密林をかけぬけてゆき、それを生け捕りにしようとした取材班の(殘間)中尉が古村司令に投げ飛ばされた瞬間の写真も載っていた。その記事を読んだ梨賀艦長、「おう、古村もゴリラのあだ名に恥じない動きをしてるじゃん?幾つになっても切れがいいなあ!」と感心しきり。野村副長は巡検前のひと時を自室で過ごしつつ『海きゃん』を読んでいる、そして「ありゃ、私の部屋も載ってるなあ。もっときれいにした方がよかったかな」とブツブツ。森上参謀長は「俺の部屋は撮影禁止と言っといてよかったよ。うっかり大事なヘルブックが写ったら大ごとだしな」と胸をなでおろす。

『矢矧』でもこれを古村司令と原艦長が読んでいて、古村司令は「おお、もうちょっと投げる角度を深くした方が遠くへ飛んだかもね、次回はその辺を気をつけてやろう」とひとりごち、原艦長は「古村司令と本物のゴリラの顔写真を並べてみたのはいい思いつきだね、素晴らしい比較対象だ!」とひとり大笑い。

 

トレーラーの街のグラビアには、「ほう、なかなか連中もええ所を押さえたね。・・おい、これは増添算の御用達の<部分かつら>の店じゃろ?えらい繁盛しよるね」と小泉兵曹が大喜び。石川水兵長が

「なんでも売り上げがずいぶん伸びた、言うて店の女主人が喜んどってですよ。増添さんが買ってくれてからお客が来るようになった、いうて。ほいでも・・・海軍の兵隊に<はげ>やら<抜け毛>が多いんかと思われとるとしたら嫌ですがのう」

と真剣に腕を組んで言うものだから皆笑った。

 

そして。

『海軍きゃんきゃん』特別号を手にした誰もが若干の緊張と大きな期待を持ってそのページに、いよいよ手をかける。

 

特別グラビア・帝国海軍最後の「処女(をとめ)」・私をその眼で・・・

「さあ、いよいよ真打ちの登場じゃ。みんなええか」石場兵曹がいい、小泉と石川がうなずいた。オトメチャンは「うち・・・いやじゃわ」とうつむいた。

そのページが開かれ、開いた皆はそのなまめかしさに生唾を飲むこととなった。見開きいっぱいに、オトメチャンのセミヌード。悩ましげなその表情に皆はノックダウン、麻生分隊士は「なんじゃ、こげえなすごいものを出したら皆がオトメチャンを欲しがるじゃないね!いけんのう、ちいと刺激的すぎんかねえ」と頭を抱える。森上参謀長など、「これを実際に眼の前でやってほしいものだ」と思うし松本兵曹長は「トメ、かわゆいのう。ほいでもトメは裸でこんな写真を撮られて気の毒な。嫁入りに差し支えるんと違うか?」と心配したが次の瞬間ハッと顔をあげると、

「平気じゃ、トメには麻生分隊士が居るけえね」

というとほっとした表情で再びページに目を下ろした。

ともあれ・・・これを見たすべての海軍嬢たちはその晩悶々としてなかなか寝付けずその晩はどこの艦でも基地でも・・・皆寝返りばかり打っていたという。

 

そして麻生分隊士は、当直明けのオトメチャンを自室に引き込み「写真もええし、本物のオトメチャンもええ。うちはもう誰にも渡さんで!」と言ってまたもや・・・オトメチャンを愛の嵐で揉んだという――

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『海きゃん』特別号、なかなか内容が濃かったようです。しかし『連載小説・欠落園』ってなんだ??官能小説ではないみたいですね。ボルトやナットが外れ落ちる物語なら、危なくて仕方ないぞ!!

あ、そうそう。『海きゃん』に投稿してそれが掲載されると『海きゃん』ロゴ入りの褌がもらえるそうですよ^^!

 ごりら

ゴリラと思ったらキングコングでした(^^ゞ、古村さんでは、ない。(写真拝借いたしました)


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「女だらけの戦艦大和」・お待ちかね、「海きゃん」!1

みなさんは覚えておいでだろうか、『海軍きゃんきゃん』を――

 

以前大宮島(グアム)や、トレーラーに来て取材をしていった『海軍きゃんきゃん』取材班は今、内地の『海軍広報部』にあって『海きゃん』の編集に大わらわである。記事を原稿用紙に起こしてそれをゲラ刷りに、それを校正し・・・それを何度か繰り返す。そのほかにも写真の現像、紙面への割り付けやなんやかんやで徹夜の日々が続いている。

編集長は岩部二等兵曹であるが彼女は並々ならぬ才能とバイタリティーの持ち主で、部下の兵・下士官・士官を指示してゆく。その優れた采配に影の編集長の山本いそ聯合艦隊司令長官も満足げである。

今日も『海軍広報部』内には、「おーい、坂田<校正>兵曹を呼んでくれー。ここ何度もまちがっとる。チャンと言ってくれよな?」とか、「松田<製本>少尉、これはこんなでいいのか?」とか「本山<営業>中尉、印刷所へ行ってくれ~」などという声が満ち満ちている。

そんな中、筑紫少尉は『大和』の麻生少尉との約束をこっそり果たすため内地へ帰ってからこちら、深夜まで一人で作業して、やっと製本までこぎつけた。本来の『海きゃん』の編集作業と合わせてであるからもうへとへとであった。麻生少尉からは、

「オトメチャンの一番ええ写真ばかりを集めたものを写真集にしてほしいんじゃ。それからうちとの絡みの写真も。樽との絡みも・・・ちいとばかり癪じゃが入れといてほしいのう」

等々注文つけられていてそれを満足させるために筑紫少尉は神経すり減らして作業に従事した。内緒の作業ゆえレイアウトも何もかも自分でしなければならず時にもう

「ああ~~~もういやだあ、なんでこんなこと引き受けたんだか!!」

と、深夜一人の部屋で頭をかきむしって叫んだこともあった。が、その苦労も今日報われる。すっかり出来上がってきた写真集をそっと開くと、素晴らしい出来栄えの内容に心が躍った。そして、

(これなら麻生少尉も満足されることだろう)

とホッとした。が、まだ肝心の『海きゃん』本誌が出来ていないので心からほっとは出来ない筑紫少尉であった。ともあれ、(この写真集だけでも先に麻生少尉に送らないと)と思いこれもこっそり荷造りしてトレーラー碇泊中の『大和』航海科・麻生少尉あてに写真集を送った。

 

さて本来の『海きやん』は見本刷りが上がってきて、編集部の面々はそれを点検。

写野<撮影>兵曹は「ほう、いい色に出ましたね。あの海の色がちゃんと出るかどうかとても心配だったんですがよかったよかった!」とうれしげである。武田<割り付け>水兵長も、

「ああ、きちんと指定通りに出来てきましたね。この辺のトリミングが心配だったんですがきれいに出来てますし人物の切り抜きもいい感じです。それから文章もOK、言うことなしですね」

と満足感を現した。殘間<庶務>中尉が覗き込んで、

「思い出すねえ、大宮島の陸戦訓練!厳しかったねえ、えらい目に遭ったがまあいい思い出。それからトレーラーはきれいだったし変な人もいっぱいいたねえ。あの美しさがこれだけ出ればほんと、言うことなしだね」

とうなずいた。袴田<文章>兵曹も

「その上に持ってきて素晴らしい記事があるんだからあの時の様子は手に取るように分かるはずだよ?なんてったってこういう本の類は文章で持つんだからね」

と少しばかり威張った感じで胸を張る。三谷<営業>兵曹、小林<営業>兵曹は

「全部で一千部は作りますが、今回はとりあえず各艦の酒保に三百部ずつ配本します。そのあと注文という形で兵員からの希望冊数をまとめて配本します。さらにそのあとは適宜刷りまして注文に応じるという形で」

という。袴田兵曹が、

「へえ。ずいぶん小出しにするじゃん?

というと三谷兵曹は「当然です。今回のは絶対当たりますからそうそう簡単に手に入らんようにするんですよ。これこそ戦術、戦略の類ですね。結局出版も戦争と同じような頭の使い方をしないとね」と笑った。

殘間中尉がそれを聞いて

「ふーん、戦争って大変なんだねえ」

と間の抜けた感想を漏らし皆一斉に失笑。

 

さて。

先に筑紫少尉が送った「オトメチャン写真集」であるがこれが輸送船に揺られて約十日ほどでトレーラーの麻生少尉のもとに届いた。例によってたくさんの内地からの手紙や慰問品に混ざって。

その日の昼下がり、二次士官室にいた麻生少尉はに自室の従兵から「麻生少尉への郵便物であります」とその大きな包みを渡された。

「おう、ありがとう。・・・っていったい何だこりゃ」

と言った少尉の声が急に止まり、あたりをさっと見回すと他の少尉や中尉達に感づかれないようにそっとその包みを胸に抱えると二次室を出た。さりげなくしかし、あわてて自室に走りドアを編めて身を入れるとドアをばたんと閉めた。

包みの裏には「海軍広報部 筑紫哲子」と少尉の名前が書かれていて麻生少尉は(やった、約束の写真集じゃ!オトメチャンの・・・グフフ!)とうれしくてたまらなくなり、中身の本を傷つけないよう包み紙をそっと丁寧に取った。

「おお!これはすごいぞ」

麻生少尉は息を飲んで写真集を眼の前に掲げた。表紙には防暑服姿で可愛く微笑むオトメチャンがいる。(いつの間にこんなええ写真を撮ったんじゃろう)と感心した少尉は早速表紙をめくってページに眼を通す。

と、「おお、なんてすごいんじゃあ」と思わず声が高くなりあわてて口をふさぐ。何気に開いたページにはオトメチャンがトップレスで白い砂浜に寝転んでいる。オトメチャンの太ももに白い砂がついている。その表情はどこか切なげで麻生少尉は思いっきりそそられる。左のページには、オトメチャンが波打ち際にあおむけになってピンクの褌が海水にぬれている。しかもその右の乳首には小さな貝殻が乗っている、反対の乳首はそのままもろ出し。

「ウウウ・・・これはすごいとしか言いようがないで。これは絶対誰にも見せたらん。一生俺のものじゃ」

麻生少尉はうなりながらページを繰ってゆく。遂に、オトメチャンが樽美酒少尉と絡んだ指揮所での写真が出て来た。樽美酒少尉の手が、オトメチャンの胸をつかんでいてオトメチャンの表情は恥らいでいっぱい。(おお、樽のやつ結構本気でやっとらんか?あいつも隅に置けんのう・・・)

樽美酒少尉との絡みの写真を堪能するほど見た後は、自分との絡みの写真。おもに、あの砂浜での写真で麻生少尉がオトメチャンにまたがってその胸をつかんでいたり、オトメチャンの前垂の短いピンクの褌の中――つまりあの部分――に指を入れている場面、オトメチャンの胸を後ろから抱いている麻生少尉、それに砂浜に横たわったオトメチャンの上に重なって口づけをしている麻生少尉・・・

「おおう、ええわあ~」

と麻生少尉は思わずうめいた。あの日のことが鮮明に脳裏に浮かんできた。そしてさらに麻生少尉はページをめくり、自分だけの世界に没頭して行ったのだった・・・。

 

その三日後、内地からの輸送船がトレーラー碇泊の各艦艇と航空基地、陸戦部隊に警備隊のそれぞれの酒保販売分の『海軍きゃんきゃん』最新号を積んでやってきた。それらは各艦艇等に配られる。

『大和』でもさっそく、部数の限られた『海きゃん』の争奪戦が始まり、酒保長は声をからして「まず各分隊に五冊づつじゃ、その上で自分用に欲しい思うものはこの注文用紙に名前と所属分隊を書いて出せ。まとめて注文を出すから安心せえ!」と怒鳴る。するとあっという間に注文用紙が酒保長の目の前から次々と消えて、それから一分もたたないうちに「酒保長、願います!」「願います」・・・と名前と所属分隊の書かれた注文用紙が差し出された。

酒保長は「貴様ら中身も読まんうちから注文せんでもええじゃないか」と言ったが皆は「ええんです!今回の『海きゃん』は特別ですけえ。酒保長、絶対に間違いないよう願いますよ!」と言って酒保長はたじたじとなる場面もあった。

 

航海科でもさっそく小泉兵曹が『海きゃん』特別号を手に入れて指揮所へ持ってきた。その頃にはもうあちこちの配置で『海きゃん』特別号が皆の手によって開かれている。ここにいる皆ももうすでに『海きゃん』特別号の注文用紙を出してきた。

「ほう、今回は表紙からしてええねえ。青い海に艦艇が浮かんで、しかも水着の兵隊が何人かで笑うとる。いかにも南方ふうでええよねえ~」

「表紙もええが問題は中身じゃ。どがいね?」

石場兵曹が小泉兵曹から『海きゃん』を奪ってページを繰る。『海きゃん』取材班の潜水艦初体験の様子から巡洋艦での初船酔い、そして大宮島(グアム)での陸戦隊初体験と初体験のオンパレードである。

「ほうほう、なんじゃと・・・。>我々『海きゃん』取材班は海軍に入って以来初めての航海に出た。初めての潜水艦は不安いっぱいだったが乗組員嬢たちのテキパキとした働き、そして艦長・航海長・砲術長たちの素晴らしい連携に不安も消し飛んだのでありました、か。

ほうほう、>そして小笠原で乗り替えた巡洋艦。初めて乗った大きな艦に『海きゃん』取材班一同は大感激!・・・と思う間もなく取材班のほとんどがありえないくらいの船酔い!しかも取材長のZ中尉(殘間中尉のこと・筆者注)が一番具合が悪くなっちゃったんです、テヘ!・・・じゃと。なんじゃねこれは??」

石場兵曹は声に出して読んで遂に大声で笑い始めた。そして「みてみいこれ!」と言ってページの一部分を指差した。小泉兵曹や石川水兵長、見張兵曹などが覗き込むとそこには船酔いにやられて死んだように伸びている「Z中尉」の写真がある。見張兵曹が、

「これはあの殘間中尉ですのう、こげえに真っ青な顔になって気の毒じゃねえ」

と言ってそれでも笑いが漏れる。石川水兵長は、「海軍に入って初めての艦、いうてあの人たちは本当にそれまで艦に乗ったことがないんですねえ。そがいな人が海軍に居ったなんてうちははあ、信じられん」と言って感心している。

小泉兵曹が「聞いた話じゃけどな」と前置きして

「なんでも大宮島の陸戦隊の人に『お前らくずじゃ』言われたそうじゃ。帝国海軍にくずじゃと言われるようなもんが居ったなんてうちも信じられんよ」

と言って笑う。石場兵曹が「おお、大宮島の陸戦部隊ルポ言う記事もあってじゃ。面白そうじゃけえゆっくり読もうで」と言って皆輪になって『海きゃん』を覗き込む。

 

上でそんなことをしている時、麻生少尉は私室で・・・鼻血を出してベッドに横たわっていた・・・

    (次回に続きます)

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

遂に発刊、『海軍きゃんきゃん』特別号とそして、麻生少尉にだけ特別編集の「オトメチャン写真集」!実際に見てみたいものです、オトメチャンの水着姿や麻生少尉との絡み!

次回、『海きゃん』特別号の中身に迫ります。


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日々雑感・靖国の春

今日三月二十四日、念願の(おおげさ!)靖国参拝してきました。雨と気温の低さが心配だったのですが気温に関してはそれほどではなく、東京メトロ九段下駅から地上に出たときそれほど寒さを感じませんでした。一の鳥居をくぐった時、なぜだかふんわりと暖かいものすら感じました。雨の降るような感じもまったくしません。

櫻が早く咲いてしまったということで千代田区の桜まつりが開催されていました。参道にはたくさんの露天と人があふれていました。私は人ごみが苦手なので逃げるように拝殿目指して行きました。

なんとまあ、素晴らしい桜が満開!
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神門をくぐってすぐにあるのが「神雷櫻」、これは「神雷部隊」(人間爆弾といわれた「桜花」搭載の一式陸攻中心の部隊)の生還者のみなさんが、戦死した戦友と交わした「(戦死したら)靖国神社の拝殿を入って右、日本目の桜の木の下で会おう」という約束を果たすために戦後、植えられた桜の樹です。
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いい枝ぶり、そして桜が満開に咲いてきっと、この樹の上で神雷部隊のご英霊も楽しくお花見をなさってらっしゃるのではないかなあと思いました。

そして拝殿で参拝・・・日本の未来永劫の平和と、娘たちの無事を祈念いたしました。今日は桜まつりのせいもあってか、たくさんの人が参拝していました!普段もたくさんの人が参拝してくれるといいのですが。

そして能楽堂前をぶらりぶらりとした後で、「遊就館」へ行きます。この三月十六日から「平成二十五年遊就館特別展 大東亜戦争七十年展Ⅱ」が開催中です。前回の「Ⅰ」も拝見しましたのでもちろん今回も拝見します。
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昭和十七年のミッドウエー海戦から同十八年の東部ニューギニア作戦までについての展示です。私の憧れ・山口多聞中将のご遺品を始め『飛龍』艦長・加来止男少将、「蒼龍」艦長・柳本柳作少将のご遺品が展示されています。私の横で見ていた老夫婦のご婦人の方が「ミッドウエーって真珠湾より後?先だっけ?」とご主人に訪ねていたのが何だか可笑しいような哀しいような。

見ていてハッとしたのは、加来止男艦長の亡くなった年齢と今の私の年が同じということ、そして間もなく私は山口司令官の戦死の時の年齢になるということ・・・

山口司令官はきっと空の上から私をご覧になって「ゲッ、これであの時の私と同じ年かね!?信じられない子供っぽさ!日本も終いだね」と思われていることでしょう。ごめんなさい司令官・・・。

今回とても眼を引きましたのが、戦死なさった方のご遺書。その中には皆留守家族を気遣う優しさが満ちていました。幼い弟に宛てた手紙には「大きくなったことだろうね」とか「たくさん勉強しなさい」とか「写真を送ってほしい」などと書かれ、戦地においても常に家族を思っていたその心がしのばれます。

また今回、ニューギニアの戦いのブースではかの地で収集された鉄かぶとや飯盒、海軍の併用ホーロー引きの食器、薬液が入ったままの薬瓶・・・などがかの地の映像を背景に、周囲にはニューギニアの景色を模した場所に展示されていたのが印象に残りました。

この飯盒や鉄かぶとなどをかつて使い、そして見つめた人がいた。その人たちがどのような思いを持って戦いそして散華していったかを今の時代に生きる私たちは考えねばならないなあ、と思いました。鉄かぶとの一つには弾痕のようなものがありそこから下に大きく割れているものがあり、きっと被弾されたのだろうと思いますが痛ましい。

何処のどなたなのか名前すらわかりませんが、安らかにと願うばかりです。

他にソロモン諸島(海と陸)方面の戦闘の様子、山本五十六大将が搭乗、撃墜された機体の破片も展示されています。展示場の最後はアッツ、キスカの戦い。

山崎保代陸軍中将(山梨県出身)のご遺品の大礼服があります。一兵の援軍もなく極寒のアリューシャン・アッツ島で散華された山崎中将の守備隊の無念はいかばかりだったでしょうか。

アッツ玉砕後、孤立したキスカの将兵を救い出すための「ケ号作戦」が実施されて昭和十八年七月二十九日輸送艦隊は濃霧の中キスカの入港し約五十分という短時間で五千二百名全員のキスカ守備の将兵を無事救出しました。

 

そして今の平和のありがたさをかみしめつつ展示を観終わると・・・
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売店に行き――櫻のがらの湯のみと、櫻のお菓子を買いまして外に出ました。外にもいろいろ展示ものがありましてその中の一つ、『海防艦』の記念碑。海防艦は御蔵型・占守型の二種類があり各地に配属されましたがそのほとんどが戦没しています。
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到着殿前からの櫻をご覧ください。見事です。
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しかしこのところの温かさですっかり満開となりもうすでにハラハラ散っておりました。桜はそのつぼみから咲き染めたころ、それから満開、散り際とどれをとっても美しいです。櫻を見ると日本に生まれてよかったなあ、と思うのです。この美しさの神髄がわかるのは日本人だけじゃないかと思いますね。その感性のDNAをのちの世代にもすりこんでゆかねばいけません。

それこそが日本人が日本人たるゆえんの様な気がします。

       ~~~~~~~~~~

そんなふうにして私の靖国参拝は終わりました。おかげさまで雨に遭うことなく、しかも薄日さえ差し始め帰りつくころには雲の切れ間から青空まで覗いていました。寒さに震えることもなく、いやな思いをすることもなく素敵な参拝をすることが出来ました。
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なんだか心はればれとした気分でいます。また四月になったら行こうと思っています。四月の七日は日曜だし、『大和』他の特攻艦隊のご命日でもあるから今度はその日に。

その頃はもう、櫻は若葉をつけ始めているかもしれませんね。


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日々雑感・ホントに雑な書き込みです・・・

三月二十日は「行くぞ!」と思っていた靖国神社に参拝かなわず、若干気落ちしていましたがまあ二十四日に行こうと気を取り直していましたらなんとまあ、あなた、二十日の晩遅くからものすごい鼻づまりと滝のような鼻水、その上発熱!!

一睡も出来ませんでした・・・薬を飲んで眠気はあるんですが息が苦しい、鼻が詰まる、鼻水が上を向いても下を向いても横を向いても流れる、というわけで。

昨日はそんなわけで仕事も出来ず、薬を飲んでひたすらじっと寝ていました。

時折目を覚ましては、昔よく読んだ本――ムーミンシリーズの文庫――を読んでは懐かしい子供時代を回顧していました。ああ、この部分でわくわくしたなあとか、この辺は小さい時はよくわからなかったけど今はわかる、ってことはそれだけ年取ったってことか!?なんて思いつつ読んでは眠り眠っては起き・・・そして今日は復活。

 

桜が満開ですね。

大好きな桜が満開・・・ちょっと早いんでないかい?と思っていたら案の定千代田区の「桜まつり」は予定より早く、もう始まってるみたいですね。

靖国神社もその会場の一つなんですが、私はあまり込み合ったのは嫌いなのでいつもその時期は外しているのです。日曜日は雨らしいから、人出もそんなにはないといいんですが~(-_-;)

 

三月は重い月でもあります。

最近では東日本大震災。遠くは「東京大空襲」、この日三月九日は陸軍記念日でしたので人々の間にはこの日には何かあるかもしれないという噂があったと聞いています。

一七日は硫黄島守備隊の全滅。栗林師団長は「最後の一兵まで戦い玉砕はしない」という方針で戦い、よく敵をまどわしましたがそれも長続きはせず、残念ながら師団長他多数が戦死。今でも硫黄島の熱い地面の下には多くの将兵が眠っています。

そして三月末は、大和を旗艦とする第二艦隊が沖縄特攻を決定された時でもあります。

私は何年か前に宮崎県日南市南郷の街に行ったことがあります。ここには海を見はるかす「道の駅」があってそこの展望台からは日向灘が一望できます。ふとその時思いました・・・この海を大和、矢矧、朝霜・・そのほかの駆逐艦が粛々と渡っていったのだ、あの時それぞれの艦に乗った将兵たちはどんな思いでこの地を見つめていたのだろう。

その時何か・・彼らの残留思念とでもいうものを感じたのでした。

今も、彼らの魂はこの日本を守っている。そう確信した瞬間でした。

 

今日はなんだかよくわからない話の書き込みでごめんなさい。明日からはいよいよ!「海軍きゃんきゃん」特大号に関するお話が始まります。ご期待を^^。

明日、義弟夫婦が来て姑さんを花見に連れて行くんだそうです。先ほど電話があって「午後からだけど大丈夫?」とか聞いてきました。どうぞ行ってください~です。

でもどうもあの嫁さんと顔を合わすのはいやでたまらない私です。まあ仕方ない。

 

そういえば・・・旦那の死後、姻戚関係を解消できる届け出制があるんだそうですね。それともとの姓に戻せる届もあるんだとか。これは新聞の「人生相談」みたいなのをたまたま読んだときに見つけてしまい「喜ばしてくれるじゃん!」と狂喜しましたが私が旦那より長生きしなきゃいけないというのが第一関門ではあります。

高そうなハードルですが「かかってこいやあー!」。

越えて見せます!


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