2017-10

「女だらけの戦艦大和」・みのうへさうだん(身の上相談) - 2013.12.13 Fri

大人気雑誌・『海軍きゃんきゃん』に寄せられた「みのうへさうだん」の数々をここにご紹介いたします――

 

問い1「ごさうだんいたします。

私は北辺艦隊に勤務いたすものでござゐます。大日本帝国を守る女性として名誉この上ないのござゐますが、私は実はたいへんなる冷え性でござゐまして特に足の先が冷えてたまらぬものがござ居ます。故に北方勤務は辛いこともこの上ないのでござゐます。帝国軍人としてまた、大和をとめとしてこのやうに我慢のないことではならないのですがつろうござゐます。

しかし配置換えなどさう簡単にできるわけもなく――どのやうにしたらいいのでせうか?せめて身体を温かくする秘技などござゐましたら是非教えていただきたく。(北辺艦隊に勤務する一水兵より)」

問い1への答え「北辺艦隊の勤務ご苦労さまでございます。あなた様の御苦労お察しいたします、そこで早速ではございますがおこたへさせていただきます。冷え性と言ふことで足先などがたいへんにつめたくなってお困りでせう、そんな場合にはトウガラシを用いるのが有効ではないかと存じます。トウガラシを薄き布などに包み置きそれを靴の中に入れておくのでございます。するとトウガラシの作用にてほかほかと温かくよき心地になること請け合ひでございます。なほ注意点として、トウガラシに触れた手で陰部などに触れますとこれはたいへんなる惨事を招きますゆえトウガラシに触れたのちに尿意を催されたる場合はまず、手を洗うことをお勧めいたします」

 

問い2「切実なる相談にぜひ乗っていただきたく存じます。

私は支那大陸某所の陸戦隊に所属するものであります。周囲の同僚も上司も皆よい人ばかりで文句はないのでござゐますが実は自分自身にたいへん不満がござゐます。それといふのも私は足が遅うござゐまして訓練の際など走る時皆に追い付けない時があります。上官からはもっと足が速くならなくてはいざといふとき死んでしまふよ、と心配されます。上官にご心配をかけるなぞしてはならぬことです。どうにかして足を早くしたひのであります。どのやうにしたらこの鈍足が少しでも早くなるでせうか。この切なる心の内をどうぞお聞き届けねがひます。(支那方面陸戦隊所属の一兵曹より)」

問い2への答え「陸戦隊の勤務ご苦労様です。周囲の人間関係に恵まれながら御自身のことでお悩みとのこと御心中お察しいたします。足が遅いといふことは場合によっては命取りになりかねません。さういうことで命を落とすのはたいへんざんねんでござゐますしもったいのうございます。そこで我々からの提案でございますが、たとへば近所から獰猛(注・海軍ではネイモウ、と読みます)な大型の犬を借りて来るかあるいは野犬がおりますでせうか?居りましたらその犬を、あなたは後ろにしたがへて置き、手にはあまり大きくはない棒などを持ちそれで犬の頭を軽く叩くか鼻をくすぐってみませう。犬が怒り心頭に発してあなたを追いかけますから、必然的にあなたは全速力を以て逃げねばなりません。かういう訓練を重ねますとあなたは知らぬ間に足が速くなる!と我々はさう、自信を持って言へるのですがいかがでせうか?なほ注意点としましては犬の頭をたたく際には思いっきり叩かないことと棒をあまり大きなものにしない、といふことです。まかり間違って犬殺しの汚名を来ては本末転倒ですし犬が気の毒です。動物愛護の精神にも反します。ともあれご健闘をお祈りいたします」

 

問い3「たいへん困っておるので相談いたします。

私はとある戦艦で副長を務める中佐でござゐます。艦長以下皆すべて幹部はよい人ばかり、否、一般将兵に至るまでえりすぐられた海軍随一の兵の集まり――だと思っていたのですがその中にどうにも困った人が居りまして悩まされております。

彼女は海軍下士官でベテランと言われる部類に入る女性ですがこれが片付けの全くできない女性でござゐまして閉口して居ります。いつぞやは彼女のチェストから妙な音や物が出てきたり、それだけではなくそのあとには彼女の捨てたきのこの生えたふんどしが艦内で大騒動を起こしたり、またごく最近では私物のゴミを艦内にまき散らしその中にはたいへん貴重―ーではない下品な私家本も混ざっていたりさらに、間違いだらけの恋文などもあって大戦艦の名折れであります。このやうな下士官がいては私の副長としての資質を問われかねません。わたしは一所懸命やっているといふのに。この下士官は誰が何度注意しても聞き入れず私としては気の抜ける思ひです。どうかいい解決法をお教へください。(某戦艦副長の中佐より)」

問い3への答え「たいへんなるお立場、御心中お察しいたします。

たまにこのやうな女子の話を内地で散見いたしますが、こと、帝国海軍軍人がとなれば看過できる話ではござゐませんね。何度注意なさっても聞かないとなればもうこの人はビョーキでござゐましょう、速やかに艦内の軍医または内地の海軍病院に受診された方がいいと思ひます。また別の観点から見ますと彼女には「汚い」「不潔」「ちらかっている」といふ状態がここち良ひのではないかとも思われます。ですのでいっそのこと彼女に散らかしてもいいような場所(部署)を与へてはいかがでせうか?と言っても艦内にそんな部署があるとは思へませんね。まあ仕方がありませんから気長に御指導してあげて下さいね、そんなことしか言ってあげられなくってごめんなさい、わたしたちのサンプルにない事例だったものでホホホ。お許しを」

 

問い4「全く海軍きゃんきゃんも堕ちたものですね。こんないい加減な回答をしていいと思っているのでせうか?相談者の中佐が気の毒だ。さういいながらもかうして相談してしまう気の弱き私をお許しくださいお母様。

さて本題ですが、私は南方の航空隊に所属する零戦の搭乗員であります。帝国海軍航空隊は連戦連勝なので不安はないのですが、それでももし敵の糞弾丸を食らったらとか母なる空母が被弾したら・・・と思うと夜も眠れません。現在機体や艦体に塗装されている「磁性塗料」だけでは何か不安ですのでもっと素晴らしき発明品がないものか?見聞広き海軍きゃんきゃんなら安易か御存じではないかと思ひ相談いたした次第。但し言っておきますが怖いから眠れないんじゃないですので。(某航空隊零戦搭乗の上飛曹より)」

問い4への答え「あなたと言う人も堕としてみたり持ち上げてみたり気分屋ですね。まあそんなことはどうでもいいのでおこたへいたします。

そのやうなことを連日夜も眠れないほどお悩みなら一度医務科をおたずねになってはいかがでせうか?あまり考え込みすぎると精神衛生上よくありません。神経衰弱になってはこまりますよ。また人間は後ろ向きな考えばかりでは本来の能力を発揮できません。帝国海軍の磁性塗料てそんなにすごいものなんですか?それならもっとそれを信用なさったらいいと思います。無理ならもっといいものを研究せよと海軍技研や海軍工廠に乗りこまれてはいかがでしょう?何事も斬り込み精神・玉砕精神でかかれば不可能はないんじゃないかしら?」

 

問い5「なんですか、この答えは!あまりに人を愚弄しては居りませんか?海きゃんの沽券にもかかわりますよ?

ともあれ私の相談を聞ひてください。わたしはとある戦艦に勤務する一兵曹です。実は私の艦には天女のごとき美しきをとめが居ります。わたしはそのをとめに恋焦がれて居りますが彼女にはもう既に相手が居ります。その相手は士官で、トテモ私が太刀打ちできる相手ではありません。それでも私はそのをとめと仲良くなりたひのです。しかし相手の士官がこわひのでなかなか親密になれません。どうしたらいいのかお教へください。(某戦艦勤務の一兵曹より)」

問い5への答え「天女のようなをとめのいる戦艦といふともしかしてあの「●和」ではないでせうか?さうだとしたらあのをとめを勝ち取るのは連合国軍を完膚なきまでたたきのめすのより難しゅうございますね。力ずくでといふ手もありますがそれをしますと肝心のをとめに嫌われてしまふといふ事も十分考へられますのでお勧めはできません。陰に隠れて、といふ手段もあるにはありますがさういう卑怯なことは帝国海軍軍人のすることではありません。

ではどうしやうか???

これは肝心のをとめの気持ちを聞いてからでないと何とも動けません。ならぬ恋に身を焦がすより新しい恋を探したらいかがでせうか?そんな素敵なをとめなら私も参戦したひです」

 

問い6「切実なる悩みを聞いてください。

私は海軍内のとある部署で働くある兵曹でござゐます。私の働く場所には正直無能な上司が多すぎます。以前、仕事で南方に一緒に行ったのですがそのさいも全く役に立たず却って行った場所の人たちに大きな迷惑をかけてしまったのでした。そのうへ、文章を書かせれば上手くない。取材をするにも突撃精神がない。そしてその尻ぬぐひをするのは私達下のもの。もうこんな生活は嫌です。あの無能な上司連中をどうにかして追いだすか閑職にまわしたひと思ふのです。こんな悩める私にどうぞ良きアドバイスを願います。(海軍内のとある部署の一兵曹より)」

問い6への答え「まあなんて気の毒なんでせう。いつの時代も何処の職場も無能な上司に使われることほどつらく悲しひことはありませんね。

・・・ちょっと待って下さい・・・文章書かせれば・・・?取材をする・・・?

ってこれもしかして私のこと!?ちょっと待ってよあなた「海きゃん」の編集部の人間ね!身内の恥をさらすんじゃないわよ!ほんといやんなっちゃうわ、もう私の悩みを誰か聞いてえ~~!」

 

―――いろいろな悩み相談があるようですがまあなんだか・・・ですね。海きゃん編集部なんだか内部分裂してないか?大丈夫なんでしょうか、私は心配です。

問い5はきっと絶対石場兵曹ですね、彼女まだオトメチャンとのことを悩んでいるんですねえ・・ちょっと可愛い!

そんな石場兵曹に歌って踊ってほしいAKB48の「恋チュン」!


「女だらけの戦艦大和」・お待ちかね、『海きゃん』!2<解決編> - 2013.03.27 Wed

『海きゃん』特別号の目次にまず、目を通す――

 

『海きゃん』特別号発刊に寄せて――山本いそ聯合艦隊司令長官

現地ルポ1・「大宮島」陸戦隊に随行取材、私はここで地獄を見た――『海きゃん』取材班

現地ルポ2・潜水艦は狭かった、巡洋艦では船酔いしまくり!――『海きゃん』取材班

グラビア特集1・南方の帝国海軍嬢の素顔

連載小説・欠落園第18回「誰がナットを外したか」(作・渡辺淳子少佐)

連載漫画・イボちゃん (作・植田まさよ中佐)

あつまれ最上甲板・今回も読者のみなさんの面白い投書がいっぱいだよ!

現地ルポ3・トレーラーの弩級艦にお邪魔しました!――『海きゃん』取材班

現地ルポ4・私はトレーラーに奇人変人を見た!――『海きゃん』取材班

グラビア特集2・陸戦隊、トレーラー碇泊の弩級艦、トレーラーの街

特別グラビア・帝国海軍最後の「処女(をとめ)」・私をその眼で・・・

 

ざっとこんな具合だが、さっそく石場兵曹が「おお、特別グラビアを見たい、見たい!」と騒ぎ出す。石場兵曹はオトメチャンが大好きだから仕方がないのだが、ほかの連中――小泉や石川――たちが「気落ちはわかるがここは最初っから読もうや」とたしなめて渋々最初から。

「山本長官の巻頭言はあとでええわ、えらいさんの文章は難しいていけんけえ」

と石場兵曹がいいこれにはみんなが賛成。すっ飛ばして次へ。

「ええと、なんじゃ?陸戦隊で地獄を見たんじゃと」と言って小泉がページをめくると『海きゃん』取材班が大宮島(グアム)で陸戦隊を取材して大変な目に遭った一部始終が書かれていて皆笑った。亀井一水が「陸戦隊について行こうというところが健気ですね、どう考えてもあの人たちの出来ることじゃないですよね」と真実を鋭く突いた一言を発し、皆さらに大笑い。

「みてみい、こいつら大宮島で陸戦訓練させられて海岸で野営してそのあと『投石訓練』したんじゃと。よう命があったもんじゃのう~」

小泉兵曹が腹を抱えて笑う。見張兵曹も笑う。小泉が「訓練に随伴、いうて邪魔しただけじゃないかねえ、ど素人がついて来て。陸戦隊もはあえらい迷惑じゃったのう、地獄を見たんは陸戦隊の方かもしれんねえ」と言って次の記事を。

「潜水艦は狭かった、言うてあったり前じゃないね?広々とした潜水艦なんか見たことも聞いたこともないで?ほんとにこの人らは海軍の軍人なんかねえ?あまりにも物を知らんけえ、恥ずかしいわ」

と言ったのは「潜水艦は狭かった、巡洋艦で船酔い云々」の記事を読んでの石場兵曹の嘆息である。皆、うんうんとうなずく。尤もこれを読んで本当にしんそこ嘆息をついているのは各潜水部隊の兵員嬢たちであるが。

グラビア特集1は各地の海軍嬢たちの勤務や普段の生活の様子が収められている。中には何処の艦なのだろうか、胸や褌もあらわにして雑魚寝の兵たちが写っている。また、慰安所に順番待ちで並ぶ海軍嬢の列まで撮られ、長妻兵曹などは「俺写ってないじゃろうねえ?万が一姉さんがこれを読んだら一大事じゃけえ」と必死で写真に見入る。長妻兵曹の姉の夫は海軍工廠の勤務だから『海きゃん』を入手できる。身重な姉に衝撃を与えたくない、というけなげな妹の思いである。

 

石川水兵長が「あ、私連載漫画の『イボちゃん』好きです!読まして下さい」と言ってページをすっ飛ばす。小泉兵曹が「まあ、ええわ。うちは注文出したけえあとでゆっくり読めるけえ」と石川水兵長が連載漫画を読むのを見ている。

石川水兵長は「ああ~面白かった」というと本を皆の前に戻した。亀井一水が、「トレーラーの記事を読みましょうよ、うちらがどんなに書かれてるか、はよう知りたいけえ」というと石場兵曹がさっと「現地ルポ3」のページをめくる。

見開きいっぱいに『大和』の前甲板から見た前牆楼の雄姿が写っていてこれには皆感動した。「『大和』は誰が何と言うても帝国海軍一の軍艦じゃわ、こうして見とっても胸が震えるわ・・・」とオトメチャンがつぶやく。

記事には『大和』の艦内の様子が書かれていて、「弾薬庫の前に立っていた当番兵に殴り倒された我が取材班(武田水兵長)」の写真も出ていて見張兵曹は「ああ、弾薬庫の当番兵言うたら内田水兵長じゃね。あの人は責任感が強うていつも自分から見張りを買って出とるらしいね。あの人ちいと怖そうじゃけえ、あまり近寄りとうないねえ。あの人にいきなり寄ってくなんか、『海きゃん』も命知らずじゃね」と言ってその記事を指して笑う。

そのほかにも烹炊所での事やら酒保での事、艦長室や副長の部屋、幕僚室の記事に見入るみんな。普段なかなか入れないところとあって「わあ、艦長はええなあ。こげえにふかふかなベッドで寝とるんじゃね」とか「副長の机の上にあるこれ!もしかして恋文かいな!?」とか「幕僚室で食事してみたいねえ、こんなきれいな部屋で飯食ったら普段の飯も高級料理みとう思えるん違う?」と姦しい。機銃の平野兵曹のエロいたとえ話にも「あれの洗礼受けたんか、ワハハ!」と大笑い。

そして、「帝国海軍最後の処女」を探すため防空指揮所に上がった時最初に出会った兵曹は、自分が取材対象ではないと知ると<態度が艦隊進路180度くらい豹変した>と書かれていて石場兵曹が「これ、小泉のことじゃろう?」と言ってくすくす笑った。小泉兵曹は石場をちょっとにらむと「ほいじゃって、だれでも一瞬は期待するじゃろ!」と唸った。

「トレーラーの奇人変人~」では、長妻兵曹の椰子の実落としが詳細に書かれていた。その最後は<彼女の椰子の実落としの技術はもう、だれもその右に出るものはないと言ってよい。彼女は言う、『私に勝てる、と思うものは誰でもいつでもかかってこいやあ―』と。>とこの様に締めくくられている。

石場兵曹は「ほう、こりゃあえらいことじゃ。本当に長妻兵曹に椰子の実落としの挑戦者が来たら、あいつどうするんじゃろう」とブツブツ言う。小泉兵曹が「ほりゃあ、あいつのことじゃ、一も二もなく受けるじゃろ?椰子の実落としではだれにも負けんつもりじゃからね」という。

そこまで読んだ時、午後の課業の始まる五分前を知らせる副長の声が令達機から流れ、皆いったん本を仕舞って課業の準備・・・

 

再び皆が集まったのは夜になっての居住区。

「さて、どこからじゃったかね」と石場兵曹が本を持ち出して来て開いた。小泉兵曹・見張兵曹・石川水兵長が集まる。亀井一水は同期兵のところで本を見ている。

「トレーラーの奇人変人なんか言う題名じゃ、長妻が哀れじゃね」と小泉が言ったが、「ほいでもありゃあ奇人変人の類じゃわ。・・・おい、あの変態男また出たんじゃね」とページを指差す。皆が覗き込んだところには長妻兵曹たちと海きゃん取材班が遭遇した<エガチャン>の写真。

「ほう、あの人は今度はカメに化けとったらしいわ。・・・長妻のやつ、その話せんかったね。なんでじゃろ」

小泉が首をひねったが当の長妻兵曹はあまりに衝撃的な出来事を忘れたくて話をしなかったらしい。記事には『矢矧』に座乗中の古村司令と、原艦長がゴリラとみまごうばかりの俊足と扮装で密林をかけぬけてゆき、それを生け捕りにしようとした取材班の(殘間)中尉が古村司令に投げ飛ばされた瞬間の写真も載っていた。その記事を読んだ梨賀艦長、「おう、古村もゴリラのあだ名に恥じない動きをしてるじゃん?幾つになっても切れがいいなあ!」と感心しきり。野村副長は巡検前のひと時を自室で過ごしつつ『海きゃん』を読んでいる、そして「ありゃ、私の部屋も載ってるなあ。もっときれいにした方がよかったかな」とブツブツ。森上参謀長は「俺の部屋は撮影禁止と言っといてよかったよ。うっかり大事なヘルブックが写ったら大ごとだしな」と胸をなでおろす。

『矢矧』でもこれを古村司令と原艦長が読んでいて、古村司令は「おお、もうちょっと投げる角度を深くした方が遠くへ飛んだかもね、次回はその辺を気をつけてやろう」とひとりごち、原艦長は「古村司令と本物のゴリラの顔写真を並べてみたのはいい思いつきだね、素晴らしい比較対象だ!」とひとり大笑い。

 

トレーラーの街のグラビアには、「ほう、なかなか連中もええ所を押さえたね。・・おい、これは増添算の御用達の<部分かつら>の店じゃろ?えらい繁盛しよるね」と小泉兵曹が大喜び。石川水兵長が

「なんでも売り上げがずいぶん伸びた、言うて店の女主人が喜んどってですよ。増添さんが買ってくれてからお客が来るようになった、いうて。ほいでも・・・海軍の兵隊に<はげ>やら<抜け毛>が多いんかと思われとるとしたら嫌ですがのう」

と真剣に腕を組んで言うものだから皆笑った。

 

そして。

『海軍きゃんきゃん』特別号を手にした誰もが若干の緊張と大きな期待を持ってそのページに、いよいよ手をかける。

 

特別グラビア・帝国海軍最後の「処女(をとめ)」・私をその眼で・・・

「さあ、いよいよ真打ちの登場じゃ。みんなええか」石場兵曹がいい、小泉と石川がうなずいた。オトメチャンは「うち・・・いやじゃわ」とうつむいた。

そのページが開かれ、開いた皆はそのなまめかしさに生唾を飲むこととなった。見開きいっぱいに、オトメチャンのセミヌード。悩ましげなその表情に皆はノックダウン、麻生分隊士は「なんじゃ、こげえなすごいものを出したら皆がオトメチャンを欲しがるじゃないね!いけんのう、ちいと刺激的すぎんかねえ」と頭を抱える。森上参謀長など、「これを実際に眼の前でやってほしいものだ」と思うし松本兵曹長は「トメ、かわゆいのう。ほいでもトメは裸でこんな写真を撮られて気の毒な。嫁入りに差し支えるんと違うか?」と心配したが次の瞬間ハッと顔をあげると、

「平気じゃ、トメには麻生分隊士が居るけえね」

というとほっとした表情で再びページに目を下ろした。

ともあれ・・・これを見たすべての海軍嬢たちはその晩悶々としてなかなか寝付けずその晩はどこの艦でも基地でも・・・皆寝返りばかり打っていたという。

 

そして麻生分隊士は、当直明けのオトメチャンを自室に引き込み「写真もええし、本物のオトメチャンもええ。うちはもう誰にも渡さんで!」と言ってまたもや・・・オトメチャンを愛の嵐で揉んだという――

 

            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『海きゃん』特別号、なかなか内容が濃かったようです。しかし『連載小説・欠落園』ってなんだ??官能小説ではないみたいですね。ボルトやナットが外れ落ちる物語なら、危なくて仕方ないぞ!!

あ、そうそう。『海きゃん』に投稿してそれが掲載されると『海きゃん』ロゴ入りの褌がもらえるそうですよ^^!

 ごりら

ゴリラと思ったらキングコングでした(^^ゞ、古村さんでは、ない。(写真拝借いたしました)


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「女だらけの戦艦大和」・お待ちかね、「海きゃん」!1 - 2013.03.26 Tue

みなさんは覚えておいでだろうか、『海軍きゃんきゃん』を――

 

以前大宮島(グアム)や、トレーラーに来て取材をしていった『海軍きゃんきゃん』取材班は今、内地の『海軍広報部』にあって『海きゃん』の編集に大わらわである。記事を原稿用紙に起こしてそれをゲラ刷りに、それを校正し・・・それを何度か繰り返す。そのほかにも写真の現像、紙面への割り付けやなんやかんやで徹夜の日々が続いている。

編集長は岩部二等兵曹であるが彼女は並々ならぬ才能とバイタリティーの持ち主で、部下の兵・下士官・士官を指示してゆく。その優れた采配に影の編集長の山本いそ聯合艦隊司令長官も満足げである。

今日も『海軍広報部』内には、「おーい、坂田<校正>兵曹を呼んでくれー。ここ何度もまちがっとる。チャンと言ってくれよな?」とか、「松田<製本>少尉、これはこんなでいいのか?」とか「本山<営業>中尉、印刷所へ行ってくれ~」などという声が満ち満ちている。

そんな中、筑紫少尉は『大和』の麻生少尉との約束をこっそり果たすため内地へ帰ってからこちら、深夜まで一人で作業して、やっと製本までこぎつけた。本来の『海きゃん』の編集作業と合わせてであるからもうへとへとであった。麻生少尉からは、

「オトメチャンの一番ええ写真ばかりを集めたものを写真集にしてほしいんじゃ。それからうちとの絡みの写真も。樽との絡みも・・・ちいとばかり癪じゃが入れといてほしいのう」

等々注文つけられていてそれを満足させるために筑紫少尉は神経すり減らして作業に従事した。内緒の作業ゆえレイアウトも何もかも自分でしなければならず時にもう

「ああ~~~もういやだあ、なんでこんなこと引き受けたんだか!!」

と、深夜一人の部屋で頭をかきむしって叫んだこともあった。が、その苦労も今日報われる。すっかり出来上がってきた写真集をそっと開くと、素晴らしい出来栄えの内容に心が躍った。そして、

(これなら麻生少尉も満足されることだろう)

とホッとした。が、まだ肝心の『海きゃん』本誌が出来ていないので心からほっとは出来ない筑紫少尉であった。ともあれ、(この写真集だけでも先に麻生少尉に送らないと)と思いこれもこっそり荷造りしてトレーラー碇泊中の『大和』航海科・麻生少尉あてに写真集を送った。

 

さて本来の『海きやん』は見本刷りが上がってきて、編集部の面々はそれを点検。

写野<撮影>兵曹は「ほう、いい色に出ましたね。あの海の色がちゃんと出るかどうかとても心配だったんですがよかったよかった!」とうれしげである。武田<割り付け>水兵長も、

「ああ、きちんと指定通りに出来てきましたね。この辺のトリミングが心配だったんですがきれいに出来てますし人物の切り抜きもいい感じです。それから文章もOK、言うことなしですね」

と満足感を現した。殘間<庶務>中尉が覗き込んで、

「思い出すねえ、大宮島の陸戦訓練!厳しかったねえ、えらい目に遭ったがまあいい思い出。それからトレーラーはきれいだったし変な人もいっぱいいたねえ。あの美しさがこれだけ出ればほんと、言うことなしだね」

とうなずいた。袴田<文章>兵曹も

「その上に持ってきて素晴らしい記事があるんだからあの時の様子は手に取るように分かるはずだよ?なんてったってこういう本の類は文章で持つんだからね」

と少しばかり威張った感じで胸を張る。三谷<営業>兵曹、小林<営業>兵曹は

「全部で一千部は作りますが、今回はとりあえず各艦の酒保に三百部ずつ配本します。そのあと注文という形で兵員からの希望冊数をまとめて配本します。さらにそのあとは適宜刷りまして注文に応じるという形で」

という。袴田兵曹が、

「へえ。ずいぶん小出しにするじゃん?

というと三谷兵曹は「当然です。今回のは絶対当たりますからそうそう簡単に手に入らんようにするんですよ。これこそ戦術、戦略の類ですね。結局出版も戦争と同じような頭の使い方をしないとね」と笑った。

殘間中尉がそれを聞いて

「ふーん、戦争って大変なんだねえ」

と間の抜けた感想を漏らし皆一斉に失笑。

 

さて。

先に筑紫少尉が送った「オトメチャン写真集」であるがこれが輸送船に揺られて約十日ほどでトレーラーの麻生少尉のもとに届いた。例によってたくさんの内地からの手紙や慰問品に混ざって。

その日の昼下がり、二次士官室にいた麻生少尉はに自室の従兵から「麻生少尉への郵便物であります」とその大きな包みを渡された。

「おう、ありがとう。・・・っていったい何だこりゃ」

と言った少尉の声が急に止まり、あたりをさっと見回すと他の少尉や中尉達に感づかれないようにそっとその包みを胸に抱えると二次室を出た。さりげなくしかし、あわてて自室に走りドアを編めて身を入れるとドアをばたんと閉めた。

包みの裏には「海軍広報部 筑紫哲子」と少尉の名前が書かれていて麻生少尉は(やった、約束の写真集じゃ!オトメチャンの・・・グフフ!)とうれしくてたまらなくなり、中身の本を傷つけないよう包み紙をそっと丁寧に取った。

「おお!これはすごいぞ」

麻生少尉は息を飲んで写真集を眼の前に掲げた。表紙には防暑服姿で可愛く微笑むオトメチャンがいる。(いつの間にこんなええ写真を撮ったんじゃろう)と感心した少尉は早速表紙をめくってページに眼を通す。

と、「おお、なんてすごいんじゃあ」と思わず声が高くなりあわてて口をふさぐ。何気に開いたページにはオトメチャンがトップレスで白い砂浜に寝転んでいる。オトメチャンの太ももに白い砂がついている。その表情はどこか切なげで麻生少尉は思いっきりそそられる。左のページには、オトメチャンが波打ち際にあおむけになってピンクの褌が海水にぬれている。しかもその右の乳首には小さな貝殻が乗っている、反対の乳首はそのままもろ出し。

「ウウウ・・・これはすごいとしか言いようがないで。これは絶対誰にも見せたらん。一生俺のものじゃ」

麻生少尉はうなりながらページを繰ってゆく。遂に、オトメチャンが樽美酒少尉と絡んだ指揮所での写真が出て来た。樽美酒少尉の手が、オトメチャンの胸をつかんでいてオトメチャンの表情は恥らいでいっぱい。(おお、樽のやつ結構本気でやっとらんか?あいつも隅に置けんのう・・・)

樽美酒少尉との絡みの写真を堪能するほど見た後は、自分との絡みの写真。おもに、あの砂浜での写真で麻生少尉がオトメチャンにまたがってその胸をつかんでいたり、オトメチャンの前垂の短いピンクの褌の中――つまりあの部分――に指を入れている場面、オトメチャンの胸を後ろから抱いている麻生少尉、それに砂浜に横たわったオトメチャンの上に重なって口づけをしている麻生少尉・・・

「おおう、ええわあ~」

と麻生少尉は思わずうめいた。あの日のことが鮮明に脳裏に浮かんできた。そしてさらに麻生少尉はページをめくり、自分だけの世界に没頭して行ったのだった・・・。

 

その三日後、内地からの輸送船がトレーラー碇泊の各艦艇と航空基地、陸戦部隊に警備隊のそれぞれの酒保販売分の『海軍きゃんきゃん』最新号を積んでやってきた。それらは各艦艇等に配られる。

『大和』でもさっそく、部数の限られた『海きゃん』の争奪戦が始まり、酒保長は声をからして「まず各分隊に五冊づつじゃ、その上で自分用に欲しい思うものはこの注文用紙に名前と所属分隊を書いて出せ。まとめて注文を出すから安心せえ!」と怒鳴る。するとあっという間に注文用紙が酒保長の目の前から次々と消えて、それから一分もたたないうちに「酒保長、願います!」「願います」・・・と名前と所属分隊の書かれた注文用紙が差し出された。

酒保長は「貴様ら中身も読まんうちから注文せんでもええじゃないか」と言ったが皆は「ええんです!今回の『海きゃん』は特別ですけえ。酒保長、絶対に間違いないよう願いますよ!」と言って酒保長はたじたじとなる場面もあった。

 

航海科でもさっそく小泉兵曹が『海きゃん』特別号を手に入れて指揮所へ持ってきた。その頃にはもうあちこちの配置で『海きゃん』特別号が皆の手によって開かれている。ここにいる皆ももうすでに『海きゃん』特別号の注文用紙を出してきた。

「ほう、今回は表紙からしてええねえ。青い海に艦艇が浮かんで、しかも水着の兵隊が何人かで笑うとる。いかにも南方ふうでええよねえ~」

「表紙もええが問題は中身じゃ。どがいね?」

石場兵曹が小泉兵曹から『海きゃん』を奪ってページを繰る。『海きゃん』取材班の潜水艦初体験の様子から巡洋艦での初船酔い、そして大宮島(グアム)での陸戦隊初体験と初体験のオンパレードである。

「ほうほう、なんじゃと・・・。>我々『海きゃん』取材班は海軍に入って以来初めての航海に出た。初めての潜水艦は不安いっぱいだったが乗組員嬢たちのテキパキとした働き、そして艦長・航海長・砲術長たちの素晴らしい連携に不安も消し飛んだのでありました、か。

ほうほう、>そして小笠原で乗り替えた巡洋艦。初めて乗った大きな艦に『海きゃん』取材班一同は大感激!・・・と思う間もなく取材班のほとんどがありえないくらいの船酔い!しかも取材長のZ中尉(殘間中尉のこと・筆者注)が一番具合が悪くなっちゃったんです、テヘ!・・・じゃと。なんじゃねこれは??」

石場兵曹は声に出して読んで遂に大声で笑い始めた。そして「みてみいこれ!」と言ってページの一部分を指差した。小泉兵曹や石川水兵長、見張兵曹などが覗き込むとそこには船酔いにやられて死んだように伸びている「Z中尉」の写真がある。見張兵曹が、

「これはあの殘間中尉ですのう、こげえに真っ青な顔になって気の毒じゃねえ」

と言ってそれでも笑いが漏れる。石川水兵長は、「海軍に入って初めての艦、いうてあの人たちは本当にそれまで艦に乗ったことがないんですねえ。そがいな人が海軍に居ったなんてうちははあ、信じられん」と言って感心している。

小泉兵曹が「聞いた話じゃけどな」と前置きして

「なんでも大宮島の陸戦隊の人に『お前らくずじゃ』言われたそうじゃ。帝国海軍にくずじゃと言われるようなもんが居ったなんてうちも信じられんよ」

と言って笑う。石場兵曹が「おお、大宮島の陸戦部隊ルポ言う記事もあってじゃ。面白そうじゃけえゆっくり読もうで」と言って皆輪になって『海きゃん』を覗き込む。

 

上でそんなことをしている時、麻生少尉は私室で・・・鼻血を出してベッドに横たわっていた・・・

    (次回に続きます)

 

           ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

遂に発刊、『海軍きゃんきゃん』特別号とそして、麻生少尉にだけ特別編集の「オトメチャン写真集」!実際に見てみたいものです、オトメチャンの水着姿や麻生少尉との絡み!

次回、『海きゃん』特別号の中身に迫ります。


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「女だらけの戦艦大和」・さらばトレーラー - 2013.01.26 Sat

――のぞき見ではげしい行為を見せつけられた『海きゃん』一行はそのあと町中の遊郭へ行くとその晩は目いっぱい、とことんまで楽しんだのだった――

 

一行は次の日の朝一番のランチで『大和』に帰って来た。

そして梨賀艦長に宿の礼を言い、「おかげさまでいい取材が出来ました、そして大変お世話になりました。私たちは今日でここからおいとまいたします」と別れを告げた。

梨賀艦長も野村副長も、森上参謀長も少しさみしそうな顔になって、

「そうですか・・・なんだか寂しくなりますね。内地に帰られたらぜひいい本を作ってください。待っていますよ!」

と言い、それぞれと握手をした。

そのあと、『海きゃん』取材班は『大和』艦内をめぐって各分隊員たちに別れの挨拶をした。機関科では松本兵曹長が「おお、お名残惜しいですなあ。・・・でもはよう『海軍きゃんきゃん』の新刊を待っとりますけえね。内地に帰ってもお元気で」と言ってその大きな手で取材班一人一人に握手した。

主計科の烹炊所では、

「なんで~!?武田水兵長、ここで仕事するんじゃなかったのお!」

と武田水兵長は一等主計兵や上等主計兵、水兵長たちに叫ばれ、抱きつかれ、泣かれ・・・武田水兵長も大泣きする場面もあった。それを見て殘間中尉ももらい泣きしている。

大和の烹炊員たちは口々に、

「『海きゃん』が嫌になったら、首になったら、絶対ここに来てね!約束よ!」

と言い、武田水兵長は泣きながらも実に微妙な顔つきである。

 

医務科では日野原軍医長が「おお!もう帰っちゃうのか~、残念だなあ。じゃあ今度の『海きゃん』にはぜひわが大和の医務科が優秀であるってことも書いといてよね」と言って名残を惜しんだ。そして日野原軍医長は「役に立つといいが」と言って一人一人に頭痛薬「ノーテン」をひと箱くれたのだった。

そして一行は第一艦橋と防空指揮所に行くためラッタルを上がる。

第一艦橋ではその場の見張り員たちにあいさつし、海図に見入っていた樽美酒少尉に、

「おかげさまでいいグラビアが撮影出来ましたよ、『海きゃん』楽しみにしていてくださいね」

と言って樽美酒少尉はさわやかな笑顔で殘間中尉と握手して

「こちらこそありがとうございました、いい思い出ができました。またいつかお会いできるといいですね」

と言った。袴田兵曹が「樽美酒少尉・・・素敵だなあ」とつぶやく。そして「『海きゃん』専属モデルにしたいよなあ」。

艦橋を出てゆきながら写野兵曹が「あの人もいいが、私としてはやっぱりオトメチャンだなあ」とブツブツ言う。

そして防空指揮嬢に上がればそこではもう配置の皆が待ち構えていて一行を拍手で迎えてくれた。松岡分隊長が拍手しながら一歩前に進み出ると、

「やあ、『海軍きゃんきゃん』の取材班の皆さん!今までお疲れ様でした。そしてたくさんの思い出をありがとうございました!みなさんは仕事に熱くなっていて大変素晴らしいですよ。これからもその熱さを忘れないで頑張ってくれたまえ!

いいかい・・・熱くなれよ!今日からみんなも富士山だーっ!」

と叫んでラケットを振り上げた。写野兵曹が思わず「富士山ですか、景気いいなあ」と言って笑いだし、その場の皆が笑いだす。

その笑いを聞きつけてトップのトップにいたハッシー・デ・ラ・マツコとトメキチが降りて来た。トメキチはマツコの背中に乗っている。

マツコがふわりと一行の前に降り立つとトメキチがその背中から降りた。二匹は並んで立つと『海きゃん』一行に敬礼すると筑紫少尉がトメキチを抱きしめ、三谷兵曹がマツコを抱きかかえるようにした。

マツコは三谷兵曹に抱きしめられつつ「なんか寂しいわねえ、この連中がいなくなると」と言い三谷兵曹の頭をその大きなくちばしでくわえる。

トメキチも「本当にそうだね、マツコサン。僕もさみしい」と言って三谷兵曹のほほをなめ、次いで顔を寄せて来た小林兵曹の顔もなめる。

見張兵曹、小泉兵曹、石場兵曹、谷垣兵曹に石川水兵長に亀井一水たちもそれを見て何か胸の奥がじんとするものを感じている。

麻生分隊士もなんだか普段に似合わない殊勝な表情でいる。その分隊士にそっと近寄った筑紫少尉は

「麻生少尉、例のスポットありがとうございました。おかげでいい目の保養ができましたよ。・・・まさかあんなことが、ねえ」

と言って含み笑いをした。麻生分隊士も「あんなことやこんなこと・・・ありましたでしょう?フフフ」と含み笑いで答える。そして筑紫少尉の耳に自分の曲がった口を寄せると、

「で、例の写真集の件。よろしゅう願いますよ」

と囁いた。筑紫少尉は皆にわからないように麻生分隊士の背中をそっと叩いて「大丈夫ですって。忘れたりしません。綺麗に製本して、あなた宛てに送りますからご安心を」と言って安心させた。

筑紫少尉はそして見張兵曹を見て

「オトメチャン、今度来るときはあなたを『海軍きゃんきゃん』専属のモデルとして迎えに来ますよ」

と言って笑った。見張兵曹は困ったような顔つきで微笑んでいたが小泉兵曹が横から

「おお、ええのう!ほいじゃあ俺がオトメチャンの付き人になっちゃろう。ほいでもええですかね?」

と言うと石場兵曹が必死で、

「いや!オトメチャンの付き人はうちがするんじゃ。小泉みとうな男好きには任せられんで」

と小泉兵曹をけん制したのでその場の皆が声を立てて笑った。

そこに伝声管を通じて、通信科の兵曹から「そろそろランチが出ます、ご準備はええでしょうか」と言ってきた。それに麻生分隊士が「準備よし。今より三分後にランチに乗る」といい、『海きゃん』取材班は一列に並びなおすと

「お世話になりました!ご武運を祈ります」

と敬礼して松岡分隊長を先頭に下へ降りる。

 

露天甲板では梨賀艦長のほか副長、参謀長たちや各科の科長まで居並んで一行を見送る。殘間中尉は中尉らしいところを見せようと皆を整列させ

「『海軍きゃんきゃん取材班』殘間中尉以下七名、これより内地に帰還いたします。長い間お世話になりました!」

と号令をかけ取材班は一斉に敬礼。梨賀艦長はうなずいて一行の一人一人を見つめると

「長い間の取材活動ご苦労であった。無事に内地に着いた暁には『海軍きゃんきゃん』発行に励んでほしい、そして新刊を楽しみにしている。ではごきげんよう」

といい締めくくった。

そして取材班一行は舷門を降りて行った。

艦内では「『海軍きゃんきゃん』一行が帰還する。配置に置いて適宜見送れ」の放送が流れ、外の配置員たちが左舷側を向いて帽子を取ってそれを大きく振りながら

「元気でなー!」とか「また来いやー」「次は十四(うちん)分隊(がた)に取材に来いやー」「気ぃつけてなあー」と叫んで見送る。見送られる『海きゃん』一行はランチの中にあって涙を流して帽子を振り返す。

「ありがとうー!」「また来ます」「わたしたちを忘れないでくださーい」・・・

見送る者、見送られるものそれぞれの別れの言葉が、トレーラの海風にちぎれて舞った――

 

「行ってしまわれましたね」

防空指揮所で、持った帽子を振る手をやっと下に降ろした見張兵曹が誰に言うともなくつぶやいた。小泉兵曹と石場兵曹がその横にたたずんで

「ほうじゃな。・・・あっという間じゃったね。でもいろいろあって楽しかったわ」

と言った。石場兵曹が艦内帽をかぶりなおしてから「うちははよう、新しい『海きゃん』が読みたいわ。いったいどがいな感じに記事になるんじゃろうねえ?」と早くも心は新しい冊子に飛んでいるようだ。

小泉兵曹が

「うちも早う読みたいな。面白い記事満載で陸さんをうらやましがらしたらええねえ」

と言って皆は一斉に笑った。麻生分隊士は(オトメチャンの写真集、いつ出来るかのう。楽しみじゃ)ともう今から心待ちである。

 

トレーラーの海に、『海きゃん』取材班を乗せたランチは走り、やがて潜水艦や巡洋艦が彼女たちを内地へといざなうのである。

 

長い長い、『海軍きゃんきゃん』取材班の旅がそろそろ終わろうとしている。

その頃。

横須賀の『海軍きゃんきゃん』編集部では久しぶりにやってきた山本いそ聯合艦隊司令長官が、取材班が南方に行ったきりまだ帰ってこないというのを聞いてため息交じりに、

「南に行けば長くなる・・・ってだから言ったじゃないの!しょうがないなあ、みんな南方のゆったり時間にならされてしまって」

とぼやいていた――

 

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

長い長い、『海軍きゃんきゃん』の取材話をこれにて終わります。

さあいつ、新しい『海きゃん』発行になりましょうか、楽しみです^^。そして、『大和』に新しい話が。どんな話になりますかご期待下さい。

 

帽振れー!(画像お借りしました)
帽振れ!


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「女だらけの戦艦大和」・トレーラーの奇人変人9 - 2013.01.23 Wed

――写野兵曹は「来たっ、今日最大の収穫だ!」と叫んだ。

 

その声を聞いた瞬間筑紫少尉は(おお!オトメチャンと麻生少尉か!)と胸ときめかせた。そして双眼鏡をのぞくと双眼鏡の視野の中にいたのは『大和』機銃分隊の長妻兵曹である。

(なんだ、オトメチャンじゃないのか)と内心がっかりした筑紫少尉は双眼鏡から目を離すと

「写野兵曹、彼女の何処が最大の収穫なのかね?」

と聞いてみた、すると写野兵曹はちょっと顔を上気させて筑紫少尉を見ると

「ご存じないんですか少尉は。彼女『大和』でも有名な<やり手>でしてね。航海科の小泉兵曹とかあと数名のやり手とともに、大和の突撃部隊って呼ばれてるんだそうです。・・・彼女いったい誰と・・・」

と言って再び双眼鏡を眼に当てる。

皆もふーん、やり手ねえと言いながら双眼鏡で下の草はらを見つめる。

 

見られてるとも知らない長妻兵曹は、自分の後ろからついて来る男性を振り返った、そして「結構歩きましたのう、疲れませんですか?」と聞いた。聞かれた男性は嬉しそうに息を弾ませて、

「疲れるなんてことないですよ。それよりこんな素晴らしいところであなたと・・・なんて、そっちのほうが嬉しくて」

と言った。長妻兵曹もうれしげに笑う。この男性は長妻兵曹の<なじみの男性>で、今日は男性が休暇の日だというのを聞いて「ほいじゃあ、うちがええ所しっとるけえ、そこでせんか?」と誘い、男性も喜んでついてきたというわけである。長妻兵曹は草はらの下の小路に例のしるしをくくって「これでよし!」と言ってさらに上に上がった。

草はらに上がるとそこは別世界。見晴らしも良く視界を遮るものと言えば一方に丘状のものがありそこにそびえる一本の古木だけ。

「見とるものなんぞ、おりゃあせん」

そう長妻兵曹は言い、男性は草はらの中央に立つとやおら兵曹を抱きしめた。そして男性は長妻兵曹の服をそっと脱がし始めた。

 

「おお、始まるぞ」 丘の上の古木の洞の中で『海きゃん』取材班はかたずをのんで見守っている。

 

長妻兵曹は、すっかり服を脱がされ男性に抱きしめられた。「昭子さん・・好きです」と男性は囁き、兵曹をその場に倒した。そしてその体の上に重なった。兵曹の唇に自分のそれを重ねて兵曹の体を撫でまわす。

唇が離れると、男性は兵曹の形のいい乳房をもみしだいた。吹き始めた風に乗って、長妻兵曹の喘ぎ声が聞こえて来て筑紫少尉は興奮した。「ああもう・・・たまらないなあ」

さらに見つめていると男性は唇を長妻兵曹の首筋からその下へと這わせ始めた。二つの胸の盛り上がりの先をひとつずつしつこくねぶった。

長妻兵曹はもう恍惚の表情で声にならない声をあげている。

やがて、男性は兵曹を優しく起こすと何やら囁いている。うなずいた長妻兵曹は男性の服に手をかけて脱がし始める。上着を脱がし、ズボンを脱がせそして褌を取った。男性がたちあがった。

 

「おお!ついに来たか」と、写野兵曹と袴田兵曹が同時に小さく叫んだ。「静かに!」と筑紫少尉の中尉が飛ぶ。一同はさらに見つめる。

 

次の瞬間、『海きゃん』の皆は「うわああ・・・」と声をあげかけ、あわてて口をふさいだ。皆の視線の先には男性に<ご奉仕>する裸の長妻兵曹の姿と、快感に身をよじる男性の姿があったのだから・・・。

 

「昭子さん、もう駄目です・・・」

と男性はうめくといきなり長妻兵曹をその場に激しく押し倒していた、そして長妻兵曹の両足を大きく開かせるとその間に自分の腰を当てるなり、すぐに長妻兵曹の胎内を自分のものにしていた。

後はお定まりの激しい動き。

長妻兵曹と男性の官能の叫びが風に乗って切れ切れに聞こえてくる。

 

やがて、長い時間をかけたそのことがおわった。

しばらく重なったままじっとしていた二人はそっと身を起こすと互いの服を着せあってしばしの間見つめ合うと口づけをかわし、そして立ち上がると草はらを後にして行った。

 

「はあ・・・すごかった。聞きしに勝る素晴らしい行為だった」

と、筑紫少尉が感嘆のため息をつくと写野兵曹も赤くなったほほをそっと撫でつつ「本当に。私もあそこまでとは思いませんでした。写真を撮れないっていうのが残念でしたよ」と言って笑った。

殘間中尉や、三谷・袴田・小林兵曹や武田水兵長と言った連中には刺激が強すぎたようだ。声もなくその場にへたり込んでいる。

その連中を見て筑紫少尉は「これで今夜は行くとこに行かないと収まりつかないね、ふふっ」と言って変な笑いをした。

袴田兵曹がふっと顔をあげると

「もうこれで終わりでしょうかね?そろそろ夕方ですが」

と言い、小林兵曹も「そうですね、風も出てきましたからもう誰も来ませんよ、きっと」と言い一同は撤収の準備を始める。

と。

「あ、あれ見て、また誰か来た!」

と武田水兵長が叫んだ。いったい誰だ、と筑紫少尉が覗き窓にとりすがった。その少尉の口から、それこそ歓喜の声が漏れだした。

「どうしたの!」と皆が筑紫少尉を見ると少尉は最高にニヤつきながら「まあ、見ろって」と窓の先を指差した。

皆がそっと覗いた先には。

 

麻生少尉とオトメチャンがいた。

 

麻生少尉は風の心地よく吹く草はらにオトメチャンをいざなうとまず、そっと彼女を抱きしめてその柔らかい唇に自分のそれを当てた。オトメチャンの両手が自分の背中に回ったのを合図に、麻生少尉はそっと唇を離すと、今度は少し荒っぽくオトメチャンの服を脱がした。その表情はあくまで真剣である。

「ぶ、分隊士・・・」とオトメチャンは少し怖いのか声をあげる。そのオトメチャンを地面にたたきつけるようにして麻生少尉は自分の服を脱ぎ捨てた。そして一気にオトメチャンに襲いかかった。

オトメチャンの小さいが形の良い乳房を激しくもみその先を痛いくらい吸った。オトメチャンは「いや・・・痛い分隊士」と泣き声を立てたが麻生少尉は聞かない。

青空の下での行為に我を忘れているのだろうか。

しかし少尉は意外に冷静であった。彼女は『海きゃん』の筑紫少尉、あるいは取材班全員があの丘の上からのぞきをしていることに確信を持っていた。

そして何より筑紫少尉がオトメチャンに並々ならぬ興味を持っていることに気がついていた。だから、(見せつけてやるんじゃ。撮影とはちごうて本気の行為をじゃ)と思っている。

その通り今日の麻生少尉は普段より荒っぽくオトメチャンを扱った。オトメチャンが逃げようと体をよじるのが鬱陶しくなったか、持っていた袋の中からロープを出してオトメチャンの両手を縛ってしまう。

「おお。また縛り技だ、見ろ見ろ」と写野兵曹が大興奮でささやく。筑紫少尉はそれを見て興奮しながらも(麻生少尉、我々がいるのを知っててあんな激しい行為をしてるな・・・全くうらやましいよ)と思っている。

すると、

「いやあっ!」

とひときわ大きな叫び声が古木の洞まで響いてきた。皆が一斉に見つめる双眼鏡の中に・・・

麻生少尉がオトメチャンを<自分のもの>にしている衝撃のシーンがあった。

「そ、そんなあ」筑紫少尉の全身から力が抜けた。そこまでするとは、そしてあの様子から見るにもうオトメチャンはすでにとっくに麻生少尉に穴をあけられていたのだろう。

「むむ・・・無念だ」と筑紫少尉の口からうめき声が漏れる。

その間にも麻生少尉はオトメチャンにやりたい放題である。わざと皆から見えるようにとしか思えない姿勢を取ってみたり、オトメチャンの両足を大きく広げてみたり。

そんなことを長い間続けた後、麻生少尉はオトメチャンをそっと起こした。そして「これで、ここではおしまい」と言うと、自分の両方の乳首をオトメチャンのそれにこすりつけたのだった。

「分隊士・・・うち、もう駄目じゃ」とオトメチャンはうめくと仰向けに倒れてしまった・・・

 

そのあと二人は身づくろいをして、ゆっくりと草はらを出て行った。麻生少尉は筑紫少尉たちの視線を背中に感じながら(どうじゃ、これが俺とオトメチャンの愛の営みじゃ。うらやましいじゃろ?)とニヤついていた。

 

『海きゃん』取材班は腰が抜けたようになってしばし、各々の場所にへたり込んでいた。

中二階にいた写野兵曹が暗くなって互いの顔もわからなくなりつつある中で「すごかったですね、撮影の時とは大違いだ。やはり人の目を気にしないでする行為は激しいものだね・・・しかしまあ、ここにはいろんな意味で奇人変人の多いこと!」とつぶやいた。

筑紫少尉が中二階から降りながら、

「ではみなさん。町に戻って遊びましょうや。あんなもの見せつけられて何もなしで宿屋に戻れないでしょう」

と言い、皆――殘間中尉でさえ――大賛成して、一行は夜の帳の降りはじめたトレーラーの遊郭に向かってあらい鼻息で向かったのだった・・・

 

一行がトレーラーを去る日は、もう目の前――

 

             ・・・・・・・・・・・・

 

青春・性春小説でした(^_^;)。しかしのぞき見で興奮して遊郭へゴ―とは・・・まあそういうのもありですかね^^。

さあ次回いよいよ『海きゃん』取材班が内地に戻る日が来ます!


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Author:見張り員
ごあいさつ・「女だらけの帝国海軍」へようこそ!ここでは戦艦・空母・巡洋艦駆逐艦などから航空隊・陸戦隊などの将兵はすべて女の子です。といっても萌え要素はほとんどありません。女の子ばかりの海軍ではありますがすることは男性並み。勇ましい女の子ばかりです。女の子ばかりの『軍艦大和』をお読みになって、かつての帝国海軍にも興味をもっていただければと思います。時折戦史関係の話も書きます。
尚、文章の無断転載は固くお断りいたします。
(平成二十七年四月「見張りんの大和の国は桜花爛漫」を改題しました。)

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