「女だらけの戦艦大和」 ・ よく考えよう、名前は大事だよ。

「女だらけの戦艦大和」は、また常夏の島の泊地にいた―――

今回は「大和」のほかにも「武蔵」やら「長門」やら「比叡」「金剛」、そのほか駆逐艦、そしてみんなの大好きな「間宮」も停泊中である。

そんなある日のこと。

 

「なあ聞いた?今度、新しい駆逐艦が出来てこっちに回航されてくるらしいよ」と、艦長伝令の谷垣兵曹が言った。

「へえ、どんな駆逐艦なんでしょうね?」と、見張兵曹が聞いた。すると谷垣兵曹は「なんでも最新鋭、としか聞いてないんだよねえ~、それも艦名さえ教えてくんないんだからさあ!」と、ちょっと不満気。

小泉兵曹も「艦名くらいいいでしょうにねえ。谷垣兵曹が知らないってのがおかしいな」と首をかしげる。

谷垣兵曹は艦長のそばにいることが多いのでそういう情報は早いはず、、なんだが。

「案外こういうことは艦長の従兵のほうが詳しいかもしれんよ」と、谷垣兵曹は言って「さっそく聞きに行こうぜ!」と即行動。

艦長従兵の河野上水は今の時間は艦長室で掃除などしてるはずだ―――と、3人はどやどやと艦長室へ。

そっと谷垣兵曹はドアを開ける、すると河野上水が室内で雑巾がけをしてるのが見えた。谷垣兵曹はそっと「―――おい、河野!!」と呼んだ。

ふと顔を上げる河野上水を、谷垣兵曹は手招きした。河野上水は、雑巾をそこにおいてやってきた。

「どうなさったんです、みなさんお揃いで?」と、上水はお辞儀して笑った。

谷垣兵曹は「なあなあ、今度来る最新鋭の駆逐艦のことさ、艦長なんか言ってなかったぁ?」と上水の肩に手をまわして聞く。

河野上水はちょっと照れたような笑みを浮かべて「いいえ、、艦長何もおっしゃいませんし、その話になりそうになると、私は外に出されます」と言った。

見張兵曹、「そうかあ、、、なんでだろうね?兵員が知っちゃいかんことでもあるんだろうか?でもあんまり秘密にされると却って知りたくなるよね~」と河野上水の肩にかかった谷垣兵曹の手を複雑な表情で見つめた。

小泉兵曹がその見張兵曹の顔を見てヘンな笑い方をして「まあ、そのうちわかるだろ。―――でも、谷垣兵曹。その手はどうなさったんで?」と意地悪げに聞いた。

とたんに谷垣兵曹、真っ赤に顔を染めて「う、、ああ、、!これはそのあの、そう!信頼のしるし!」と照れた。

(――――こいつらも、出来てやがるな)と小泉兵曹はいい加減うんざりした。すると谷垣兵曹は小泉兵曹にとって聞き捨てならないというか、とんでもハップンな一言を吐いた。

「やだなあ、小泉兵曹。妬いてんのお!?見張兵曹と麻生分隊士をとりあったらいいのにぃ!そういう関係、見たいなあ!!」

なんだって!――小泉兵曹はいきり立った。「私はそういう爛れた関係にはどなたともなりたくありませんっ!」そう言ってフン!と横を向いた。

見張兵曹は谷垣兵曹の顔を見て、このヒトにはデリカシーってもんがないのか、とあきれた。何も自分とて好き好んで麻生分隊士とああなってるわけじゃない。

そんな気持ちも知らぬげに、谷垣兵曹は楽しそうに見張兵曹と、小泉兵曹を見て笑っている。そして「じゃあさ、何か分かったらおれに教えてね」と、谷垣兵曹は河野上水を抱き寄せて囁いた。上水はほほを染めて「・・・はい、わかりました。では私はまだ用事がありますので」と言ってそそくさと艦長室に入った。

ドアが閉まった。

見張兵曹と小泉兵曹は「結局わかりませんでしたね。わかったのは谷垣兵曹とあいつの関係だけです」と言ってあきれ顔で去った。

谷垣兵曹は笑い声で、「おーい。このこと絶対人に言うなよ~」と言ってる。これは絶対「言ってほしい」ということだろう、と二人は解釈したがこんなバカ話、だれも聞きたくないだろう。

正直いま「大和」のみんなの関心は<麻生分隊士と見張兵曹の恋の行方>なのだから。

 

そんなことはどうだっていい。

その日から2日後の夕方になって艦長が全員を最上甲板に集めた。艦長は、「――明日、新しい駆逐艦が呉からこちらに来ます、この艦は最新の駆逐艦で、わが「大和」の護衛任務に着くので、あすは皆揃って迎える。また、駆逐艦の艦長が大和にいらっしゃるので失礼のないように!」と訓示。

でも。

「やっぱ、駆逐艦の名前言わないなあ。そんなに極秘なのかね」

見張兵曹は居住区に戻ってから班の連中に漏らした。亀井一水も「私もおかしいと思います。普通、知っていたほうがいいと思うんですがねえ?」という。

ほかの班員も首をひねる。

「まあ、明日になりゃわかることだね」と見張兵曹が言った途端、居住区の外から「おーい、オトメチャン。ちょっと用事があるんだ、来てくんない~」と麻生分隊士の声。

絶望的な顔をする見張兵曹に兵たちは「兵曹、<旦那さん>がお呼びですよ」と笑う。見張兵曹彼らをにらみつけて「・・・巡検後、甲板整列だ!」とつぶやいた。

とたんに凍りつく兵員たち。

見張兵曹は、いやいや席を立つ。

 

そして翌日。皆朝からちょっとめかしこむ。

「長官登舷式みたいだねえ」「でも駆逐艦の出迎えにこれってちょっとおおげさじゃね?」「最新鋭だから普通と違うんだろ」

などなど、みんな言いたい放題言いながら時を待つ。

そして「総員最上甲板」の号令とともにごうごうたる足音とともに総員が最上甲板に集合する。そして整列して待つーーー

やがて「最新鋭駆逐艦」がしずしずとやってきた。

(おお、あれが)みな眼を見張ってそれを見た。見張兵曹は(陽炎型のようだなあ、、、そう目新しいとも思えんがね。中身が最新鋭なのかも)と思った。

やがて駆逐艦へ大和から内火艇が駆逐艦に行き、やがて戻ってきた。大和に、森上参謀とともに駆逐艦の艦長とおぼしき人が登ってくる。

(知らん顔じゃな。姉さんでなくってよかった)見張兵曹はほっとした。

森上参謀と、駆逐艦長が梨賀艦長の前に進みあらためて敬礼を交わした。

梨賀艦長は、乗組員のほうに向きなおるとでかい声で「こちらが今度、わが艦の護衛艦として任務に着いてくださる<駆逐艦無花果艦長>の、、、」と言った途端。

総員の脳内で瞬間的に「イチジク浣腸」と変換された。

「大和」最上甲板に、「ぷーーーーっ!!!」と吹きだす音があふれたと見る間に、あろうことか満場の大爆笑。

件の無花果艦長・管中佐は満場の爆笑にさらされながら(だからこの艦名いやだって言ったのに。全く笑い者じゃあねえか、、こんなとこまで来てよ。こいつら大体笑いすぎ!ムカつく!)と、泣きそうになった。

森上参謀も、思わず笑いかけてあわてて笑いを引っ込めながら(これじゃあなあ、、、今まで秘密にしないほうがよかったんじゃねえのか?)と思った。

この駆逐艦の主に名前を今まで伏せていたのは、その名前から「無花果艦長、イチジク浣腸!」と笑い者にされることを恐れての処置だったが。

完全に裏目にでた。

梨賀艦長は、管無花果艦長とともに呆然と南方の風に吹かれていた―――

          

              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

駆逐艦「無花果」なんて存在しません。

しかし、、、本当にあったらさぞ艦長は嫌だったでしょう。「イチジク浣腸」とおんなじ音、なんてねえ。

ところで件の<イチジク浣腸>はいつごろからあったんでしょうね、、、????


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「女だらけの戦艦大和」 ・ 「特進」かけて発明を!

「女だらけの戦艦大和」の乗り組み員は今日もみんな元気です。

各分隊とも張りきっており、士気は上がりっぱなしの状態である。そんな「大和」に、また一つの知らせがもたらされた。

艦長はその知らせを司令部から受け取った際「これにウチから採用されることがあったら最高の名誉だよね!!総員に頑張るよう言ってちょうだいよ、副長」と、檄を飛ばした。

何なのか、、と言えば、戦局を有利に持ってゆくための新しい兵器のアイディアを広く海軍全体から求める、というもの。

さっそく副長はこれを張り紙にして艦内のいたるところに張り出す。

またもや群がる兵員たち――――

「今度はなーに?え、新しい兵器を考案しよう、だって。何!!採用者は一階級特進だって!?」この特典には皆色めき立つ。たかが一階級、というなかれ。その一階級上がるのに皆どれほど苦労するのか。

それが一つのアイディアで上がれるというなら、やらずばなるまい。皆が色めき立つのは当然だ。

――――しかし、またここに一人だけ無関心の兵曹が。 もう言うまでもない見張兵曹だ。こういう触書が出るたびに何かしら遭わなくっていい災難に遭っている。もう今度という今度は絶対かかわらない、と心に決めた。

一緒に見ていた小泉兵曹は「お前はもうかかわんないよな、では今回は俺様が出す。それで一階級特進だ!悪いが貴様の上行かせてもらうからな!」とさも自信満々なように言う。

「お好きになさいませ」と、見張兵曹はぼそっと言った。確かに同期に一階級特進されるといろいろ面倒なことがあるが、その分何か普段のおこないでそれこそ「金鵄勲章」ものの働きをすれば―――と、なんだか甘い考えでいた。そんな場はあまりというかほとんどないのに、ね。

小泉兵曹と別れ、一人最上甲板に歩き出す見張兵曹の前に、また来たーーー麻生分隊士。

(うわあ、、、また来やがった)

見張兵曹はすっごく嫌な気がしてさっと敬礼すると立ち去ろうとしたが、ガっと肩を掴まれた。はっと身を固くする見張兵曹。

麻生分隊士は口をひん曲げて満面の笑みで兵曹を壁に押し付ける。

「あの、、、分隊士。何か御用でありますか、、、」と気弱に言う兵曹に、麻生分隊士は「そう、御用があるの。知ってるよなあ、あの件。もう見たろう?」と言いながら体を押し付けてくる。

見張兵曹は困って「いえ、、私は何も見ておりません。知りません」と言った。麻生分隊士は「じゃあ教えてやろう。海軍が新しい兵器のアイディアを募集しとるんだ、これにうまく採用されると一階級特進。そしてなにより「大和」の名誉だ」

「はあ」

「はあ、じゃない。俺は貴様を高く買ってるんだ、あの艦長の水虫の件からな。あれは大したもんだったよなあ?」

「はあ (あの後、こんなこと考えやがってってキレたのは誰だよ)」

「はあ、じゃない。だから今回もやれ、と言ってんだよ鈍い奴だな。もしこれで貴様の案が採用されたら貴様に大和に航海科の3重の名誉だぞ。いいか、やれ」と、麻生分隊士はもう有無を言わさない勢いだ。

しかし見張兵曹は首を振って「今回は小泉兵曹がうんと乗り気であります。ですから今回は私は遠慮いたします、、、」と言いかけた。

麻生分隊士は「なんでだよ~」とさらに体を押し付ける。鉄の壁と、麻生分隊士の体の間に挟まって、ちょっと苦しい。これを「快感」と思うには見張兵曹はまだ経験がなさすぎた。というか、まだない。

「お前じゃなきゃ、ダメなんだよ。俺はあいつよりお前が好き適任だと思うんだよ。これは分隊士命令だぞ、いいか、明日までに考えて提出しろよ」と、麻生分隊士は人がいないのをいいことに勢いに乗りやがって見張兵曹を抱きしめた。またこの展開だ。

「わっかりましたよ!!だからこういうことは止めてください。誤解されるじゃないですか」見張兵曹は麻生分隊士を軽く押し戻した。

分隊士はニコッと笑って「そうか!わかってくれたか。―――採用されたら俺からも褒美やるからな、期待してろよ」と言うなり兵曹の胸をつかんだ。

「イヤッ!!」と思わずしゃがみこむ兵曹を見下ろして「―――やっぱ、、<ヴァ―>なのか?」とつぶやく分隊士。「なんでありますか?」と問う見張兵曹に「いやなんでもない、ちゃんとやっとけ」と言って麻生分隊士はその場を離れる。

見張兵曹はいやはやまたエライことになっちゃった、と深いため息をつくのだった。

 

 さて、でもいったい新しい兵器と言ってもどんなものを考えればいいんだろう?見張兵曹は機関学校を出てるわけでもないし、当然兵学校も失敗してるくらいの頭しかない(それでも小泉兵曹と「航海学校」普通科は履修している、いわゆる<章>持ちだ。エヘン)。

ならば、と見張兵曹は考え直した。今まで自分の配置で感じたことを反映させればいいんじゃないか、と。

そうなるといろいろあるんだが、特に困るのが「潜水艦」の識別である。

いつだったか「大和」の近くに所属不明の潜水艦の姿があり、潜望鏡が出ている。亀井一水が「班長、アレ敵潜のではないでしょうか?」とせっぱつまった顔で問うてきたことがありその際見張兵曹は「敵潜」と判断し皆同意した。艦長も同意したんだあの時。

艦長が「<敵潜>に対し砲撃開始!」を命じたがそれが実は新型の「特殊潜航艇」で、その時は不幸中の幸いで砲弾は当たらなかったが、あとでこの「特殊潜航艇」の所属戦隊から厳重抗議が来た、苦い思い出がある。

(そうだ、わがほうに有利で敵に不利なことを考えりゃあいいって言ってたよな)―――やおら勢い付いた見張兵曹は、紙に向かうと何やら書き始めた―――。

 

 そして一ヶ月後。

艦長の下に海軍省から一通の封筒が届いた。開けると例の新型兵器に関して、「大和」の乗組員のアイディアを採用したい、ということが書かれていて艦長は狂喜乱舞。副長があわてて麻生分隊士に連絡し麻生分隊士は見張兵曹を伴って艦長室に来た。

「いや~おめでとう、君のアイディア採用だって!これは名誉なことだよ君にも分隊にもそして「大和」にも!!」と艦長興奮気味。

あす、その新兵器を試作したものをここに持ってくるので立ち会うようにとの海軍省からの通知を読み上げた。

やっぱり見張兵曹も人の子、悪い気はしない。麻生分隊士と帰る道々顔がニヤつく。それを見て分隊士、「よかったなあ、やっぱりお前に頼んでよかったよ。俺もうれしいよ、、、オトメチャン」と言いいきなり廊下の真ん中で抱きしめた。

・・・・・オトメちゃん!?

見張兵曹は抱きしめられながらビクついた。いったい何なんだ、<オトメちゃん>とは、、、。確かに私は<トメ>だけど。

分隊士は「おれのかわいいオトメチャン、、明日な」と言ってあろうことか、兵曹の唇に自分のそれをちょっとつけて「じゃな!」とさわやかに去った。

呆然とする兵曹。わきあがる吐き気。

それをたまたま通りかかって目撃した予備少尉は「…本当だったんだあ!」と妙に感激している。

 

 翌日。

「大和」に海軍省や呉工廠の技官が来た。最上甲板で艦長・副長・参謀などに交じって麻生分隊士と見張兵曹も並ぶ。

やがて乗り込んできた海軍省のエライさんの顔を見て見張兵曹は(げえっ!!)と思った、なぜならその一人が彼女の二番目の姉、だったからだ。見つかるまい、と小さくなる兵曹。

「―――これがその新兵器であります。味方に有利に、敵に不利にというのがその根底にあるようです」技官が言った。そして彼女が指さすほうを見ると、、、

「何あれ?」と思わず麻生分隊士は声に出してしまった。だって、洋上にまるでネス湖のネッシーのようなものがその頭を突き出しているのだ。

「あれがそれであります。考案書によればこれが味方識別の潜望鏡であるとのこと。なぜなら対潜見張りにおいて今のままでは敵か味方か識別ができにくいことが多いという現場の声を踏まえ、その意見を大事にした結果採用されたものであります」

マジかい!? 森上参謀は大笑いしたいのだが、ぐっとこらえた。

「これで不幸な同士討ちは避けられます」と自信満々の技官とお偉いさん。見張兵曹はと見れば、これもうんうんと得意気にうなずいている。

「これから試験的に運用し、手直しの必要があればした上で正式採用になるだろう。これで敵を欺けば、戦局はわがほうの物!」と海軍省も胸を張る。

「で。これを考案したのは下士官でしたっけ?」という海軍省に艦長は「はい、下士官であります」と答えた。

「そう、立派ですよ。これからも精進するように。では、考案者に褒美を」。海軍省は見張兵曹を見た、、、そのとたん「オトメチャン!!??」と海軍省が叫んだ。あちゃ~、とうなだれる見張兵曹。「え!<オトメチャン>??」と艦長・副長・参謀、そして麻生分隊士が声を上げた。

海軍省は「やっぱりオトメチャンだったんだあ!、、、あ、これ私の末の妹。やっぱり凄いなあ、私の妹!!」と見張兵曹の手を取って振り回した。今までと人が変わったような満面の笑顔。

麻生分隊士だけが「触れるんじゃねえ、、、私のオトメチャンだ、、、」と殺気付いている。そんな皆をしり目に「オトメチャン、これご褒美。士官じゃないから特進は無理だけど、これ記念品」と、海軍省の姉は大きな箱を渡した。

なんと、、、一階級特進は夢!?艦長なんで嘘言ったんだ?

艦長はうそを言ったわけじゃなかったが、読み違っていた。大和に来た封筒の中には「士官以上は一階級特進、下士官以下は記念品贈呈」とあったのを艦長は「~下士官以下は~」をすっ飛ばしていたのだ。

特進の夢を断たれた見張兵曹は姉と技官をただ呆然と見送ったのである――――

 

 その晩、見張兵曹は今日もらった箱を抱えて麻生分隊士のもとを訪ねた。いやな思い出の士官室だが仕方ない。鍵をかけられないように用心しながら入室し箱を机に置く。

「分隊士にもお分け出来るようなら、と思いまして」という見張兵曹に麻生分隊士は「、、、、オトメチャン、、、なんてかわいいことを」と、彼女の後ろに来た。

見張兵曹が箱のふたを開けると、そこには新品の「一種軍装」と、新しいシャツ、バンド、下着などが入っていた。そして一通の手紙、手紙には先だっての母の非礼をわびる内容が書かれていて「―――母やほかの兄弟がどう思っているか知りませんが、オトメチャンは私のかわいい妹です――」と書かれていた。

「姉さん――」と、見張兵曹がしんみりした瞬間!

「オトメチャンは俺のものだ!!だれにも渡さん!!」と、たけり狂った麻生分隊士が見張兵曹を押し倒し、兵曹は「いやあ!!まただあ、誰か来てくださいーーー!!」と叫んだが、、、皆もう「また例の<プレー>だろう?ほっといてやれよ」と笑って、来てはくれなかった。

 

ともかく、特進はもらえなかったものの新しい軍装とそして何より、一人の姉の愛情をもらえたのがうれしい限りの見張兵曹であった。ただちょっと軍装がでかかったのが困りましたがね。

 

しかし、あれから麻生分隊士は、見張兵曹の姉に対して闘争心を燃やして「絶対あの人には渡さない!」と日々息巻いている――――

 

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

こんな変な兵器、、、日本の戦局を「回天」させられるのでしょうか。

まあ、必要は発明の母と言いますのでね、、(笑い)。さあ、見張兵曹のお姉さんの出現は今後どう話の展開にかかわるのか、かかわらないのか、、、。

乞うご期待であります。


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「女だらけの戦艦大和」 ・ 新兵さんの<大和>!?

「女だらけの戦艦大和」には、多数の新米水兵さんも乗っている。

今回はそんな彼女らのつぶやきを集めてみた、彼女らには日記をつけることが許されていないので、これはそのつぶやきを「風」が書き留めたもの――なんて、すっごい乙女っぽい言い回し~。

 

>日本海軍最大の戦艦と言われる「大和」に乗って、やっと半年になります。お父さんお母さんお元気でしょうか、、、私は毎日元気でやっています。

嬉しいことに私の配置の班の皆さんはとってもいい人ばかりで、食事のときには私のおかずの皿から私の好物の大根の煮物をこっそりつまんでいったり、寸法が合わない!と下着をこっそり私のと取り換えていったり。ちょっと抗議したらその晩には、太い木の棒でお尻を叩いてくれました、はれ上がって痛くって寝られませんでした。でもありがたいご指導だと、感謝しています(号泣)。この仇はそのうち新兵が入ってきたら取ってやる。いつか新しい兵が入ってきたら同じように親身に指導してあげようと心に誓いました。 <機銃分隊 辻本一水>

 

>はっきり言って食事がうまいです。妹たちにも食べさせてあげたいくらいのうまさです。海兵団のお食事もおいしかったけど、ここのご飯は最高です。

でも、、、、時々班長が「あんまり食うと太っちゃうぞ」とありがたい計らいをなさってくださってご飯の盛りがが私たちには少なく、下士官にてんこ盛りになるのは悲しいです。こないだ私の大好きなぶりの照り煮をぱくられた時は正直泣きたかったです・・・。 <副砲 前原一水>

 

>みんな、不平不満が多すぎです!今、日本は正念場です、この戦いに負けるようなことがあってはならないのです。そのためには私たちはちょっとくらいの先輩のゲンコツやバッターや酒保止めや飯あげやセクハラにも耐えて邁進してゆかねばなりません。そしていつか、靖国神社で皆会いましょう。・・・フハハ、私って優等生! <航海科 亀井一水>

 

>私の分隊はとってもユニークな人が多いですよ、お母さん。<笹の葉>をお化けと勘違いしてラッタルから転落して大けがする兵曹さん。水虫で苦しんでいる艦長さんにありえない治療方法を伝授し足の裏をやけどさせちゃった兵曹さん。お魚をギンバイしたら毒にあたっちゃって、死にかけた兵曹さん。自分たちが仕掛けたギンバイの後始末の悪さを私たちになすりつけて知らん顔の兵曹さん。

何があったか知りませんが、分隊士さんと男女の仲(あっ、女ばっかだから女女の中!?)になっちゃった兵曹さん。――-ってこれみんな同一人物でした、アハハ。 お母さん、今度面会に来るときはおはぎ持ってきてね。こし餡で願います。 <航海科 匿名希望>

 

>今日も缶室はチョ―暑い、、、交代で勤務ではありますがもともとがデリケートな私にはちょっと不向きな職場であります。汗臭くなるしお天道様をなかなか拝めないし、ほんともう耐えらんない!!艦の一番底なんですもの、、(泣)。

本当は、戦艦などの花形配置の<機銃>とか<主砲>とかに行きたいのに、希望はかないませんでした。そのうち配置換えになるといいなあ。それからうちのM兵曹長は体も態度もでかくて怖い。 <機関科 石原一水>

 

>今日も一日すっごい忙しかったです。今日は釜の蒸気でちょっぴりやけどしちゃいました。でも班長が「そんなのやけどのうちに入るかぁ!!」と気合を入れてくださったのでやけどの痛みがお尻に移って気がまぎれました。夜になって、先輩の○○上等水兵さんが勝手にてんぷらを作って私にも一つくださいました。 おいしかった、、、お母さんのてんぷらをもう一度食べたいので今度面会に来る日には持ってきてね! <主計科 中田一水>

 

>一週間前に乗艦しました。まだ全然艦内の様子が分かりません、で、昨日「兵員室はどこでしょうか?」と下士官の方に伺いましたら、全然違うところを教えてくださいまして、なぜか艦長室の前でした。M参謀が優しく兵員室に連れて行ってくださいましたが、なぜか班長に殴られました。私はうそを言った下士官の方が悪いと思うのに、、、、(泣)。 <医務科 松田一水>

 

これらのつぶやきを包んだ風は、高く高く防空指揮所の見張兵曹の耳に届く、、、兵曹ひとこと「ナマ言ってんじゃねえよ。――てか、分隊士と男女の仲の兵曹って誰のことだよ!!」

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

いずこの世界でも、新人は大変であります。気の休まるときはないんですが、それも時がたてばいい思い出、笑い話に時が変えるよ、心配いらないよ、、って奴でしょうか。

もっとも軍隊の新人は、殴られて一人前になるからちょっと、、いやうんと?大変かな。でもこれも「国のため」じゃ!! ハイ、では明日も頑張りましょう。


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「女だらけの戦艦大和」 ・ <艦長仕様>にご用心。

「女だらけの戦艦大和」艦上では、今日も訓練が行われている。

その合間合間に、小休止があったり食事があったりする。今回は烹炊班も戦闘時の訓練として「戦闘配食」を作ってみたりする。

竹の皮に包まった握り飯3個、たくあん3切れ、それにゆで卵2個。これを各配置から取りに行くのだ。「そんなの、烹炊班のやつが持って来いよ!!」―――と、麻生分隊士などはいつも怒るが、艦内は広いのでうっかり持ってゆくと烹炊員は迷子になってしまう可能性が92%くらいある、と烹炊所長の進言によりこうなったのだ。

で、その握り飯の包みを載せたデカイお盆のようなものを伝令の森田上水が受け取りに行き、皆に配る。

「おお、、ありがとう」と、見張兵曹と小泉兵曹の二人も受け取って、指揮所の床に座り込んで竹の包みを開こうとする。

ふっと見張兵曹が「ああ、、<竹小僧>思い出すねえ~」という、小泉兵曹がちょっと嫌な顔をした。 「やめてくれ。もう忘れたい」

見張兵曹ふふっと笑って竹皮の紐をほどく―――と。

「―――あれ」

中身が、なんか違うような気がする。兵員の配食は握り飯にたくあん、卵なのだが、今日見張兵曹が受け取ったものにはなんと<牛肉の大和煮>に、しかも握り飯には「ふりかけ」とおぼしきものが掛けてある。しかもデカイ。たくあんは厚切り、卵もLサイズ。

「・・・・・?????」

見張兵曹はそっと、隣の小泉兵曹の分をのぞきこむ。こちらはいたって普通の戦闘配食である。 一向に包みを開かない見張兵曹に、小泉兵曹は「ん?どうしたん?食わないんじゃ、食ってやろうか?」と笑う。

見張兵曹、ちょっと悩んだが海兵団から一緒の友に隠し事はいかんと思い、彼女を指揮所の後ろにいざなった。そして「ちょっと見てよ、、、」と例の包みを開いた。

「おうわああ、、、」と、小泉兵曹の口から声が漏れる。見張兵曹はあたりを見回して「しーーーっ!!」と制した。

で、「これ、、すごくね?一体どうしたんだろうねぇ。なんかの間違いかな」と、見張兵曹は心なしか嬉しそうである。

小泉兵曹はうらやましげに「今日なんかの記念日か?――いや、だったらみんながこの配食なはずだよな。あ!貴様の特別な記念日?・・・ああーーーー!!」といきなりでかい声を出した。

なんだよ、と驚く見張兵曹の耳にそっと口を寄せて小泉兵曹は「貴様あ、、、あの日、、、やったな」と笑いを含んだ声で言った。

「何をやるんだよ?」という見張兵曹に小泉兵曹は「上陸の日。 あの料亭でいい男呼んだだろうが、で、やったんだろう?彼と。<女>になった記念かもよ」

見張兵曹思わずのけぞった、、、何を言うかと思えばコイツは・・・・

「やってないったら。あの男、いざとなったらおれの初々しさに恐れをなして逃げやがった。詰まんねえ男よ。だから、してない」と、見張兵曹は言ったが真実は見張兵曹のほうが怖くなって<入り口で>戦闘中止、こっそり裏口から逃げたのだ。これを敵前逃亡、という。まあ、初めてだから仕方ないか。

それはさておき。

「おい、食っちゃおうぜ。なんかの間違いで返せとかいわれたら困る。貴様のと、この<豪華配食>を一緒にして食おう」

見張兵曹はそういうと、小泉兵曹と食い始めた。やはり意地汚い二人。

その時、指揮所に梨賀艦長が上がってきた。「あー、腹減ったなあ、さて俺の飯はっと。―――おお、ここか!」と、従兵が置いたデッキチェアーに載せられた包みを手に取り、座った。このデッキチェアー、指揮所で使うのは邪魔だと副長や森上参謀にさんざっぱら言われてるのにもかかわらず、「やーだよ!」とはねつけてる代物。 副長などは(いつか海にたたきこんでやる!)と、闘志を燃やしているのだ。

そんなことはどうでもいいが。

腹減った、腹減ったと艦長が歌うようにつぶやきながら包みを開いた。とたんに

「あれっ!!」

と艦長が小さく叫ぶ。隣で艦長なんぞ待たずに食っていた副長と森上参謀が「どーしました?」と聞いた。

艦長、ちょっと困ったように「あのねえ、、このご飯艦長仕様と違うんだけど。ほら見てえ」と、包みを差し出す。

「ほお、、違いますねえ」と副長が中身と艦長を見比べる。森上参謀がやはりのぞきこんで「これ、、、兵食だよ」と言ってなぜか爆笑してしまった。艦長はちょっと傷ついたみたいで「笑わないでよ!あの<牛肉の大和煮>が私の大好物なんだから!森上参謀にはあれがどんなに大事なもんだかわかんないくせに!森上参謀の馬鹿!」とすねた。

(そんなこと、知らんわ)と心の中で参謀はうなったがここは参謀として大人になんないといけない。

「じゃ、ちょっと烹炊所に聞いてみますからね!」と、電話を使って烹炊所と通話。

やがて参謀、「烹炊所に聞きましたが、ちゃんと艦長の分は印をつけて出したそうですよ、いつもみたく」。

艦長は「じゃあ、だれかが食ったな!今からここの全員調査!総員整列してっ!!」と、もう怒り心頭。苦笑する副長。

「総員整列だってよ」と、ぞろぞろ艦長の前に来る航海科員や通信科の兵員たち。その「整列」の号令を、見張兵曹・小泉兵曹も聞いて「なんだよ、まったく。少し休ませろって―の!」と文句言いながら立ち上がる。動作がのろい、、、それでもこいつら軍人か!?

途中、見張兵曹は竹の包みを通りかかった亀井一水のポケットに「これ、始末しといて」とねじ込んだ。

そして、皆揃って艦長の前に。しかしここは狭い。

艦長は自分の昼飯が紛失したことにたいそうお怒りである。「くった奴は出てきて!怒んないから!」と言うが、これはもうこの時点で真っ赤なウソである。きっと正直に名乗り出たらバッター制裁なんてもんじゃない、舷側に逆さに吊るされて半身海に浸けられて「大和」を全速で走らす罰が待っていることは明白。

見張兵曹と小泉兵曹は(やばいい、、、)とそっとお互いを見やった。もしかして握り飯のふりかけがついてやしないか、と、こっそりお互いをチェック。(大丈夫、、、)

その時、艦長が「誰も名乗り出ないなんて、なんて強情な人たち!!艦長怒った!今から持ち物検査するから、もし私のご飯の残骸でも出たら覚悟してよ!」と怒鳴り、なんだか妙な表情で副長・森上参謀と、艦長も自らが各員の持ち物をチェックして回る。

見張兵曹と小泉兵曹はちょっと緊張したが、無事パス。

ほっとした次の瞬間――――

「あ、、、あなただったの!!!!」と艦長の絶叫。

何事かと思えば、艦長は亀井一水のポケットから竹の皮を見つけたのだ。

「・・・え!!ええええ!!!???」とわけわかんない亀井一水。艦長は、竹の皮を振りかざして「えええ、じゃないよっ!!この皮が証拠じゃないの、よくも私の、、、<大和煮>返せ!!」と泣きそうだ。

「なんであれが艦長のだってわかるんだよ?」と、見張兵曹は小声で言った。それを聞いていたかのように艦長は皮を高く皆に見えるように上げて「ここっ!!ここに印があるの!これは艦長仕様のおひるごはんなの!!」

見れば。

皮の両端がきれいな飾り切りになっているではないか。これはどっちが上になってもこのはじっこを見れば艦長仕様だとわかるように、という烹炊班長の心使いだったのだが。

何も知らなかった森田上水は何気に見張兵曹に渡し、兵曹も知らなかったと見え疑うこともなく受け取ってしまった。

まさに伝達不行き届きであるいは責めらるるべきは烹炊班長かも、、なのだが、今の艦長にはそこまで考えをめぐらす余裕はない。

亀井一水、初めてここで口を開き「あの、、これはさっき見張兵曹に渡されたものなんです、、、」と言いかけたが「もう!!人のせいにするなんてあんた最低!!」と、艦長にしかられてしまった。

その後、亀井一水は艦長室で絞られた後、最上甲板で両手にバケツを持って3時間立たされた。これはキツカッタ。

その晩、亀井一水が見張兵曹に抗議すると兵曹は「軍隊生活ってのはなあ、相身互いなんだよ。お互いに助け合うのが軍隊なんだよ」と全くわけわかんない論理にもなってない言葉を亀井一水にぶつけ、しかも「それ以上四の五の言いやがったらぶっ飛ばす!!」といきなり壁に掛けてある<バッター>をひっつかんで振り回し始めた。やはりちょっと後ろめたいのかなんなのか。

亀井一水はこないだ見張兵曹が麻生分隊士に襲われてるとこを助けたのは間違いだった、と後悔した。もう二度とああいう場面に出会っても、知らん顔を決め込もうと心に決めた。

(あんな人、、、麻生分隊士に食われてしまええ!!)

それはきっと、いや絶対「正解」。

 

さてあの後腹をすかした艦長はどうしたか?

最上甲板に降りた艦長はそこにひとつ残っていた握り飯の包みを発見し「あ!!これ私の分!!もらったーー!!」と、ぱくってしまった。艦長がホクホク顔で去った後、そこに来た機銃の指揮官の少尉は自分のおひるがないことに激怒し―――結局防空指揮所で起こったこととおんなじことがここでも繰り広げられたのであった。

ああ、、人間の業なのか。

戦訓・食い物の恨みは恐ろしい。

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

変な話です。前回の後日譚もちょっと混ぜてあります。

実はこれ書いてる私自身が腹減っています。ああ、握り飯食べたいよ~~~~。

「大和」(に限んないかもですが)の、戦闘配食は握り飯にたくあんとかゆで卵だったそうですね。でも当時の食糧事情を思えばこれはとても恵まれていたのでしょう。イインダヨ、だって兵隊さんなんだも―――ン。

<艦長仕様>の戦闘配食なんてあったのかなぁ~(笑)。あったらいいね。


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「女だらけの戦艦大和」 ・ 分隊士の優しさはやっぱり危険、、、!!??

「女だらけの戦艦大和」呉帰港後最初の上陸が終わって皆がまた、揃った。

今日は一日、「戦闘訓練」であるが、重油の節約のため外海には出ないで、呉の沖のブイに停泊したまま、対空戦闘訓練だ。

普段は着ない戦闘服を皆着用しての訓練に「なんで着るんだろうね、、汚れちゃうのになあ」と兵からは文句も出たが、艦長が「そのほうがカッコいいもん!!」と言い張って、そう決まった。

朝から始まった訓練も、夕方1600には終わり皆それぞれの居住区に戻って夕食の支度をするものやまだ配置に残って兵器の整備に余念のない者等、いろいろである。

あと1時間ほどで夕食、というとき、13分隊の麻生分隊士は廊下で見張兵曹と行きあった。麻生分隊士は、例の上陸日の見張兵曹と母親の一件を、同じ航海科の少尉から聞いていた。

いきなり話しかけても、、、、と思って今まであえて声はかけなかったのだが、やはりここは上司として、部下が困っていたり悩んでいるのを見逃すわけにはいかんーーーと、声をかけることにした。

見張兵曹はまだ戦闘服のまんまで、防毒マスクの吸収缶も背負ったままである、こんなことは今までなかった。以前は訓練が終わればいの一番に着かえたり用具を収めていたのに。心なしか目線を落として歩く見張兵曹に、麻生分隊士は「おお、見張兵曹。――ちょっといいか、話があるんだが」と話しかけた。

無理に笑っているので口元が妙に歪んでいる。でも、今日の見張兵曹はいつものように逃げ腰ではなかった。

なんだか訓練中とは全く違ううつろな眼の色で「・・・はい」と素直に答え、麻生分隊士の個室に入った。デスクや、ベッドのあるはじめて入る士官の個室を見張兵曹はぼーっと眺めた。

そんな彼女に麻生分隊士は「なあ、、、その、、、聞いたんだが、あの日えらい目に会ったそうだな。ひどいことを言われたらしいな」と、どう切り出したらいいか迷いながらも言った。とたんに見張兵曹の目に涙が盛り上がった。そしてポロポロ…っとその涙をこぼすと、

「・・・・そうなんです。母親は私を<嫌い>だと言いました。そして艦内で大暴れしたくせにとか飛行機の中で戻したくせにとか、、、言いたい放題言いました、それで<御奉公>なもんかって、、、、」と一気に言い、ひくひくと泣きだす。

麻生分隊士はまあ確かに航空機の中で吐いちゃったら<御奉公>とは言い難いが、それもわざとじゃないことは分かっていた。艦長のやけどだって、一生懸命考えた末のことだし。

麻生分隊士はなんだかとても見張兵曹がかわいそうになってきた。

見張兵曹は泣きながら、「私は出来が悪いんであります、姉さんたちはみんな兵学校を出て、海軍省だの軍令部だの機関学校の教官だの、駆逐艦長だの水雷戦隊司令だの、、、、いろいろなってますが、私だけであります、兵学校に入れなかったのは。それもみな私が出来が悪いから、だからだそうであります、、、で、、、、私は<もらいっ子>なんだそうであります」と一気に言って号泣した。

思わず麻生分隊士も泣きそうになった、彼女自身たたき上げでここまで来たので、苦労を知らないわけじゃない。兵学校出の士官に「特務、特務」と馬鹿にされた日を思い出した。

しかしまだ、麻生分隊士はいい。見張兵曹は<もらいっ子>と知りたくない、知らなくっていい事実を暴露されてしまったのだからその心の傷はいかばかりかーーー

麻生分隊士は思わず見張兵曹をしっかり抱きしめた。「かわいそうに、、、思いっきり泣け、泣いてすっきりしろよ。いいか貴様は決して出来の悪い奴なんかじゃねえぞ、だいたいな、出来の悪い奴は<大和>にゃ乗れねえんだからな、な?」

見張兵曹は広い麻生分隊士の胸に顔を埋めると、、、思いっきり泣きだした。この世にこれほどつらい泣き方があるんだろうか、と麻生分隊士は思った。・・・そして。

麻生分隊士の手が見張兵曹の肩の防毒マスク吸収缶のベルトを外した。床にそっと落とす。

激しく泣きじゃくっている見張兵曹の頭をなでまわし、庇を後ろに回してかぶったままの戦闘帽もそっと床に落とす。

やがて勝手に気分が高まってしまった麻生分隊士は、泣き続ける見張兵曹を抱き上げた―――そして自分のベッドに横たえる。自分は兵曹の上に重なる。そして、見張兵曹を激しく抱きしめた―――。

―――なんだか、危ない展開だ――― 

見張兵曹はまだ、麻生の胸で「お母さん、、、お母さん、、、」と泣いている。母親にかわいがられた記憶のない見張兵曹を、麻生は不憫に思った。

しかし、、手だけは確実にやばい方向に向かって動き出している。見張兵曹の戦闘服のボタンをはずした。夢中で泣いてる見張兵曹はそんなことには気づいていないようだ、、、かなり危険。

麻生分隊士は、さらにそれを脱がすと、床に放った。その下のシャツのボタンをすべて外すーーもう絶対絶命。

それも床に放って、息を荒げた麻生分隊士はとうとう、見張兵曹の軍袴のバンドに手をかけて、外し始めた。――これはもう、貞操の危機だ。

その時、やっと顔を上げた見張兵曹が、震える声で「・・・何をなさってるんですか、分隊士?」と聞いた。ふと横を見ると今まで着ていた戦闘服やら吸収缶が床に乱れて置かれているではないか!! しかも、バンドが緩んでいるじゃないか。

「!!!ぶ、、、分隊士、私はあの、、、」とあらがったがもう、麻生分隊士は止まらないようだ――南無三!

「貴様、かわいいやつだなあ。じっとしてろよ、いいな?」―――まるで強姦魔のようなセリフを麻生分隊士は吐いた。見張兵曹、やっと自分が今までずっと嫌がって怖がって恐れてきた最悪の状態に置かれていることを認識した。泣いていたことでもやもやしていた意識がぱっと晴れた。

「いやああ!!!お願いです、やめてくださいぃーーーー!!!」ベッドの上で暴れる見張兵曹。麻生分隊士は「騒ぐなよ、、、もう<ヴァー>じゃないんだろ?」とまたまた強姦魔発言。

見張兵曹は必死に抵抗しながら「そんなこと関係ないじゃないですか~、お願いですから離してくださいよ~」と泣いた。

その時ドアがノックもそこそこにガバッ、、、と開いて、亀井一水が「失礼いたしま~す、、、お食事のじか、、、、」と言いかけて固まった。

床には戦闘服が脱ぎ棄てられ、目線を部屋の奥にやるとそこのベッドでは半裸状態にされた見張兵曹が麻生分隊士に抑え込まれて泣いているではないか!!

「班長!!」亀井一水の、チョーでかい声が響き渡った。しかも普通の声音じゃあない、そうだろう、自分の<班長>が今、目の前で大変な目に会ってるところだ。「どうした!?」と、どやどやと他分隊の分隊士が麻生分隊士の部屋に突入してきた。「おお!!すっげえ!!」

さすがに麻生分隊士も我に返り動きを止めた。見張兵曹はほかの分隊のものに助け出され難を逃れた―――ああ、、良かった。貞操は守られた。

 

二人は事情を艦長・副長に聴取されたが、前後の事情でお構いなしとなった。マジか?

艦長は「いい分隊士だねえ、そこまで部下を思いやるなんて。肌を合わせるところに信頼が生まれるんだろうねえ」とちょっと的外れな感激の仕方をしているが。

 

食事が終わり、巡検もすんで消灯前のひと時、最上甲板にまた麻生分隊士と見張兵曹はいた。今度は小泉兵曹も一緒だ。見張りの<見張り>ってところか。

「・・・・すまなかったな、また恥をかかしてしまった」とうなだれる分隊士に、見張兵曹は「いえ、、いいんです。分隊士の優しいお心が分かりました。私こそ大騒ぎをしてしまって申し訳ございません」と言って笑って見せた。

小泉兵曹が、そんな二人を見守っている。艦のはるか下で、波がそっと打ち付ける音がしている。

「つらかったんだな、ほんとに。貴様の泣き方に思わずああなってしまったんだよ。いとおしくなってしまって」麻生分隊士はそう告白して立ち上がり「さあ、今日はもう寝ろ。明日も頑張らんとな」と言って笑った。

口元のゆがみも今日はキュートに思える見張兵曹と、小泉兵曹であった――――

           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

なんだか話の路線がおかしくなってしまいました(赤面)。このような話を書くつもりは毛頭なかったのでありますが、やはり、、避けられないのでした。人間の「佐賀」じゃない、「性(さが、と読んで!)」なのでありました。

許してえ。

*なお<ヴァー>とは言わずもがなのヴァ―ジンのこと。海軍では男性にもこの<ヴァ―>を使っていたようですね、う~ん、、、「男処女」ってこと!!?? 微妙だな。

なお「特務」という呼称は、下士官からたたき上げの士官につけられていた呼称ですが(兵学校出と区別するため?)昭和17年11月に廃止になっています。


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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